スーパー業界とは?
スーパー業界とは、メーカーや卸から仕入れた商品を店舗の売り場に並べ、消費者に販売する業界です。
スーパーで取り扱う商品は食料品・衣料品・家電など、店舗によってさまざまです。しかし、原価に利益を載せた価格で消費者に販売し、収益を得るという仕組みは全てのスーパーに共通します。
2021〜2022年におけるスーパー業界の市場規模や成長率・利益率は以下の通りです。
業界市場規模 | 18.5兆円 |
成長率 | 1.5% |
利益率 | 1.8% |
出典:業界動向SEARCH.COM「スーパー業界」
18.5兆円という市場規模は、我々の生活においてスーパーがなくてはならない存在であることを裏付けています。
スーパー業界の店舗の区分
スーパー業界が展開する店舗は以下のように分けられます。
総合スーパーマーケット
総合スーパーマーケットとは、食料品や日用品だけでなく衣料品・家具家電など、衣食住に関わる商品を幅広く取り扱っている店舗です。店舗一つあたりの規模が大きく、全国展開している店舗が多いことも特徴に挙げられます。
【総合スーパーマーケットの代表例】
食品・日用品特化のスーパーマーケット
食品・日用品特化のスーパーマーケットは「食品スーパー」とも呼ばれ、主に食料品や日用品など生活に欠かせない商品を扱います。大量仕入れ・大量販売により低コストで商品を提供でき、食卓や家計を支える存在です。
また、食品・日用品特化のスーパーマーケットは、特定のエリアや地域に根ざした企業が多いことも特徴の一つです。
【食品・日用品特化のスーパーマーケットの代表例】
スーパー業界の代表的な企業
スーパー業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。
企業名 | 売上高 |
イオン | 5兆6,967億円(※1) |
セブン&アイ・HD | 1兆8,045億円(※2) |
ライフコーポレーション | 7,683億円(※3) |
バローHD | 7,325億円(※4) |
ユナイテッド・スーパーマーケット・HD | 7,011億円(※5) |
イズミ | 6,768億円(※6) |
アークス | 5,775億円(※7) |
ヤオコー | 5,140億円(※8) |
ヨークベニマル | 4,694億円(※9) |
イオン九州 | 4,609億円(※10) |
※1 出典:イオン株式会社「2021年度有価証券報告書」(GMS+SM事業)
※2 出典:セブン&アイ・HD「2021年度有価証券報告書」(スーパーストア事業)
※3 出典:株式会社ライフコーポレーション「2021年度有価証券報告書」
※4 出典:株式会社バローホールディングス「2021年度有価証券報告書」
※5 出典:ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書」
※6 出典:株式会社イズミ「2021年度有価証券報告書」
※7 出典:株式会社アークス「2021年度有価証券報告書」
※8 出典:株式会社ヤオコー「2021年度有価証券報告書」
※9 出典:株式会社ヨークベニマル「貸借対照表・損益計算書(令和4年2月末現在)」
※10 出典:イオン九州株式会社「主要経営指標」
売上高1位のイオン、2位のセブン&アイ・HDの2社が、業界の2強となっています。特にイオンの売上高5兆9,697億円は群を抜いており、3位〜10位の企業の売上高合計に匹敵するほどです。
スーパー業界の職種別の仕事内容
スーパー業界の職種別の仕事内容には、以下のようなものがあります。
- 販売
- 店長(店舗責任者)
- バイヤー
- スーパーバイザー
販売
販売は、店頭に立って主に以下のような業務を行います。
- 接客
- レジ打ち
- 商品の陳列
- 在庫管理・補充
大規模店舗では、売り場ごとに販売担当が決まっていることが多いですが、中小規模スーパーでは、全ての売り場を担当する場合もあります。販売職として働き、経験を積むことで店長を目指すことも可能です。
店長(店舗責任者)
店長とは、店舗運営の責任者を指します。店全体のマネジメントを行い、店舗の売上に責任を持つ重要な立場です。売上責任があることから、プレッシャーが大きくかかる職種です。
また業務範囲は幅広く、お客様からのクレーム対応はもちろん、スタッフのシフト管理やアルバイト・パート従業員の教育も仕事に含まれます。小さな規模の店舗では、販売スタッフの業務を一部行う場合もあります。
バイヤー
バイヤーは、店舗で販売する商品の仕入れや買い付けを行う職種です。
スーパーは「低価格」「お手頃価格」が売りであるため、バイヤーには良い商品を安く買い付ける手腕が求められます。また売れる商品を見極めるために、消費者ニーズの把握や豊富な商品知識も必要です。
スーパーバイザー
スーパーバイザーは、複数の店舗の運営指導・マネジメントを行う仕事です。「エリアマネージャー」「マネージャー」「ブロック長」と呼ばれることもあります。
スーパーバイザーは主に次のような業務を担当します。
- セールやフェアの企画
- 販売戦略の立案
- 店舗内環境のチェック
- 業務改善指導
業務にはマネジメント経験が必要とされるため、スーパーバイザーの多くはマネジメントスキルを持つ経験者か店長経験者などから選ばれます。
スーパー業界の年収
スーパー業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。
業界 | 平均年収 |
スーパー業界 | 544万円(※1) |
全業界 | 433.1万円(※2) |
※1 出典:出典:業界動向SEARCH.COM「スーパー業界」
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査」
スーパー業界の平均年収は、全業界の平均と比べて100万円ほど高くなっています。
ただし、職種や店舗の規模、勤める企業によっても年収にはかなり幅があると考えられます。スーパー業界を志望しているなら、入社を検討している企業の職種別給与・待遇まで細かくチェックしておきましょう。
スーパー業界の現状の課題
スーパー業界の現状の課題として、以下の事柄が挙げられます。
働き手減少により労働力確保に苦慮
スーパー業界は以下のような事情から、他の業界に比べて人材を確保しにくいと言われています。
- 土日祝日に休みを取りづらい
- 労働時間が長い
- 給与水準が低い
しかし、スーパーは取り扱い商品が多いこと、また消費者の利用頻度が高いことから、店舗運営に多くの人手が必要な業態です。そのため、働き手不足は他の業界以上に深刻な問題です。
スーパー業界においては、店舗の営業スタイルや労働環境の見直しにより、労働力の確保が求められています。
異業種からの参入による競争激化
コンビニ・ドラッグストアでも食料品や総菜を扱うなど異業種からの参入が増え、スーパー業界の競争は激化しています。また、ネットショップの普及もこれに追い打ちをかけている格好です。
従来通りのビジネスモデルでは、スーパー各社のみならず業界全体の売上縮小は避けられないでしょう。現在スーパー業界では、他業種にはないスーパーならではのサービスやビジネス形態の模索が続いています。
スーパー業界の今後の動向・将来性
スーパー業界の今後の動向として、以下の事柄が挙げられます。
進むデジタル化
スーパー業界では、人手不足解消やコロナ対策からネットスーパー・セルフレジなど省人化システムの導入が活発化しています。また、コンビニ各社にはやや遅れる形ではありますが、電子マネーや交通系ICカードに対応する店舗も増えています。
今後は、コンビニ・ドラッグストア・ネットショップといった強力なライバルに打ち勝つための戦略として、スーパー業界のデジタル化が一層進展していくでしょう。
PBによる差別化・企業ブランドの向上
現在、スーパーや小売業界の各企業が注力しているのがPB(プライベートブランド)商品の開発です
単にメーカーや卸から仕入れた商品を低価格で売るだけでは、もはやスーパーとしての強みにはなりえません。そこで、スーパー各社では安価で品質の高いPB商品を独自開発し、他社との差別化や低コスト化を図ることで、企業ブランドの向上を図っています。
競争が激化する市場において、PB商品の展開・拡充はスーパーの新たな強みや他社にないサービスの提供に繋がると期待されています。