コンビニ業界

コンビニ業界とは?現状の課題や今後の動向・将来性などを解説

コンビニ業界とは?

コンビニ業界とは、メーカーや卸売業者から仕入れたあらゆる商品を、24時間営業など便利な形で消費者に販売する業界です。

他の小売業にはないコンビニエンスストアの特徴は、小規模のスペースで食品・飲料・雑貨など豊富な商品を取り揃えた店舗を運営していることです。

また、日用品・食品などの商品販売だけではなく、以下のような多彩なサービスも提供しています。

  • 公共料金の支払い
  • 銀行等ATM
  • 多機能情報端末(チケット発行、印刷など)

コンビニエンスストアの多くは企業の直営ではなく、個人や企業が店舗のオーナーとなるフランチャイズ方式で運営されています。

コンビニ業界の2021〜2022年における市場規模や成長率、利益率は以下のとおりです。

業界市場規模

7.6兆円

成長率

15.4%

利益率

2.2%

出典:業界動向SEARCH.COM「コンビニ業界

コンビニ業界の市場規模は比較的大きく、成長率も15%を超えているなど、勢いのある業界と言えるでしょう。

コンビニ業界の代表的な企業

コンビニ業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。

企業名

売上高

セブン&アイ・HD

6兆632億円(※1)

ローソン

6,983億円(※2)

ファミリーマート

4,514億円(※3)

セコマ

1,837億円(※4)

ミニストップ

1,836億円(※5)

JR東日本クロスステーション

1,769億円(※6)

山崎製パン

594億円(※7)

ポプラ

136億円(※8)

スリーエフ

122億円(※9)

シー・ヴイ・エス・ベイエリア

13億円(※10)

※1 出典:セブン&アイ・HD「2021年度有価証券報告書」(国内コンビニ+海外コンビニ事業)
※2 出典:株式会社ローソン「2021年度有価証券報告書
※3 出典:株式会社ファミリーマート「2021年度有価証券報告書
※4 出典:株式会社セコマ「新卒採用・会社概要(マイナビ)」(2020年度実績 加盟店売上高)
※5 出典:ミニストップ株式会社「2021年度有価証券報告書
※6 出典:JR東日本クロスステーション「会社概要」(2021年度)
※7 出典:山崎製パン「2021年度有価証券報告書」(流通事業)
※8 出典:株式会社ポプラ「2021年度有価証券報告書
※9 出典:株式会社スリーエフ「2021年度有価証券報告書
※10 出典:株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア「2021年度有価証券報告書」(コンビニエンス・ストア事業)

売上高を誇る1位セブン&アイ・HDは、ローソンを始めとした2位以下の各社に10倍以上の差をつけており、コンビニ業界では独走状態となっています。また全体を見ると、1位〜3位の大手3社が業界全体の売上の9割を占める寡占状態であることが分かります。

コンビニ業界の職種別の仕事内容

コンビニ業界の職種・仕事内容には、以下のようなものがあります。

  • 店舗責任者(ストアインストラクター)
  • スーパーバイザー(マネージャー)
  • 店舗開発
  • 仕入れ(バイヤー)

店舗責任者(ストアインストラクター)

店舗責任者はコンビニ各店舗のオーナーです。フランチャイズ契約をした個人や企業の担当者も店舗責任者に該当します。

店舗責任者は店舗運営の責任者として、以下のような店舗運営全体に関わる業務を行います。

  • 従業員のシフト管理
  • 従業員の教育
  • 売上の管理
  • 店舗での販売・接客
  • クレーム対応

従業員を束ねるマネジメント職も担いつつ、店舗で顧客と直接関わる業務もこなすなど、その業務は多岐にわたります。

スーパーバイザー(マネージャー)

スーパーバイザーとは、10〜20ほどある担当エリアの店舗を管理し、各店のオーナーに対し経営指導を行う仕事です。「マネージャー」「エリアマネージャー」とも呼ばれます。

各店の売上を向上させるため、業務改善や販売促進、人材管理についての提案や助言なども行います。

店舗開発

店舗開発とはコンビニ店舗の新規出店にあたり、市場調査を行う仕事です。当該エリアの人口や顧客層などを調査して立地を選定するほか、新規店舗を出店することで得られる売上を分析・予測し、店舗開発にあたります。

出店に際して、その地域に合わせたマーケティング戦略を立案することも店舗開発の仕事です。

そのほか、店舗開発が行う業務には以下のようなものが挙げられます。

  • 不動産業者や土地所有者との交渉・契約
  • 施工業者との施行計画の打ち合わせや調整
  • オーナー候補者への説明

仕入れ(バイヤー)

仕入れとは、コンビニ店舗で扱う商品を選定する仕事です。消費者のニーズや世間のトレンドを読んで仕入れをし、仕入れ値の価格交渉も行います。コンビニ店舗で扱う商品は多種多様なので、幅広い商品に関する知識も求められるでしょう。

また、仕入れ担当者は豊富な製品のノウハウを活かし、自社ブランドの企画を行う企画職に就く場合もあります。

コンビニ業界の年収

コンビニ業界の年収

コンビニ業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

コンビニ業界

596万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:出典:業界動向SEARCH.COM「コンビニ業界
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

コンビニ業界の年収は全業界平均を160万円ほど上回っており、業界平均よりはやや高収入が期待できるでしょう。

ただし、ここに挙げた年収額はコンビニ各社社員の平均年収なので、フランチャイズオーナーの年収は含まれていません。立地の良い店舗や複数店舗経営を行うフランチャイズオーナーの中には、年収1,000万円を超える人もいます。

コンビニ業界の現状の課題

コンビニ業界の現状の課題として、以下の事柄が挙げられます。

国内出店による売上は頭打ち

新規出店により販売額を伸ばし急成長してきたコンビニ業界ですが、2019年には店舗数が減少、2020年には販売額が減少に転じました。

年度

売上高(前年度比)

店舗数(前年度比)

2016年度

11,518,302円(103.4%)

56,160店舗(102.1%)

2017年度

11,801,902円(102.3%)

56,344店舗(100.3%)

2018年度

12,050,451円(102.1%)

56,586店舗(100.4%)

2019年度

12,174,784円(101%)

56,334店舗(99.6%)

2020年度

11,559,988円(95%)

56,178店舗(100.4%)

2021年度

11,804,293円(102.4%)

56,320店舗(100.3%)

出典:経済産業省「コンビニエンスストア商品別販売額等及び前年(度、同期、同月)比

2020年の販売額減少は、もちろんコロナ禍による行動制限の影響もありますが、これまで急ピッチで増やしてきた店舗数の飽和も大きな要因であることは否めません。

今後はコンビニ業界全体では、新規出店ではなく既存店の売上高や客単価向上を重視する戦略へと転換が進んでいくでしょう。

SDGsへの貢献や環境配慮への取り組み

社会的に進むSDGsや環境配慮への取り組みがコンビニ業界にも求められています。

今やコンビニは、その店舗数の多さや市場規模から社会インフラのひとつにも数えられており、SDGsや環境配慮の取り組みにおいて担う役割も大きいと考えられています。

単に店舗運営によって利益を生み出すだけではなく、社会や環境への貢献も今後のコンビニ業界には必要とされるでしょう。

具体的には、以下のような項目が取り組むべき課題として挙げられています。

  • 食品ロスの削減
  • 廃棄食品の再資源化
  • 店舗の省エネルギー・省資源化

コンビニ業界の今後の動向・将来性

コンビニ業界の今後の動向として、以下の事柄が挙げられます。

進むキャッシュレス化・省人化

従業員一人あたりの業務量が多く長時間労働になりやすいコンビニ業界では、仕事量の増大も問題となっています。そのため、コンビニ各社では以下のような設備の導入により、フランチャイズ加盟店の人件費や従業員負担の軽減に努めています。

  • キャッシュレスレジ
  • 無人レジ
  • 電子棚札
  • POS(販売時点情報管理)システム

こうした施策により、今後は業界全体に労働環境の改善や労働生産性向上を目指す動きが広まっていくでしょう。

米国・アジア諸国への海外展開が加速

国内市場はすでに飽和状態にあることから、コンビニ各社は次なる市場として米国・アジア諸国への海外展開を加速させています。特に大手企業においてその動向は顕著であり、すでに国内大手3社は以下に挙げる各地域へ出店を進めています。

企業名

海外への展開エリア

セブン&アイ・HD

米国・インド・イスラエル・タイ・中国 など

ファミリーマート

タイ・中国・インドネシア・ベトナム・台湾 など

ローソン

タイ・中国・インドネシア・フィリピン など

国内既存店舗の売上強化と並行して、人口や所得の増加が期待される海外市場でのシェア拡大の動きは今後も続いていくと予想されます。

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