プラント業界

プラント業界とは?仕事内容や年収、現状の課題から今後の動向・将来性まで解説

プラント業界とは

プラント業界とは、工場設備や生産設備などのいわゆる「プラント」の設計・建設・管理に携わる業界です。ひとえにプラントと言っても、石油やガス、発電などさまざまな種類があります。いずれも、案件の規模が大きいという特徴があります。

2021〜2022年の市場規模や成長率等は以下の通りです。

業界市場規模

1.9兆円

成長率

−3.2%

利益率

3.1%

出典:業界動向SEARCH.COM「プラント業界

成長率はマイナスとなっているものの、非常に大きな市場規模を誇る業界と言えます。

プラント業界に属する企業の種類

プラント業界に属する企業は、下記5つの種類に分けられます。それぞれの役割や業務内容について詳しく見ていきましょう。

  • EPC
  • サブコン
  • 工事会社
  • 商社
  • プラントメーカー

EPC

EPCとは、プラントの建設工事をすべて一括で行う企業のことで、いわゆる元請企業です。企業や官公庁などから依頼を受け、プラントを建設します。

なお、EPCという呼称は下記の単語の頭文字に由来します。

  • 設計(Engineering)
  • 調達(Procurement)
  • 建設(Construction)

サブコン

サブコンとは、空調や排水設備など、プラントの一部の設計や施行を請け負う企業です。EPCなどからの依頼を受けて業務を行います。

サブコンがさらに下請け企業に外注することもあり、施工管理などの業務を行うこともあるでしょう。また、建設ではなくメンテナンスであれば、元請として設計・施工まで一括で行うこともあります。

工事会社

工事会社は、EPCやサブコンからの依頼をもとに、図面をもとに実際に工事を行います。ひとえに工事と言っても、土木や建築、電気などさまざまな種類があります。それぞれの工事で必要な資格が異なるため、分野ごとに専門会社が存在するのも特徴です。

商社

商社は、建設するプラントに導入する機器の選定などを行います。商社の中には、プラント関連に特化した企業も多いです。機器選定の相談や納期調整などを行い、プラント建設を円滑に進めるためのサポートを行います。

プラントメーカー

プラントメーカーとは、プラントの建設に必要なボイラーやタービンなどの機器を製造している企業です。商業施設など多数の取引先を有している企業が多いため、常に業績は安定している傾向にあります。

プラント業界の代表的な企業

プラント業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。

企業名

売上高

日揮ホールディングス株式会社

4,284億円(※1)

千代田化工建設株式会社

3,111億円(※2)

栗田工業株式会社

2,882億円(※3)

東洋エンジニアリング株式会社

2.029億円(※4)

メタウォーター株式会社

1,355億円(※5)

株式会社タクマ

1,340億円(※8)

レイズネクスト株式会社

1,298億円(※6)

太平電業株式会社

1,269億円(※7)

富士古河E&C株式会社

820億円(※9)

明星工業株式会社

483億円(※10)

※1 出典:日揮ホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書
※2 出典:千代田化工建設株式会社「2021年度有価証券報告書
※3 出典:栗田工業株式会社「2021年度有価証券報告書
※4 出典:東洋エンジニアリング株式会社「2021年度有価証券報告書
※5 出典:メタウォーター株式会社「2021年度有価証券報告書
※6 出典:株式会社タクマ「2021年度有価証券報告書
※7 出典:レイズネクスト株式会社「2021年度有価証券報告書
※8 出典:太平電業株式会社「2021年度有価証券報告書
※9 出典:富士古河E&C株式会社「2021年度有価証券報告書
※10 出典:明星工業株式会社「2021年度有価証券報告書

上記に挙げた企業の売上高は1社だけで数百億~数千億あり、事業規模が大きいことがわかります。

売上高首位を誇る日揮ホールディングス株式会社は、幅広いプラントを手掛ける企業です。海外売上高比率7割弱と、海外での事業にも力を入れています。

また、栗田工業株式会社も海外売上高比率が45%あり、プラント業界全体として海外での事業展開が進んでいることがわかります。

プラント業界の職種・仕事内容

プラント業界の職種には、主に下記の6つがあります。それぞれの仕事内容について、詳しく見ていきましょう。

  • 営業
  • 設計
  • 調達
  • 建設
  • 試運転
  • メンテナンス

営業

プラント業界の営業には、自社製品を顧客に提案して導入につなげる役割があります。基本的に、プラント業界の顧客は企業もしくは官公庁であるため、法人営業を主体としています。

適切なタイミングで製品を提案できるように、日ごろからコミュニケーションをとり常に顧客のニーズを把握しておく必要があります。

営業に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。

設計

プラント業界の設計には、「基本設計」と「詳細設計」があります。プラントにはさまざまな機器を膨大な数導入するため、始めから詳細まで設計するのは難しいです。

そのため、まずは基本設計で、顧客の要望をもとにある程度の費用感を算出します。詳細設計では、基本設計をもとに具体的な機器の選定や設置位置などを決定し、図面に落とし込む作業を行います。

調達

プラント建設に必要な機器や材料の選定をしたら、調達を行います。調達では、機器や材料の価格交渉や納期調整などを行います。

建設

設計で作成した図面に沿ってプラントを建設します。安全に配慮しながら納期通りに建設できるよう、作業する業者と連携してプラント建設を進めます。同時期に多くの業者が出入りすることもあるため、搬入ルートの調整や工程管理などが欠かせません。

試運転

無事にプラント建設が完了したら、実際にプラントが設計通りに稼働するかを確認するために試運転を行います。各設備の専門メーカーと一緒に確認し、問題がある場合は原因の特定や再施工、調整を進めます。

メンテナンス

プラント引き渡し後、プラント全体や機器のメンテナンスなどを担当することもあります。試運転時は問題なかったとしても、初期不良や経年劣化などは考えなければいけない要素です。

そのため、メンテナンスを定期的に行い、プラントに不具合がでないようにデータ収集や機器の交換を行います。

プラント業界の年収

プラント業界の年収

プラント業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

プラント業界

751万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:業界動向SEARCH.COM「プラント業界
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

プラント業界の平均年収は、全業界の平均年収と比較すると約300万円高いです。プラント建設には専門的な知識や資格が必要なため、年収が高い傾向にあると考えられます。海外駐在が多いことも、プラント業界の平均年収が高くなっている理由として挙げられます。

プラント業界の現状の課題

プラント業界には、下記のような課題があります。

  • 国内での事業拡大は難しい
  • 海外企業との価格競争が激化

国内での事業拡大は難しい

プラント建設は広い土地を必要とするため、土地の確保が難しい国内での新規プラント建設には限界があります。また、過去の産業発展によって日本でのプラント建設の需要も満たされていることから、新規プラントの建設事業拡大は難しい状況です。

海外企業との価格競争が激化

プラント業界は、海外企業との価格競争が激化しています。特に中国企業は価格競争力を武器に急激な成長を見せており、日本企業にとっては強力な競合相手となっています。

価格だけで海外企業と勝負するのが難しくなってきている現状から、今後は培ってきた品質や安全性を武器に戦っていく必要があるでしょう。

プラント業界の今後の動向・将来性

プラント業界の今度の動向や将来性について、下記2つの視点で解説します。

  • 新規プラントは海外中心に
  • 国内ではメンテナンスのニーズが増加

新規プラントは海外中心に

国内では新規プラントの需要は多くありませんが、海外での需要は未だに多いです。特にアジアや中東では、経済発展に伴う電力プラントの需要増が顕著です。そのため、新規プラント建設事業は、今後海外中心の事業展開となることが予測されています。

国内ではメンテナンスのニーズが増加

国内では新規プラント建設は少ないものの、既存のプラントは数多くあります。プラントが安全に稼働するためにはメンテナンスが欠かせないため、国内ではメンテナンスのニーズが増加するでしょう。また、生産性向上のための増改築なども行われる可能性があります。

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