建設業界とは?
建設業界とは、公共施設や一般住宅など建物の建築や、道路・橋などの土木工事を行う業界です。
なお、建設と似た言葉に建築がありますが、両者の役割は異なります。建築は建物の施工のみを指すのに対し、建設には土木工事も含まれます。
業界市場規模 | 15.6兆円(20位/190業界) |
成長率 | +0.3%(84位/190業界) |
利益率 | +3.9%(54位/190業界) |
出典:業界動向SEARCH.COM「建設体業界」
建設業界の代表的な企業
建設業界の代表的な企業と、その売上高をまとめました。
企業名 | 売上高 |
鹿島建設 | 1.91兆円(※1) |
大林組 | 1.77兆円(※2) |
大成建設 | 1.48兆円(※3) |
清水建設 | 1.46兆円(※4) |
竹中工務店 | 1.28兆円(※5) |
長谷工コーポレーション | 0.81兆円(※6) |
前田建設工業 | 0.68兆円(※7) |
戸田建設 | 0.71兆円(※8) |
五洋建設 | 0.47兆円(※9) |
熊谷組 | 0.45兆円(※10) |
※1 出典:鹿島建設株式会社「2021年度有価証券報告書」
※2 出典:株式会社大林組「2021年度有価証券報告書」
※3 出典:大成建設株式会社「2021年度有価証券報告書」
※4 出典:清水建設株式会社「2021年度有価証券報告書」
※5 出典:株式会社竹中工務店「2021年度有価証券報告書」
※6 出典:株式会社長谷工コーポレーション「2021年度有価証券報告書」
※7 出典:前田建設工業株式会社「2020年度有価証券報告書」
※8 出典:戸田建設株式会社「2021年度有価証券報告書」
※9 出典:五洋建設株式会社「2021年度有価証券報告書」
※10 出典:株式会社熊谷組「2021年度有価証券報告書」
売上高が1兆円を超える建設企業は、スーパーゼネコンと呼ばれています。鹿島建設から竹中工務店までの上位5社が該当し、売上高の合計は7.9兆円です。建設業界全体の約5割を占めています。
6位以下の企業も数千億円規模の売上高となっており、業界全体の市場規模が大きいと言えるでしょう。
建設業界の職種・仕事内容
建設業界の職種・仕事内容には、以下のようなものがあります。
- 施工管理
- 技術
- 設計
- 安全管理
- 情報システムの管理・運用
- 営業
- 事務
施工管理
施工管理は建設工事の現場で、工程や施工環境、安全などを管理する仕事です。発注者などとの打ち合わせや材料の手配など、さまざまな役割を担います。
工事現場において責任重大な職種ですが、新卒でも施工管理は目指せます。任される仕事が多い分、建設業界の中でも大きなやりがいを得られるでしょう。
技術
技術は、工事の技術的な補助や新しい技術の開発などを担う仕事です。
ICT化により、建設業界の技術は日々進歩しています。厳しい条件下での施工や工事全体の効率化など、建設業界の発展に欠かせません。
設計
設計は、お客様の要望を図面で表現するのが仕事です。自社の技術を総動員し、お客様のニーズに応えます。
一口に設計といっても、建築士やCADオペレーターなど具体的な役割が分かれる場合もあります。
建築士
建築士は建築物の全体像を考えます。一級建築士・二級建築士・木造建築士いずれかの資格が必要です。
CADオペレーター
CADオペレーターは、建築士が構想した設計をPCソフトで図面化する職種です。ツールの使用方法を含めて専門的な知識が必要不可欠です。
安全管理
安全管理は、工事現場の安全性向上を担う仕事です。労働災害の防止だけでなく、建設に携わる社員全員に対する安全教育なども行います。
事故や怪我なく仕事を進めるために必要不可欠な存在です。
情報システムの管理・運用
情報システム担当者は、社内システムの管理・運用を行います。社内で用いるIT機器全般は、情報システム部門の管轄です。
また近年は、建設業界でもデジタル技術を用いたDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進んでいます。建築工事の生産性向上のためにDXに取り組むのも情報システム担当者の仕事です。
営業
営業担当者は、工事を受注するため官公庁や不動産会社などさまざまなお客様に営業を行います。自社の技術をアピールするために、提案力が求められる仕事です。
営業先は企業によって異なるため、営業職を希望する人は企業研究の段階で調べておきましょう。
営業職に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。
事務
事務は、工事以外の事務全般を担当する職種です。人事や総務、経理など幅広い仕事に携わります。
事務職に特別な資格は必要ありません。ただしスケジュール管理やコミュニケーション能力など、社会人として基本的な能力が求められます。
建設業界の年収
建設業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。
業界 | 平均年収 |
建設業界 | 756万円(※1) |
全業界 | 433.1万円(※2) |
※1 出典:業界動向SEARCH.COM「建設業界」
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査」
全業界の平均と比べ、建設業界の平均年収は約320万円高いことがわかります。建設業界に就職できれば、高年収が期待できます。鹿島建設や大林組などのスーパーゼネコンなら、年収1,000万円クラスも目指せるでしょう。
ただし、年収だけを軸にして就職先を選ぶのは避けましょう。建設業界でやりたいことを明確にして企業を選ぶのが、就活で失敗しないポイントです。
建設業界の現状の課題|人手不足や需要減少の実態は?
建設業界における現状の課題は以下の4つです。 特定の職種の人手不足 業界全体の高齢化 建設需要の減少 建設需要の減少
特定の職種の人手不足
建設業界では人手不足が深刻化しています。特に施工管理や実際に工事を担当する人材が不足しているのが現状です。
各企業で人手不足が続けば、国内の建設における需要と供給のバランスが崩れる恐れがあります。具体的には道路の整備が進まない、マイホームを建てられないなど建設工事への悪影響が考えられます。そのため建設業界は当面の間、人材確保が課題となるでしょう。
業界全体の高齢化
建設業界全体で高齢化が進んでいます。人手不足の影響もあり、若手の人材が少ない傾向です。
高齢化が進むと、自社技術を継承する人材が減少します。これまでに築いてきた技術を残すためには、いかに若い人材を確保できるかが鍵となるでしょう。
建設需要の減少
新型コロナウイルスの影響で建設需要が減少しています。訪日外国人を含め日本各地で観光客が減少したことで、ホテル需要などが落ち込んでいるからです。
また、東京オリンピックで一時的に伸びた建設需要も、今後は落ち着くと考えられます。建設業界の各企業は、新たな建設需要を見出す必要があるでしょう。
長時間労働
建設業界は長時間労働が多い傾向にあります。工期が決まった仕事がほとんどである中、人手不足が深刻化しているためです。
そのため業界全体で人手を確保しつつ、働き方改革を進めていくことが課題となるでしょう。
建設業界の今後の動向・将来性
建設業界の今後の動向や将来性について、以下の3つの観点から解説します。
- DX化の推進やICT技術の導入
- 外国人労働者の受け入れ
- 働き方改革の推進
DX化の推進やICT技術の導入
建設業界では、DX化の推進やICT技術を積極的に導入する企業が増えている傾向にあります。マンパワーで行っていた業務をデジタル化すれば、一人ひとりの負担が少なくなるでしょう。
また、新型コロナウイルスの感染収束後に再び建設需要が増えることを期待し、今のうちからデジタル化を進めようとする姿勢も見てとれます。デジタル化により業務を効率化できれば、人手不足の解消にもつながるでしょう。
外国人労働者の受け入れ
労働力を確保するため、外国人労働者の受け入れを進めている企業もあります。
技術を伝えれば、将来的に会社の中心的な人材に育つことも期待できます。外国人労働者の受け入れは、人材不足解消の鍵を握るでしょう。
働き方改革の推進
2024年4月1日から、建設業界における働き方改革が本格的に進められます。時間外労働の上限規制が月45時間に定められるなど、労働環境改善を目的とした内容です。
労働環境改善で社員一人ひとりの負担が減ることはもちろん、建設業界を希望する若い人材が増えることも期待されます。
参考:厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」