機械業界

機械業界とは?年収や現状の課題、今後の動向・将来性を解説

機械業界とは?

機械業界とは、製造業をはじめとするさまざまな業界において使用される機械を製造する業界です。ここで言う機械とは、建設機械や工作機械などのような建物や製品を製造するための機械のことです。

私たちが普段から使用しているさまざまな製品は、機械を使用して製造されています。高品質な製品を大量に生産するには、機械が欠かせません。

2021年の市場規模や成長率等は以下の通りです。

業界市場規模

32.9兆円

成長率

1.3%

利益率

5.0%

出典:業界動向SEARCH.COM「機械業界

機械業界の市場規模32.9兆円は全業界でも10位の規模であり、いかに機械業界が重要な業界であるかがわかります。成長率はそれほど高くはありませんが、他業界の市場動向に左右される面もあるため、今後伸びる可能性は十分にあります。

機械業界に属する企業の分類

機械業界には、大きく分けて下記4つのジャンルがあります。それぞれのジャンルについて、詳しく見ていきましょう。

  • 建設機械
  • 工作機械
  • 農業機械
  • 造船重機

建設機械

建設機械とは、建築現場などで使用される機械です。主にクレーンやショベルカー、ブルドーザーなどがあります。住宅などのほか、社会インフラの整備にも欠かせない重要な機械です。

工作機械

工作機械とは、製造業などで材料の加工に使用される機械です。旋盤やフライス盤、ボール盤のような人が手動で操作する汎用工作機械や、数値制御装置が備わったNC工作機械などがあります。

工作機械は、機械を生み出す機械であることから「マザーマシン」とも呼ばれています。

農業機械

農業機械とは、農業で使用される機械です。トラクターや田植え機、コンバインなどがあります。また、近年ではドローンの活用も進んでおり、農業用ドローンの開発・製造・販売も行われています。

造船重機

造船重機とは、造船業で使用する重工業用機械です。造船は広大な敷地で行われるため、重機そのものだけではなく、プラントから設計・製造することもあります。

機械業界の代表的な企業

機械業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。

企業名

売上高

三菱重工業株式会社

38,602億円(※1)

ダイキン工業株式会社

31,091億円(※2)

株式会社小松製作所

28,023億円(※3)

株式会社クボタ

21.967億円(※4)

株式会社ジェイテクト

14,284億円(※5)

株式会社IHI

11,729億円(※8)

日立建機株式会社

10,249億円(※6)

住友重機械工業株式会社

9,439億円(※7)

日本精工株式会社

8,651億円(※9)

株式会社マキタ

7,392億円(※10)

※1 出典:三菱重工業株式会社「2021年度有価証券報告書
※2 出典:ダイキン工業株式会社「2021年度有価証券報告書
※3 出典:株式会社小松製作所「2021年度有価証券報告書
※4 出典:株式会社クボタ「2021年度有価証券報告書
※5 出典:株式会社ジェイテクト「2021年度有価証券報告書
※6 出典:株式会社IHI「2021年度有価証券報告書
※7 出典:日立建機株式会社「2021年度有価証券報告書
※8 出典:住友重機械工業株式会社「2021年度有価証券報告書
※9 出典:日本精工株式会社「2021年度有価証券報告書
※10 出典:株式会社マキタ「2021年度有価証券報告書

上位10企業のうち7企業の売り上げが1兆円を超えており、業界市場規模が大きいことがわかります。なかでも、三菱重工業は発電プラントや産業用機械、防衛産業など、さまざまな分野で社会を支える企業です。

機械業界の職種別の仕事内容

機械業界には、主に下記6つの職種があります。それぞれの仕事内容について、詳しく見ていきましょう。

  • 基礎研究・応用研究
  • 商品開発
  • 調達
  • 生産技術・生産管理
  • 営業
  • メンテナンス

<基礎研究・応用研究 

基礎研究・応用研究では、将来の製品に役立てるための技術や素材などの研究を行います。研究結果によっては、企業の経営方針や生産体制が大きく変わる可能性もあり、重要な仕事のひとつです。

基礎研究・応用研究に興味がある方は、「基礎研究とは?仕事内容や年収事情をわかりやすく解説」、「応用研究とは?基礎研究との違いや仕事内容、年収事情などを解説」も読んでみてください。

商品開発

商品開発では、どのような製品が求められるかを常に考えながら、市場や各企業のニーズを調査して新たな商品の開発や既存商品の改良を行います。場合によっては、営業と一緒に顧客にヒアリングすることもあります。

調達

調達は、製品の生産に必要な材料や部品を国内外から仕入れる仕事です。機械の生産には多くの材料・部品を必要とします。事前に全て調達してしまうと膨大な在庫を抱えてしまうことになるため、生産状況などをもとに最適なタイミングで仕入れることが重要です。

生産技術・生産管理

生産技術では、機械を生産するための技術を開発します。また、生産管理はコスト・品質・納期などの生産管理を行う仕事です。高品質な機械を低コスト・短期間でより円滑に生産するために、生産技術・生産管理は欠かせません。

営業

営業では、自社製品を顧客に提案・販売します。機械の導入には必ず目的があるため、その目的を達成するための製品を提案することが重要です。そのため、営業でも製造業に関する知識が必要になるでしょう。

営業に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。

メンテナンス

メンテナンスは、納品した製品の保守やアフターサービスを提供する仕事です。機械は数年〜数十年にわたって使用されるため、定期的なメンテナンスを行う必要があります。顧客が安心して機械を使用するために重要な仕事です。

機械業界の年収

機械業界の年収

機械業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

機械業界

623万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:業界動向SEARCH.COM「機械業界
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

機械業界の平均年収は、全業界の平均年収と比較すると約200万円高いです。ものづくりには機械が欠かせないため、機械の需要は高く、機械業界の業績は安定しています。

ただし、一口に機械業界と言っても中小企業から大企業までさまざまなので、実際は企業間で年収差がある点も理解しておきましょう。

機械業界の現状の課題

機械業界には、下記のような課題があります。それぞれどのような課題か、詳しく解説します。

  • 海外企業との競争が激化している
  • 他業界の市場動向や景気の影響を受けやすい

海外企業との競争が激化している

機械の需要がなくなることはありませんが、長い期間使用できる高寿命な機械が増えたことで、新規製品の需要は少なくなる可能性があります。そのため、特に新興国での事業拡大が重要視されています。

新興国での事業拡大を計画しているのは日本企業だけではないため、海外企業との競争が激化する可能性があるでしょう。

他業界の市場動向や景気の影響を受けやすい 

機械業界は、製造業や建設業など、他の業界とのBtoBの取引が主となっています。そのため、それらの業界の市場に何かしらの変動があれば、受注に大きな影響が出る可能性があるでしょう。

例えば、景気が悪くなると企業は設備投資を抑えるため、機械の需要が低下します。このような外部の動向に左右されず、いかに利益を維持するかが課題です。

機械業界の今後の動向・将来性

機械業界の今後の動向・将来性について、下記2つの視点で解説します。

  • 機械のIoT化・自動化
  • M&Aが活発化

機械のIoT化・自動化

近年の製造現場では、生産性向上や品質向上の観点からIoT化や自動化が進んでいます。既存の機械にIoTや自動化の機能を追加することもありますが、機械そのものをIoT化・自動化する需要が高まっています。

IoTなどの導入によって効率的な生産システムを導入した工場は「スマートファクトリー」と呼ばれています。5Gの普及によって大量のデータを高速で通信できるようになったことも相まって、今後はIoTや自動化の機能を有した機械の開発がさらに進むでしょう。

M&Aが活発化

機械業界では、事業強化やブランド力強化、人材不足の解消などのため、M&Aが活発化しています。

機械業界のM&Aでは、譲受側は新たな事業を開拓でき、譲渡側は譲受側のブランド力やさまざまノウハウを獲得できるなど、譲受側と譲渡側のどちらにもメリットがあります。海外企業との競争に勝つためにも、今後もM&Aによる業界再編の動きが活発になるでしょう。

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