住宅業界

住宅業界とは?仕事内容や年収は?現状の課題や今後の動向や将来性も解説

住宅業界とは?

住宅業界とは、個人向けの一戸建て住宅を扱う業界です。住宅の設計、施工から販売までを手掛けます。

身近な具体例として、住宅展示場や分譲住宅の内覧会を取り仕切る企業が挙げられます。なお本記事では、個人向け住宅を扱うハウスメーカーを「住宅業界」と定義して取り上げました。

2021年における住宅業界の市場規模や成長率等は、以下の通りです。

業界市場規模

14.9兆円

成長率

4.8%

利益率

3.2%

出典:業界動向SEARCH.COM「住宅業界

住宅は一棟あたりの取引額が高単価であるため、業界の市場規模も巨大です。

住宅業界に属する企業の種類

住宅業界の中でも、企業によって担当する工程や得意分野はさまざまです。ここでは、住宅業界における企業の種類を紹介します。

ハウスメーカー

ハウスメーカーとは、統一された規格で大量に住宅を建設する企業です。大手企業が多く、全国規模で展開している点が特徴です。

多くのハウスメーカーは自社工場を持っており、柱や外壁などをまとめて生産しています。そのため一定の品質で、安くスピーディーに住宅を建てられます。施工だけでなく、融資や長期的なメンテナンスまで、幅広いサービスを展開している点も特徴です。

パワービルダー

パワービルダーもハウスメーカー同様に、統一された規格で大量の住宅を施工します。ただし、全国規模で展開するハウスメーカーとは異なり、特定エリアに集中して進出している点が特徴です。

また、パワービルダーはハウスメーカーよりも規模が小さいため、自社工場を持っていない場合もあります。全国的な知名度はないものの、地域密着型の戦略でシェアを伸ばしています。

工務店

工務店とは、住宅の施工を行う企業です。住宅の設計から施工、リフォームまで幅広い工事に対応できます。また、工事計画の管理や協力会社との調整など、工事全般を担当します。

一般的にはハウスメーカーよりも小規模で、特定エリアに根ざしている点が特徴です。

設計事務所

設計事務所は、図面や工事計画の作成を専門に行う企業です。設計に特化しているため、施工部門を持ちません。

設計のほかにも、図面通りに施工されているかを確認する工事監理や、公官庁への申請業務を担当します。

住宅業界の代表的な企業

住宅業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。

企業名

売上高

大和ハウス工業株式会社

44,395億円(※1)

積水ハウス株式会社

25,895億円(※2)

住友林業株式会社

13,859億円(※3)

積水化学工業株式会社

11,579億円(※4)

旭化成ホームズ株式会社

7,865億円(※5)

ミサワホーム株式会社

3,981億円(※6)

パナソニック ホームズ株式会社

2,467億円(※7)

タマホーム株式会社

2,407億円(※8)

三井ホーム株式会社

1,572億円(※9)

トヨタホーム株式会社

739億円(※10)

※1 出典:大和ハウス工業株式会社「業績ハイライト
※2 出典:積水ハウス株式会社「決算ハイライト
※3 出典:住友林業株式会社「業績・財務情報
※4 出典:積水化学工業株式会社「投資家向け企業概要
※5 出典:旭化成ホームズ株式会社「業績推移
※6 出典:ミサワホーム株式会社「2022年3月期連結決算資料
※7 出典:パナソニック ホームズ株式会社「第65期(2022年3月期) 決算公告
※8 出典:タマホーム株式会社「有価証券報告書-第24期
※9 出典:三井ホーム株式会社「貸借対照表・損益計算書
※10 出典:トヨタホーム株式会社「決算公告

全国規模で展開する、大手のハウスメーカーが上位を占めます。個人住宅は取引価格が高単価であり、売上高も高い水準を誇っています。

住宅業界が扱う住宅の種類

個人向けの戸建て住宅は、注文住宅と分譲住宅の2種類に大別できます。住宅の種類によって、営業方法や販売までの流れは異なります。

注文住宅

注文住宅とは、ユーザーの意見を反映して一軒ずつ設計された住宅です。分譲住宅よりも価格は高いものの、顧客のニーズに沿った住宅を建設できます。

注文住宅では、以下の2つの選択肢があります。

  • フルオーダー住宅
  • セミオーダー住宅

フルオーダー住宅は、ユーザーのために一から設計される住宅です。工期も費用もかかる半面、オリジナルの住宅を建てられます。

一方でセミオーダー住宅の場合、用意されたパターンを組み合わせて価格を抑え、スピーディーに住宅を建てます。

分譲住宅

分譲住宅とは、ひとつの広大な土地に複数建てられた住宅を指します。同じ規格の住宅を大量に建設するため、費用と工期を抑えられます。

分譲住宅はユーザーの好みを反映しにくい一方で、注文住宅よりも安い点が魅力です。

住宅業界の職種別の仕事内容

一般的な工業製品と異なり、住宅の場合は土地の特徴やユーザーの意向が反映されます。そのため、一棟ごとに異なる条件を考慮して施工しなければなりません。住宅業界ではこのような特有の事情に対応できるように、さまざまな部署や仕事があります。

営業の場合

営業はハウスメーカーの販売窓口として、顧客に対してセールスを行う仕事です。住宅展示場や建売住宅での内覧会で接客をして、自社の住宅をアピールします。

また注文住宅の場合は、顧客のニーズを汲み取り社内に展開する役割を担います。住宅の販売だけでなく、住宅ローンの相談や補助金の申請手続きといった顧客対応も営業の仕事です。

営業職に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。

研究開発の場合

ハウスメーカーには、研究開発の部門があります。時代に合わせた住宅を建てるために、コンセプトに沿って新製品の設計やモデル棟の建設を行います。そのうえで、構造や工法の研究、性能試験をするのが、研究開発の仕事です。

設計の場合

設計は、実際の施工現場に適合するように図面作成やシミュレーションを行う仕事です。顧客のニーズや建設現場の特徴を反映させて、図面に落とし込む役割を担います。

図面作成のほかにも、法規制の確認や建築許可を得るための申請業務を担当します。

施工の場合

施工とは、実際に住宅を建てる仕事です。工程表の作成から工務店との調整まで、住宅を建設する上での作業を一手に担います。

住宅の建設にあたっては、数多くの業者からの協力が欠かせません。それら何社もの業者をまとめ上げ、安全を担保しつつ工事の完了までリードします。

住宅業界の年収や給料

住宅業界の年収

住宅業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較します。

業界

平均年収

住宅・建材・エクステリア

740万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1出典:マイナビ転職「2022年版 業種別モデル年収平均ランキング
※2出典:国税庁「民間給与実態統計調査

住宅業界は巨大資本の企業が多く、高い年収額を実現しています。またコロナ禍の影響により、戸建て住宅のニーズが増加しました。このため、住宅業界の年収額にも良い影響が出ています。

住宅業界の現状の課題

日本市場における少子高齢化に加えて、物流網の混乱や原材料の高騰など、住宅業界には課題が多数存在します。

日本市場の縮小

少子高齢化や人口減少により、日本国内の市場は伸び悩んでいます。また、郊外では空き家が増えるなど、新築住宅の需要が見通せない状況です。

そのような中で住宅業界は、高付加価値の住宅や高齢者向け集合アパートの開発など、時代に即したビジネスモデルへの転換を図っています。

原材料価格の高騰

住宅業界において、原材料価格の高騰は深刻です。木材や鋼材の値段高騰に伴って、住宅価格も上昇が続いています。加えて昨今では、新型コロナウイルスや紛争の影響が加わり、建材や住宅設備が手に入らない事例も多発するようになりました。

長期間に渡って原材料の安定供給ができない状態であり、今後もすぐには解消されない見込みです。住宅の完成が遅れ顧客に引き渡しができない事態にも発展しており、深刻な問題になっています。

住宅業界の今後の動向・将来性

空き家の増加や省エネといった社会課題を解決すべく、住宅業界では新たな取り組みに力を入れています。

リノベーション分野への注力

空き家の増加や住宅の老朽化によって、リノベーションの需要が高まっています。

リフォームでは、住宅を老朽化した状態から新築の状態に復旧するのに対し、リノベーションでは新築時にはなかった機能性やデザインを付け加えます。

これまでは新築にこだわるユーザーが多かったものの、徐々にリノベーション住宅に関心を持つ人が増えてきました。

このような変化を受けて工務店だけでなく、大手のハウスメーカーもリノベーション分野に力を入れるようになりました。今では新たな住宅のジャンルとして、リノベーション住宅が確立されるまでになっています。

スマートハウスの開発

さまざまな住宅メーカーで、スマートハウスやHEMS(ヘムス)へ対応した住宅の開発・販売が進んでいます。

HEMSとは、「Home Energy Management System(ホームエネルギー マネジメントシステム)」の略称で、太陽光パネルや蓄電池などを組み合わせたエネルギー効率の良い住宅を指します。さらにHEMSとIT技術を組み合わせた住宅が「スマートハウス」です。

スマートハウスやHEMSは、災害対策や環境問題への関心の高まりから需要が増えています。今後の住宅業界における、新たなビジネスモデルにもなり得るでしょう。

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