音楽業界とは?市場規模や成長率
音楽業界とはCD販売のほか、音楽雑誌の出版や楽曲制作など、さまざまな形で音楽関連の事業を展開する業界です。
市場規模や成長率に関しては、正式なデータが公表されていません。この理由には、音楽事業を手がけている企業にはグループ企業が多く、純粋な音楽業界のみの市場規模や成長率、利益率を算出するのが難しいことが挙げられます。
業界市場規模 | 不明 |
成長率 | 不明 |
利益率 | 不明 |
しかし現在はインターネットやSNSの普及により、パソコンやスマートフォン、タブレット端末との連携が各企業で進められており、新しいビジネスモデルを展開中です。
そのため今後さまざまな変化がもたらされ、成長を続ける業界の一つとして注目されています。
音楽業界の代表的な企業
音楽業界の代表的な企業とその売上高は次のとおりです。
企業名 | 売上高 |
エイベックス | 984億円(※1) |
アミューズ | 387億円(※2) |
ポニーキャニオン | 310億円(※3) |
※1 出典:エイベックス株式会社「有価証券報告書」
※2 出典:株式会社アミューズ「有価証券報告書」
※3 出典:マイナビ2024「㈱ポニーキャニオン」
先ほどもお伝えしたように、音楽事業を手がける企業にはグループ企業が多く、売上高を公開している代表的な企業は上記の3社のみです。
音楽業界の中でトップクラスの売上を誇っているのはエイベックスで、業界を牽引する存在と言えるでしょう。エイベックスは近年、配信サービスやファンクラブ事業にも力を入れており、特にライブ事業は年間450億円以上の売上を確保していて非常に好調です。
音楽業界の職種別の仕事内容
音楽業界における職種別の仕事内容は次のとおりです。
- 制作
- 宣伝
- 販売
- 音楽配信
制作
音楽業界における制作とは、主にレコード会社で行われる音楽制作に関する諸々の業務です。
市場動向などの情報を収集して、楽曲のコンセプト作成やプランニング、音源制作といった幅広い分野の業務を行います。
宣伝
宣伝は、生み出された作品をユーザーに対して広報する仕事です。
主にマスメディアへのプロモーションを中心にして、販売促進物を活用した宣伝手法の立案・実行を担当します。
販売
販売は、実店舗やネットショップでCDを販売する仕事です。従来はCDの販売が中心でしたが、近年は店舗でサイン会やミニライブなどのイベントを開催することも多くあります。
そのほか販売には、レコード会社とCDショップの間に入るディストリビューター(卸売業者)が存在します。ディストリビューターはショップからの注文を受け、レコード会社から仕入れたCDをCDショップへと卸しています。
音楽配信
音楽配信とは、音楽のデータをダウンロード販売することです。近年は定額で聴き放題となる「サブスクリプション」と呼ばれるサービスが主流になりつつあります。
レコード会社は音楽配信を行う企業と契約を結び、配信を委託します。
音楽業界に向いている人
音楽業界に向いている人は、以下の3つです。
- 音楽に興味がある人
- コミュニケーション能力がある人
- 流行に敏感な人
音楽に興味がある人
当然ながら音楽に興味があり、詳しい人は音楽業界に向いています。しかし、ただ好きというだけではなく「この分野への知識なら他の人に負けない」という人は音楽業界で重宝されます。
特定の分野に関して深い知識があり、音楽の歴史について詳しい人なら唯一無二の存在として活躍できるでしょう。
コミュニケーション能力がある人
コミュニケーション能力のある人は、音楽業界に向いています。クライアントとのやり取りが多いのに加え、社内での業務も基本的にチームプレーで進めることが多いからです。
音楽業界は、誰とでもコミュニケーションを取れる人に向いていると言えるでしょう。
流行に敏感な人
流行に敏感な人も、音楽業界に向いています。音楽業界は目まぐるしく流行が移り変わり、常に新しいものが生み出されていく世界だからです。
世の中の流行を意識し、新しいアイデアや提案を積極的に取り入れられる人に向いている業界であると言えるでしょう。
音楽業界の年収
音楽業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。
業界 | 平均年収 |
音楽業界 | 400~650万円(※1) |
全業界 | 433.1万円(※2) |
※1 出典:openworkより音楽業界の平均値を独自に算出
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査」
音楽業界の平均年収に関する正確なデータは公表されていませんが、口コミによると人によって400万円から650万円と大きく開きがあります。全業界の平均年収は433.1万円であるため、音楽業界の平均年収は比較的高い水準に位置していると言えるでしょう。
なお年収は企業や職種、役職等によっても金額が前後します。実績を積み重ねれば、上記の金額以上の年収を目指せるでしょう。
音楽業界の現状の課題|「やめとけ」「やばい」と言われる真相は?
音楽業界はCDの売上が伸びず販売に苦戦を強いられていることから、「やめとけ」「やばい」という声を聞くこともあります。しかし、なぜこのような声が上がるのでしょうか。
音楽業界が抱える現状の課題について詳しく見ていきましょう。
CDの売上は低迷している
実際に現在の音楽業界は、ミリオンセラーのような大ヒットは生まれにくく、CDの売上が低迷しています。これは、スマートフォンの普及・配信サービスの展開で、音楽を個人で楽しむ人が増えたことが理由として挙げられるでしょう。
一昔前の音楽業界は、イベントや広告に力を入れてCDを売るというビジネスモデルが主流でした。しかし消費者ニーズの複雑化にともない、多様なプロモーション活動の展開が求められています。
例えば、現在はCDにイベント参加券や限定パッケージといった付加価値をつける売り方が増えています。CD販売に関しては、今後はユーザーの要望にいかに応えていくかがポイントとなるでしょう。
無料コンテンツで満足しているユーザーが多い
音楽業界は、ユーザーが無料コンテンツで満足しているという現状があります。YouTubeをはじめとする無料の動画共有サービスが広く普及し出したからです。
無料で好きな音楽が聴ける環境があるという理由から、ユーザーは音楽コンテンツやパッケージに課金するモチベーションを失いつつあります。
アイドルビジネスに依存した収益が主体となっている
音楽業界は、アイドルビジネスに依存した収益モデルが主体となっている点も課題と言えるでしょう。
大企業でも、ファンの課金意欲を促すための施策が求められています。「CDを購入すればイベントへの参加券が得られる」のような売り出し方は典型的な例でしょう。
逆に言えば、純粋な音楽性を主体としたバンドやシンガーソングライターでは、ビジネスとして売りにくいという状況が続いています。
音楽業界の今後の動向・将来性
音楽業界の今後の動向と将来性について解説します。
ビジネスが2極化する
今後は、従来のCDなどの音楽ソフトの販売と、サブスクを利用したストリーミング配信が両立し、ビジネスの2極化が予想されています。
音楽ソフトの販売に関しては、リアルイベントや特典などを活用し、コアなファン層に対していかに需要を喚起するかがカギとなるでしょう。
一方、サブスクを利用したストリーミング配信に関しては近年のトレンドであり、今後も安定的な需要が予想されます。ストリーミング配信を活用すれば、新たなファン層の獲得も期待できます。
ビジネスは2極化するものの、それぞれターゲット層が異なるため、どちらにも注力することが重要と言えるでしょう。
デジタルコンテンツは今後も発展する
ストリーミング配信やライブ配信といったデジタルコンテンツは、今後も発展が期待されています。
経済産業省の「世界におけるコンテンツのデジタル市場・フィジカル市場の推移」によると、日本のデジタルコンテンツ市場の推移は次のようになっています。
年度 | 売上高(単位:百万米ドル) |
2014年 | 673 |
2015年 | 724 |
2016年 | 834 |
2017年 | 900 |
2018年 | 1,022 |
2019年 | 1,151 |
2020年 | 1,307 |
2021年 | 1,447 |
2022年 | 1,599 |
このようにデジタルコンテンツは徐々に売上を伸ばしています。
特に有料音楽配信が好調で、定額で音楽が聴き放題になる「サブスクリプションサービス」は現代の音楽の楽しみ方として定着しました。
さらに大企業ではデジタルコンテンツを活用しながら、所属アーティストのアイテム販売やファンミーティングなどのイベント開催を見込んでいます。
このように音楽業界はデジタルコンテンツが発展し、今後も新たなサービスが登場することが予想されます。