スーパーバイザーとは?意味を解説
スーパーバイザーとは、英語で「監督者」や「管理者」などを意味する言葉です。「SV」と表記されることもあり、一般的には正式な職種ではなく、役職として扱われます。
主な役割は、店舗や施設などの現場において、監督や管理を行うことです。人材育成や労働環境の改善などもスーパーバイザーの業務の範疇です。
なお、スーパーバイザーは会社によって「エリアマネージャー」や「リーダー」、「アドバイザー」などと呼ばれることもあります。
スーパーバイザーが求められる業界・業種
スーパーバイザーという役職は、さまざまな業界・業種に存在しています。そのなかでも、特に下記のような業界・業種でスーパーバイザーが求められます。
- コールセンター
- アパレル
- 飲食
- 小売
- 福祉業界
これらの業界・業種は、多くの現場や店舗、支社を管理する必要があります。アルバイトやパートなど、人の入れ替わりが多いことも特徴です。
このような背景から、スーパーバイザーの監督者としての役割が求められています。
スーパーバイザーの役割・仕事内容
監督者であるスーパーバイザーは、その役割や仕事内容が多岐にわたります。業界・業種によっても違いがあるでしょう。
ここでは、数あるスーパーバイザーの役割や仕事内容のなかでも、さまざまな業界・業種に共通する下記7つを解説します。
- 人材育成
- 人材のマネジメント
- トラブルの対応
- 本社と支社・店舗の橋渡し
- 取引先や提携施設との連携
- 業務の改善や企画の立案
- 労働環境の改善
人材育成
人材育成は、主にスーパーバイザーの役割です。現場や店舗、支社などの新人への研修をはじめ、従業員やアルバイト、パートの教育も行います。また、場合によっては中間管理職の研修を受け持つこともあるでしょう。
人材育成は、顧客ともっとも近い距離での作業が多い現場や店舗において、特に重要な業務のひとつです。配属された従業員が顧客に満足度の高いサービスができているか、働く上での不満はないかも確認しなければなりません。
企業の成長には「人材」が欠かせません。この人材を育成するスーパーバイザーは、企業にとって重要な存在です。
人材のマネジメント
スーパーバイザーはシフト管理や個別の指導など、人材のマネジメントを行うことも多いです。監督者として多くの従業員をまとめなければならないスーパーバイザーは、従業員の労働環境を改善して、離職率を抑える必要があります。
また、従業員数を管理して、必要があれば採用活動などを行うこともあるでしょう。加えて、企業の利益も考える必要があり、マネジメントする課程で無駄なコストをカットするシフト作成、業務内容の改善なども行わなければなりません。
トラブル時の対応
顧客と直接やり取りする現場や店舗などでは、クレームなどが発生する可能性があります。これらの顧客からのクレーム対応も、スーパーバイザーの仕事のひとつです。
顧客との距離が近い現場の仕事では思わぬトラブルが発生する可能性もあるため、トラブルが発生した際には臨機応変に対応しなければなりません。
スーパーバイザーの対応によって、顧客がもつ企業イメージが変わってしまう可能性があることを理解する必要があるでしょう。
本社と支社・店舗の橋渡し
スーパーバイザーは、本社と支社・店舗との橋渡しを行うこともあります。また、エリア内の複数店舗を受け持つ、いわゆるエリアマネージャーのようなスーパーバイザーの場合、店舗同士の橋渡しを行うこともあるでしょう。
業務の指示やキャンペーン、イベントなどは、本社の指示を受けて行う「上意下達」のような指示系統になっている場合が多いです。
しかし、本社の指示をそのまま現場へと流すだけでは、現場側の従業員の不満が高まってしまう恐れがあります。また、本社側が現場側の有用な意見を汲み取ることもできません。
そのため、本社側と支社・店舗側の橋渡しをスーパーバイザーが行う必要があります。どちらか一方の意見に肩入れしすぎないよう、バランスを考え何が最善策かを考えなければなりません。
取引先や提携施設との連携
本社と支社・店舗などの社内の橋渡しだけではなく、取引先や提携施設との連携もスーパーバイザーが行う必要があります。顧客がより快適にサービスを利用するためには、取引先や提携施設との連携は重要です。
専門性が高いやり取りが必要であり、介護施設などの専門知識が必要な業種のスーパーバイザーには、資格が求められることもあります。求人の条件にも記載されている可能性があるため、確認が必要です。
業務の改善や企画の立案
スーパーバイザーにとって、人材育成だけではなく支社や店舗、エリアの売上を伸ばすことも大切な仕事のひとつです。そのため、業務を改善する方法を提案したり、売上を伸ばすための企画を考えたりすることもあるでしょう。
担当する店舗や施設の売上が悪い場合は、現状の無駄を把握して改善するために何ができるか、現実的な改善策を考えます。考えた改善策や企画を、本社に提案する必要もあるでしょう。
また、それらの改善策や企画を従業員に受け入れてもらい、実行をサポートすることも大切です。
労働環境の改善
スーパーバイザーは、従業員が快適に労働に従事できるよう、労働環境の改善に取り組むことも大切です。従業員と密にコミュニケーションを取り、不満を把握して改善策を考えます。
また、社内の従業員同士の人間関係も把握し、問題がある場合は介入して改善する必要があるでしょう。ひとつの考え方、1人の意見に左右されず、客観的に現状を把握しなければなりません。
スーパーバイザーに活かせるスキル
役割や仕事内容が多岐にわたるスーパーバイザーには、さまざまなスキルが求められます。なかでも下記のようなスキルは、特にスーパーバイザーの仕事に活かせるでしょう。
- コミュニケーションスキル
- マネジメントスキル
- 数値で客観的に把握するスキル
- リスクマネジメントスキル
それぞれ詳しく解説していきます。
コミュニケーションスキル
スーパーバイザーは、監督者として従業員それぞれの要望を聞き取り、マネジメントや業務内容の改善、新たな企画などを行います。そのため、現場の従業員としっかりコミュニケーションを取る必要があるでしょう。
従業員の特性を活かした異動や人間関係の改善などには、円滑なコミュニケーションが求められます。自分の考えや一人の意見だけで動くのではなく、できるだけ従業員全員が納得できる案を出さなければなりません。
常に周りを見て、従業員とのコミュニケーションを取りながら働く必要があります。
マネジメントスキル
新人教育や中間管理職の研修をはじめ、スーパーバイザーはさまざまな立場の従業員に対して指導を行います。また、多くの従業員の業務管理を行うため、幅広いマネジメントスキルが必要です。
マネジメントスキルがあれば、自分の考えどおりに従業員を動かして売上アップを狙えます。
数値で客観的に把握するスキル
スーパーバイザーの仕事は、支社や店舗、管轄するエリアなどの売上を伸ばすことが最終的な目的です。そのため、スーパーバイザーには数値で客観的に現状を把握するスキルが求められます。
感覚だけで仕事をせず、何が要因で売上が落ちたのか、伸びたのかを客観的な数字で判断し、それをもとに改善策を立てるなどして次に活かさなければなりません。
また、数値で客観的に現状を把握できれば上司への説明も論理的になり、改善や企画の意見を通しやすくなります。
リスクマネジメントスキル
トラブル時に企業や店舗へのダメージを最小限にするためにも、スーパーバイザーにはリスクマネジメントスキルも必要です。
自然災害や予算超過、個人情報流出などのトラブルは、現状に問題がなくても、いつどのように発生するかわかりません。常にどのようなリスクが潜んでいるかを把握しながら、そのリスクをどのように防ぐかを考えます。
そのためには、先の先まで見通して行動しなければなりません。リスクマネジメントスキルがあれば、企業の安定した経営に寄与できる人材として重宝されるでしょう。
スーパーバイザーに必要な資格は?
スーパーバイザーとして働くためには、特別な資格は必要ありません。しかし、働く業界・業種によっては推奨される専門資格を取得しておくと有利になります。
業界・業種ごとに取得を推奨される資格は、下記のとおりです。
業界・業種 | 資格名 |
コールセンター | |
飲食業 |
この他にも業界・業種ごとにさまざまな資格があるため、必要に応じて取得しましょう。
スーパーバイザーの仕事の魅力
さまざまな役割を持つスーパーバイザーの仕事には、多くの魅力があります。ここでは、なかでも特にやりがいを感じる下記3つの魅力を解説します。
- 売上や業績に貢献できる
- 自分の考えを業務に反映できる
- 売上がボーナスや報酬につながりやすい
売上や業績に貢献できる
スーパーバイザーの仕事は、支社や店舗などの組織を監督して業務や従業員の管理を行うことや、企画を立案して実行することです。どちらの業務も売上や業績に関わる内容なので、企業に貢献していることを実感できます。
また、結果が数字として表れやすいため、モチベーションも保ちやすいでしょう。
自分の考えを業務に反映できる
スーパーバイザーは、自ら企画や業務改善を行い、監督者としてそれを実行します。そのため、自分の考えを業務に反映しやすい立場です。
上司の指示通りに動くだけではなく、自分の考えを形にできるため、自分のアイデアを仕事にフル活用したい人には大きなやりがいになるでしょう。
売上がボーナスや報酬につながりやすい
売上や業績に貢献できれば、自身の評価アップにもつながります。スーパーバイザーの仕事は結果が数値として表れやすく、担当する支社や店舗の売り上げがボーナス・報酬に反映されやすいです。
仕事を頑張った結果をしっかり確認できるので、モチベーションを維持できます。また、目標達成ごとの報酬金額を提示してくれる企業もあるので、目標に向かって業務を推進しやすいでしょう。
スーパーバイザーになるには
スーパーバイザーになる方法には、主に下記2つがあります。
- 希望する業界に就職してスーパーバイザーに昇格する
- スーパーバイザーとして受け入れてくれる企業に就職する
スーパーバイザーは、業界の知識や経験を活かした指導を行う必要があるため、一定以上の専門知識が欠かせません。そのため、業界未経験の場合はいきなりスーパーバイザーになるのは難しいでしょう。
正社員として経験を積んだのち、昇格してスーパーバイザーになるのが一般的です。もしくは同じ業界に長く勤めているなどの実績があれば、転職時にスーパーバイザーとして受け入れてくれる企業が見つかる可能性もあります。
スーパーバイザーに向いている人
どのような仕事にも向き不向きがあり、スーパーバイザーの例外ではありません。ここでは、スーパーバイザーに向いている人の特徴を3つ解説します。
- リーダーシップのある人
- 自分の意見を伝えるのが得意な人
- 臨機応変に対応できる人
リーダーシップのある人
スーパーバイザーの仕事の特徴は、自分が直接動くのではなく、他の従業員に指示を出して動かすことです。そのため、周囲を巻き込むリーダーシップが求められます。
過去にチームを引っ張った経験がある人、その結果良い成果を出せた実績がある人に向いている仕事です。
自分の意見を伝えるのが得意な人
スーパーバイザーは、社内の上層部や部下をはじめ、時には取引先などの立場の人に自分の意見を伝える必要があります。そのため、自分の意見を説得力のある形で伝える能力が欠かせません。
相手によって適切な伝え方も異なるため、自分の意見をわかりやすく伝えるのが得意な人に向いている仕事です。
臨機応変に対応できる人
現場では、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。それらに臨機応変に対応するため、指示を出すのはスーパーバイザーの仕事です。
また、業界内の情勢やトレンドによっても、スーパーバイザーが取るべき行動は変わるでしょう。変化し続ける環境に、常に対応できる人に向いています。
スーパーバイザーに向いていない人
一方で、スーパーバイザーに向いていない人もいます。ここでは、スーパーバイザーに向いていない人の特徴を2つ紹介します。
- 現状維持を好む人
- デスクワークをしたい人
現状維持を好む人
環境の変化に対応しきれない人、現状維持を好む人には、スーパーバイザーの仕事は向いていません。スーパーバイザーは、将来を見越して常に現場の環境を改善していく必要があります。
与えられた仕事をこなすだけでなく、自ら新しいことにチャレンジする精神がなければ、スーパーバイザーの仕事は難しいでしょう。
デスクワークをしたい人
スーパーバイザーの仕事は、デスクワークだけではありません。フットワークを軽くして、管轄する多くの現場を自分の足で回る必要もあります。
座りっぱなしではなく、現場の仕事に直接携わることも多いため、移動や立ち仕事も多いハードな仕事です。デスクワークだけをこなしたい人には不向きと言えるでしょう。
スーパーバイザーの年収や給料事情
スーパーバイザーの年収や給料事情について紹介します。
勤務形態 | 平均年収・平均時給 |
正社員 | 年収365万円 |
アルバイト・パート | 時給991円 |
派遣社員 | 時給1,538円 |
出典:求人ボックス給料ナビ「スーパーバイザーの仕事の年収・時給・給料」
総務省統計局の「家計調査」によると、国内の平均年収は433万円です。正社員として働くスーパーバイザーの平均年収365万円は、全体平均よりもやや低い傾向にあります。
ただし、給与の分布は356万〜1,103万円と幅広いです。スーパーバイザーは、働く業界やスキル、就業形態によって、給与が大幅に変動すると考えられます。努力次第では、平均を大幅に上回る年収も目指せるでしょう。
スーパーバイザーの将来性
今後AIに代替される仕事が増えていくと言われる中、スーパーバイザーの仕事がなくなる可能性は低いでしょう。
AIによって売上管理やシミュレーションなどはしやすくなりましたが、現場での経験からでしか予測できないこともまだまだ多い状況です。今後は、AIが分析したデータを駆使できるスーパーバイザーが評価される時代になると予想されます。
また、スーパーバイザーは現場の知識が豊富であるため、転職でも有利になりやすいという特徴もあります。今からスーパーバイザーを目指せば、将来的にも重宝される人材となれるでしょう。