銀行業界

銀行業界とは?仕事内容や現状の課題、今後の動向・将来性について解説

銀行業界とは?

銀行業界とは顧客からお金を預かり、管理する業界です。その他にも銀行は、預かったお金で株や債券などの金融商品を運用して利益を生み出したり、融資を必要としている人に資金を貸したりする役割も果たしています。

昨今では、ビジネスモデルの変化によって資産運用の相談やM&Aのアドバイスなど業務は多岐に渡っており、銀行業界で働く人には経済・経営に関する知識も必要とされます。

2021〜2022年における銀行業界の市場規模や成長率・利益率は次の通りです。

業界市場規模

25.1兆円

成長率

1.4%

利益率

11.4%

出典:業界動向SEARCH.COM「銀行業界

銀行は人々にとってはなくてはならない存在であり、市場規模も非常に大きくなっています。

銀行業界の主な事業

銀行業界の代表的な主な事業を紹介します。

預金

預金とは、個人や法人からお金を預かることです。個人顧客が日常的に利用する普通預金のほか、指定した期間内は預金を引き出せない代わりに金利の良い定期預金や、企業が小切手や手形を振り出すための当座預金等を管理しています。

口座で預かった資金を運用し、金利をつけて顧客に戻すことも預金業務の目的です。

為替

為替とは、口座を保有している顧客の依頼に応じて、指定された他の口座に送金や振り替えを行うことです。具体的には、電気・ガスなどの公共料金や顧客同士の売買の受け払いなどが該当します。

海外通貨の為替レートの変動を利用して差益を生み出す「外国為替」も、この業務の一部です。

貸付・融資

資金を必要とする個人や法人に貸付・融資を行うのも、銀行業界のビジネスの一つです。個人がマイホームを購入する際の住宅ローンや、会社が事業を拡大する際の事業資金等がこれにあたります。

貸付時の利息が銀行の収益となるため、融資担当者は融資先の返済が滞ったり貸し倒れしたりしないよう、融資額や返済能力について慎重な調査・審査を行う必要があります。

銀行業界の分類

一口に銀行と言ってもその種類はさまざまです。ここでは、銀行の分類とその特徴について説明します。

メガバンク・都市銀行

支店を全国展開している大規模な銀行グループを「メガバンク」や「都市銀行」と呼びます。

公称ではありませんが、一般にメガバンクというと「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「みずほ銀行」を指す場合が多いでしょう。グループ全体で多様な金融サービスを提供し、多くの大企業を顧客に抱えています。

地方銀行

地方銀行はエリアを限定し、地域経済に密着して金融サービスを提供する銀行です。地元の有力企業や中小企業、地域住民を支え、地域経済の発展に貢献しています。

銀行業界の収益環境が厳しくなりつつある昨今では、地方銀行同士の合併・提携・グループ再編が進んでいます。

信託銀行

銀行業務と信託業務(財産の管理・運用)の両方を行うのが信託銀行です。信託銀行では預金だけでなく、不動産・証券など大きな資産を持つ個人や企業の資産運用をサポートします。

銀行業務・信託業務に加えて、以下のような「併営業務」を行えるのはこの信託銀行だけです。

  • 遺言書の保管と執行
  • 証券代行(企業の株主名簿の管理)
  • 不動産売買の仲介

ネット銀行

ネット銀行は、2000年の規制緩和により銀行業務に新規参入した銀行です。店舗を持たない、または必要最小限の店舗で営業を行うのが特徴です。取引のほぼすべてをインターネットで完結できる利便性や金利の高さから、年々利用者が増加し続けています。

他の銀行と異なり、ネット専業・小売・証券・通信業などさまざまな母体を持ちます。

銀行業界の代表的な企業

銀行業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。

企業名

売上高

三菱UFJファイナンスグループ

6兆758億円(※1)

三井住友ファイナンスグループ

4兆1,112億円(※2)

みずほファイナンスグループ

3兆9,630億円(※3)

ゆうちょ銀行

1兆9,776億円(※4)

三井住友トラスト・ホールディングス

1兆4,010億円(※5)

りそなホールディングス

8,447億円(※6)

新生銀行

3,733億円(※7)

コンコルディア・ファイナンスグループ

2,869億円(※8)

ふくおかファイナンスグループ

2,804億円(※9)

めぶきフィナンシャルグループ

2,680億円(※10)

※1 出典:株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ「2021年度有価証券報告書
※2 出典:株式会社三井住友フィナンシャルグループ「2021年度有価証券報告書
※3 出典:株式会社みずほフィナンシャルグループ「2021年度有価証券報告書
※4 出典:株式会社ゆうちょ銀行「2021年度有価証券報告書
※5 出典:三井住友トラスト・ホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書
※6 出典:株式会社りそなホールディングス「2021年度有価証券報告書
※7 出典:株式会社新生銀行「2021年度有価証券報告書
※8 出典:株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループ「2021年度有価証券報告書
※9 出典:株式会社ふくおかフィナンシャルグループ「2021年度有価証券報告書
※10 出典:株式会社めぶきフィナンシャルグループ「2021年度有価証券報告書

三菱UFJ・三井住友・みずほの上位3社がメガバンクと呼ばれる大手銀行です。いずれも売上高は3兆円を超えており、4位以下の企業と大きな差をつけています。

また、上位3社の売上高合計は約14兆円に上り、銀行業界全体の市場規模25.1兆円の半分以上を占めます。

銀行業界の職種別の仕事内容

銀行業界の職種は、次の2つに大別されます。

  • 総合職
  • 一般職

それぞれの仕事内容を解説していきます。

総合職

総合職は将来の幹部候補となる職種です。幅広い分野の知識やスキルを身につけることが求められ、全国規模の転勤や異動もあります。

総合職の代表的な仕事は、営業・渉外です。営業・渉外は顧客に対して定期預金のプランや資産運用の提案をし、ニーズを掘り起こす仕事です。金融・保険商品を販売したり、融資の相談に乗ったりすることもあります。

資産運用や融資では、数百万から億単位の大金を扱うためプレッシャーは大きいでしょう。加えてノルマを課されることもあり、やりがいは大きいものの働き方がハードになることも考えられます。

一般職

一般職は主に窓口業務を担当し、総合職のサポート役を担う職種です。窓口業務とは、具体的に以下に挙げるような仕事を指します。

  • 口座開設
  • 預金の入出金
  • 送金・振込業務(為替業務)
  • 預金・ローン・年金に関する相談
  • 金融商品の販売

基本的に支店配属後の転勤や異動はなく、特定の部署で特定の業務を継続して行うことを求められます。また、窓口業務のほかに事務処理や書類作成、会議準備、来客対応なども一般職の仕事です。

銀行業界の年収

銀行業界の年収

銀行業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

銀行業界

686万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:業界動向SEARCH.COM「銀行業界
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

銀行業界の平均年収は、全業界平均の約1.5倍と高い水準になっています。

ただし、メガバンクか地方銀行か、総合職か一般職か、また勤務年数・役職などによってもかなりの幅があることが想定されます。自分の希望する勤務先の給与体系は個別に確認しておく必要があるでしょう。

銀行業界の現状の課題

銀行業界の現状の課題として、以下の事柄が挙げられます。

マイナス金利政策による収益減

2016年、日銀は市場に貨幣を流通させることを狙いとして、マイナス金利政策を実施しました。

経済の活性化やデフレの脱却を狙った施策ではあるものの、民間銀行側としては資金の貸出先が突然増えるわけもなく、大きな収益源であった利息収入が大幅に減少している状況です。このような背景から、銀行業界はビジネスモデルの変化を迫られています。

ネットバンクの急成長でメガバンクや地方銀行の存在感が弱まる

ネットバンクは、店舗を持たず取引のほとんどをネットで完結できることから、ここ最近では成長著しいものとなっています。昨今のキャッシュレス化の後押しもあり、ネット銀行は今後ますます発展していくでしょう。

一方、こうしたネット銀行の台頭を受け、メガバンクや地方銀行は従来の事業運営について見直しを迫られるときを迎えています。

銀行業界の今後の動向・将来性

銀行業界の今後の動向や将来性について解説します。

フィンテックの普及

フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた言葉です。以下のような、金融と情報技術を掛け合わせたサービスを指します。

  • キャッシュレス決済
  • 仮想通貨
  • 投資のロボアドバイザー
  • クラウド会計サービス
  • クラウドファンディング

フィンテックにより、銀行業務の効率化や顧客の利便性が高まることが期待されます。

脱・銀行業務の動き

メガバンクや地方銀行では、これまでの預金・為替・融資といった銀行業務に留まらず、新たなビジネスモデルの模索が続いています。具体的には、以下に挙げるような事業です。

  • M&Aの仲介
  • 不動産の活用提案
  • 人材紹介
  • 広告業

これらの事業で収益を増やし、近年台頭してきたネットバンクとの差別化を図っています。

海外進出が活発化

収益を確保すべく海外市場に活路を見出し、その成長力を取り込む動きも広がっています。ここ数年では、以下のような動きがありました。

  • 三菱UFJ銀行:タイ・インドネシアの銀行を傘下に置く
  • 三井住友銀行:ベトナム・フィリピンの銀行へ出資
  • 群馬銀行:ベトナムの銀行と業務提携
  • 千葉銀行:ニューヨーク・ロンドン・香港に支店を開設

都市・地方銀行を問わず海外進出が活発化しており、今後もこの流れが続いていくでしょう。

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