初乗り運賃が410円に! タクシー業界はどう変わる?
2020年05月11日
東京都内でタクシー初乗り料金を下げる試みが2017年の8/5~9/15まで行われました。
対象は東京23区内、武蔵野市、三鷹市の営業区域で、今までの初乗り2kmから1.059kmまで引き下げて、730円から410円になります。
本日はこの初乗り料金の変更によってタクシー業界・タクシー運転手はどのように変わるのかを説明していきます。
初乗り距離短縮運賃のメリットは?
初乗り料金が安くなることで、高齢者や子育てをしている主婦らの買い物、通勤時に自宅から最寄り駅までの利用などに気軽にタクシーを使うことが見込めます。
国土交通省のシュミレーションによると、初乗り(2km以内)で下車してしまう利用者は、全体の約27%。
距離を短くして初乗り運賃を安くすることによって、更に手軽にタクシーを利用することができると考えられています。
今までタクシーを乗ったことが無い、もしくはほとんど使わない方の需要も増えるのではないでしょうか。
また、タクシーを2人以上で利用するのであれば、バスよりも割安になる可能性も高くなるため、複数人で利用する場合はタクシーを使う機会がさらに増えるでしょう。
これはタクシー運転手・乗客、どちらにとっても良いことですね。
初乗り距離短縮運賃のデメリットは?
初乗り410円の企画が浸透することによって、実際2km未満の乗客1人に対しての売上単価は減ってしまいますので、駅での付け待ちをメインで営業しているタクシー運転手にとっては、今回の新料金を危惧されている方もいるようです。
しかし、今回の初乗り価格の変更は決して単純な「値下げ」を意図したものではありません。
日本交通は今回の試みを「運賃の組み換え」という表現をしています。
例えば初乗り価格は410円になったとしても、それ以上の長距離を走る場合は値上がりをするケースがあるとのこと。
今までは490メートルの移動距離で80円の加算でしたが、今回の試みにより、237メートルごとに80円ずつ加算される運賃形態となりました。
タクシー利用者の約73%ほどの方が2km以上の目的地で利用され、中には1万円を超える利用をする方も数%いらっしゃいます。
このような長距離移動を目的としている乗客は現在の費用よりも値上がりすることになります。
タクシー業界の狙いと今後の未来は
今回のような試みを実行したタクシー業界の本当の狙いは「市場環境活性化」だといわれています。
2017年10月17日、国土交通省は40日間行われた、東京都内のタクシーで初乗り運賃を引き下げた新料金の実証実験の結果をまとめました。
日本在住の乗客に「毎月のタクシーを利用する回数が増えるか」というアンケートをとり、1万201人が回答。
「増加する」は60.0%、「変化はない」は29.7%、「減少する」は1.8%、「分からない」は8.5%という結果が出ました。
平均利用回数は増えそうで、国交省は「乗客は好意的」とみて、業界から申請があった都内の初乗り運賃の引き下げを年内にも認める方向のようです。
一方、外国人の乗客には価格が妥当かを聞き、167人が回答。
「安い」は36.5%、「妥当」は39.5%、「高い」は4.8%、「分からない」は19.2%だった。
外国人に関しても76%の方が好意的な印象を持っていると言えます。
新たなタクシーの利用者を促進することができること、2km以上の利用者の運賃は値上がりすることからも、タクシー運転手の売上・収入は増えることが予想できます。
今回の初乗り価格の引き下げによって、タクシーをより身近なものと捉えてもらい、より多くの乗客に利用してもらうことが大きな目的の1つ。
現在の東京のタクシー運賃は、海外と比べても初乗り金額が高いので、上記のアンケート結果からも、この部分を引き下げることによって日本に訪れている外国人の需要喚起などにもつなげることができます。
初乗り運賃の値下げが浸透することで、今までとは違った顧客層にも響く、より良いサービスになることが期待できますね。
すでに都内のタクシー会社265社がこの初乗り運賃の引き下げすることを国土交通省に申請しているそうです。
来年の本格導入を楽しみにしましょう。
木村
株式会社ピーアール・デイリー(厚生労働省認可 有料職業紹介事業許可番号13-ユ-305520)所属。入社17年目。P-CHAN TAXIのキャリアアドバイザーとして、多くのタクシー求職者を転職に導く、タクシー転職のプロ。日本全国のタクシー会社の営業も担当。
車の運転好きで、次の転職先はタクシー会社と決めている程、タクシーの仕事をこよなく愛しています!