教育業界

教育業界とは?仕事内容や年収、現状の課題から今後の動向・将来性まで解説

教育業界とは?

教育業界とは、子供から大人まで幅広い層に「学びの場」を提供する業界です。教育業界が提供するサービスは大きく2種類に分けられ、国が提供する義務教育と民間企業が提供する教育支援サービスがあります。

国が提供する義務教育は、日本人であれば誰でも受ける権利があり、小学校から中学校までの9年間が該当します。文部科学省が定めた学習指導要領に従って授業を行うため、全国どの学校でも原則として同じ授業内容です。

一方、民間企業が提供する教育支援サービスは、義務教育の延長上にあるものです。

教育支援サービスでは、義務教育の理解をさらに深めるほか、高校・大学への進学サポートをしたり、仕事上で役立つ資格や教養などを身に付けたりできます。授業内容は企業の方針や学ぶ目的によって大きく異なるのが特徴です。

民間企業が提供する教育支援サービスには、学習塾から予備校、通信教育、語学・資格スクールまでさまざまな種類があります。

教育業界における2021年の市場規模や成長率・利益率は以下の通りです。

業界市場規模

1.0兆円

成長率

3.2%

利益率

2.2%

出典:業界動向SEARCH.COM「教育業界

業界市場規模が1.0兆億円を超えている点は、少子化やコロナ禍といった事情がある中でよく健闘していると言えます。

教育業界の代表的な企業と売上高ランキング

ここからは教育業界の代表的な企業について、売上高が多い順に確認していきましょう。

順位

業界名

売上高

1位

株式会社ベネッセホールディングス

4,319億円(※1)

2位

株式会社学研ホールディングス

1,502億円(※2)

3位

ヒューマンホールディングス株式会社

862億円(※3)

4位

株式会社ナガセ

494億円(※4)

5位

JPホールディングス

343億円(※5)

6位

リソー教育グループ

300億円(※6)

7位

株式会社早稲田アカデミー

285億円(※7)

8位

株式会社スプリックス

259億円(※8)

9位

株式会社京進

236億円(※9)

10位

株式会社東京個別指導学院

224億円(※10)

※1 出典:株式会社ベネッセホールディングス「有価証券報告書
※2 出典:株式会社学研ホールディングス「有価証券報告書
※3 出典:ヒューマンホールディングス株式会社「有価証券報告書
※4 出典:株式会社ナガセ「有価証券報告書
※5 出典:JPホールディングス「有価証券報告書
※6 出典:リソー教育グループ「有価証券報告書
※7 出典:株式会社早稲田アカデミー「有価証券報告書
※8 出典:株式会社スプリックス「有価証券報告書
※9 出典:株式会社京進「有価証券報告書
※10 出典:株式会社東京個別指導学院「有価証券報告書

日本の教育業界においてトップの売上高を誇るのは、株式会社ベネッセホールディングスです。4,319億円の売上高は上位10社のうち48.9%にあたり、教育業界のおよそ過半数のシェアを占めています。

株式会社ベネッセホールディングスが販売する商材としては、0〜6歳児向け教材「こどもちゃれんじ」や小中高向けの通信講座「進研ゼミ」が有名です。

そして2位に続くのは、売上高1,502億円の株式会社学研ホールディングスです。学研ホールディングスは「学研プラス」をはじめとする出版事業に加え、小学生〜高校生向けの進学塾も手がけています。

売上高3位は、ヒューマンホールディングス株式会社です。上位10社のうち9.8%のシェアを占め、学童保育から社会人向けのカルチャースクールまで幅広い年齢層に向けて教育サービスを提供しています。

教育業界の職種別の仕事内容

子どもから大人まで幅広い層に「学びの場」を提供する教育業界には、さまざまな職種があります。教育業界における代表的な職種は以下の通りです。

  • 学校教員
  • 塾・予備校講師
  • 学校職員
  • スクールマネージャー
  • 広報
  • 営業
  • 教材・講座の企画開発

1つずつ順番に解説していきます。

学校教員

学校教員は、教育業界において最も身近でイメージしやすい職種でしょう。学校教員には小学校・中学校・高等学校などの種類があり、それぞれ教える内容が異なります。

小中学校の学校教員は義務教育に関する幅広い内容を教えます。勉強に加え、生活態度や協調性を育むことも学校教員の役割です。

高等学校の学校教員は、義務教育よりもさらに高度で専門的な内容を教えます。高等学校の学校教員は専門とする1科目を受け持ち、クラブ活動や学校行事、進路指導にも関わります。

学校教員になるには、まず大学などで教育課程を履修し、「教員免許状」を取得することが必要です。

公立の学校教員になる場合、さらに各地方自治体が実施する「教員採用試験」の合格が求められます。私立の学校教員になる場合にも、「教員免許状」を取得した後、各私立学校の採用選考に合格する必要があります。

学校職員

学校職員とは、小中学校や高校・大学などの教育機関において、生徒への教育指導以外に必要となるさまざまな事務作業や管理業務に携わる仕事です。

具体的な仕事内容として、教材の発注や学校施設の管理のほか、教員の給料や経費の計算などが挙げられます。職場によっては、学校をPRする広報的な活動や保護者からの相談窓口を担当することもあります。

学校職員になる主なルートは、公立学校・私立学校・国立大学の3種類です。

例えば、公立学校の学校職員になるには、各自治体が実施する地方公務員採用試験への合格が必要です。一方、私立学校の学校職員になる場合、地方公務員試験はないものの、各学校の採用試験に受からなければなりません。

そして国立大学の学校職員になる場合も、国立大学法人等が実施する国立大学法人等職員採用試験に合格する必要があります。

塾・予備校講師

塾・予備校講師は、塾や予備校など民間の教育支援企業において、授業の補足や受験対策などさまざまな学習サポートを行うのが仕事です。具体的には学校授業の予習・復習を通して定期テストの準備をしたり、試験本番に備えて問題を解くテクニックを伝授したりします。

塾・予備校講師になるのに特別な資格は求められないものの、教える教科への深い専門知識やわかりやすく伝えるコミュニケーション能力が求められます。

スクールマネージャー

スクールマネージャーは、塾や予備校、語学スクールなど民間の教育支援企業において、生徒を教える以外に必要となるさまざまな事務作業や管理業務に携わる仕事です。

具体的には、授業を担当する講師の採用活動やシフト管理、教材や備品の発注、保護者対応などがあり、業務内容が多岐にわたるのが特徴です。

スクールマネージャーになるために特別な資格は必要ないものの、講師や保護者などさまざまな人と関わる仕事のため、リーダーシップやコミュニケーション能力が求められます。

広報

広報とは、自社が提供する教育サービスの宣伝をする仕事です。

少子化によって教育業界の生徒獲得競争は厳しさを増しており、自社の魅力をいかにわかりやすく伝えるかが問われる時代に突入しています。広報の主な業務には、HPによる情報発信やDM発送、イベントの実施などがあります。

営業

営業とは、学校などの教育機関や学習塾、一般企業などに対して教材や研修サービスなどを提案する仕事のことを言います。広報と異なるのは、サービスを提案する対象が個人ではなく、法人や組織であることです。

学校などの教育機関や学習塾では、IT化の流れによりデジタル教材へのニーズが高まっています。また、一般企業では、より効果が期待できる新入社員教育や幹部向け研修のニーズが増えています。

そのため、売れる営業になるには、これらのニーズを的確につかみ顧客が納得できるだけの提案が必要です。

営業に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。

教材や講座の企画・開発

教育業界には、教育や講座を企画・作成する仕事もあります。売れる教材や講座を企画するには、今どんな教育サービスが求められているのか、ニーズを的確に掴まなければなりません。

そのため、仕事にはひらめきやアイデアだけでなく、データに対する分析力も問われます。

教育業界の年収

教育業界の年収

教育業界における平均年収と全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

教育業界

355万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:doda「平均年収ランキング(96業種別の平均年収/生涯賃金)|教育・学校
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

教育業界の平均年収は355万円であり、全業界の平均年収433.1万円と比べると78万円程度低い水準です。しかし、この平均年収はあくまで業界全体における平均金額であり、就職する企業や職種、勤続年数、役職によって年収は大きく変わると言えます。

また、教育業界では同じ学校の教員であっても、公立学校と私立学校では年収の算定ベースが異なります。公立学校の年収は公務員規定がベースですが、私立学校の年収は各学校法人の規定がベースです。

例えば、残業や休日出勤をした場合、公立学校の教員には残業代や休日出勤手当の代わりに、教職調整額(給料の4%)が支給されます。一方、私立の教員は一般企業の扱いになるため、労働基準法に従って残業代や休日出勤手当が支払われます。

教育業界の現状の課題

教育業界が抱える現状の課題として、以下の2つが挙げられます。

  • 少子化による将来的な市場縮小への懸念
  • 首都圏と地方における経営格差の拡大

少子化による将来的な市場縮小への懸念

教育業界を語るうえで避けて通れないのが、少子化による将来的な市場縮小への懸念です。

義務教育期間にあたる15歳未満人口は、少子化によって年々減少の一途をたどっており、学習塾や進学塾など子ども向けサービスを展開する企業に影響を与えています。総務省統計局の「年齢3区分別人口の割合の推移」によると、15歳未満の人口と割合は以下の通りです。

年代

15歳未満の人口

全体に占める割合

1950年

2,943万人(↓)

35.4%

1960年

2,807万人(↓)

30.0%

1970年

2,482万人(↓)

23.9%

1980年

2,752万人(↑)

23.5%

1990年

2,254万人(↓)

18.2%

2000年

1,851万人(↓)

14.6%

2010年

1,684万人(↓)

13.1%

2020年

1,512万人(↓)

12.0%

2021年

1,493万人(↓)

11.9%

2021年時点における15歳未満の人口割合は11.9%であり、第1次ベビーブームを迎えた1947〜1949年の35.4%と比べると、割合・絶対数ともに落ち込んでいることがわかります。

このような背景から、15歳未満の子どもだけに限定したサービスを展開している限り、将来的な市場縮小は避けられないでしょう。

都市部と地方における経営格差の拡大

教育業界における2つ目の課題は、都市部と地方における経営格差の拡大です。少子化の影響は、地域間の経営格差の拡大として教育業界に影響を及ぼしています。

国内のうち比較的少子化の影響が少ないのは、都市部です。その理由は、都市部は相対的に子どもの数が多く、教育に力を入れている子ども・保護者も見られるからです。

そのため、都市部では学習塾をはじめとする教育支援サービスを積極的に活用する世帯が多く、都市部における教育系企業の業績拡大に貢献しています。

一方、比較的子どもの数が少ない地方は、進学対象となる高校や大学が定員割れの状態が継続中です。そのため、子どもの数よりも学校の数が多い「学校過多」の状況にあり、子どもや保護者の学習意欲の低下が地方の教育支援企業の業績に影響を及ぼしています。

教育業界の今後の動向・将来性

少子化をはじめとする課題に直面している教育業界ですが、新たな活路を見出すべく、以下の取り組みが始まっています。

  • 合併や提携による生徒の囲い込みが活発化
  • オンラインを活用したリモート型サービスの増加
  • きめ細かいフォローができる「個別指導塾」の台頭
  • 小学校必修化に伴うプログラミング教育への参入
  • リカレント教育のニーズ拡大

ここからは教育業界の今後の動向や将来性について解説します。

合併や提携による生徒の囲い込みが活発化

少子化によって子どもの絶対数が減少する中、少しでも多くの生徒を囲い込むために活発化しているのが、学習塾や予備校の合併・吸収です。

具体例として挙げられるのは、大学生向けの予備校が小中学校向けの学習塾を買収するケースです。この買収には、対象年齢を広げ、長期間にわたって自社の教育サービスを利用してもらおうとする狙いがあります。

一方、ターゲットエリアを拡大するために行うのが、地域密着企業の買収です。例えば、関東の企業が関西の企業を買収した場合、関東から関西にかけて幅広い商圏を確保できるだけでなく、経営の効率化にもつながります。

今後は同じ教育業界だけでなく、IT業界など他の業界との再編も進んでいくと考えられています。

オンラインを活用したリモート型サービスの増加

2020年に起きたコロナウイルス感染拡大は、学校だけでなく学習塾や予備校にも影響を与えました。その結果、対面授業だけに頼らず、オンラインを活用したリモート型サービスを導入する企業が増加しています。

タブレット端末を使用したリモート型サービスは、生徒一人ひとりの理解に合わせてリアルタイムでやりとりできるのが特徴です。このため、従来の対面授業と比べてよりきめ細やかな教育サービスが提供できるメリットがあります。

今やリモート型サービスの導入は、子ども向けの学習塾や予備校に加え、社会人向けの資格スクールや企業向け研修においても拡大しています。

矢野経済研究所の「2021年度教育産業全体の市場規模」によると、学習塾や予備校・通信教育をはじめとする売上高は前年比で5.0%の増加傾向を見せており、コロナ禍においても教育産業が健闘していることが伺えます。

きめ細かいフォローができる「個別指導塾」の台頭

少子化による影響は、塾の指導方針にも影響を与えました。2018年から目立つようになったのが、小人数を対象に授業を提供する個別指導塾です。

個別指導塾が伸びてきた背景には、少子化によって子ども一人にかけられる教育費を増やせるようになったことが考えられます。個別指導塾は集団指導塾より費用が高いものの、理解力に合わせたきめ細かなフォローができるのがメリットです。

「費用は高くても質の高い教育を子どもに受けさせたい」という時代の流れが、個別指導塾の台頭を促していると言えます。

小学校必修化に伴うプログラミング教育への参入

文部科学省による学習指導要領の改定により、2020年から小学校でプログラミング教育が必修となりました。2021年には中学校において、2022年には高等学校でもプログラミングが必修化されています。

この影響を受けて広がっているのが、民間の教育支援企業のプログラミング教育参入への動きです。プログラミングは今や教養の1つとして大きな関心を集めており、今後さらにプログラミング教育市場が広がっていくことが予想されています。

リカレント教育のニーズ拡大

ITによる技術革新の広まりや雇用の流動化を背景に、仕事に役立つスキルを実践的に学べるリカレント教育のニーズが高まっています。

リカレントとは「社会人になってから学びなおすこと」を意味し、学生を卒業してから知識やスキルを追加でつけていくことが目的です。現在は国もリカレント教育を推奨しており、教育訓練給付金など支援に力を入れています。

今後は時代に合った人材育成に向けて、ますますリカレント教育に参入する企業が増えていくことが予想されます。

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