新聞業界

新聞業界とは?今後の動向・将来性や課題、平均年収などを解説

新聞業界とは?

新聞業界とは、その名の通り新聞に関わる業界です。新聞は長い歴史を持つ情報発信メディアであり、テレビやインターネットが普及する以前は紙で発行された新聞から情報を得るのが当たり前でした。

情報提供だけでなく、紙面を通して社会に問題提起をしたり、世間で話題になっている事件について取材・情報発信をしたりするなどの役割も担います。

2021〜2022年における市場規模・成長率・利益率は以下のとおりです。

業界市場規模

1.4兆円

成長率

-7.1%

利益率

4.0%

出典:業界動向SEARCH.COM「新聞業界

紙媒体の新聞発行数がここ数年減少の一途を辿っていることから、業界の成長率はマイナスです。ただし、インターネットで読めるニュースの多くは新聞社から情報が提供されているため、業界自体がなくなることはないでしょう。

新聞社の事業内容

新聞業界の主な収益源は、新聞の販売で得られる販売収益と新聞に掲載する広告から得られる広告収益の2つです。同じメディアでもテレビと異なり、販売と広告の2つの収益源を持っているのは新聞業界ならではの強みと言えるでしょう。

また、新聞業界の事業内容は新聞の発行・販売だけではありません。新聞社では以下に挙げる事業も手掛けています。

  • 雑誌・書籍の発行
  • デジタルメディア運営
  • 文化・スポーツイベントの企画運営

新聞の分類

新聞は発行エリアやその内容によって、以下のように分類できます。

分類

概要

該当する新聞社

全国紙

全国で発行されている新聞。報道内容は全国をカバーしており、世論に大きな影響を与えられることもある。

・朝日新聞

・読売新聞

・毎日新聞

・産経新聞

・日本経済新聞 など

地方紙

特定のエリアや都道府県限定で発行されている新聞。発行エリアは狭いが、地域に密着した内容を取り扱っているため、各エリアでの高いシェアを誇る。

・中日新聞社

・北海道新聞社

・神戸新聞社

・西日本新聞社

・中国新聞社 など

新聞業界の代表的な企業

新聞業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。

企業名

売上高

日本経済新聞社

3,584億円(※1)

朝日新聞社

2,724億円(※2)

読売グループ本社

2,562億円(※3)

毎日新聞グループHD

1,304億円(※4)

中日新聞社

1,076億円(※5)

産業経済新聞社

783億円(※6)

北海道新聞社

403億円(※7)

神戸新聞社

380億円(※8)

西日本新聞社

335億円(※9)

中国新聞社

194億円(※10)

※1 出典:株式会社日本経済新聞社「2022年度有価証券報告書
※2 出典:株式会社朝日新聞社「2021年度有価証券報告書
※3 出典:株式会社読売新聞グループ本社「会社概要(マイナビ2024)」(※2021年度読売新聞基幹7社売上高)
※4 出典:業界動向SEARCH.COM「新聞業界
※5 出典:株式会社中日新聞社「会社概要」(※2022年3月)
※6 出典:株式会社産業経済新聞社「2022年3月期 決算短信
※7 出典:株式会社北海道新聞社「数字で見る道新」(※2022年3月期)
※8 出典:株式会社神戸新聞社「神戸新聞社 : 業績・財務 : 日経会社情報DIGITAL」(※2022年11月期)
※9 出典:株式会社西日本新聞社「西日本新聞社 : 業績・財務 : 日経会社情報DIGITAL」(※2022年3月期)
※10 出典:新聞株式会社「会社概要」(※2021年12月期)

売上高1位は日本経済新聞社です。日本経済新聞社は新聞業界の中ではデジタル化に最も成功しており、ここ数年購読者を伸ばしていることが売上高増にも繋がっているようです。

上位4社は全国紙、5位以下は地方紙となっています。売上高1,000億円を切る地方紙が多い中、東海地方を中心に発行されている中日新聞が健闘しています。

新聞業界の職種別の仕事内容

新聞業界の職種には、以下のようなものがあります。

  • 記者
  • 編集者
  • 校閲
  • 広告
  • 販売
  • 事業・ビジネス部門

記者

記者は新聞に掲載する記事を執筆するのが仕事です。記事を書くだけでなく、記事に載せる事柄についての取材も行います。

新聞に載せる記事の内容は政治・経済・社会・科学技術・文化・スポーツ・生活情報など多岐にわたります。記者は高い取材力と読者に情報を分かりやすく伝えるための文章力を備えていなければなりません。

事件が起きれば昼夜問わず現地へ行って取材・報道をしなくてはならないため、機動力と体力が欠かせないハードな仕事とも言えます。

編集者

編集者は、紙面の編集・レイアウトをする仕事です。記者が作った記事をどのページにどれくらいのスペースを使って、どのような見出しで配置するかを決めます。

記者をサポートし、見やすく分かりやすい紙面を作り上げるための作業を担うのが編集者です。

校閲

校閲は、誤字・脱字のチェックや事実関係に間違いがないかといったファクトチェック、表現が適切であるかの確認などをする仕事です。

校閲は読者に正しい情報を届けるために不可欠な職種と言えるでしょう。校閲の業務には語彙力はもちろん、さまざまな分野や事象に関する深い知識が求められます。

広告

広告は、新聞の重要な収益源である広告掲載の提案や募集を行う仕事です。

一般企業のほか、官公庁・団体・公的機関も新聞社のクライアント(広告主)です。広告の仕事では、広告代理店と連携してクライアントへ広告提案を行うこともあります。

販売

販売は新聞の購読数の増加・維持が仕事です。主に、読者の獲得に向けた宣伝・イベントといった販促プロモーションを行います。

各地域販売店の支援やコンサルティングを行ったり、エリアの販売網強化・戦略立案といった責任の大きい仕事を任される場面が多いでしょう。

事業・ビジネス部門

事業・ビジネス部門は、新聞社の事業の一つである文化・スポーツイベントの企画運営を行います。絵画の展覧会や舞台公演、コンサートの開催、または高校野球や駅伝といったスポーツイベントの運営も新聞社の事業・ビジネス部門が担っています。

新聞業界の年収

新聞業界の年収

新聞業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

新聞業界

933万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:業界動向SEARCH.COM「新聞業界
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

新聞業界の平均年収933万円は、全業界の平均年収の2倍以上です。購読者数の落ち込みから新聞需要は縮小しているとは言え、それでもまだ高い収入を得られる業界と言えます。

ただし、長期的に見ると今後の業界動向によって年収が変動する可能性は大いにあるでしょう。

新聞業界の現状の課題

新聞業界の現状の課題として、購読者数の減少が挙げられます。

日本では毎日決まった時間に各家へ新聞が届けられる「戸別配達制度」が浸透しており、定期購読者がこれまでの新聞業界を支えていたと言っても過言ではありません。

しかし近年は、ネットを通じて手軽にニュースを読めるようになったため、紙の新聞の読者は年々減少しています。

以下は年度ごとの新聞の発行部数の推移です。

部数

2000年

5,370万部

2010年

4,932万部

2020年

3,509万部

2022年

3,084万部

出典:一般社団法人日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移

全国紙・地方紙・スポーツ誌に限らず新聞の発行部数は減少し、それに伴って売上高の減少も加速しています。「新聞離れ」が進む中、購読者をどう維持していくか、新たな購読者にどうアプローチしていくかが業界全体の今後の課題と言えるでしょう。

新聞業界の今後の動向・将来性

新聞業界の今後の動向として、デジタル展開の進展・ネットメディアとの連携が挙げられます。新聞の購読者数は減っていますが、正確な情報・良質なメディアを求める読者が多いことは今も昔も変わりません。

現状、デジタル化に苦戦する新聞社が多い中、日経新聞社は紙媒体に先駆けてデジタルコンテンツで重要なニュースを発信する「デジタルファースト」の戦略で購読者数を伸ばしています。

記事へのアクセス状況・顧客データの可視化により、コンテンツ強化・デジタルサービスの充実を図り、紙の新聞ではアプローチできていなかった読者層の取り込みに成功しました。

情報収集をスマホ経由で行うネットニュース利用者は多いため、新聞各社ではネットメディアやニュースアプリへの進出を積極的に進めています。

<各社のデジタル施策>

新聞社

デジタル展開施策

日本経済新聞社

紙面に先駆けてニュースをデジタル配信する「デジタルファースト」の戦略を展開

朝日新聞社

ニュースサイト「朝日新聞デジタル」を運営

読売グループ本社

インターネット情報サイト「発言小町(女性向け掲示板)」「ヨミドクター(医療・介護・健康情報提供サイト)」「防災ニッポン(防災メディア)」などを運営

 

実は就職する業界・会社選びよりも、重要なのは職業選び 自分の強み・特徴を活かした職業に就職をしない人は、早い段階で退職しているケースが多いです。単純にこの業界、この会社が好きとかではなく、自分の強み・特徴を活かした職業選択をするために適職診断をぜひご活用ください。

P−CHAN就活エージェント無料就職相談センターまずはお気軽にご相談ください!