ゲームクリエイターとは?
ゲームクリエイターとは、コンピュータゲームのソフトやアプリの制作に携わる人を指す言葉です。
企業では企画・音楽・シナリオ・キャラクターデザイン・プログラミングなど、それぞれの役割に特化した専門家が協力して一つのソフト・アプリを作り上げています。そのため一口にゲームクリエイターと言っても、仕事内容は多岐に渡ります。
ゲーム業界に興味がある方は、「ゲーム業界とは?市場規模や仕事内容、平均年収や今後の動向も紹介」も読んでみてください。
ゲームクリエイターの仕事内容
ゲームクリエイターの主な仕事内容は、大きく分けて次の8つです。
- プロデューサー
- ディレクター
- ゲームプランナー
- デザイナー
- シナリオライター
- プログラマー
- サウンドクリエイター
- デバッカー・テスター
プロデューサー
プロデューサーは予算・スケジュール・人員編成などを管理し、ゲーム開発に関するプロジェクトを統括する人です。
プロジェクト規模が大きいほど多くのスタッフが稼働するため、社内外問わず連携をとるためのコミュニケーション能力や、滞りなく進めるための調整力が求められます。
プロデューサーを務めるには幅広い知識が必要なので、ディレクターやゲームプランナーなど、他の職種で経験を積んだ人が選出されるのが一般的です。
ディレクター
ゲームディレクターは、開発現場のリーダーを務める人です。プロジェクト全体を統括するプロデューサーに対して、ディレクターはゲーム制作の現場を担当します。
現場でゲームを制作するために必要な人員を集めスケジュール管理を行い、完成へと導くのがディレクターのミッションです。入社していきなりディレクターを任されることは少なく、何年も下積みを積んだ人が携わります。
ゲームプランナー
ゲームプランナーは、新しいゲームを作るときに必要な企画書や仕様書を作成する人です。 ゲームに登場するキャラクターや画面レイアウト、シナリオ作成など細かい部分の設定に携わります。
ゲームプランナーはプロデューサーやディレクターとコミュニケーションを取りながら、ゲームスポンサーの要望も反映させなくてはなりません。ゲームへの深い知識やセンスが問われる仕事です。
デザイナー
デザイナーは、ゲームに登場するキャラクターや背景、画面をデザインする人です。
ゲーム業界にはさまざまなデザイナーが存在し、次のように仕事内容は細分化されています。
- 2D/3Dデザイナー
- キャラクターデザイナー
- モーションデザイナー
- エフェクトデザイナー
- UIデザイナー
ゲームの規模によりますが、他の職種に比べて多くの人員が必要となるので、新卒でも比較的就職しやすいと言われています。
デザイナーに興味がある方は、「デザイナーとは?種類や仕事内容、取得すべき資格や年収を紹介」も読んでみてください。
シナリオライター
シナリオライターは、ゲームのストーリーや展開を考える人です。物語の本筋だけでなく、キャラクターの性格やセリフなど幅広く考えを巡らさなければなりません。
シナリオはゲームの評価に関わる重要な要素の一つで、特にRPGやサウンドノベルジャンルにおいて欠かせないポジションだと言えるでしょう。物語を考える発想力、キャラクターのセリフを考える柔軟性など、高いスキルとセンスが求められます。
プログラマー
プログラマーとは、企画や仕様に合わせてゲームが正しく動くようにプログラムを組む人です。単にプログラミングだけでなく、企画立案や仕様の決定、開発まで幅広く業務に関わる場合もあります。
細かな作業や不具合のないプログラミングが求められるため、多くの人材を必要としている職種です。一方、ゲーム制作に携わるプログラマーには即戦力が求められており、実績のある人が採用される傾向にあります。
サウンドクリエイター
サウンドクリエイターは、ゲーム内で流れる音楽(BGM)の作成を行う人です。ゲーム内で使われるメインテーマやBGMに加え、効果音も作成します。
現在では「ゲーム音楽」という独自のジャンルも生まれ、コンサートが開催されるなど、サウンドクリエイターがアーティストのように扱われることもあります。ユーザーの記憶に残るようなBGMを生み出せば、ゲームの評価も高くなるでしょう。
デバッガー・テスター
デバッガー・テスターは、ゲームのテストプレイ(デバック作業)を行ってミスや不具合(バグ)を探す人です。デバッグ作業はゲームの仕様書に基づいてプレイする方法と、自由にプレイする方法があります。
「ゲームをしながら給料がもらえる」という面で、憧れる就活生が多い職種です。しかし実際はバグを見つけるために長時間拘束される作業も多く、根気と体力がなければ続けられない仕事だと言えるでしょう。
ゲームクリエイターに必要なスキル
ゲームクリエイターに必要なスキルは、大きく分けて次の5つです。
- プログラミングスキル
- デザインスキル
- マーケティングスキル
- マネジメントスキル
- コミュニケーション力
ただし全てが必要ということではなく、ゲームクリエイターの場合はポジションによって必要なスキルが異なります。
プログラミングスキル
ゲーム制作に携わるゲームクリエイターには、プログラミングスキルが必要です。具体的にはC言語、Java、Python、PHPといった言語があります。
デザイナーやプランナーであれば、直接プログラミングを実施する機会はありません。しかしどの言語がどのような仕組みで機能しているのかを理解することで、より良いチームワークを築けるでしょう。
近年は「Unity」が主流で、プログラミングに関する知識が少ない人でも利用しやすい開発環境も用意されています。
デザインスキル
ゲームクリエイターには、デザインスキルが求められます。魅力的なキャラクターや世界観を演出する背景をデザインすることで、ゲームのクオリティを格段に向上させられるからです。
デザイナー初心者のうちは、2Dグラフィックの制作ソフトである「Adobe Photoshop」と「Illustrator」、3DCG制作ソフトの「Maya」などの使い方をマスターすることが求められています
マーケティングスキル
プロデューサーやディレクターの場合は、ユーザーや市場のニーズ、時代の流れを敏感に察知するマーケティングスキルが求められます。売れるゲームを企画するために、どんな作品がヒットするのか予測する力が問われるからです。
マーケティングスキルは、実際にゲーム業界で働いてみないとなかなか身につくものではありません。しかし日ごろから「なぜこのゲームは人気があるのか」という考えを巡らせ続けるだけでも、マーケティング思考に近づけるでしょう。
マネジメントスキル
プロデューサーを目指すゲームクリエイターには、マネジメントスキルが求められます。プロジェクトを始めるにあたって、予算やスケジュール、人員編成などを細かく管理しなければならないからです。
スケジュール通りにプロジェクトを進められるかどうかが、統括であるプロデューサーの手腕にかかっていると言えるでしょう。
コミュニケーション力
ゲームクリエイター全般に言えることですが、いずれにおいても高いコミュニケーション力が求められます。ゲームクリエイターは、異なる役割を持つ人とも相互理解や意思疎通を図る必要があるからです。
コミュニケーションを取りながら仕事を進められると、情報の行き違いや作業の遅延などのトラブルが発生しづらく、ゲーム制作も円滑に進められるでしょう。
ゲームクリエイターの仕事に活かせる資格
ゲームクリエイターの仕事に活かせる代表的な資格は、次の3つです。
- 情報処理技術者試験
- Photoshop®︎クリエイター能力認定試験
- CGクリエイター検定
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験は、ITに関する知識や技術を客観的に評価する試験です。
ゲームクリエイターに関する情報処理技術試験は、3つの区分に分けられます。
区分 | 概要 |
基本情報技術者試験 | 出題範囲にプログラミング言語が含まれるプログラマー向けの能力認定試験。 その他システムの開発と運用、ネットワーク技術など幅広い範囲から出題される。 |
応用情報技術者試験 | ITに関する技術面に加えて、マネジメントや経営戦略についての設問が出題される。 基本情報技術者試験の次に目指す試験区分として認知されている。 |
ITパスポート | 情報処理技術者試験の中では最も難易度が低い試験。 基本情報技術者試験・応用情報技術者試験と同じ範囲から出題されるが、より基礎的な内容であるため、初心者でも受験しやすい。 |
ゲームプログラマーを目指すなら、「基本情報技術者試験」と「応用情報技術者試験」がおすすめです。
また「ITパスポート試験」は受験ハードルが低くITの基礎が学べるため、ゲームプログラマー以外の業種・職種でも取得する価値の高い資格として知られています。
参考:情報処理推進機構「情報処理技術者試験」
Photoshop®︎クリエイター能力認定試験
ゲームデザイナーを目指す人には、Photoshop®︎クリエイター能力認定試験がおすすめです。
Photoshop®︎クリエイター能力認定試験は、画像編集ソフトのPhotoshopに関する知識や、それを駆使したコンテンツ制作能力を問う試験となっています。取得できればPhotoshopを使いこなすことができ、より高度なパフォーマンスやスピーディーな作業ができる証明となります。
実際にゲームCGの制作にはPhotoshopが使われることが多く、求人に際してPhotoshopが使いこなせることを前提とする企業も多数です。
参考:サーティファイ「Photoshop®クリエイター能力認定試験」
CGクリエイター検定
CGクリエイター検定は、2DCGと3DCG制作の知識が問われるCGデザイナー向けの資格です。CGに関する基礎的な知識を問うベーシックと、3DCGと映像に関する専門的な知識について出題されるエキスパートの2種類が存在します。
取得すれば映像表現技術やCG理論の知識、CGソフトウェアを活用したCG制作の能力があることを証明できるでしょう。
なおCGクリエイター検定は3Dソフトがあれば独学での習得も目指せる資格であり、「Blender(ブレンダー)」や「Metasequoia(メタセコイア)」といった無料ソフトでも学習できます。
参考:公益財団法人画像情報教育振興協会「CGクリエイター検定」
ゲームクリエイターに向いている人
ゲームクリエイターに向いているのは、次のような人です。
- ゲームが好きな人
- 好奇心が旺盛な人
- 人との繋がりを大切にできる人
- 体力がある人
ゲームが好きな人
実際にゲームをプレイするなかで「こんなゲームがあったら楽しいのに」という気持ちが生まれる人は、ゲームクリエイターとしての素質があるでしょう。遊ぶ側から作る側に回ることで、ゲームに関するさまざまなアイデアが生まれます。
実際に有名なゲームクリエイターにも、子どもの頃からゲームが好きだという人は数多くいます。
好奇心が旺盛な人
好奇心が旺盛な人は、ゲームクリエイターに向いています。さまざまなことに興味を持てば想像力も膨らみ、多くの人に面白いと思ってもらえるゲームを生み出せるからです。
ゲームをプレイするだけでなく、日ごろからさまざまな雑誌・書籍を読むこと、また絵画等の芸術作品や大自然に触れるのが好きという人はゲームクリエイター向きでしょう。ゲーム以外で養った感性も、ゲーム制作に活かせます。
人との繋がりを大切にできる人
人との繋がりを大切にできる人は、ゲームクリエイターに向いています。プロジェクトを進める中では、常に声を掛け合いながらの報告・連絡・相談が求められるからです。
特にプロデューサーやディレクターは、相手の進捗はどうなのかを把握し、自分の作業状況も考慮しながら納期に間に合わせることが重要となります。
全て上手く意思疎通を取ることは難しいですが、少なくとも人と衝突してばかりでは仕事にならない職種であると言えるでしょう。
体力がある人
体力に自信がある人は、ゲームクリエイターとして長く働けます。納期直前には長時間作業になることも多く、時には過酷な環境の中で働かなければならないからです。
ゲームクリエイターは体調管理をしっかりとしながら、根気強く自分の仕事と向き合っていける姿勢が必要な仕事と言えるでしょう。
ゲームクリエイターに向いていない人
一方でゲームクリエイターに向いていないのは、次のような人です。
- 時間管理が苦手な人
- 想像力に自信のない人
- 残業をしたくない人
時間管理が苦手な人
時間管理が苦手な人は、ゲームクリエイターに向いていません。特に繁忙期は、膨大なタスクを時間管理しながらこなす必要があるからです。
余裕を持って業務を進めなければ、スケジュール遅延の原因にもなってしまうでしょう。
想像力に自信のない人
想像力が不足している人は、ゲームクリエイターに向いていません。ゲームクリエイターは他人の指示に従って業務をこなすのではなく、自らアイディアを生み出す必要があるからです。
想像力が乏しければ、職場で「何をしたらいいかわからない」という事態に陥ってしまうかもしれません。
「もし〇〇だったら面白いんじゃないか」「〇〇と言うと相手はどんな反応を示すだろう」など想像力を働かせる習慣がないと、ゲームクリエイターとして力を発揮できない可能性があります。
残業をしたくない人
あまり残業をしたくない人は、ゲームクリエイターには向いていません。特に繁忙期は、スケジュールに間に合わせるために残業をせざるを得ない状況が発生するからです。
また仕事外でも情報収集を行ったり企画のアイデアを練ったりと、プライベートとの線引きが難しい場面も少なくありません。
ゲームクリエイターの将来性
ゲームクリエイターの将来性について、次の2つの観点で紹介します。
- VRなどインタラクティブ性の高いゲームが開発されていく
- クリエイター向けの学習環境が整い始めている
VRなどインタラクティブ性の高いゲームが開発されていく
技術の発展によってVR(バーチャル・リアリティ)が生まれ、インタラクティブ性(対話的・相互作用的)の高いゲームが開発されています。
例えばVRの技術を使えば、あたかも同じ空間内で他人と交流するようなゲームも実現可能です。5Gの普及で高速・大容量通信が実現することも、インタラクティブ性の高いゲーム開発への追い風です。
時代に合わせて進化を続けるゲーム業界で活躍するクリエイターは、今後ますます需要が拡大するといっても過言ではないでしょう。
クリエイター向けの学習環境が整い始めている
近年はゲームクリエイター向けの学習環境が整い始めていて、優秀な人材の輩出が期待されています。
一部ですが、現在展開されているゲームクリエイター向けの学習環境は次のとおりです。
提供元 | 講座名 | 概要 |
N高等学校・S高等学校 | 全国どこからでもプログラムを作る力が身につけられる、オンラインプログラミング教室。 初心者、中級者、上級者に分かれており、レベル別での受講が可能。 | |
デジハリONLINE | ゲームエンジンの一つ「Unity(ユニティ)」の使い方が学べる講座。 C#スクリプトの基礎を学び、3D空間を歩いてミッションをクリアするゲームが制作できる。 | |
ゲームエンジンの一つ「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」の使い方が学べる講座。 「ブループリント」を駆使して、横スクロールのゲームを実際に構築できる。 | ||
TECH STADIUM | 大手ゲーム会社現役ベテランプランナーによる育成講座。 実際のプランナー業務体験を通じ、未経験でも必要とされるプランナーになるためのスキルが得られる。 | |
XRエンジニアによる、実社会で役立つ技術と創造力が身につく講座。 VR用コンテンツを作るための基本知識が学べ、Unityを使いVRゲームが作れる。 |
オンライン講座に対応しているものも多く、今後は未経験からでもゲームクリエイターを目指せる環境が整うと予想されます。
ゲームクリエイターの年収や給料事情
ゲームクリエイターとして働く正社員とアルバイト・パート、派遣社員の給与は次のとおりです。
勤務形態 | 年収・時給 |
正社員 | 年収498万円 |
アルバイト・パート | 時給1,876円 |
派遣社員 | 時給1,049円 |
出典:求人ボックス給料ナビ「ゲームクリエイターの仕事の年収・時給・給料」
総務省統計局の「家計調査」によると、国内全体の平均年収は433万円です。正社員として働くゲームクリエイターの平均年収498万円は、比較的高い傾向にあると言えるでしょう。
有名ゲーム制作に携わるトップクリエイターなら、年収1,000万円以上も目指せます。