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個人タクシーの資格要件とは?年齢・経験年数・資金の条件を解説

2026年09月04日

現役のタクシードライバーとして働きながら、いずれは個人タクシーとして独立したいと考える方は少なくありません。

個人タクシーは営業収入がすべて自分のものになり、勤務シフトの縛りもないため、フリーランスに近い自由な働き方ができる点が大きな魅力です。法人タクシーのような勤務シフトに従う必要はありませんが、許可条件として月2日以上の定期休日を定める必要があります。

ただし、個人タクシーの許可を受けるには、年齢・運転経歴・資金・設備・試験など複数の基準を満たす必要があります。

制度も変わっています。令和5年10月以降は営業区域や年齢上限が見直され、令和8年には申請の受付時期や試験の受け方も変更されました。

個人タクシーを目指すなら、年齢区分ごとの資格要件を確認したうえで、必要な運転経歴や資金、設備、法令試験まで逆算して準備しておく必要があります。

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目次

個人タクシーの資格とは?許可を受けるために満たす要件の全体像

個人タクシーの「資格」は、1つの免許や検定を指すものではありません。国が定めた複数の審査基準を満たし、個人タクシー事業の許可を受ける必要があります。

根拠となるのは道路運送法第4条第1項の許可制度と、国土交通省の通達「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーに限る。)の申請に対する処分に関する処理方針」です。

通達を受けて、各地方運輸局が営業区域ごとの審査基準を公示しています。

審査で確認される主な項目は、次の6つです。

  • 年齢:人口が概ね30万人以上の都市を含む営業区域等では、申請日現在で65歳未満であること(※1)
  • 運転経歴:有効な第二種運転免許と、年齢区分ごとに定められた運転経歴(※2)
  • 法令遵守状況:申請日以前5年間の行政処分歴と、3年間の道路交通法違反の有無(※3)
  • 資金計画:設備資金・運転資金・車庫資金・保険料の合計額と、同額以上の自己資金(※4)
  • 施設と車両:営業区域内の営業所・車庫、機能要件を満たす事業用自動車(※5)
  • 試験と健康状態:法令試験の合格、健康診断と適性診断の結果(※6)

資金や設備は条件を確認してから準備できますが、年齢や運転経歴は短期間では補えません。

将来、個人タクシーとして独立したい方は、必要な経験年数から逆算してキャリアを組み立てる必要があります。

(※1~6 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について

個人タクシー事業者になるには?3つの方法と制度の変化

個人タクシー事業者になる方法は大きくわけて3つあります。

いずれの方法でも資格要件は共通ですが、申請できる時期と相手方の条件が異なります。

  • 新規許可:営業を希望する区域で、国から新たに許可を受ける方法
  • 譲渡譲受:すでに許可を持つ事業者から事業を引き継ぐ方法
  • 事業相続:事業者の死亡にともない、相続人が事業を引き継ぐ方法

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新規許可

営業を希望する区域に許可を得て個人タクシー事業者になる方法です。

関東運輸局の営業区域では、令和8年4月1日以降に受け付ける申請から受付時期が通年へ変更されました(※1)。

従来は毎年9月のみの受付だったため、対象となる区域では、必要な準備が整った段階で申請しやすくなっています。

ただし、特措法の特定地域に指定された区域では新規許可の受付自体が行われず、準特定地域では受付期間が5月・9月・1月の3期に限られます(※2)。

まずは、営業したい区域がどの区分に該当するのかを管轄運輸局の公示で確認してください。

(※1~2 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について

譲渡譲受

個人タクシーの許可を持っている事業者から事業の譲渡を受ける方法です。

まず、譲渡する人と譲受する人で「譲渡譲受契約」を行います。

契約を結んだら、営業する区域の地方運輸局に譲渡譲受認可申請を提出します。

譲る側にも条件があります。

関東運輸局の基準では、譲渡人は申請日現在で65歳以上80歳未満であること、または65歳未満で傷病等により事業を遂行できない正当な理由がある人、もしくは65歳未満で20年以上個人タクシーを経営している人に限られます(※1)。

さらに、譲渡人が75歳以上80歳未満の場合、譲受人は60歳以下でなければなりません(※2)。

譲受人には新規許可と同じ資格要件が課されるため、当事者の合意だけで開業できるわけではありません。

新規許可はほとんどなく、事業譲渡譲受が圧倒的に多くなっています。

(※1~2 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について

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事業相続

新規許可や譲渡譲受以外に、個人タクシーの事業を相続する方法もあります。

相続認可には期限があり、被相続人の死亡後60日以内に申請しなければなりません(※1)。

被相続人の死亡時の年齢が75歳未満であること、相続人が新規許可と同じ資格要件を満たすことも条件です(※2)。

受付と試験、処分はいずれも随時行われます(※3)。

現在は運輸局の多くが新規の許可を行っていません。

そのため廃業を予定する人と、個人タクシー事業者を目指す人が譲渡譲受契約を結び、営業権利にかかる費用を支払って譲り受ける流れが主流となっています。

なお、平成14年2月1日に現在の審査基準が適用され、新規参入の枠組みが大きく変わりました。

その後、供給過剰が問題となった地域では、タクシー適正化・活性化特措法に基づき、新規参入や増車などに関する措置が設けられています。

(※1~3 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について

個人タクシーの資格要件|年齢区分ごとの運転経歴と無事故無違反

個人タクシーを申請するには、まず申請日現在で65歳未満でなければならず、年齢区分に応じた運転経歴が求められます(※1)。

年齢区分は35歳未満・35歳以上40歳未満・40歳以上65歳未満の3つで、若いほど条件が厳しくなる構造です(※2)。

40歳以上65歳未満の場合は、申請日前25年間のうち、自動車の運転を専ら職業とした期間が10年以上必要です。ただし、その10年間すべてがタクシー・ハイヤーの乗務経験である必要はありません。申請する営業区域では、申請日前3年以内に2年以上タクシー・ハイヤーの運転を職業としていたことが求められます。

申請時の年齢運転経歴の要件無事故無違反
35歳未満申請する営業区域で、同一のタクシー・ハイヤー事業者に運転者として継続10年以上雇用申請日以前10年間
35歳以上40歳未満申請する営業区域で自動車の運転を専ら職業とした期間が10年以上、うちタクシー・ハイヤーが5年以上、かつ申請する営業区域で継続3年以上10年間無事故無違反なら40歳以上65歳未満の要件を利用可能
40歳以上65歳未満申請日以前25年間のうち、自動車の運転を専ら職業とした期間が10年以上、かつ申請する営業区域で申請日以前3年以内に2年以上タクシー・ハイヤーの運転別途、法令遵守状況の基準あり

40歳以上65歳未満では、10年以上の職業運転歴が必要ですが、そのすべてをタクシー・ハイヤーの乗務経験で満たす必要はありません。(※3)。

若いうちに独立を目指す方ほど不利になる仕組みのため、キャリアの組み立て方が結果を左右します。

(※1~3 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について 別表2

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35歳未満の場合

35歳未満の場合、申請する営業区域において、申請日以前継続して10年以上、同一のタクシー・ハイヤー事業者に運転者として雇用されていることが条件になります(※1)。

加えて、申請日以前10年間が無事故無違反でなければなりません(※2)。

「10年勤めれば足りる」わけではなく「同じ会社で、同じ営業区域で、無事故無違反のまま10年」という三重の条件が課されます。

転職や区域の変更をはさむと年数が積み上がらないため、20代で独立を視野に入れるなら会社選びが決定的に重要になります。

(※1~2 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について 別表2

35~40歳未満

35歳以上40歳未満の場合、次の3つをすべて満たす必要があります(※1)。

  1. 申請日以前、申請する営業区域で自動車の運転を専ら職業とした期間が10年以上あること。
    ただし、旅客自動車以外の自動車を運転する仕事をした期間は、実際の期間の半分で計算されます。
    例として、運送業で2年勤務した場合は1年間の運転経歴として計算されます。
  2. 1の運転経歴のうち、タクシーまたはハイヤーの運転を職業としていた期間が5年以上あること。
  3. 申請する営業区域でタクシー・ハイヤーの運転を職業としていた期間が、申請日以前継続して3年以上あること。

加えて、申請日以前10年間が無事故無違反である場合には、40歳以上65歳未満の要件によることが認められています(※2)。

長期間にわたって無事故無違反を維持している方は、通常とは異なる要件で申請できる可能性があります。

(※1~2 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について 別表2

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40~65歳未満

40歳以上65歳未満の場合、次の2つをどちらも満たす必要があります(※1)。

  1. 申請日以前25年間のうち、自動車の運転を専ら職業とした期間が10年以上あること。
    ただし、旅客自動車以外の自動車を運転する仕事をした期間は、実際の期間の半分で計算されます。
  2. 申請する営業区域において、申請日以前3年以内に2年以上タクシーまたはハイヤーの運転を職業としていること。

法令遵守の条件も見落とせません。

申請日以前5年間に輸送施設の使用停止以上の行政処分や運転免許の取消し処分を受けていないこと、申請日以前3年間に道路交通法違反がなく免許の効力の停止を受けていないことが求められます(※2)。

ただし申請日の1年前より前の1点の違反、または点数が付されない違反は、1回に限り違反がないものとみなされます(※3)。

▶ 働くなら何歳から? タクシー運転手の平均年齢と勤続年数

(※1~3 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について

人口が概ね30万人以上の都市を含まない営業区域等では80歳未満まで申請できる

個人タクシーの年齢上限を65歳未満と理解している方は多いものの、令和5年10月以降はもう1つのルートが用意されています。

従来、個人タクシーの営業が認められていたのは人口が概ね30万人以上の都市を含む営業区域に限られていました。

地方の移動手段を確保する目的で規制が見直され、人口が概ね30万人以上の都市を含まない営業区域でも許可を受けられるようになりました。

新しい区分では審査基準が別に定められており、年齢の上限も異なります。

比較項目人口が概ね30万人以上の都市を含む営業区域等人口が概ね30万人以上の都市を含まない営業区域等
申請時の年齢65歳未満(※1)80歳未満(※2)
運転経歴年齢区分ごとに10年以上(※3)申請日以前に1年以上の個人タクシーの経験(※4)
管理運営体制要件なし法人タクシー事業者による運行管理または事業者団体との連絡体制(※5)

管理運営体制の条件は年齢で分かれます。

申請日現在75歳未満なら、同じ都道府県内に営業所を置く法人タクシー事業者との連携か、個人タクシー事業者団体との連絡体制の構築で足りますが、75歳以上では法人タクシー事業者による運行管理を受ける体制の整備が必須です(※6)。

法令試験にも違いがあり、申請日以前1年以内に自動車の運転を専ら職業とした期間があれば免除されます(※7)。

都市部で個人タクシーを経験したあと、地方へ移って営業を再開したい方などにとっては、従来より選択肢が広がっています。

(※1~7 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について

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個人タクシーを営業する際の資金の条件

個人タクシーを営業するには、「資金見積もりが適正に行われているか」「資金計画が合理的で確実なものかどうか」などが判断基準になります。

所要資金は設備資金・運転資金・車庫資金・保険料の4項目の合計額で計算され、同額以上の自己資金を申請日以降も常時確保していることが条件です(※1)。

金額の水準は地方運輸局ごとに異なります。

所要資金内容

関東運輸局の基準では、所要資金は次の4項目の合計額として計算されます(※1)。

  • 設備資金:原則として80万円以上。80万円未満で所要の設備が調達可能と明らかな場合は当該所要額
  • 運転資金:原則として80万円以上
  • 自動車車庫に要する資金:新築・改築・購入・借入などで車庫の確保に要する資金
  • 保険料:自賠責保険料と、告示の基準に適合する任意保険または共済の保険料の年額

自己資金は所要資金の100%以上を、申請日以降も常時確保しておく必要があります(※2)。

申請の時点で残高があっても、審査期間中に取り崩すと条件を満たさなくなります。

金額は地方運輸局ごとに設定され、中部運輸局の基準では設備資金が原則70万円以上、運転資金が原則50万円以上です(※3)。

営業区域を管轄する運輸局の公示で確認してください。

(※1~2 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について/※3 2026年8月時点 中部運輸局 個人タクシー事業の申請に対する審査基準について

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車両の維持費

車両取得後も、保険料はもちろん様々な維持費がかかります。

法人タクシー在籍時は各タクシー会社が全てやってくれたことも、個人タクシー事業者になったら自分で行います。

燃料費・車検費用・修理費・タイヤ交換・配車アプリの手数料などが、すべて自分の負担になります。

売上がそのまま手取りになるわけではありません。開業前に毎月発生する固定費と、定期的に必要になる整備費用を洗い出しておくと、必要な売上額を判断しやすくなります。

少し面倒に感じるかもしれませんが、お客様をお乗せする車両ですから、とても大切なことです。

個人タクシー事業者になるためのPOINT

  • 個人タクシーになる方法は、「新規許可」と「譲渡譲受」「事業相続」の3種類がある。
  • 申請するためには65歳未満であることと、年齢別の条件を満たす必要がある。人口30万人以上の都市を含まない区域では80歳未満まで申請できる。
  • 関東運輸局の基準では、設備資金80万円以上・運転資金80万円以上に車庫資金と保険料を加えた額の100%以上の自己資金が必要。

営業所・車庫・事業用自動車に関する個人タクシーの資格要件

資金と並んで見落とされやすいのが、施設と車両の要件です。

特に車庫は所在地や使用権原、関係法令への適合まで確認されるため、申請直前に探し始めると準備が間に合わない可能性があります。

  • 営業所:申請する営業区域内にあり、住居と同一であること。申請日現在で居住の実態が認められること(※1)
  • 自動車車庫:申請する営業区域内で、営業所から直線2キロメートル以内にあること。土地と建物について1年以上の使用権原を有すること(※2)
  • 事業用自動車:使用権原を有し、後述の3つの機能を持つ機器を備えること(※3)
  • 健康状態:公的医療機関等で胸部疾患・心臓疾患・血圧等の診断を受け、営業に支障がない状態であること(※4)
  • 適性:独立行政法人自動車事故対策機構等で運転に関する適性診断を受けていること(※5)

車庫は建築基準法・都市計画法・消防法・農地法などの関係法令に抵触せず、事業用自動車の出入りに支障がないことも求められます。

前面道路が私道の場合は、原則として通行の使用権原を持つ人の承認が必要です(※6)。

事業用自動車に備える機器の要件は、後から加わった条件です。

電子地図を映像面に表示する機能、車両の位置情報を常時かつ即時に受信して電子地図上へ表示する機能、目的地までの効率的な経路を適時に案内する機能の3つを備えなければなりません(※7)。

地理試験が廃止された一方で、営業に必要な地理情報を機器で補える環境の整備が審査基準に組み込まれています。

(※1~7 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について

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個人タクシーの資格取得には試験への合格が必要

個人タクシー事業者になるためには、資格や条件を満たすだけでなく、関東運輸局長が実施する法令試験に合格する必要があります(※1)。

かつては法令試験と地理試験が課されていましたが、2024年に地理試験が廃止され、現在は法令試験のみとなっています(※2)。

法人タクシーの運転者に課されていた地理試験も、令和6年2月29日の省令改正で廃止されています(※3)。

現在は法令試験のみとなり、申請前に受験する「事前試験」と、譲渡譲受・相続の認可申請後に受ける「申請後試験」があります(※4)。

(※1・※4 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可等に係る法令の試験の実施について/※2~3 2026年8月時点 参議院 立法と調査 タクシー輸送の担い手の確保とその在り方

法令試験

法令試験では、主にタクシー事業に関する法令が出題されます。

関東運輸局の試験は○×方式と語群選択方式で構成され、出題数は40問、配点は1問1点、合格基準は36点以上、試験時間は50分です(※1)。

東京特別区や武蔵野市などのタクシー業務適正化特別措置法の特定指定地域では、同法に関係する問題が5問加わって45問となり、合格基準は41点以上、試験時間は60分に変わります(※2)。

いずれも正答率9割が必要になるため、十分な試験対策が必要です。

出題範囲は道路運送法・旅客自動車運送事業運輸規則・標準運送約款などの道路運送法関係、タクシー業務適正化特別措置法関係、道路運送車両法関係の3分野に定められています(※3)。

対策の手がかりもあります。

試験問題は終了後の持ち帰りが認められ、それをもって問題の公表とされているため、過去の問題を使った学習が可能です(※4)。

独学のほか、個人タクシー協同組合が実施する勉強会に参加する方法もあります。

(※1~4 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可等に係る法令の試験の実施について

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事前試験と合格証の有効期限

事前試験は許可申請などをする前の方を対象に実施され、年3回のサイクルで運用されます。

受験申込書の受付期間と実施時期は、4月1日から5月31日までの申込について7月、8月1日から9月30日までの申込について11月、12月1日から1月31日までの申込について3月と定められています(※1)。

合格証の有効期限は、発行日から2年を経過する日、もしくは人口30万人以上の都市を含む区域の基準による許可では65歳、含まない区域では80歳に達する日の前日のうち、早く到達する日です(※2)。

令和8年4月1日以降に受け付ける申請では、新規の許可申請が申請後試験の対象から外れました(※3)。

新規許可を予定している方は、許可申請より先に事前試験へ合格しておく必要があります。

(※1~3 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可等に係る法令の試験の実施について

個人タクシーの資格取得から開業までの流れ

個人タクシーの開業準備では、運転経歴・法令試験・健康診断・車庫など、項目ごとに必要な書類や手続きが異なります。

大まかな流れを先に把握しておくと、申請直前になって不足に気づくリスクを減らせます。

  • 営業区域と適用される審査基準を管轄運輸局の公示で確認する
  • 事前試験の受験申込書を、営業区域を管轄する運輸支局を経由して提出する
  • 法令試験を受験し、合格証を受け取る
  • 許可申請書を提出し、必要に応じてヒアリングに応じる
  • 運転経歴・健康診断・適性診断・車庫などの挙証資料を提出する
  • 許可を受けた日から4カ月以内に事業を開始する

許可には概ね3年の期限が付され、以降は年齢と違反の状況に応じて1年・2年・3年・5年のいずれかで更新を重ねます(※1)。

月に2日以上の定期休日を定めること、営業中は運転日報を携行して記入し1年間保存することも許可の条件です(※2)。

更新後の期限は満75歳に達する日以降は付されず、人口30万人以上の都市を含まない区域で法人タクシー事業者の運行管理を受ける体制を整えた場合は満80歳が上限となります(※3)。

(※1~3 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について

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運転経歴を証明する書類

個人タクシーの申請では、必要な年数だけ働いていても、運転経歴を書類で立証できなければ審査に使えません。

東京都個人タクシー協会は、在職証明書、乗務員台帳の写し、タクシーセンターが発行する運転者登録原簿の謄本、日本年金機構が発行する被保険者記録照会回答票の4点で確認する運用を案内しています(※1)。

4点すべてでカバーできる期間が運転経歴として認められる形です。

社会保険に未加入だった期間は、在職証明書で在籍が確認できても運転経歴に算入されません。

軽自動車・二輪・三輪の運転期間、通勤やレジャーのための運転期間も対象外です(※2)。

過去に勤務していた会社が廃業すると、後から書類をそろえるのが難しくなる場合があります。

将来の独立を考えている方は、必要になってから探すのではなく、現在の勤務先や過去の経歴を証明できる書類を早めに確認しておきましょう。

(※1~2 2026年8月時点 一般社団法人東京都個人タクシー協会 よくあるご質問

個人タクシーと法人タクシーの違い

個人タクシーと法人タクシーは、仕事内容に大きな違いはありませんが、働き方が大きく異なります。

個人タクシーは、自身が所有する車をタクシーとして営業をするのが一般的です。

一方で法人タクシーは会社に所属するドライバーであるため、法人の所有する車を使って営業を行います。

また、点呼や車両の整備をする必要があり、勤務時間が決められているのが特徴です。

ほかにも次のような特徴があります。

項目個人タクシー法人タクシー
免許・条件第二種免許の取得、年齢区分に応じた運転経歴、法令試験の合格第二種免許の取得
許可期限の年齢上限許可期限の上限は満75歳。人口30万人以上の都市を含まない区域で法人事業者の運行管理を受ける場合は満80歳法人の規定による
設備費用自己負担会社負担
資金関東運輸局では設備資金80万円以上・運転資金80万円以上に車庫資金・保険料を加えた額雇用される乗務員には事業者としての開業資金は原則不要

個人タクシーは法人タクシーと比べ、開業前に満たさなければならない条件が多くあります。その分、許可を受けた後は事業者として自分で働き方を決められます。

法人タクシーは第二種免許を取得して会社の採用条件を満たせば乗務を始められる一方、個人タクシーには運転経歴や資金、設備、試験など、事業者としての審査がある点が大きな違いです。

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個人タクシー事業者として開業するメリットと注意点

個人タクシー事業者として開業するメリットは、次の2つです。

  • 売上を自分の事業収入として受け取れる
  • 時間に融通が利く

売上を自分の事業収入として受け取れる

個人タクシーは雇用される乗務員ではなく、自らタクシー事業を営む立場です。運賃収入は自分の売上になりますが、燃料費・車両費・保険料・整備費なども自ら負担します。

法人タクシーの乗務員は会社の給与体系に基づいて賃金を受け取り、売上に応じて歩合給が加わる場合があります。

個人タクシーでは「売上=手取り」ではなく、売上から必要経費を差し引いて収支を考える必要があります。

ただし法人タクシーと異なり、設備にかかる費用については全て自己負担です。

そのためガソリン代や車代は別途費用が発生します。

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時間に融通が利く

個人タクシーは、法人タクシーよりも時間に融通が効きます。

法人タクシーの運転者には改善基準告示が適用され、日勤は1日の拘束時間が原則13時間以内、延長する場合も15時間が上限です。

隔日勤務は2暦日の拘束時間が22時間以内で、2回の隔日勤務を平均して1回あたり21時間以内と定められています。

個人タクシーは法人の勤務シフトに従う必要がなく、自分で営業日や営業時間を組み立てられます。ただし、許可条件や運送事業者として守るべきルールがなくなるわけではありません。

時間的な拘束なく働きたいという人であれば、個人タクシーの働き方が向いています。

開業前に知っておきたい注意点

個人タクシーになると、法人タクシーでは会社が負担・管理していた費用や業務も自分で担います。

売上が落ちた月の補填はなく、体調を崩して乗務できない期間は収入がゼロになります。

車両の購入費・保険料・車検費用・燃料費といった固定費も自己負担です。

「売上=手取り」ではないため、開業前に毎月の売上見込みと経費を分けて計算しておきましょう。

許可には概ね3年ごとの更新があり、違反の状況によって次の期限が1年に短縮される場合もあります(※1)。

自由度が高い一方で、事業者として法令遵守や健康管理、車両管理まで自分で継続する必要があります。

(※1 2026年8月時点 国土交通省 一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー)の許可期限の更新等の取扱いについて

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個人タクシーの収入はどのように決まるか

個人タクシーの年収を示す公的な統計はありません。

賃金構造基本統計調査は雇用されている運転者を対象としているため、個人事業主の数値は含まれないからです。

手がかりになるのは、法人タクシーの1日1車あたりの営業収入です。

令和6年度の日車営業収入は、東京特別区・武三交通圏で61,476円、名古屋で38,148円、大阪で39,206円でした(※1)。

日車営収に月あたりの乗務日数を掛けた額が売上の目安となり、そこから燃料費・保険料・車検費用・車両の減価償却・組合費・配車アプリの手数料を引いた残りが手取りになります。

売上を自ら受け取る一方で、事業にかかる経費も自分で負担する構造です。

比較の軸として、法人タクシー運転者の数値も押さえておきましょう。

令和7年賃金構造基本統計調査によると、タクシー運転者の年間賃金推計額は全国平均で450万8,200円です(※2)。

ただし平均値だけで判断すると実態を見誤ります。

同資料の賃金分布を145職種で比較すると、第9十分位数(90%点)は58位、中位数(50%点)は79位、第1十分位数(10%点)は134位です(※3)。

同じ職種でも上位と下位で2.7倍近い開きがあり、東京都の年間推計額は570万3,500円と全国平均を大きく上回ります(※4)。

個人タクシーでも、営業区域や稼働時間、乗客を獲得する方法によって売上は変わります。開業後の収入を考える際は、地域の営業収入と自分が負担する経費の両方から試算しておくと現実的です。

(※1 2026年8月時点 全国ハイヤー・タクシー連合会 TAXI TODAY in Japan 2026/※2~4 2026年8月時点 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査によるタクシー運転者の現況

個人タクシー車両数の推移と組合の役割

個人タクシーの車両数は減少傾向にあります。

一方、個人タクシー事業者を支える組合や協会があり、無線配車や各種手続きなど、一人では対応しにくい業務の支援を受けられます。

  • 車両数の推移:新規許可の抑制と高齢化により、約10年間で3割近く減少
  • 組合の役割:無線配車や書類作成支援など、一人では担いにくい業務を補う

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個人タクシー車両数の推移

直近5年の個人タクシー車両数は、次のとおりです。

年度個人タクシー車両数
令和2年度末29,649台(※1)
令和3年度末28,485台(※2)
令和4年度末26,979台(※3)
令和5年度末25,693台(※4)
令和6年度末25,009台(※5)

平成28年度末の35,150台から令和6年度末の25,009台へ、8年間で約29%減少しています(※6)。

法人タクシーの運転者数も令和7年3月末で22万4,428人となり、ピーク時の38万1,943人から約41%減りました(※7)。

個人・法人ともに担い手が減っています。車両数の減少だけで業界需要そのものがなくなっていると判断せず、営業する地域の需要や許可状況まで確認しておきましょう。

(※1~4・※6 2026年8月時点 国土交通省調べ 全国ハイヤー・タクシー連合会 全国の事業者数及び車両数の推移/※5・※7 2026年8月時点 全国ハイヤー・タクシー連合会 TAXI TODAY in Japan 2026

個人タクシー運転手にも組合がある

個人タクシー事業者は、完全に一人で事業を営んでいるわけではありません。

個人タクシー事業者向けには、協同組合や事業者団体があり、加入すると無線配車やチケット、共済などの共同事業を利用できる場合があります。

組合に加入していることで以下のようなメリットが得られます。

  • 無線配車
  • 各種提出書類の作成支援
  • 健康診断の補助
  • 共済、労災等の保険や国民年金基金

その他にも観光タクシーの手配といった一人では難しいサービスのサポートも行ってくれます。

人口30万人以上の都市を含まない区域で申請する場合には、個人タクシー事業者団体との連絡体制の構築が審査基準の要件にもなっています(※1)。

組合や事業者団体は、配車や事務手続きを支えるだけでなく、営業区域によっては許可要件にも関係します。

(※1 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について

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個人タクシーの資格に関するよくある質問

個人タクシーは何年でなれますか?

人口30万人以上の都市を含む営業区域では、いずれの年齢区分でも自動車の運転を専ら職業とした期間が10年以上求められます(※1)。

35歳以上65歳未満の区分では、一般旅客自動車運送事業用自動車以外の運転を職業としていた期間は50%に換算されます。

一方、人口30万人以上の都市を含まない区域では、申請日以前に1年以上の個人タクシーの経験があれば申請できます(※2)。

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個人タクシーの法令試験の合格率はどれくらいですか?

全国一律の合格率は公表されていません。

関東運輸局では、試験実施月の翌月に受験者数・合格者数・最高点・最低点・平均点が局報に掲載され、運輸局と運輸支局の掲示板にも掲示されます(※3)。

合格率を知りたい場合は、受験する営業区域を管轄する運輸局の公表資料を確認してください。

合格基準は40問中36点以上と9割に相当し、決して簡単な試験ではありません(※4)。

試験問題は持ち帰りが認められているため、過去の問題を使った学習が有効です(※5)。

個人タクシーの開業資金はいくら必要ですか?

審査基準を満たす最低額は、関東運輸局の場合で設備資金80万円以上と運転資金80万円以上、加えて車庫資金と保険料の合計です(※6)。

所要資金の100%以上の自己資金を申請日以降も常時確保している必要もあります(※7)。

譲渡譲受で開業する場合は、営業権の対価が別途かかります。

金額の水準は地方運輸局ごとに異なるため、営業区域を管轄する運輸局の公示で確認してください。

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個人タクシーの五年ルールとは何ですか?

審査基準に「五年ルール」という名称の規定はありません。

多くの場合、法令遵守状況に関する5年間の条件を指しています。

具体的には、申請日以前5年間と申請日以降に、輸送施設の使用停止以上の行政処分や運転免許の取消し処分などを受けていないことが要件です。

過去に処分を受けた場合は、申請日の5年前の時点で処分期間が終了している必要があります(※8)。

なお、道路交通法違反については3年間の条件が別に定められています(※9)。

個人タクシーの資格に地理試験は必要ですか?

必要ありません。

個人タクシー事業者の地理試験は、令和6年5月1日の通達改正で廃止されました(※10)。

代わりに、事業用自動車へ電子地図の表示・位置情報の表示・経路案内の3つの機能を持つ機器を備えることが求められています(※11)。

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個人タクシーは何歳まで営業できますか?

原則として満75歳に達する日までです。

更新後の許可期限は、満75歳に達する日以降は付されません(※12)。

人口30万人以上の都市を含まない区域で、法人タクシー事業者による運行管理を受ける体制を整えて許可を得た場合は、満80歳が上限となります(※13)。

タクシー業界の「あんこ」とはどのような意味ですか?

売上が伸びない日や、思うように乗客を乗せられない状態を指す業界用語です。

反対に、乗客を乗せずに空車のまま走り続けることを「てんぷら」と呼ぶ地域もあります。

個人タクシーでは売上の変動がそのまま収入に反映されるため、稼働の組み方が結果を左右します。

(※1~2・※6~9・※11~13 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可及び譲渡譲受認可申請事案の審査基準について/※3~5 2026年8月時点 関東運輸局 個人タクシー事業の許可等に係る法令の試験の実施について/※10 2026年8月時点 参議院 立法と調査 タクシー輸送の担い手の確保とその在り方/※14 2026年8月時点 国土交通省 一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー)の許可期限の更新等の取扱いについて

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個人タクシーに必要な運転経歴は年齢と営業区域で異なる

個人タクシーの資格要件でご紹介したとおり、人口が概ね30万人以上の都市を含む営業区域等では申請日現在65歳未満、含まない営業区域等では80歳未満が年齢要件です。

また、条件も細かく定められていますから、日々「資金・運転資格・法令遵守」を常に意識しなければいけません。

制度は近年変更されています。

人口30万人以上の都市を含まない区域には別の審査基準が設けられ、地理試験も廃止されました。令和8年4月からは、関東運輸局の対象区域で新規許可申請の受付方法も変更されています。

古い情報だけで準備を進めず、実際に営業したい区域を管轄する運輸局の公示を確認してください。

個人タクシーの資格を得るために、綿密に計画を練って実行することが大切です。

そして、個人タクシーになるためには、ご説明したように実務経験が伴わなくてはならず、まずはタクシー運転手としてのキャリアを十分に積む必要があります。

35歳未満では同一事業者での継続勤務期間が資格要件に含まれるため、将来の独立を考えている方ほど最初の会社選びが重要です。

P-CHAN TAXIでは500社以上のタクシー会社を紹介しています。

当社の審査基準をクリアした厳選されたタクシー求人のみ紹介しているので興味のある方はぜひご登録ください。

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この記事の著者
ピーチャンタクシー

ピーチャン タクシー(P-CHAN TAXI)編集部

株式会社ピーアール・デイリー(厚生労働省認可 有料職業紹介事業許可番号13-ユ-305520)のタクシー求人に関するコラムを管轄する編集部。
創業60年、一貫して人材サービスに携わり、累計2万社を超える企業の採用を支援した実績をもとに、タクシー転職に役立つコラムを提供。

この記事の運営者:P-CHAN TAXI

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