金融業界

金融業界とは?仕事の種類や内容、年収などを紹介

金融業界とは?

金融業界とはさまざまな形でお金に携わり、経済を支えている業界です。そもそも金融という言葉は、「資金に余裕のある人から、資金を必要としている人に資金を融通すること」を指します。

金融業界で最も代表的なのは銀行でしょう。銀行は個人や企業からお金を預かるだけでなく、貸付・運用による利益や金融・保険商品の販売による手数料などを収入源としています。

銀行以外にも、以下のようなビジネスを提供する企業は全て金融業界に分類されます。

  • 証券
  • 保険
  • リース
  • クレジット

金融業界の2021年の市場規模や成長率、利益率のデータは以下の通りです。

業界市場規模

60.7兆円(3位/190業界)

成長率

−1.2%(108位/190業界)

利益率

+8.7%(14位/190業界)

出典:業界動向SEARCH.COM「金融業界

金融業界の企業の種類

金融業界の企業には以下のような種類があります。

銀行

銀行は、主に顧客から預かった資金を個人や法人に貸し付け、その利息を収益としています。

種類としては巨額の資産を持ち大企業に多額の融資をするメガバンク、地域の中小企業を対象に融資を行う地方銀行など、ターゲットや規模によってさらに細かく分類されます。

証券会社

証券会社は、株式・債権・投資信託などの金融商品の売買仲介を行います。仲介による手数料が収益の柱です。

また、顧客に対し投資に関するアドバイスを行うことも業務の一つです。

生命保険会社

生命保険会社は、保険加入者が事故や怪我、病気に見舞われたときに、保険加入者から集めた保険料の中から保険金を支払うのが主な業務です。

また生命保険会社は保険料を収益とするだけでなく、それを資金として株や債券などの運用も行っています。

損害保険会社

損害保険会社は自動車事故や火災、自然災害など、暮らしの中で起こりうる事故に備えるための保険を販売しています。保険の種類は海上保険や自動車保険、地震・火災・盗難保険などさまざまです。

生命保険会社と同じく保険料が主な収益源で、資金の運用なども行います。

クレジットカード会社

クレジットカード会社はクレジット(信用)を担保に、現金の代わりにカードで支払いができるサービスを提供しています。

カードの利用者からは年会費や分割・リボ払い手数料を、加盟店からは加盟店手数料を得るのが、クレジットカード会社のビジネスモデルです。

信販会社

信販会社は、利用者が購入した商品やサービスの代金を建て替え、後から利用者へ代金を請求するショッピングクレジットなどを行っています。

仕事内容はクレジットカード会社と似ていますが、信販会社は融資ローンや企業向けの保険など幅広い業務に携わっています。

リース会社

リース会社は、顧客に対して機械や設備などを、半年から10年など長期間にわたって貸し出すサービスを行っています。先に自社で機械や設備などを購入し、顧客からはリース料を徴収します。

政府系金融機関

政府系金融機関は、国内の経済発展や中小企業の活動支援を担うため政府によって設立された金融機関です。主に民間では対応困難な融資や投資を行っています。

政府系金融機関には、日本銀行・日本政策投資銀行・住宅金融支援機構などがあります。

資産運用会社

資産運用会社はアセットマネジメントとも呼ばれ、個人投資家や機関投資家の持つ資産を管理・運用しています。

主に投資などの資産運用を代行する「投資信託」と、投資に関する助言を行う「投資顧問」の2つのサービスで成り立っています。

外資系投資銀行

外資系投資銀行は、法人向けに証券業務を行う銀行で、日本では証券会社が同様の業務を行っています。

日本の証券会社と異なる点は、顧客が一般企業または機関投資家である点です。顧客に対する資金調達やM&Aのアドバイス、金融商品の売買などが主な業務です。

金融業界の代表的な企業

金融業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。

企業名

経常収益(売上高)

三菱UFJFG

6.1兆円(※1)

第一生命HD

5.2兆円(※2)

三井住友FG

4.1兆円(※3)

みずほFG

3.9兆円(※4)

東京海上HD

3.8兆円(※5)

MS&ADインシュアランスGH

3.6兆円(※6)

SOMPOホールディングス

3.2兆円(※7)

オリックス

2.5兆円(※8)

かんぽ生命保険

2.4兆円(※9)

ソニーフィナンシャルHD

2.2兆円(※10)

※1 出典:株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ「2021年度有価証券報告書
※2 出典:第一生命ホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書
※3 出典:株式会社三井住友フィナンシャルグループ「2021年度有価証券報告書
※4 出典:株式会社みずほフィナンシャルグループ「2021年度有価証券報告書
5 出典:東京海上ホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書
※6 出典:MS&ADインシュアランスグループホールディングス「2021年度有価証券報告書
※7 出典:SOMPOホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書
※8 出典:オリックス株式会社「2021年度有価証券報告書
※9 出典:株式会社かんぽ生命保険「2021年度有価証券報告書
※10 出典:ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書

売上高業界1位の三菱UFJフィナンシャルグループは、金融業界ではシェア9.9%です。

三菱UFJフィナンシャルグループは、銀行だけではなく、証券・クレジットカード・消費者金融・資産運用会社といったさまざまな金融会社を擁しています。三井住友・みずほと合わせて「国内3メガバンク」に数えられています。

金融業界の業種別規模では、銀行・生命保険の2業界が突出しており、売上高の上位10位までをメガバンクと生命保険会社が占めています。

金融業界の職種別の仕事内容

金融業界の仕事内容には、以下のようなものがあります。

  • 営業
  • バックオフィス
  • 専門職

営業

他の業界と同様、営業は金融業界にとっても重要な職種です。

金融業界の営業は、リテール(個人・小規模顧客向け)とホールセール(大企業・自治体など法人)の2つに分けられます。

  • リテール:個人に対して資産運用アドバイスや金融商品の販売を行う
  • ホールセール:法人の資金調達や運用、経営に対する助言を行う

どちらも金融に関する専門知識や提案力が求められる仕事です。

また金融業界の営業は、ノルマが課せられるケースが多いです。業務はハードですが成績次第でインセンティブが得られ、さらなる高収入を目指せるメリットがあります。

営業職に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。

専門職

金融業の専門職とは、以下のような職種を指します。

職種名

概要

ファイナンシャルアドバイザー

個人顧客に対し資産運用のアドバイスをする。銀行や保険会社が活躍の場。

証券アナリスト

主に証券会社で活躍する職種。企業の財務や業績を分析し、将来性や株価動向を予想する投資の専門家。

プライベートバンカー

富裕層顧客の専属コンサルタントとなり、資産運用や事業継承、相続など資産形成に関する総合的なアドバイスをする。

ファンドマネージャー

投資信託会社等で莫大な資金を運用する投資の専門家。市場や銘柄を分析し、資産配分を決めて売買の指示を出す。

ディーラー

銀行や証券会社などが自社の資金を元手に投資を行う「ディーリング業務」を専門とする職種。

トレーダー

ディーラーと同じく金融機関に属しており、顧客の注文を受けて売買取引をしたりディーラーに注文を取り次いだりする。

アクチュアリー

確率や統計学などを用いて保険や年金などの金融商品に関するリスクを算定したり、商品設計を行ったりする。

金融商品はもちろん、統計や法制度に関する高度な専門知識、市場や社会情勢に関する広い知見が必要です。

専門職につくためには、FP(ファイナンシャルプランナー)のほか、証券アナリスト・アクチュアリーといった難関資格に合格しなければなりません。また、コミュニケーション能力や高い提案スキルも求められます。

バックオフィス

バックオフィスとは、総務・労務・人事部門の職種を指します。顧客のデータ管理や電話対応、労務管理などが仕事です。

金融業界ではこれらに加えて、金融商品の勧誘や顧客への送金、契約書などの文書作成業務があります。バックオフィスとはいえ、他の職種と同じく専門的な金融知識が求められるでしょう。

また、顧客の資産を扱うことから、ミスのない丁寧な仕事をしなくてはなりません。

金融業界の年収

金融業界の年収

金融業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

金融業界

709万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:業界動向SEARCH.COM「金融業界
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

金融業界の平均年収は、全業界平均の約1.5倍以上です。

メガバンクに比べて地方銀行は年収が低くなりやすい傾向があるなど、業種や規模により年収の高低はありますが、比較的高年収が期待できる業界と言えるでしょう。

金融業界の現状の課題

金融業界には次のような課題があります。

  • マイナス金利政策
  • 収益性の低下

マイナス金利政策

マイナス金利政策とは、民間の金融機関が日銀へと預ける資金の金利がマイナスになるよう促す政策です。民間の金融機関に対して、企業への貸出や投資などで資金を動かすように促し、経済活性化とデフレ脱却を狙っています。

とは言え民間の金融機関としては、日銀に資金を預け続けるほど多くの金利を支払わなければならないため、その負担は非常に大きいです。マイナス金利政策が続く限り、民間の金融機関が負担を被る構造は続くと考えられます。

収益性の低下

金融業界は長引く低金利により、本業である融資業務の収益性が低下しています。また、コロナ禍による企業の破綻・融資先の財務状況悪化により、今後しばらくは業界全体で厳しい状況が続く見通しです。

収益性の低下を脱却するために、金融業界は今後新たな施策を打ち出す必要があるでしょう。

金融業界の今後の動向・将来性

金融業界には、次のような動向があります。

  • AI・オートメーション化
  • フィンテック
  • 海外進出

AI・オートメーション化

金融業界では、窓口業務や問い合わせ対応などの定型業務を、AI技術で自動化する動きが進んでいます。これにより、従業員の負担減・人員削減によるコストカット効果が狙えます。

フィンテック

フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた用語です。金融サービスと技術をかけ合わせることで生まれる新たなサービスや事業のことを指します。

代表的なサービスには、以下のようなものがあります。

  • クラウド会計
  • キャッシュレス決済
  • スマートフォン送金
  • クラウドファンディングによる資金調達
  • 人工知能による資産運用

今後もより高度で便利なサービスが求められ、フィンテックの事業領域は拡大していくでしょう。

海外進出

大手保険会社は少子高齢化による契約者数減少リスクに備え、海外市場開拓に加え、海外の現地保険会社との業務提携・M&Aを進めています。

今後、国内市場の縮小が進んだとしても、海外での売上が事業を支えてくれるでしょう。

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