個人タクシーは儲かる?法人タクシーとの収入の違いや稼げる人の特徴を解説
2025年06月13日
「個人タクシーを開業すれば儲かる」と言われています。その言葉を信じて個人タクシーの開業を目指す方もいれば、半信半疑の方もいるかと思います。
今回は個人タクシーと法人タクシーの収入の違いと、儲かる個人タクシードライバーの特徴について解説します。
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目次
儲かるって本当?そもそも個人タクシーとは
個人タクシーとは、法人のタクシー会社に属さずにタクシーの営業を行う個人事業主のことです。個人として営業許可を取得し、自身でタクシーの運営・管理を行います。
法人タクシーの場合、車両や提供するサービス内容は会社が決めるため、ドライバー個人が他のタクシー会社との差別化を図ることはできません。また、営業区域内でエリアを指定されることもあり、業務に関する裁量権の大部分をタクシー会社が持っています。
一方、個人タクシーは経営から管理、業務まで全て個人で行うため、自分の裁量で自由に決められます。ただし、営業区域については許可を得たエリアでなければ営業できません。また、個人タクシーの営業が行えない地域が一部あります。そのため、自分が働きたいエリアで個人タクシーの営業が行えるかは、事前に確認しておく必要があります。
個人タクシーの車両数は、令和5年3月時点において全国で約27,000台です。一方、法人タクシーの車両数は約170,000台のため、タクシーのおよそ13.5%が個人タクシーとなります(※)。
※出典:一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI TODAY in Japan 2024」(令和5年3月末時点)
個人タクシーは法人タクシーより儲かる?
個人タクシーのドライバーとして開業した場合、法人タクシーのドライバーと比べて儲かるのでしょうか?ここでは両者の違いについて収入と支出の面から見ていきます。
収入面での違い
まずは収入面での違いを見ていきましょう。表にすると以下のようになります。
個人タクシードライバーの平均年収 | 約340万円 |
法人タクシードライバーの平均年収 | 約420万円(※) |
地域によってばらつきはありますが、全体的な平均は表のようになります。個人タクシードライバーの場合、売上がほぼ年収とイコールになります。調子よく稼げればその分だけ儲かりますが、病気や怪我などで休んでしまった場合は、儲けがゼロになってしまい、保険などで穴埋めする必要があります。
一方、法人タクシードライバーの場合は、基本給に歩合給を上乗せするという形態をとっている会社が多いです。安定して稼ぎたいドライバーは基本給の割合が大きい会社を、どんどん稼いでいきたいドライバーは歩合給の割合が大きい会社を選ぶという傾向があります。
ほかにも法人タクシードライバーは賞与などがもらえるため、個人タクシーに比べると安定して稼げるというメリットがあります。
しかし、個人タクシーは創意工夫次第で法人タクシーよりも高い年収を手にすることができるという魅力があります。実際、個人タクシードライバーの中には1,000万円以上の年収がある人もいます。
※出典:一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会「令和5年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」
費用面での違い
次に、費用面での違いも見ていきましょう。こちらも表にまとめると、以下のようになります。
個人タクシードライバーの主な費用 | 法人タクシードライバーの主な費用 |
ガソリン代 駐車場代 車両維持費 車両修繕費 組合費 など | 原則なし ※制服代などの一部負担、事故時の自己負担が発生する場合あり |
個人タクシーの場合、営業に関わる費用はすべて自己負担になります。とくにガソリン代やタクシーの維持や修理などのメンテナンスにかかる費用の割合が大きいです。
法人タクシードライバーの場合は、社会保険料や年金は会社が一部負担してくれますが、個人タクシードライバーの場合は全額自分で支払わなければなりません。
また開業にあたってタクシーを購入したり、車庫やその他の設備を用意したりと、初期投資のための資金が必要になります。
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個人タクシードライバーとして開業する条件
個人タクシードライバーとして開業するためには、普通自動車二種免許の取得以外にも条件があります。ここでは、下記の種類別に詳しい条件について解説します。
- 年齢・経験に関する条件
- 法令に関する条件
年齢・経験に関する条件
タクシードライバーは、年齢によって開業の条件が異なります。年齢ごとの条件は下記の通りです。
年齢 | 経験 |
35歳未満 | ・申請する営業区域で10年以上タクシーまたはハイヤードライバーとして働いていること |
35〜40歳未満 | ・申請する営業区域で職業ドライバーとして10年以上働いていること(ただし、タクシーまたはハイヤードライバー以外の職業は、働いていた期間を50%に換算する) ・タクシーまたはハイヤードライバーとして通年で5年以上の経験があること・タクシーまたはハイヤードライバーとして3年以上継続して勤務していた実績があること |
40〜65歳未満 | ・申請日以前の25年間のうち職業ドライバーとして10年以上働いていること(ただし、タクシー・ハイヤードライバー以外の職業は、働いていた期間を50%に換算する) ・申請する営業区域で申請日以前3年以内に2年以上タクシー・ハイヤードライバーとして働いていること |
個人タクシードライバーとして開業するには、タクシー・ハイヤードライバーとして働いていた実績が必要です。そのため、必ずタクシー会社に所属してドライバーとしての経験を積む必要があります。
35歳以上になると条件が少し緩和され、タクシー・ハイヤードライバー以外の職業ドライバーの経験も加味されます。年齢が高くなるにつれて、タクシー・ハイヤードライバー以外の運転業務も評価されるようになり、開業へのハードルが少し下がる仕組みです。
そのうえで、タクシー・ハイヤードライバー以外の職歴を含めて個人タクシーを開業したい場合は、50%換算された勤務年数で要件を満たせるかどうか、事前に確認しておくことが必要です。
法令に関する条件
個人タクシードライバーとして開業するには、法令に関する条件も満たしている必要があります。法令に関する条件とは、主に下記のようなものです。
- 過去5年間で免許取り消し処分を受けていないこと
- 過去に免許取り消し処分を受けていた場合は、申請日から5年前の時点で処分期間が終了していること
- 申請日以前の3年間及び申請日以降に反則金の納付・反則点を課されていないこと(ただし、申請日の1年前以前で反則金の納付のみ、または反則点1点を課されていた場合は処分を受けていないものとみなす)
基本的に、免許停止処分や大きな事故を起こしてから年数が経過していない場合は個人タクシーの開業はできません。タクシードライバーは、自分だけではなく乗客の安全にも細心の注意を払う必要があるためです。そのため、過去に違反や事故など重大な過失がある場合は、開業が制限されます。
法人とは違う個人タクシーならではの業務内容
個人タクシードライバーは、運転以外にも以下のような業務を行う必要があります。個人タクシーならではの業務としては下記が挙げられます。
- 車両の購入・整備管理
- 運行管理
- クレームやトラブルなどの顧客対応
- 確定申告などの税務処理
営業だけではなく事務処理も行わなければならなくなるため、開業当初は忙しいと感じることも多いでしょう。日々の車両の管理は法人タクシードライバーでも必要ですが、個人タクシードライバーは車検などの法定点検対応も行わなければなりません。
特に法的な手続きは、期限を過ぎると罰則が課せられたり余計な手間が増えてしまったりします。そのため、きちんと遂行すべき業務を把握して一つひとつのタスクを処理する必要があります。
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個人タクシーで儲かるドライバーの特徴
個人タクシーで儲けるポイントは、勤務時間や場所、サービス内容など、法人タクシーに比べて自由度が高いというメリットを活かすことです。創意工夫を凝らして、法人タクシーにも他の個人タクシーにもない魅力を感じてもらうことで、乗客に選ばれる個人タクシーになれるのです。
儲かる個人タクシードライバーの特徴としては「乗車回数が多い」「固定客で回せる」「他のタクシーとの差別化ができている」「人柄が良い」「柔軟に対応できる」の5点があげられます。
乗車回数が多い
たくさんの乗客が確保できる時間帯や場所を把握し、そこで営業することで1日あたりの乗車回数を増やして売上をアップさせられます。
例えば、深夜の駅周辺を走らせれば残業やイベントなどで終電を逃した人たちを乗せることができ、乗車回数を多くすることができます。1日あたりのタクシーの平均乗車回数は約30回と言われています。乗車回数を約2割増やすだけでも、売上が数万円アップします。
固定客で回せる
タクシーを運転していると、同じ乗客が何度か利用することがあります。そのような乗客の顔を覚えておき、傾向や好みを把握してサービスを提供することで、固定客になってもらえます。
例えば、QRコード決済で毎回運賃を支払う乗客がいたとします。他のタクシードライバーがもたつく中で、自分だけが素早く決済をスムーズに行えるようにしていれば、「このタクシーを使うようにしよう」と思ってもらえます。
このように、固定客を増やしていくことで安定して収入を得られます。法人タクシーで言うところの基本給のような収入を確立した上で、乗車回数を増やしていけるとなお良いです。
他のタクシーとの差別化ができている
法人タクシーにはできないような独自のサービスを提供することで、他のタクシーとの差別化ができ、乗客から選ばれるタクシーになっていきます。
例えば、ドリンクサービスやカラオケなど、乗客が楽しめるサービスを独自に提供することで乗客の心をつかむドライバーがいます。手間や費用はかかりますが、成功すればそれを補って余りあるほど儲けることができます。
人柄が良い
人柄が良く、丁寧な接客や誠実な対応ができるドライバーは、「またこの人にお願いしたい」と思われやすく、自然とリピーターが増えていきます。
例えば、話しかけ方が柔らかく、程良い距離感を保てるドライバーは、高齢者や女性の乗客から支持されやすい傾向があります。定期的に利用する病院通いや買い物などで、指名を受けることも珍しくないでしょう。
「あの人なら安心」「感じが良いからまた乗ろう」という信頼を得られれば、競争の激しいエリアでも継続的に仕事を得やすくなり、結果として安定した収入を得られるようになります。
柔軟に対応できる
個人タクシードライバーは、柔軟に対応できる人ほど儲けやすいです。状況に合わせて働く時間を調整したり独自のアイデアで法人タクシーと差をつけたりすることで、法人タクシー以上に稼ぐことも可能でしょう。
法人タクシードライバーの場合、サービス内容や営業方法など、自ら考案しても一度会社に確認を取る必要があります。実際に業務に落とし込むのに時間がかかったり、却下されたりすることもあるでしょう。
一方、個人タクシードライバーであれば、考案したことをすぐに実践できます。新たな取り組みの効果を評価しながら改善を重ねることで、業務の効率化を迅速に図ることが可能です。
個人タクシーで儲からないドライバーの特徴
儲からない個人タクシードライバーの特徴としては、「闇雲にタクシーを走らせる」「クレームが多い」の2つが挙げられます。
闇雲にタクシーを走らせる
乗客を増やす工夫をしないまま何となくタクシーを走らせているドライバーは売上を伸ばせません。
「いつどこでタクシーを走らせれば良いか」「自分ならどのような場面でタクシーがあれば嬉しいか」など、常に乗客の立場になって考え業務に取り組む必要があります。
クレームが多い
接客態度が悪い、運転が雑、タクシー内の環境が悪いなどの問題があるタクシードライバーはクレームをもらいやすいです。口コミなどで悪いイメージが広がることで、新規の乗客を獲得しづらくなります。
またドライバー自身もクレームが怖くなってしまい乗客を乗せづらくなるため、儲けるのは難しくなります。クレームをもらわないようにするためにも、乗客の立場になって考えてみることが大切です。運転や接客、社内環境を見直す良い機会になることでしょう。
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個人タクシーで儲かるための3つのポイント
個人タクシーで儲けるには、ただ闇雲に営業するのではなく下記のポイントを意識することが大切です。
- 無駄な走行を控える
- 配車アプリを活用する
- 協同組合に加入する
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
無駄な走行を控える
個人タクシーで稼ぐためには、無駄な走行を控えることが重要です。個人タクシーはガソリンや車両の維持にかかる費用も自分で負担しなければならないためです。
無駄な走行が増えてしまうと、その分ガソリンを消費してしまい車両にも負荷がかかります。無駄な走行を抑えるには、下記のような営業方法がおすすめです。
- 付け待ち営業
- 配車営業
できるだけ効率良く走行できるように、状況に応じてさまざまな営業方法を取り入れましょう。
配車アプリを活用する
配車アプリを利用することで、個人タクシーでも効率良く乗客を獲得できます。
個人タクシーでも配車アプリのシステムの利用は可能です。ドライバーが配車アプリに登録すると、乗客がアプリ上で個人タクシーを選択できるようになります。近年、配車アプリを通してタクシーを利用する人が増えているため、個人タクシーでも配車アプリの集客力は収入に大きく貢献するでしょう。
ただし、配車アプリを利用すると手数料がかかる点には注意が必要です。経営方針や営業状況に合わせて、導入を検討しましょう。
協同組合に加入する
協同組合へ加入すると、コスト削減や顧客獲得がしやすくなるため、結果的に収入の安定や増加が期待できます。協同組合とは、個人タクシー事業者が相互扶助体制を図るための団体です。
協同組合へ加入すると、下記のようなメリットがあります。
- 燃料や車両の共同購入
- 無線配車による顧客獲得
- 貸付金や共済事業の利用
- 事故対応サポート
- 各種講習会への参加
経費削減や営業効率の向上のほか、ベテランの個人タクシードライバーからノウハウを学ぶこともできます。少しでも営業力を高めたい場合は、協同組合への加入を検討すると良いでしょう。
個人タクシーで儲かるためには実績を積むことが大切
個人タクシーのドライバーは儲かる可能性がある仕事ですが、いきなりなれるものではありません。まずは法人タクシーのドライバーとして10年以上、同じタクシー会社で勤務して経験を積まなければなりません。
しかし、法人タクシードライバーとして仕事をしていくうちに、運転技術や接客能力、稼ぐためのノウハウが身についていきます。年収が高い会社であれば、開業資金の準備も進めやすいです。
そして個人タクシー開業の条件である10年以上を法人タクシー運転手として勤務し続けるためには、年収や働きやすさなど、希望する条件にあったタクシー会社を選ぶ必要があります。
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P-CHAN TAXI編集部
木村
株式会社ピーアール・デイリー(厚生労働省認可 有料職業紹介事業許可番号13-ユ-305520)所属。入社17年目。P-CHAN TAXIのキャリアアドバイザーとして、多くのタクシー求職者を転職に導く、タクシー転職のプロ。日本全国のタクシー会社の営業も担当。
車の運転好きで、次の転職先はタクシー会社と決めている程、タクシーの仕事をこよなく愛しています!
この記事の運営者:P-CHAN TAXI