不動産業界とは?
不動産業界とは、全国各地の不動産を扱う業界です。その事業内容は開発・販売・流通・管理などと多岐にわたります。
具体的には、以下のような業者やメーカーが不動産業界に属します。
- ビルや商業・リゾート施設などの開発業者
- 住宅施工を行うハウスメーカー
- 物件の売買・賃貸を仲介する不動産仲介業者
- マンションや一戸建てを販売する住宅販売会社
- 不動産物件を管理する管理会社
不動産業界の2021年の市場規模や成長率、利益率は以下の通りです。
業界市場規模 | 15.5兆円(21位/190業界) |
成長率 | +3.4%(42位/190業界) |
利益率 | +0.8%(133位/190業界) |
出典:業界動向SEARCH.COM「不動産業界」
不動産業界の代表的な企業
不動産業界の代表的な企業と、その売上高は以下の通りです。
企業名 | 売上高 |
三井不動産 | 2.1兆円(※1) |
大東建託 | 1.5兆円(※2) |
三菱地所 | 1.3兆円(※3) |
東急不動産HD | 0.98兆円(※4) |
住友不動産 | 0.93兆円(※5) |
オープンハウス | 0.81兆円(※6) |
野村不動産HD | 0.64兆円(※7) |
ヒューリック | 0.44兆円(※8) |
レオパレス21 | 0.39兆円(※9) |
オリックス | 0.39兆円(※10) |
※1 出典:三井不動産株式会社「2021年度有価証券報告書」
※2 出典:大東建託株式会社「2021年度有価証券報告書」
※3 出典:三菱地所株式会社「2021年度有価証券報告書」
※4 出典:東急不動産ホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書」
※5 出典:住友不動産株式会社「2021年度有価証券報告書」
※6 出典:株式会社オープンハウス「2021年度有価証券報告書」
※7 出典:野村不動産ホールディングス株式会社「2021年度有価証券報告書」
※8 出典:ヒューリック株式会社「2021年度有価証券報告書」
※9 出典:株式会社レオパレス21「2021年度有価証券報告書」
※10 出典:オリックス株式会社「2021年度有価証券報告書」(※不動産部門)
業界シェアは首位の三井不動産が12.9%、2位の三菱地所が7.8%、3位の大東建託が6.5%と、上位3社だけで約3割を占めます。
三井不動産は、オフィスビル・商業施設・賃貸マンションなどの施設開発・分譲のほか、オフィスビルの賃貸・新築住宅の請負、ホテルやリゾート、ゴルフ場の運営など幅広く事業展開しています。
三井不動産の売上高は2位以降を0.5兆円近く引き離しており、幅広い事業展開が売上高につながっているようです。
不動産業界の職種・仕事内容
不動産業界の職種・仕事内容には、以下のようなものがあります。
- 営業
- 企画・開発
- 管理
営業
営業と一口に言っても、マンションや戸建てなどの販売営業、賃貸物件の紹介、売買仲介など、その種類はさまざまです。簡単に言うと、不動産業界の営業の仕事は土地や建物を利用したい人と、貸したい人(売りたい人)のマッチングを促すことです。
特に、売買仲介に携わる営業では土地・建物といった高額の商品を販売するため、高い提案力やコミニュケーション力が求められると同時に、ローンや税金に関する知識も身につけておかなくてはなりません。
営業職に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。
企画・開発
不動産業界の企画・開発は、マンションやビル、商業施設、分譲住宅、市街地開発などの企画・開発を行います。大規模な建物の建造や街づくり、再開発といったスケールの大きなプロジェクトに関われるやりがいの大きな仕事です。
また、土地の選定から企画開発、建物竣工などの一連の業務に携わるため、建築法令の深い知識が必要とされるでしょう。
管理
不動産業界における管理とは、ビルやマンションの定期点検などの維持・管理をはじめ、管理する物件で起きたトラブルへの対応、商業施設のテナント誘致、修繕工事などを指します。販売・紹介した物件を、利用者に気持ちよく使ってもらうための業務です。
ただし大手の不動産会社の場合は、グループ内に管理会社を別に持っていることもあります。
事務
不動産事務には「契約事務」と「営業支援」の2種類があります。
契約事務
契約事務が行う業務は、主に不動産契約に伴う書類の作成や重要事項の説明です。
土地の売買・契約に関する専門的な知識が求められ、日々の学習はもちろん、宅地建物取引士(宅建)の資格取得が必要となります。
営業支援
営業支援の仕事には、接客や問い合わせ対応、チラシ作成などの広告業務、物件の登録などがあります。
営業のサポートが主な業務で、資格なし・未経験でも就職しやすい職種です。
不動産業界の年収
不動産業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。
業界 | 平均年収 |
不動産業界 | 665万円(※1) |
全業界 | 433.1万円(※2) |
※1 出典:業界動向SEARCH.COM「不動産業界」
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査」
不動産業界の平均年収は、全業界平均のおよそ1.5倍です。
不動産業界の平均年収が高い理由として、営業職にインセンティブ制度が採用されるケースが多いことが挙げられます。
不動産業界で扱うのは、売買価額が数千万円〜数億単位にもなる住宅やマンション、ビル、オフィスといった高額の商品です。例えば1億円の物件が売れれば、利益率が10%だとしても会社には1,000万円の利益が生まれます。
その中から、例えばインセンティブとして社員に100万円を払ったとしても、会社の得る収益からすれば決して高額すぎる報酬ではありません。こうしたことから、不動産業界は高収入になりやすいと考えられます。
不動産業界の現状の課題
不動産業界の現状の課題として、以下のような事柄が挙げられます。
- 国内人口の減少
- 2022年問題への直面
国内人口の減少
国内では今後、少子高齢化による世帯数の減少が予測されます。また、都市部に人口が集中し、地方の過疎化が進む人口の2極化も深刻です。
人口減により、全国的に空室や空き家の増加、新築・中古物件の需要低下が懸念されます。
2022年問題への直面
日本では1992年、新生産緑地法が制定されました。この法律では、生産緑地として指定を受けた都市部の農地や山林といった土地は「最低でも30年間は売れない・貸せない・建てられない」という制限がある代わりに、税制優遇を受けていました。
しかし2022年には生産緑地法の期限が到来し、これまで生産緑地とされていた土地の指定が解除され、売却が可能になります。タイムリミットを迎えた生産緑地が一斉に売り出されることにより、市場に大量の土地が供給される見込みです。
そのため、供給過剰による地価の下落や新築住宅の供給過剰が発生し、不動産価格の暴落を招く恐れがあると言われています。
不動産業界の今後の動向・将来性
不動産業界には課題がある一方、近年は以下のような動向もあり、就活生にとって将来性は明るいと考えられます。
- 不動産テックの登場
- リフォーム市場・中古住宅への期待
不動産テックの登場
不動産テックとは、不動産とテクノロジーをかけ合わせた言葉です。具体的には、不動産に人工知能やビッグデータといった先端IT技術を活用する取り組みを指します。
現在では、VRでの疑似内見やスマートロックによる入退出管理、AIによるデータの収集・市場分析により価格の可視化などが進んでいます。これにより、今後は不動産の売り出し方がより多様になっていくでしょう。
リフォーム市場・中古住宅への期待
新築マンションの販売は伸び悩んでいますが、リノベーション物件の売れ行きは好調です。
中古マンションや中古住宅のリフォームを行って賃貸・販売しやすくする動きが加速し、中古市場への進出は今後も進むでしょう。