百貨店業界

百貨店業界とは?年収や現状の課題、今後の動向・将来性などを解説

百貨店業界とは?

百貨店業界とは、衣料や食品・住まいなど暮らしに必要なさまざまな商品を店舗で販売する業界を指します。

百貨店業界の主な特徴は、大型の商業施設を運営し、付加価値の高い高額商品を豊富に取り扱っていることです。

そのため、百貨店の強みは丁寧できめ細やかな接客であり、経済的に余裕のある中高年層や富裕層を主なターゲットにしています。また、百貨店ブランドに対する信頼は根強く、ギフトや贈答品も高い人気があります。

2021〜2022年における百貨店業界の市場規模や成長率・利益率は以下の通りです。

業界市場規模

2.9兆円

成長率

-17.5%

利益率

1.1%

出典:業界動向SEARCH.COM「百貨店業界

百貨店業界の市場規模2.9兆円は、他業界と比べてそれほど大きいとは言えません。また、成長率も-17.5%と落ち込んでおり、直近では百貨店業界に厳しい逆風が吹いていることがうかがえます。

百貨店業界の種類

百貨店業界の種類は、店舗の立地条件によって以下の3つに分けられます。

  • 都市型百貨店
  • 鉄道型百貨店
  • 郊外型百貨店

それぞれ具体的に解説していきます。

都市型百貨店

都市型百貨店とはその名の通り、政令指定都市や県庁所在地など、人口が多く集中する都市部を中心に店舗を出店する百貨店のことを指します。

もともと都市型百貨店は「呉服屋」をルーツとしています。呉服屋は、かつて皇室や武家など身分が高い人のみが身に付ける「着物」を取り扱っていましたが、着物は次第に一般庶民の間にも浸透していきます。

そして都市型百貨店の始まりは、1904年の三井越後屋呉服店による百貨店への業界転換です。その後、松坂屋や高島屋、大丸、そごうといった有力呉服屋も続々と百貨店業態に転身していきました。

鉄道型百貨店

鉄道型百貨店は、電車やバス・地下鉄など鉄道を運営する企業がその集客力を活かして出店する百貨店です。そのため、鉄道百貨店は駅に直結しており、自社の鉄道網で運んだ人々から積極的な消費を引き出せるのが強みです。

人々の輸送を主な収益源とする鉄道企業にとって、小売業として利益を稼ぎ出す鉄道型百貨店は、経営多角化戦略の一つと言えます。

なお鉄道型百貨店の始まりは、1929年に大阪梅田駅に誕生した阪急百貨店です。その後、鉄道企業が駅周辺に百貨店を出店するビジネスモデルは全国に広がり、東急百貨店、西武百貨店、近鉄百貨店など多くの鉄道型百貨店が誕生しました。

郊外型百貨店

郊外型百貨店は、競争が激しい都市部や鉄道近辺を避け、郊外や地方を中心に店舗を出店する百貨店です。所得水準が比較的高い新興住宅地や人口が多くない地域での出店が多く、地域住民の需要に合わせた地域密着型経営に力を入れています。

郊外には車を所持する人が多いことから、主に車で来店する家族層をメインターゲットに品揃えをしています。郊外型百貨店の事例には、松屋、丸栄、さいか屋、岩田屋、トキハ、鶴屋などが挙げられます。

百貨店のビジネスモデル

百貨店のビジネスモデルは、同じ小売業界に所属するスーパーやコンビニエンスストア、専門店と似ています。

小売業界では、メーカーが生産した商品を卸売業者から仕入れ、消費者に販売します。このとき、販売額から仕入金額と販売にかかった費用(人件費・光熱費・販促費など)を差し引いた額が利益です。

しかし百貨店には、商品を仕入れる際に他の小売業界にはない独特の商習慣があります。それは、売れなかった商品を返品できる「委託買取」と、売れた商品の分しか仕入れ金額を支払わなくて済む「売上仕入れ」です。

この商習慣のおかげで、百貨店業界はたとえ商品が売れ残っても、損失を抱えずに済んでいます。

一方、スーパーやコンビニエンスストア、専門店などは、返品できないことを条件とするプライベートブランドの開発に力を入れています。このような背景から、百貨店は「(商品の)場所貸し業」と言われることもあります。

百貨店業界の代表的な企業と売上高ランキング

次に、百貨店業界を構成する企業について、売上高が多い順にランキング形式で紹介します。

ランキング

業界名

売上高

1位

株式会社高島屋

7,611億円(※1)

2位

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

4,469億円(※2)

3位

株式会社三越伊勢丹ホールディングス

4,183億円(※3)

4位

J.フロントリテイリング株式会社

3,314億円(※4)

5位

株式会社丸井グループ

2,093億円(※5)

6位

エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社

1,314億円(※6)

7位

株式会社近鉄百貨店

981億円(※7)

8位

株式会社天満屋

863億円(※8)

9位

東急株式会社

792億円(※9)

10位

株式会社松屋

650億円(※10)

※1 出典:株式会社高島屋「有価証券報告書
※2 出典:株式会社セブン&アイ・ホールディングス「有価証券報告書
※3 出典:株式会社三越伊勢丹ホールディングス「有価証券報告書
※4 出典:J.フロントリテイリング株式会社「有価証券報告書
※5 出典:株式会社丸井グループ「有価証券報告書
※6 出典:エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社「有価証券報告書
※7 出典:株式会社近鉄百貨店「有価証券報告書
※8 出典:株式会社天満屋.「会社概要
※9 出典:東急株式会社「有価証券報告書
※10 出典:株式会社松屋「有価証券報告書

日本の百貨店業界において売上高No.1に君臨するのは、株式会社高島屋です。7,611億円の売上高は、上位10社のうち29.0%のシェアを占めます。

高島屋は2022年に創業191周年を迎えた老舗百貨店であり、地域のお客様に愛されることを目指し、積極的にまちづくりを進めています。国内17店舗の他、アジアにも店舗があり、アジアのグローバル企業になることが目標です。

百貨店業界2位に続くのは、株式会社セブン&アイ・ホールディングスです。4,469億円の売上高は、上位10社のうち17.0%のシェアを占めます。

コンビニエンスストアのセブンイレブンで知られる株式会社セブン&アイ・ホールディングスですが、百貨店事業でも成功を収めていることがわかります。

百貨店業界3位に位置するのは、株式会社三越伊勢丹ホールディングスです。4,183億円の売上高は上位10位のうち15.9%のシェアを占めます。

主力である百貨店事業以外に不動産事業やデジタル事業にも積極的に取り組んでおり、国内に5店舗、海外に30店舗を展開しています。

百貨店業界の職種別の仕事内容

衣料から食品・住居まで暮らしに必要なさまざまな商品を販売する百貨店業界には、百貨店運営を支えるさまざまな業務があります。

ここからは、百貨店業界における代表的な仕事内容について、職種別に紹介していきます。

  • 接客販売
  • 売場運営
  • 情報システム開発
  • 店舗・不動産開発
  • 外商営業
  • 販売促進
  • 仕入れ(バイヤー)

接客販売

接客販売は百貨店売り場において、接客を通じてお客様の商品選びの手伝いをする仕事です。何気ない会話の中から的確にお客様のニーズを汲み取り、最適な商品の提案に結び付けることが求められます。

高級商品をメインに取り扱う百貨店にとって、きめ細かな接客対応は、百貨店の顔となる大切なサービスです。接客販売では高い接遇マナーや丁寧な言葉遣いが必要です。

また最近では、実店舗での接客以外に、お客様に対してデジタルツールで接客を行うケースも増えています。店舗に来店しなくても商品知識に精通した社員が商品選びを手伝ってくれるため、利便性と安心感の両方を提供できるメリットがあります。

売場運営

売場運営は、担当フロアの責任者としてお客様が快適に買い物を楽しめるように、売り場をマネジメントする仕事です。売場運営には、商品の仕入れからディスプレイ、在庫管理、スタッフの教育、シフト管理まで幅広い業務があります。

売場運営において大切なのは、「お客様がまた来たい」と思えるような魅力的な売り場を実現することです。そのためにも、商品の品揃えを充実させるだけでなく、スタッフやブランドの店長などと綿密に打ち合わせをして、販売方針を決めます。

売場運営には、異なる立場・意見の人をまとめあげるリーダーシップ力と、互いに理解を深め合うコミュニケーション能力が求められます。

情報システム開発

情報システム開発は、デジタル領域において実店舗以外でお客様との接点を作り出して商品販売につなげていく仕事です。

百貨店において実施されている情報システム開発には、以下の例が挙げられます。

  • 百貨店が厳選したワンランク上の食品を家庭に届けられる食品配達サービス
  • 撮影するだけで衣服を採寸してくれる自動採寸アプリ
  • 多数のコスメからぴったりの商品が選べるコスメ専用サイト
  • 住所がわからなくでもSNSやメールから手軽にギフトが送れるギフト専用サイト
  • 実店舗でディスプレイされた商品を触って確認してから、アプリで購入できるショールーミングストア

これらの開発は全て、百貨店での買い物をより楽しく、そして便利にすることを目的としています。スマートフォンが普及し、ネットショッピングが当たり前になった現代では、情報システム開発は百貨店において欠かせない業務です。

店舗・不動産開発

店舗・不動産開発は、大規模商業施設を運営する百貨店業界において新たな出店を促す仕事です。

具体的には、市場調査に基づいた出店候補地の選定や店舗デザインの設計、施工業者との交渉、テナント誘致など幅広い業務を行います。また、新店舗の開発だけでなく、既存店舗の改装やリニューアルを行うのも業務の一つです。

さらに、海外に出店を目指す百貨店では、実際に海外に足を運んで店舗開発を行います。

文化も言葉も異なる海外で新規出店を成功させるには、日本の価値観をそのまま海外に当てはめるだけでは不十分です。現地の人々の価値観や文化を尊重しつつ、日本の百貨店ブランドの価値を活かす店舗開発が求められます。

外商営業

外商営業とは、顧客1人ひとりにつく百貨店のコンシェルジュのことです。店舗ではなく顧客の元に出向いて商品を提案することが特徴で、分刻みで行動する富裕層やエグゼクティブをメインターゲットにしています。

外商営業に求められるのは、衣食住どんな要望にも的確に応える商品提案ができることです。顧客のライフスタイルや好み、考え方に精通し、顧客のオーダーに合ったきめ細やかな提案が求められます。

最近は外商営業の仕事の進め方も大きく変化し、対面販売からデジタルツールを活用した接客へと移行しています。

また、単に商品を案内するだけでなく、一般客には非公開のブランド施設に案内するなど、特別な買い物体験ができる企画を練るのも、外商営業の仕事の一つです。

販売促進

販売促進は、百貨店の集客力を高め、売上を増やすために行われる仕事です。販売促進における具体的な仕事内容は次の通りです。

  • 市場調査による顧客ニーズの分析
  • 季節を反映したイベントや催事の企画
  • 企画で使用する商品の仕入れ先の選定・交渉
  • 集客が期待できるキャンペーンの企画・実施
  • WEB広告を活用した販促活動

販売促進活動は百貨店の他部署と協力しながら進めるため、チームワークが求められます。また、魅力的な企画を実現するには、幅広い商品知識と的確な市場分析が必要です。

仕入れ(バイヤー)

バイヤーは、百貨店の売場に並べる商品を仕入れる仕事です。バイヤーの役割は、売れる商品をいち早く見抜き、安く仕入れることです。そのためには、売れる商品を見極める目利きと仕入れ先への交渉力が求められます。

バイヤーの仕事範囲は商品カテゴリーごとに分かれており、活躍ジャンルは宝飾品から婦人服、雑貨、化粧品、食品まで幅広く存在します。基本的には、まずは売場で経験を積み、商品知識を十分身に付けた後バイヤーに抜擢されるケースが多いです。

百貨店を代表して商品の仕入れ活動を行うバイヤーの仕事は、何千万単位もの金額が動くのが特徴です。それだけにバイヤーの責任は大きく、単なる憧れだけでは務まらない仕事と言えます。

バイヤーに興味がある方は、「バイヤーとは?どんな仕事内容か意味を簡単に解説!必要な資格、年収・給料は?」も読んでみてください。

百貨店業界の年収

百貨店業界の年収

ここからは、百貨店業界の年収を全業界の年収と比較しながら紹介していきます。

業界

年収の目安

百貨店業界

338万円(※1)

全業界

443万円(※2)

※1 出典:転職・求人doda|業種別の平均年収「百貨店
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

百貨店業界の平均年収338万円は、全業界の平均443万円と比べると105万円程度低いです。

ただし上記の平均年収は、あくまで百貨店業界全体における平均金額に過ぎません。実際に受け取る年収金額は、所属企業や職種、勤続年数、役職などの条件によって大きく異なります。

特に百貨店業界は職種が多岐にわたるため、年収を重視して就職活動する人は、応募する前に条件をよく確認した上で企業を選ぶようにしましょう。

百貨店業界の現状の課題

百貨店業界が抱える現状の課題には、以下の3つが挙げられます。

  • 中高年層の消費意欲の後退
  • 若者の百貨店離れの加速
  • 訪日外国人によるインバウンド需要の減少

1つずつ具体的に解説していきます。

中高年層の消費意欲の後退

百貨店業界が抱える課題の1つ目は、百貨店を支えてきた中高年層による消費意欲の後退です。

付加価値の高い高額商品を豊富に取り扱う百貨店は、これまで経済的に余裕のある中高年層や富裕層に支持されて成長してきました。「より良い商品を購入したい」と考える本物志向の価値観が百貨店を支えてきたと言えます。

しかし、時の経過により、これまで百貨店を支えてきた中高年層の高齢化が進み、人口も減少しています。さらに退職などでライフスタイルも変わり、現役時代と同じように百貨店で消費活動をするのは難しいのが現状です。

このような背景から、百貨店はかつてのように売上高を伸ばしていくことが困難になっていると言えます。

若者の百貨店離れの加速

百貨店業界が抱える課題の2つ目は、若者による百貨店離れの加速です。

スマートフォンの普及は、インターネットを通じていつでもどこでも手軽に買い物ができる環境を作り出しました。スマートフォンの登場とともに成長してきた若者世代にとって、インターネットを通じて買い物をすることはごく当たり前の風景です。

画面を通じて瞬時に価格を比較できるネットショッピングと比較すると、百貨店の取り扱う商品は割高に見えてしまいます。

さらに、近年は安くてコストパフォーマンスの高いファストファッションが登場し、手軽におしゃれが楽しめるようになりました。シンプルで合わせやすいファストファッションは、若者層だけでなく中高年層にも支持が広がっています。

このような環境変化が、若者による百貨店離れを加速させていると言えます。

訪日外国人によるインバウンド需要の減少

百貨店業界が抱える課題の3つ目は、訪日外国人によるインバウンド需要の減少です。

高額商品を豊富に取り扱う百貨店は、これまで国内の富裕層に加え、ギフトを買い求める訪日外国人によって支えられてきました。その恩恵は、特に都市部や首都圏にある百貨店で大きかったと言えます。

しかしその一方で、地方にある百貨店は採算が取れずに閉店が増加しています。その背景にあるのは、2020年に起きた新型コロナウイルス感染症拡大への渡航制限の強化です。

国土交通省の「2019年の世界の観光の状況」によると、新型コロナウイルス感染症が世界中に広がる1年前(2019年)における訪日外国人受入数は、3,188万人(アジアで3位)でした。

しかし、コロナウイルス感染症拡大後には渡航制限が強化され、訪日外国人客数は以下のように大幅に減少しています。

年度

訪日外国人客数

コロナ禍以前(2019年)に占める割合

2019年

3,188万人

2020年

411万人

12.89%

2021年

24万人

0.75%

2022年

383万人

12.01%

出典1:国土交通省「2019年の世界の観光の状況
出典2:日本政府観光局「2022年訪日外客数

2022年の10月には日本政府によって水際対策が緩和されたものの、その後の訪日外国人数はコロナ禍以前である2019年の1割程度にしか戻っていません。このようなインバウンド需要の減少が、百貨店の成長率を下げる一因を作っていると言えます。

インバウンド需要は徐々に回復していくと予想されていますが、すぐにコロナ禍以前の水準へと戻ることは期待できないでしょう。

百貨店業界の今後の動向・将来性

中高年層による消費意欲の後退や若者による百貨店離れ、インバウンド需要の減少に直面する百貨店業界ですが、活路を見出すべく、以下の取り組みを主に行っています。

  • 顧客ニーズを絞り込んだ新たな売り場作りの提案
  • 実店舗とネットショッピングの融合を目指しデジタル化を促進
  • 脱百貨店を目指し不動産業へシフト

一つずつ解説していきます。

顧客ニーズを絞り込んだ新たな売り場作りの提案

百貨店業界による取り組みの1つ目は、顧客ニーズを絞り込んだ新たな売り場作りの提案です。そもそも、百貨店業界の成長率が落ち込んでいる理由の一つに、「百貨店に足を運んで買い物を楽しみたい」と思える売り場づくりができていないことが挙げられます。

そんな状況の中、百貨店業界で見られるのが本業回帰の動きです。より魅力的な売場を作るべく、新たな売り場づくりにチャレンジする企業が増えています。

例えば伊勢丹や阪急百貨店は、男性にターゲットを絞り込むことで新しい売り場づくりに挑戦しています。このような新たな売り場作りの提案が、百貨店業界の各企業が生き残る一つの活路となっていくでしょう。

例1:伊勢丹メンズ館の場合

伊勢丹メンズ館のコンセプトは、「ファッション好きな男性が自分らしくファッションを楽しめる売場作り」です。ラグジュアリーファッションやオーダーメイドを強化することで、ファッションに感度が高い男性を取り込もうとする狙いがあります。

例2:阪急メンズ東京の場合

阪急百貨店も、男性をターゲットに絞った売り場作りに力を入れています。阪急メンズ東京は、阪急百貨店が注力する新しい売り場提案の一つです。

阪急メンズ東京では、男性をスマートクリエイティブや自営業、スペシャリストなどに分け、それぞれのライフスタイルに合ったファンションを追求できる売場空間を作り上げました。

ヴィンテージカジュアルブランドや古着など趣味的要素も取り入れ、「男たちの冒険基地」を体現した買い物体験を提供しています。

実店舗とネットショッピングの融合を目指しデジタル化を促進

百貨店業界による取り組みの2つ目は、実店舗とネットショッピングの融合を目指し、デジタル化を促進していることです。

ネットショッピングが発達した今でも、「実店舗で商品を手に取り、実際に触って確かめてから購入したい」というニーズは変わりません。

特に、着てみなければ似合うかどうかわからないファッションや、肌に付けてみなければ色味がわからない化粧品は、実店舗で購入したい商品の代表例です。

一方でネットショッピングは、いつでもどこでも手軽に買い物ができる利便性から、若者層を中心に高い人気があります。

このような背景から、百貨店業界は丁寧でレベルの高い接客販売を活かしつつ、手軽に買い物ができるネットショッピングの融合を目指してデジタル化を推し進めています。

以下に挙げる例の他にも、高島屋や丸井グループもデジタル化に力を入れており、実店舗とネットショッピングの融合を目指す取り組みは、百貨店業界全体でますます加速していくでしょう。

例1:三越伊勢丹ホールディングスの場合

三越伊勢丹ホールディングスは、店舗に来店できない顧客に商品を提案するリモート接客サービスを導入しています。また、店舗に見本を置き、実際に商品に触れてからアプリで購入できるショーミングストアサービスも提供を開始しました。

どちらも、百貨店の強みである高い接客力を活かしつつ、ネット上で商品を購入できるのが特徴です。

例2:J.フロントリテイリングの場合

大丸や松坂屋を運営するJ.フロントリテイリング株式会社も、実店舗とネットショッピングの融合に力を入れています。同社が店舗情報を発信するアプリのユーザー数は、2022年2月に130万人(※)を超えています。

※出典:J.フロントリテイリング株式会社「J.フロントリテイリンググループの強み

脱百貨店を目指し不動産業へシフト

百貨店業界による取り組みの3つ目は、脱百貨店を目指し不動産業へシフトする企業が現れていることです。

例えば、J.フロントリテイリング株式会社は、老舗百貨店である松坂屋銀座店を閉店させ、その代わりにファッションテナントビル「GINZASIX」をオープンさせました。

また、大丸心斎橋店を5年かけてテナントビルとしてリニューアルさせ、2020年にはテナント事業の利益で百貨店部門の不振を補っています。

その他にも、百貨店の老舗として知られる三越伊勢丹や株式会社丸井グループもテナント業に注力しており、今後テナント業で利益をカバーしていこうとする動きはより活発化していくと予想されます。

実は就職する業界・会社選びよりも、重要なのは職業選び 自分の強み・特徴を活かした職業に就職をしない人は、早い段階で退職しているケースが多いです。単純にこの業界、この会社が好きとかではなく、自分の強み・特徴を活かした職業選択をするために適職診断をぜひご活用ください。

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