商品企画

商品企画とは?仕事内容や年収、向いている人の特徴について解説

商品企画とは?

商品企画とは、一言で言えば「こんなのあったらいいな」というアイデアを商品やサービスとしてこの世に生み出す職種です。

雇い主から見れば、商品企画は「ヒットを生み出す仕掛け人」であり、商品企画の部署にはヒット商品への大きな期待がかかります。企画した商品がヒットすれば、その商品は企業の主力商品として売上や利益を今後も生み出してくれる可能性が高いからです。

一方、消費者としても、商品企画から受ける恩恵は大きいと言えます。なぜなら、商品企画は既存商品に対する不満をリニューアルによって解消したり、これまで想像もしなかったような斬新な商品を、この世に生み出したりしてくれるからです。

商品企画と商品開発の違い

商品企画とよく混同される職種の一つに、商品開発が挙げられます。

商品企画と商品開発の最大の違いは、「イメージと商品、どちらを作り上げるか」です。

商品企画が「あいまいなイメージを掘り下げて具体的なイメージに仕上げる」のに対し、商品開発は「商品イメージをもとに実際の商品を完成させる役割」を果たします。

商品企画が考える対象はあくまでイメージ(想像上の産物)に過ぎませんが、商品開発が考える対象は実物(実際の商品)であることが特徴です。商品企画と商品開発は求められる役割が異なるものの、互いに協力し合うことで優れた商品作りを目指しています。

商品開発に興味がある方は、「商品開発とは?仕事内容や年収・給料、取得すべき資格などを紹介」も読んでみてください。

商品企画とマーケティングの違い

マーケティングも商品企画とよく混同される用語の一つです。

そもそも、マーケティングとは「物を売るための仕組み作り」を意味し、マーケティング職とは「物を売るための仕組み作りに関わる仕事」のことを指します。そのためマーケティングには、市場調査から企画・開発・販売促進まで幅広い業務が含まれるのが特徴です。

業務のどこまでを商品企画やマーケティングに任せるかは、企業によって異なります。市場調査または販売促進、どちらか一方のみをマーケティングに任せる企業もあれば、両方を任せる企業もあります。また、商品企画がマーケティングを兼任することも多いです。

商品企画の仕事内容と流れ

商品企画の仕事内容は、おおまかに以下の流れで進みます。

  1. 消費者のニーズを分析する
  2. 商品イメージを具体的に固める
  3. 商品化について社内の承認を得る
  4. 試作品を作って商品を完成させる
  5. 販売・広告方法を検討・打ち合わせする

ここからは、商品企画の一般的な仕事内容を紹介します。

①消費者のニーズを分析する

新商品開発や既存商品のリニューアルを手がける商品企画にとって、はじめにやるべき作業は消費者のニーズを分析することです。

消費者のニーズは、SNSへの書き込み内容や店舗への視察、街頭インタビュー、試作品への反応などで把握できます。また、直接顧客と接している営業担当から意見を吸い上げることでも、既存商品の不満や改善希望点を探れます。

さらに、社会情勢や競合他社の状況も加味し、「今消費者が求めているのはどんな商品なのか」を絞り込んでいくのが大切です。

②商品イメージを具体的に固める

消費者のニーズを具体的に絞り込めたら、次に商品イメージを具体的に固める作業に移ります。

ここでは、曖昧でぼんやりとしたイメージをくっきり明確なイメージに仕上げるのが目的です。以下のようにさまざまな角度から問いを投げかけながら作業を進めると、イメージをつかみやすくできます。

  • 誰が使う?
  • どのように使う?
  • いくらで売る?
  • どんな場面で使用する?
  • どんなデザインにする?
  • ライバルより優れている点は?

その他、ライバル他社商品から自社商品の改善点を取り入れたり、または自社が強みとする技術を活かした新商品を検討したりするのも一つの方法です。

このとき大切なのは、実現の可能性が高い商品イメージに仕上げることです。いくら優れたアイデアでも商品化できなければ、企画の意味はありません。実現の可能性も考慮するなら、以下の条件も検討しておく必要があります。

  • 自社の技術だけで作れる範囲はどこまで?
  • 新たに技術開発するならいつまで?
  • 外注はできる?

③商品化について社内の承認を得る

商品イメージが具体的に固まったら、いよいよ商品化について社内の承認を得る段階に移ります。

実は商品企画の仕事は、いつでもスムーズに企画が通るわけではありません。商品化は社内の承認を得てはじめて実現するため、プレゼンテーションを突破することが、商品企画にとって1つの山場であると言えます。

プレゼンテーションの場では、商品化に関わる以下の関係者が集まります。

  • 商品開発:商品イメージから実際の商品を完成させる
  • 営業:完成した商品を顧客に提案して売上につなげる
  • 販売促進:広告・宣伝によって商品の認知度を高める
  • 経営陣:商品企画における最終責任を負う

そのため、これら異なる立場の人々を納得させられるだけの根拠のある説明が必要です。「コストはいくらかかる?」「利益はいくら出せる?」といった問いに対しても、理路整然と説明することが求められます。

④試作品を作って商品を完成させる

無事に商品化の承認を得たら、次に行うのが試作品を作って商品を完成させることです。

この作業を実際に行うのは商品開発ですが、商品企画が兼務する形で作業を進めることもあります。試作品では実際に使用感を試し、問題があれば改良を繰り返して消費者ニーズに近づけていきます。

またこの時点で、商品だけでなく、パッケージデザインなど商品販売に必要な付属品もすべて完成させなければなりません。

モニターやテスト販売などを活用して消費者ニーズを取り入れると、より完成度の高い商品に仕上がります。試作品が完成したら、商品製造に移ります。

⑤販売・広告方法を検討・打ち合わせする

試作品が完成したら、最後に行うのが販売・広告方法の検討・打ち合わせです。営業や販売促進などの部署と打ち合わせを行い、商品販売に向けて効果的に商品をアピールする方法を検討します。

商品アピールには、テレビCMやWEB広告、新聞広告、商品発表会の開催などさまざまな方法があります。企画する商品やサービスによってターゲット層が異なるため、ターゲットに合った広告方法を見極めることが大切です。

商品企画に向いている人

これまで紹介してきた特徴や仕事内容から、商品企画に向いているのは以下の特徴に当てはまる人です。

  • 「こんなのあったらいいな」を考えるのが好きな人
  • トレンドや世の中の動きに敏感な人
  • 相手の目線に立った言動を心がけられる人
  • 物事を誰にでもわかりやすく表現できる人
  • 物事を客観的に分析し冷静な状況判断ができる人

「こんなのあったらいいな」を考えるのが好きな人

「こんなのあったらいいな」を考えるのが好きな人は商品企画に向いています。なぜなら商品企画は、まだ世の中には存在しない潜在ニーズを発掘して商品化する仕事だからです。

消費者は必ずしも、自分の要望や不満を具体的な形で伝えてくれるわけではありません。むしろ、消費者自身が気づいていない潜在ニーズにこそ、爆発的ヒットにつながるヒントが隠れています。

時代の一歩先を読み、常識にとらわれない柔軟な発想ができれば、そのアイデアを商品企画に大いに活かせる可能性が高まります。

トレンドや世の中の動きに敏感な人

トレンドや世の中の動きに敏感な人も商品企画に向いています。その理由は、消費者のニーズはトレンドや世の中の動きに合わせ刻々と変化していくからです。

消費者のニーズを商品化する商品企画において、トレンドを押さえておくことは基本中の基本と言っても過言ではありません。トレンドや世の中の動きに敏感な人なら、時代の流れに合ったアイデアを商品企画の仕事に活かすことができます。

相手の目線に立った言動を心がけられる人

相手の目線に立った言動を心がけられる人も商品企画に向いています。

なぜなら、アイデアが実際に商品化されるまでには、商品開発から営業、販売促進、小売業者、消費者モニターまで異なる立場の人々の協力が不可欠だからです。これらの人々から快く協力を引き出すためにも、相手の目線に立った言動を心がける必要があります。

物事を誰にでもわかりやすく表現できる人

物事を誰にでもわかりやすく表現できる人も商品企画に向いています。商品企画にとって社内の承認を得るプレゼンテーションは仕事の山場であり、自身の企画が通らなければ企画する意味がなくなってしまうからです。

また商品企画がプレゼンする内容は、あくまで「商品イメージ(想像上の産物)」に過ぎません。世の中にまだ存在しない潜在ニーズを説明するには、聞き手が頭の中でイメージできるような説明が必要です。

抽象的な説明に終始しないためにも、できるだけ具体的にわかりやすく、企画内容を説明することが求められます。

物事を客観的に分析し冷静な状況判断ができる人

物事を客観的に分析し、冷静な状況判断ができる人も商品企画に向いています。個人的な思い込みや技術者のこだわりを商品企画に持ち込むと、商品化後に失敗してしまうリスクが高まるからです。

商品化後に期待通りの成果が得られないのは、消費者ニーズがないにもかかわらず商品を作り上げてしまうことが原因とも考えられます。

仮に目新しさから一時的な利益だけを生み出しても、長期的に見れば良い結果を生みません。商品企画が企業に長期的に利益をもたらすには、思い込みやこだわりに左右されず、客観的な分析に基づいて冷静に企画の方向性を検討する必要があります。

商品企画に向いていない人

逆に、商品企画に向いていないのは、次の特徴に当てはまる人です。

  • プレッシャーに弱い人
  • 地道な作業が苦手な人
  • 自分の考えに固執しやすい人

プレッシャーに弱い人

プレッシャーに弱い人は商品企画に向いていない可能性があります。なぜなら商品企画は、企業にとって多くの人員や時間、予算を投入して行う一大プロジェクトであり、成功への大きな期待がかかっているからです。

成功すれば企業に大きな利益をもたらしますが、失敗すれば企業に損失を与え、責任を追求される可能性も否定できません。そのため、商品企画は「ヒットさせなければならない使命」を抱えて日々仕事をこなしているとも言えます。

地道な作業が苦手な人

地道な作業が苦手な人も商品企画に向いていない可能性があります。商品企画と言えば、「ひらめきと発想で仕事をする」といった華やかなイメージを持つ人も多いです。しかし、商品企画の現場から見ると、少なからずイメージとギャップがあると言えます。

商品企画に求められるのは、何よりも「売れる商品」を企画することです。そのためには、正確に消費者ニーズを把握することが重要であり、市場動向調査や消費者ニーズ分析などの地道な作業をこなすことが欠かせません。

「優れた商品企画の陰には地道な作業がある」という事実を知っておきましょう。

自分の考えに固執しやすい人

自分の考えに固執する人も商品企画に向いていない可能性があります。その理由は、商品企画がスタートして実際に商品化されるまでには、多くの人の協力が必要だからです。実際に商品企画の仕事には、立場の異なる人と意見をすり合わせる場面が数多く存在します。

自分の企画にプライドを持つことは大事ですが、自分の考えに固執しすぎると業務が滞る原因を作ります。そもそも、はじめから完璧な商品企画を作るのは不可能に近いでしょう。

自分の考えを押し通すより、異なる立場の人のアドバイスを受け入れながら調整していく方が、企画は進めやすいです。

商品企画の年収や給料事情

商品企画職の年収

商品企画として働いた場合の年収や給料事情についても、確認しておきましょう。

勤務形態

年収・時給

正社員

年収414万円

アルバイト・パート

時給992円

派遣社員

時給1,599円

出典:求人ボックス給料ナビ「商品企画の仕事の年収・時給・給料

国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、全国における正社員の平均年収は508万円です。商品企画の平均年収414万円は、それより94万円低い金額です。

ただし、上記で紹介した年収はあくまで職種全体での年収です。実際の年収は所属企業や業務範囲などによって大きく異なります。商品企画として年収を上げていくためには、まずは自身の企画を社内で通し、ヒット商品につなげていくことが大切です。

商品企画に関するよくある質問

最後に、商品企画に関するよくある質問についても確認しておきましょう。

  • 商品企画として働くのに資格は必要?
  • 商品企画の採用に大学や学部は関係ある?

商品企画として働くのに資格は必要?

商品企画の仕事に、必須の資格はありません。

「ヒットする商品を考えること」にはそもそも正解がなく、難易度も高いです。そのため、資格を取得する中で得た知識よりも、消費者ニーズを察知する鋭い感性やそれを商品として完成させる柔軟な発想が求められます。

ただし、商品企画を目指すにあたって、商品開発の考え方やプロセスを体系的に知っておくことは無駄にはなりません。

興味がある人は、社団法人日本商品開発士会が主催する「商品プランナー」「商品開発士」「商品開発コーディネータ―」の資格取得を検討してみるのもおすすめです。

商品企画の採用に大学や学部は関係ある?

商品企画の部署に入るにあたって、大学や学部はある程度採用に影響していると考えられます。その理由は、商品企画には商品や業界に関する深い知識が求められるためです。前提となる基礎知識があるかどうかは、出身大学や学部で判断される可能性があります。

例えば、食品を製造するメーカーに就職する場合、食品と無関係の学部の学生よりは、農学部や栄養学部卒の学生の方が、より商品に対する基礎知識があるとみなされます。

また商品企画では、商品が売れる仕組み作りをベースに業務を進めるため、経営学部で学んだマーケティング知識も業務で活かせる可能性があります。

学部で学んだ専門知識と関連のある企業を選べば、熱意ややる気をアピールしやすいでしょう。

実は就職する業界・会社選びよりも、重要なのは職業選び 自分の強み・特徴を活かした職業に就職をしない人は、早い段階で退職しているケースが多いです。単純にこの業界、この会社が好きとかではなく、自分の強み・特徴を活かした職業選択をするために適職診断をぜひご活用ください。

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