半導体業界

半導体業界とは?仕事内容や現状の課題、今後の動向や将来性を解説

半導体業界とは?

半導体業界とは、パソコンや冷蔵庫、テレビ、自動車などさまざまな製品を動かすための半導体を扱っている業界です。

半導体は導体(電気を通しやすい物質)と絶縁体(電気を通さない物質)の中間の性質を持った物質で、情報記録や数値計算などに応用されます。そのため、電子機器を制御する上では欠かせません。

消費者目線だと半導体の存在を意識する機会は少ないですが、実は私たちの身の回りの多くの製品に使われている重要な存在です。

2021年度における半導体業界の市場規模や成長率等は、以下のとおりです。

業界市場規模

4.6兆円

成長率

-0.4%

利益率

+0.4%

出典:業界動向SEARCH.COM「半導体業界

半導体業界の代表的な企業

半導体業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。

企業名

売上高

キオクシアHD

2.60兆円(※1)

ソニーグループ

1.76兆円(※2)

ルネサスエレクトロニクス

0.34兆円(※3)

東芝

0.33兆円(※4)

ローム

0.29兆円(※5)

三菱電機

0.21兆円(※6)

富士電機

0.20兆円(※7)

サンケン電気

0.16兆円(※8)

ソシオネクスト

0.10兆円(※9)

メガチップス

0.08兆円(※10)

※1 出典:キオクシアホールディングス株式会社「2020年有価証券書届出書
※2 出典:ソニーグループ株式会社「2021年度有価証券報告書
※3 出典:ルネサスエレクトロニクス株式会社「2020年度有価証券報告書
※4 出典:株式会社東芝「2021年度有価証券報告書
※5 出典:ローム株式会社「2021年度有価証券報告書
※6 出典:三菱電機株式会社「2021年度有価証券報告書
※7 出典:富士電機株式会社「2021年度有価証券報告書
※8 出典:サンケン電気株式会社「2021年度有価証券報告書
※9 出典:株式会社ソシオネクスト「マイナビ2023
※10 出典:株式会社メガチップス「2021年度有価証券報告書

(グループ会社のソニーや東芝、三菱電機、富士電機、サンケン電気は、半導体関連事業の売上高) キオクシアHDとソニーグループの2社で、半導体業界における市場規模の約5割を占めています。その次に、ルネサスエレクトロニクスや東芝といった企業が続きます。

ただし売上高だけで企業の良し悪しは判断できません。自分がやりたいことや企業の強みを踏まえて、業界研究や企業研究を進めましょう。

半導体業界の職種・仕事内容

半導体業界の職種・仕事内容には、以下のようなものがあります。

  • 営業
  • 資材調達
  • 設計・研究開発
  • 評価・検証

営業

自社製品の営業を行う仕事です。職種によって以下のとおり営業先が異なります。

職種

営業先

半導体メーカー

半導体商社メーカー

半導体商社

電子機器メーカーなど

営業職には、顧客のニーズを読み取る力が必要不可欠です。ヒアリング力と提案力の両方が求められます。

営業職に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。

資材調達

半導体や半導体製造装置に必要な資材、製品の設計に必要なツールなどの調達を行います。顧客の期待通りに製品を作るには、資材調達が欠かせません。1つでも資材が欠けると、要望通りの製品が完成しないからです。

また納期に間に合うよう、資材調達のスケジュール管理も重要です。

設計・研究開発

半導体や半導体製造装置の設計・研究・開発を行います。次世代半導体など、トレンドや顧客のニーズに応じた研究開発も担うのが特徴です。

なお、最先端技術を取り入れたり新しい技術を生み出したりと、常に進化が求められる仕事でもあります。

評価・検証

半導体や半導体製造装置の評価・検証を行います。装置自体に不具合はないか、完成した半導体に不備はないかを確認する仕事です。

また装置や製品のほか、製造工程を評価・検証するのも仕事の一つです。徹底的に品質を管理するため、重要な役割と言えます。

半導体業界の活躍が期待されている分野

半導体業界の活躍が期待されている分野は以下の6つです。

  • 自動運転
  • 遠隔医療
  • 仮想空間
  • ロボット
  • 5G技術
  • AI学習

自動運転

自動運転技術には半導体が必要不可欠です。

半導体は自動運転において、認識技術に応用されます。例えばエンジン制御装置に半導体技術を取り込むことで、周辺情報に合わせて自動ブレーキやアクセルなどを作動させられます。

これから半導体の研究開発が進めば、さらに安全な自動運転が実現するでしょう。

遠隔医療

半導体技術が進化すれば、遠隔医療の発展に貢献できます。遠隔医療に用いるさまざまな機器に、半導体の技術が求められるからです。

具体的には、血圧や脈拍などを測定・報告するウェアラブル端末、手術ロボットの制御装置などです。

遠隔医療が定着すれば、医師・看護師の負担軽減や医療の地域格差縮小などにつながります。半導体技術の発展は、医療の発展とも関係しているのです。

仮想空間

拡張現実と訳されるAR(Augmented Reality)にも、半導体技術が用いられています。

近年はスマートフォンでも楽しめるARゲームなどが流行していますが、これは半導体の小型化や低消費電力化により実現しています。ARに必要なカメラも、半導体技術の進歩により高性能化しています。

今後のさらなる半導体技術の発展により、今後ARはさまざまな分野で応用されることでしょう。

ロボット

ロボットにも半導体の技術が用いられています。

例えば工場で稼働する産業ロボットです。産業ロボットのセンサーに内蔵された半導体が周囲の状況を察知し、次にすべき動作を判断したうえで、駆動部分が動作します。

産業ロボットのおかげで、安全かつ効率の良い作業が可能です。半導体技術が進化すればさらに作業効率が高まり、生産性の向上が期待できるでしょう。

5G技術

大容量・高速通信を実現する5G技術にも、半導体は欠かせません。

5G技術を実現するための通信回路はもちろんですが、実際にユーザーが手にする通信端末にも半導体が用いられます。5Gの対応範囲拡大をきっかけに5G対応のスマートフォンへの乗り換えが増え、半導体需要が拡大することも予想されます。

半導体技術の向上が、5G発展の鍵を握っていると言っても過言ではありません。

AI学習

AI学習にも半導体の技術が使われています。

AI学習は膨大な量の計算を必要としますが、効率の良い計算処理を可能にしているのが半導体です。半導体の性能向上は、AIの高精度化にもつながります。

AlI学習は今後更なる発展が期待されているため、それに伴い半導体需要も高まっていくでしょう。

半導体業界の年収

半導体業界の年収

半導体業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

半導体業界

745万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:業界動向SEARCH.COM「半導体業界
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

全業界と比べ、半導体業界の平均年収は約320万円高いことがわかります。半導体業界に就職できれば、高年収が期待できるでしょう。

なお、年収は業績と連動している傾向にあります。高年収を目指したい人は、売上高の大きいキオクシアホールディングスやソニーグループなどの選考を受けることも視野に入れましょう。

半導体業界の現状の課題

半導体業界では、半導体不足が懸念されています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークや自宅で過ごす時間が増え、パソコンやWiFiルーター、家庭用ゲーム機などにおける半導体の需要が急激に増えました。それにもかかわらず、コロナ禍で工場の閉鎖等が相次ぎ、供給が追いついていない状況です。

また将来的にも、現状のようなパンデミックにより半導体不足に陥る可能性があります。需要が急拡大したとき、いかに素早く対応できるかが課題です。

半導体業界の今後の動向・将来性

IoTの普及により、今後は半導体の需要が更に高まると予想されます。

IoTとは、さまざまなモノをインターネットに接続し、情報交換し合う仕組みのことです。電子部品を組み込んだ製品が増えるため、必然的に半導体もさまざまな場所で求められるようになります。

このIoTには半導体が欠かせないため、半導体業界の将来性は明るいと言えます。

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