海運業界

海運業界とは?仕事内容や平均年収、今後の動向などを解説

海運業界とは?

海運業界とは、海路での貿易を行う業界です。より簡単に説明すると、「船で物資を運び、届ける仕事をする業界」です。

なお、海上での輸送は国内だけを対象とする「内航海運」と、海外までを対象とする「外航海運」に分かれます。輸送に使う船の種類にはコンテナ船やタンカーなどがあり、物資の種類や量に応じて使い分けます。

海運業界の2021年における市場規模や成長率、利益率は以下のとおりです。

業界市場規模

3.7兆円(66位/190業界)

成長率

−12.1%(179位/190業界)

利益率

+0.8%(130位/190業界)

出典:業界動向SEARCH.COM「海運業界

海運業界の代表的な企業

海運業界の代表的な企業と、その売上高は次のとおりです。

企業名

売上高

日本郵船

16,084億円(※1)

商船三井

9,914億円(※2)

川崎汽船

6,254億円(※3)

NSユナイテッド海運

1,384億円(※4)

飯野海運

889億円(※5)

ENEOSオーシャン

527億円(※6)

栗林商船

414億円(※7)

明治海運

401億円(※8)

新日本海フェリー

401億円(※9)

川崎近海汽船

370億円(※10)

※1 出典:日本郵船株式会社「2022年3月期 有価証券報告書
※2 出典:株式会社商船三井「2021年度有価証券報告書
※3 出典:川崎汽船株式会社「2022年3月期 有価証券報告書
※4 出典:NSユナイテッド海運株式会社「2022年3月期 有価証券報告書
※5 出典:飯野海運株式会社「2022年3月期 有価証券報告書
※6 出典:ENEOSホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書
※7 出典:栗林商船株式会社「2022年3月期 有価証券報告書
※8 出典:明治海運株式会社「2022年3月期 有価証券報告書
※9 出典:新日本海フェリー株式会社「第55期 有価証券報告書
※10 出典:川崎近海汽船株式会社「第55期 有価証券報告書

最も高い売上高を記録しているのは日本郵船です。日本郵船は海運事業だけでなく陸運や海運事業にも着手しており、幅広い分野で活躍しています。

売上高2位の商船三井は、一般不定期船事業や木材チップの船事業、売上高3位の川崎汽船は乗用車を輸送するサービスを強化しています。自社の強みを伸ばした経営戦略が、今後業界で生き残るためのポイントと言えるでしょう。

また上位3社(日本郵船は・商船三井・川崎汽船)は2017年に、合同で新会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス」を立ち上げています。

新会社設立は3社のコンテナ船事業の統合を目的としており、世界に負けないコンテナ船事業を作り上げることが期待されています。

海運業界の職種別の仕事内容

海運業界の仕事内容を職種別に見ていきます。

海運業界の仕事は現場で海上輸送に携わる「海上職」と、内勤で海運をサポートする「陸上業務」に大別されます。

海上職

海上職は海技者として船に乗り、海路を使いエネルギー・資源等の輸送に携わります。国家試験を受け、三級海技士免状(機関または航海)を取得しなければ就くことができません。

近年は運航が自動化され、昔に比べると航海士や機関士の人数は減少しています。そのため陸上職に比べると希少性が高く、給与水準は高く設定されているのが特徴です。

なお、海上職は次の4つに分けられます。

  • 航海士
  • 機関士
  • 通信士
  • 船員

航海士

航海士は船を操縦して貨物を輸送します。最高責任者である船長を筆頭に、航海士は一等航海士、二等航海士、三等航海士に分けられています。

一等航海士は積み荷の管理、二等航海士は海図の管理と整備、そして三等航海士は書類の管理に努めるなど、それぞれ役割が異なるのが特徴です。

機関士

機関士は、船内にある機械設備一式を管理する責任者です。船舶にとって必要不可欠であるエンジンや電気、水といった設備のメンテナンスや補修を行います。

機械全般において専門的な知識が求められる仕事です。

通信士

通信士は陸上との連絡を担当します。海上においては、他の船舶とのやり取りや通信機器の整備をするのも仕事です。

船員

船員は航海士や機関士を支えるスタッフです。甲板部(積荷の移動)・機械部(機器の整備)・事務部(食事の提供)などに分けられていて、それぞれ海上で果たす役割に違いがあります。

陸上職

陸上から海運事業を支えているのが陸上職です。貨物の輸送を希望する顧客に対して船を用意したり、メーカーに対して営業を行ったりします。

専門的な資格が求められない業務が多いですが、入社後は貿易や関税に関する勉強が必要です。

なお、陸上職は次の3つに分けられます。

  • 事務職
  • 技術職
  • 営業職

事務職

事務職は航路の運営や運行管理を行います。財務・経理・総務といった事務のほか、寄港地で入港手続きをする運行管理や船の運賃交渉をすることもあります。

技術職

技術職は船を技術面で支える仕事です。船は造船会社で作られますが、技術職のスタッフは船の仕様を検討して機器を発注したり図案を確認したりします。

営業職

営業職は船に乗せる貨物を集めるため、メーカーなどに営業をかける仕事です。資源・エネルギー会社を中心に、既存顧客の契約更新や新規契約獲得に努めます。

営業職に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。

海運業界の年収

海運業界の年収

海運業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

海運業界

425万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:マイナビエージェント「 業種別平均年収ランキング【2020年版】海運業
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

海運業界の平均年収は全業界の平均と比べて若干下回っていますが、そこまで大きく差が開いていないことがわかります。実際は同じ海運業界でも職種や勤続年数によって給与が変動するため、一概に平均年収が高い・低いを判断するのは難しいでしょう。

なお、海外勤務の場合は別途手当が支給されることもあるため、より高い年収が期待できます。

海運業界の現状の課題

2010年代の後半から海運業の市場規模は拡大傾向にあり、2019年にかけては4兆4099億円もの市場規模にまで成長しています。

しかしながら、景気に影響されやすいことも海運業界の特徴で、情勢によっては大きく経済的な打撃を受けることもあるでしょう。そのため、今後は自己資本比率を高く保つことが課題の一つとなっています。

またそれ以外には若い船員の確保や、SDGsを見据え環境に配慮した省エネ機器の導入などが課題として挙げられます。

海運業界の今後の動向・将来性

世界の海上輸送量と船腹量は年々順調に増加しているものの、ここ数年の伸び率は25年前に比べるとやや低い数値です。

また海運業界は人材の高齢化や環境問題、グローバル化の観点などから、さまざまな業界とのM&Aが進んでいます。最近の新型コロナウイルス感染症や海外の紛争などの影響によって、今後もM&Aが活発になる可能性があるでしょう。

海運業界を希望するのであれば、過去のM&A事例などを参考にして企業の将来性まで評価することが重要です。

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