印刷業界

印刷業界とは?業界の強みや仕事内容、現状の課題や今後の動向も解説

印刷業界とは?

印刷業界とは、書籍やポスターなどあらゆる印刷物を取り扱う産業です。印刷物と一口に言っても、以下のように分類できます。

  • 雑誌や書籍などの出版印刷
  • 包装紙などのパッケージ印刷
  • 名刺や納品書などの事務用印刷
  • チラシやポスターなどの商業印刷
  • 壁材や床材などの建装材印刷

上記を満遍なく取り扱う企業もあれば、どれか一つの分野に特化した企業もあります。

印刷業界の2021年における市場規模や成長率、利益率のデータは以下のとおりです。

業界市場規模

3.6兆円(67位/190業界)

成長率

−0.6%(99位/190業界)

利益率

+1.6%(112位/190業界)

出典:業界動向SEARCH.COM「印刷業界

印刷業界の代表的な企業

印刷業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。

企業名

売上高

凸版印刷

1.47兆円(※1)

大日本印刷

1.34兆円(※2)

トッパン・フォームズ

0.22兆円(※3)

NISSHA

0.18兆円(※4)

共同印刷

0.09兆円(※5)

日本創発グループ

0.05兆円(※6)

朝日印刷

0.04兆円(※7)

共立印刷

0.04兆円(※8)

広済堂ホールディングス

0.03兆円(※9)

竹田印刷

0.03兆円(※10)

※1 出典:凸版印刷株式会社「2021年度有価証券報告書
※2 出典:大日本印刷株式会社「2021年度有価証券報告書
※3 出典:トッパン・フォームズ株式会社「2020年度有価証券報告書
※4 出典:NISSHA株式会社「2021年度有価証券報告書
※5 出典:共同印刷株式会社「2021年度有価証券報告書
※6 出典:株式会社日本創発グループ「2021年度有価証券報告書
※7 出典:朝日印刷株式会社「2021年度有価証券報告書
※8 出典:共立印刷株式会社「2021年度有価証券報告書
※9 出典:株式会社広済堂ホールディングス「2021年度有価証券報告書
※10 出典:竹田印刷株式会社「2021年度有価証券報告書

2020年から2021年にかけての売上高は、凸版印刷と大日本印刷の2社だけで2.8兆円を超えています。この数字は業界全体の約78%を占めるため、両者が印刷業界を牽引していることがわかります。

ただし、売上高だけで企業の良し悪しは判断できません。自分がやりたいことと照らし合わせ、しっかり業界研究や企業研究を行いましょう。

印刷業界の職種・仕事内容

印刷業界の職種・仕事内容には、以下のようなものがあります。

  • 営業
  • 企画・デザイン
  • DTP
  • 印刷
  • 製本

それぞれ詳しく見ていきましょう。

営業

印刷業界の営業は、クライアントに対して印刷物のデザインや価格などを確認するのが仕事です。新規クライアントを開拓することもありますが、既存のクライアントとやり取りするルート営業が多い傾向にあります。

また、一般的な営業と異なり、印刷物の制作スケジュール調整なども営業が担当します。印刷の工程全体に遅れが出ないよう、クライアントと自社を結ぶ役割も担うのが特徴です。

営業職に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。

企画・デザイン

企画・デザインは、クライアントの要望を踏まえ、印刷物のデザイン案を考えるのが仕事です。営業と連携し、クライアントの要望を忠実に反映させる必要があります。

デザイン案の作成に時間がかかり過ぎたり、クライアントの要望をうまく取り込めなかったりすれば、印刷工程全体が遅れてしまいます。そのため、丁寧さに加えスピーディな仕事も求められる仕事です。

DTP

DTP(Desktop publishing)は企画・デザイン部門が考えた案を元に、印刷物のデータを作成する仕事です。専用のソフトを使い、レイアウトやフォントなど細かい調整を行います。

印刷物は細かい部分のクオリティも求められるため、DTPの仕事は印刷物全体のイメージを左右します。そのため、集中力と丁寧さが必要な仕事です。

印刷

印刷部門では、DTPが作成したデータを指定された用紙へ印刷します。印刷仕様の仕上がり確認も求められるため、非常に重要な仕事です。

なお、印刷方法には活版印刷やオフセット印刷など、印刷物の種類によって複数の方法があります。細かい仕事内容は印刷方法によって異なるため、業界研究と合わせて一緒に調べておくと仕事への理解が深まるでしょう。

製本

製本部門では印刷物を断裁し、ページ番号順に揃えます。表紙をつけて糊付けしたら、印刷物の完成です。クライアントに納品する前の最終段階として、ミスがないか入念にチェックする仕事でもあります。

そのため、細かいところまでしっかり確認できる注意力が求められるでしょう。

印刷業界の年収

印刷業界の年収

印刷業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

印刷業界

508万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:業界動向SEARCH.COM「印刷業界
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

全業界の平均に比べ、印刷業界の平均年収は70万円ほど高くなっています。

売上高トップである凸版印刷の「2021年度有価証券報告書」によると、2021年度における凸版印刷の平均年収は700万円でした。つまり売上高が多い企業へ就職できれば、印刷業界の中でも高年収が期待できます。

ただし、年収だけを軸にして就職先を選ぶのは避けましょう。仕事のやりがいや福利厚生など総合的に判断するのが、就活で失敗しないポイントです。

印刷業界の現状の課題

印刷業界における現状の大きな課題は、紙媒体の需要が減少傾向にあることです。インターネットや電子書籍が普及したことに伴い、書籍やチラシなどさまざまなものが紙ではなくデータで利用されるようになってきました。

なお、日本印刷産業連合会が公表した「印刷産業Annually Report Vol.1 2022年」によると、印刷業界全体の売上高は、2020年から2021年にかけて7.3%減少しています。インターネットや通信技術の発展に伴い、今後も印刷業界の売上高減少は続くと予想されます。

また、凸版印刷と大日本印刷の売上高が市場の8割程度を占めることも、印刷業界が抱える課題の一つです。出版社などからの依頼が上位2社に集中するため、その他の企業は打開策を模索している最中です。

印刷業界の今後の動向・将来性

印刷業界の多くの企業は、印刷業だけでなく非印刷業と呼ばれる新たな分野に挑戦しています。例えばDXなどのデジタル分野や、日用品のパッケージ作成などです。

各企業が印刷業以外のサービスや製品開発を進められれば、今後も売上を伸ばしていくことができるでしょう。非印刷業分野の業績を伸ばしていくことが、印刷業界の1つの目標と言えます。

また業界最大手の凸版印刷は、海外事業への進出にも力を入れています。この流れに続き、印刷業界全体がグローバル化の波に乗れれば、将来性は明るいはずです。

実は就職する業界・会社選びよりも、重要なのは職業選び 自分の強み・特徴を活かした職業に就職をしない人は、早い段階で退職しているケースが多いです。単純にこの業界、この会社が好きとかではなく、自分の強み・特徴を活かした職業選択をするために適職診断をぜひご活用ください。

P−CHAN就活エージェント無料就職相談センターまずはお気軽にご相談ください!