家電業界

家電業界とは?年収や現状の課題、今後の動向・将来性などを解説

家電業界とは?

家電業界とは、私たちの生活に欠かせない冷蔵庫やオーディオ機器などの家電全般を販売して利益を得る業界です。

従来はカテゴリ分けしやすかった家電も、コロナ禍の影響で消費者のニーズに変化が訪れて複雑化しました。現在は「個性派家電」も登場してきており、競合との差別化を図る企業も増えつつあります。

家電業界の2021〜2022年における市場規模・成長率・利益率は以下のとおりです。

業界市場規模

8.8兆円

成長率

1.0%

利益率

4.4%

出典:業界動向SEARCH.COM「家電業界

外出自粛の影響で店頭販売に苦戦した一方、ネット通販による購入が増えたこともあり、業界市場規模としては8兆円以上を確保できている状況です。

家電業界の代表的な企業

家電業界の代表的な企業と、その売上高を以下にまとめます。

企業名

売上高

パナソニックHD

34,088億円(※1)

ソニーグループ

22,978億円(※2)

三菱電機

11,447億円(※3)

シャープ

4,461億円(※4)

日立製作所

3,966億円(※5)

富士通ゼネラル

2,524億円(※6)

オムロン

1,328億円(※7)

山善

1,048億円(※8)

コロナ

786億円(※9)

※1 出典:パナソニックHD株式会社「有価証券報告書
※2 出典:ソニーグループ株式会社「有価証券報告書
※3 出典:三菱電機株式会社「有価証券報告書
※4 出典:シャープ株式会社「有価証券報告書
※5 出典:株式会社日立製作所「有価証券報告書
※6 出典:株式会社富士通ゼネラル「有価証券報告書
※7 出典:オムロン株式会社「有価証券報告書
※8 出典:株式会社山善「有価証券報告書
※9 出典:株式会社コロナ「有価証券報告書

売上高トップは、パナソニックHDです。増収増益を続けており、次点のソニーグループと比べても10,000億円以上の差をつけています。

パナソニックHDは、欧州のヒートポンプ式暖房・給湯機(エア・トゥ・ウォーター)の売上が増収に大きく貢献しました。また上海ロックダウンが解除されたことによる生産・供給の回復なども増収につながっています。

二番目に売上高が好調なソニーグループは、半導体を中心とする国内外のゲーム事業が好調です。外出自粛による巣ごもり需要が、企業にとっては追い風となっています。

売上高上位の企業は、いずれも海外事業の展開に注力し、国内市場と並行して家電の売り込みを行っています。

家電業界の職種別の仕事内容

家電業界の仕事内容を職種別に紹介します。

営業

家電業界の営業は、主に企業や法人に向けて自社の製品を売り込みます。自社製品を販売してもらう家電量販店、エアコンやプリンターなどの導入を検討するオフィスなど、営業先はさまざまです。

場合によっては、新規オープンする商業施設の立会いをすることもあるでしょう。

営業に興味がある方は、「営業職とは何か説明!種類や仕事内容、向いている人の特徴や年収」も読んでみてください。

マーケティング

マーケティングは、製品の魅力を伝えるためのセールスを打ち出したり、ホームページに訪問してもらうための仕組みを考える仕事です。また買上点数アップや一品単価アップのために、どのような施策が必要かを考えることもあります。

市場調査やマーケット分析のスキルが必要であり、幅広い知識が求められる職種と言えるでしょう。

研究・開発

研究・開発職は、家電製品における新機能の研究や新製品の開発をする仕事です。

家電のカテゴリごとに研究・開発する内容はさまざまで、求められる知識も異なります。例えば掃除機であれば、制御回路やモーターなどに関する専門的な知識が必要です。

近年はAI機能搭載の家電が登場するなど、家電は絶えず進化を続けており、研究・開発職の需要がなくなることはないでしょう。

生産・品質管理

生産・品質管理は、工場のラインにおける製造過程のチェックや生産に携わる仕事です。

具体的には、生産から出荷に至るまでの設計フローを管理します。納期が遅れることがないように適切に人員を配置しながら、業務効率を改善することも生産・品質管理の重要な業務です。

誤った工程で出荷してしまうと、使用時に発火や発煙といった事故が起こってしまうリスクもあるため、非常に責任の大きい仕事だと言えるでしょう。

家電業界の年収や給料

家電業界の年収

家電業界の平均年収と、全業界の平均年収を比較してみましょう。

業界

平均年収

家電業界

729万円(※1)

全業界

433.1万円(※2)

※1 出典:業界動向SEARCH.COM「家電業界
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

家電業界の平均年収729万円は、全業界の平均年収を300万円近く上回っています。

もちろん企業や職種によって年収は変わってきますが、家電業界には研究・開発などの専門知識が必要とされる職種が多いため、平均年収が高くなっていると考えられます。

家電業界の現状の課題

家電業界の今後の動向・将来性について見ていきます。

一部家電の需要が減少している

家電業界は、一部家電の需要が減少していることが課題になっています。

特に顕著なのがAV家電や薄型テレビです。スマートフォンで場所や時間を選ばず、好きな動画を視聴できるようになったことから、需要が大きく低下しました。

2021年12月の薄型テレビ全体の出荷台数は、前年同月比で5.6%減の63万7千台です。減少幅は縮小しているものの、2020年の需要急増の反動により6カ月連続で減少しています(※)。

そのため各企業で、付加価値やユーザー体験の得られる新しい形の家電開発が急がれている状況です。

※出典:日経経済新聞「薄型テレビ国内出荷台数、21年は微減 大型機種は堅調

消費者の実店舗離れが進んでいる

消費者の実店舗離れは、家電業界にとって大きな課題になっています。

実店舗離れが進む大きな理由は、Amazonや楽天などのECモールの急速な普及です。消費者は店舗に足を運ばなくても、商品情報やレビュー、写真などから製品に関する情報を得て買い物ができます。

接客距離の近い実店舗ならではサービスやイベントで、いかに消費者を囲い込んでいくかが今後の課題となってくるでしょう。

海外との価格競争が激化している

家電業界では価格が高い製品の売れ行きが落ち、海外との価格競争が激化しています。

海外製の家電は価格の安さに定評があり、特に韓国や台湾、中国といったアジア圏のメーカーに人気が集中しています。

日本はこれまで技術力や品質の高さで家電を販売していましたが、海外では「使えれば機能性は気にしない」という価値観が強く、安い家電であるほど売れるのが特徴です。

そのため国内展開に注力している家電業界は、今後海外との価格競争に向き合う必要があると言われています。

家電業界の今後の動向・将来性

家電業界の今後の動向・将来性について見ていきます。

付加価値のある家電開発が進められている

家電業界では、付加価値のある家電開発が進められています。

家電業界における付加価値とは、他製品にはない機能性の高さです。AIやlot(インターネットにつながるモノ)を活用した家電も登場し、プレミア家電として高価格で販売され、利益につながっています。

価格競争が激化するなかでも「高価格でも高機能であれば買っても良い」という消費者は多く、多様なユーザーニーズに沿った製品を提供できる企業は、将来性も十分にあるでしょう。

機能性・技術力以外にも目が向けられている

家電は、世界観やデザインにも目が向けられています。

従来日本の家電と言えば、機能性や技術力の高さこそが価値のあるものとして認識されていました。しかし現在は、シンプルで使いやすいものが消費者のニーズとして生まれています。またミニマリストな消費者からは、必要最低限の機能を備えた家電が選ばれています。

世界観とユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)を重視し、ユーザーにとって使い心地の良い家電を生み出すことが、今後業界が売上を確保していくためのカギだと言えるでしょう。

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