生保(生命保険)業界

生命保険業界とは?現状の課題や今後の動向・将来性、年収などを紹介

生命保険業界とは?

生命保険業界とは、保険加入者から保険料を集め、誰かが事故や怪我・病気になった際に保険料から保険金を支払う仕組みの業界です。

生命保険業界の主な収益には、保険加入者から集めた「保険料収入」と、集めた保険料を原資として資産を運用する「運用収益」の2つがあります。

生命保険業界の2021〜2022年における市場規模・成長率・利益率は以下のとおりです。

業界市場規模

32.6兆円

成長率

-2.7%

利益率

0.1%

出典:業界動向SEARCH.COM「生命保険業界

業界市場規模は32.6兆円と、同じ金融業界の銀行や証券に比べても規模が大きく、生命保険商品が日本人の生活にいかに深く浸透しているかが分かるでしょう。

生命保険業界の代表的な企業

生命保険業界の代表的な企業と、その保険料等収入をまとめました。

企業名

保険料等収入

第一生命HD

5兆2,919億円(※1)

日本生命

4兆3,079億円(※2)

明治安田生命

2兆4,435億円(※3)

かんぽ生命保険

2兆4,189億円(※4)

住友生命

2兆1,431億円(※5)

メットライフ生命

1兆9,056億円(※6)

T&Dホールディングス

1兆7,819億円(※7)

ソニー生命

1兆3,773億円(※8)

アフラック生命保険

1兆3,203億円(※9)

プルデンシャル生命

1兆613億円(※10)

※1 出典:第一生命ホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書
※2 出典:日本生命保険相互会社「2021年度損益計算書
※3 出典:明治安田生命保険相互会社「2021年度決算の概況
※4 出典:株式会社かんぽ生命保険「2021年度有価証券報告書
※5 出典:住友生命保険相互株式会社「2021年度決算(案)説明用資料
※6 出典:メットライフ生命保険株式会社「2021年度決算報告
※7 出典:株式会社T&Dホールディングス「2021年度有価証券報告書
※8 出典:ソニー生命保険株式会社「2021年度決算のお知らせ
※9 出典:アフラック生命保険株式会社「2021年度決算報告
※10 出典:プルデンシャル生命保険株式会社「2021年度決算(案)

1位の第一生命HD、2位の日本生命の保険料収入は、3位以下の企業に2倍以上の差をつけ、抜きんでています。

生命保険会社にとって、保険料収入は一般的な会社の売上に該当します。上位10社までどの企業も保険料収入は1兆円を超えており、他の業界と比べ全体的に事業規模の大きい企業が多いことが分かるでしょう。

生命保険業界の職種別の仕事内容

生命保険業界の職種には、以下のようなものがあります。

  • 営業
  • 事務
  • 資産運用
  • 商品開発

それぞれの仕事内容を解説していきます。

営業

生命保険業界の営業は以下の3つに分けることができます。

  • 個人営業
  • 法人営業
  • 代理店営業

個人営業

個人営業は個人宅や中小企業などへ訪問し、個人顧客へ自社の商品・サービスを紹介し保険の加入を勧める仕事です。

また、新規加入者の獲得だけでなく、契約済みの加入者のもとへ定期的に訪問しアフターフォローをすることも個人営業の業務のひとつです。

個人営業に興味がある方は、「個人営業とは?法人営業との違いや種類、年収情報などを解説」も読んでみてください。

法人営業

法人営業は大企業や官公庁に対し、団体保険や企業年金の導入を提案するのが仕事です。

法人営業では企業の福利厚生を支える商品を提案するため、商品に関する知識はもちろん、経営や法律などの知識も必要とされます。

法人営業に興味がある方は、「法人営業とは何か解説!種類や仕事内容、年収・給料などを紹介」も読んでみてください。

代理店営業

代理店営業の仕事は、保険商品を販売する代理店に対して営業を行うことです。さまざまな保険会社の商品を扱う代理店に対し、自社の商品を積極的に売ってもらえるよう働きかけます。

事務

生命保険業界における事務は、保険契約に関する手続きが主な仕事です。以下に挙げるような複数の仕事を同時に処理することもあり、こなすべき業務は広範囲にわたります。

  • 契約書類の作成
  • 契約内容の変更手続き
  • 保険料の領収
  • 保険金支払額の算出
  • 保険金の支払い
  • データ入力
  • 電話対応

事業規模の大きい生命保険会社では、部署ごとに担当業務が分けられている場合もあります。

資産運用

資産運用の仕事では、保険加入者から預かった保険料を元手に運用し、運用益を上げることが求められます。生命保険会社にとっては、運用益も重要な収益の柱です。

資産運用には市場や企業の分析力や、資産運用に関する専門的な知識が必要とされます。保管加入者から預かった資産を目減りさせないよう、市場や経済情勢を睨みつつ、長期的・安定的な資産運用を行います。

商品開発

商品開発は、新商品の企画や既存商品の改善を行う仕事です。

市場のトレンドや顧客のニーズを分析し、社会情勢の変化に合わせ商品を開発します。商品の開発を通し、顧客の課題を解決したりニーズを満たすのが商品開発の役目です。

商品開発では、新しい保険商品の開発だけでなく、すでに販売されている商品の改良を行うこともあります。

生命保険業界の年収

生命保険業界の年収

生命保険業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

生命保険業界

858万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:業界動向SEARCH.COM「生命保険業界
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

生命保険業界の平均年収858万円は、全業界平均の2倍近い金額となっています。

生命保険業界では、営業成績に応じて営業職の年収が大きく伸びることがあります。この報酬制度が、生命保険業界全体の年収を引き上げていると考えられるでしょう。

生命保険業界の現状の課題

生命保険業界の現状の課題について解説します。

低金利政策による運用難

長引く低金利により公社債の利回りは低下し、運用によって利益を生み出すことが年々難しくなっています。

多くの生命保険会社では、運用益を確保するため、これまで国内の公社債へ投資していた資金を外国債券への投資に充てるなどしています。また、新たな分野への投資比率を高めているところもあるのが現状です。

しかし、それでもなお運用状況は厳しく、大手の保険会社でも一部の商品で運用利回りの想定を引き下げる動きがあります。

こうした運用難が続けば運用益減だけでなく、保険商品の魅力が減退し加入者減に繋がる恐れもあるでしょう。

人口減少による市場の縮小

国内で進む人口減により、保険の新規加入者は減りつつあります。

生命保険業界では、2035年に日本の人口の1/3を団塊の世代が占める「2035年問題」や、主要顧客である団塊の世代全てが死亡平均年齢に達する「2025年問題」が懸念されています。

新規加入者の増加が見込めない中、保険金支払いが増えることで、経営維持が厳しくなる保険会社も出てくるでしょう。生命保険業界では、今後ますますの競争激化や業界再編の動きが予想されます。

生命保険業界の今後の動向・将来性

生命保険業界の今後の動向・将来性について解説します

販売チャネルの変化

近年は来店型ショップやインターネットで申込が完結できるシステムなど、保険商品の販売方法は多様化しています。

またコロナ禍においては、多くの生命保険会社で、オンラインツールを使った非対面での営業活動が行われました。加えて、もともと非対面販売の手法をとっていたネット保険も増えてきています。

今後の生命保険会社には、時代とともに変化する社会情勢や加入者のニーズに応えられるよう、直接販売だけでなく多様な販売チャネルに対応できる柔軟さが求められます。

商品やサービスの変化

昨今の高齢化・長寿化により、死亡後に保険金が受け取れる保険商品よりも、生前に給付を受けられる医療保険や介護保険のニーズが増しています。

その他にも生命保険会社各社では、以下のようなバラエティに富んだ新しい保険商品の開発が進んでいます。

保険の種類

概要

健康増進型保険

加入者の健康維持への取り組みによって保険料が変動する

収入保障保険

働けなくなってしまったときに毎月一定金額が支払われる

認知症保険

認知症と診断されたときに一時金が受け取れる

単に商品を販売するだけでなく、社会の変化に応じた最適な商品を提案し続けることが、生命保険業界の生き残りのカギとなるでしょう。

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