プロジェクトマネージャーとは?
プロジェクトマネージャーとは、システム開発を進めるプロジェクトチームの代表として、予算・要員・進捗などの管理をするポジションです。基本的にプロジェクトはチームで進めることが多く、プロジェクトマネージャーの存在は必要不可欠と言えるでしょう。
プロジェクトの規模は状況によってさまざまで、数人だけで動く場合もあれば、複数のプロジェクトをまとめて全体で数百人規模で動く場合もあります。
プロジェクトリーダーとの違い
プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーでは、仕事内容が異なります。
職種 | 仕事内容 |
プロジェクトマネージャー | スケジュールや予算管理も含め、プロジェクトを円滑に進行させるための管理を行う |
プロジェクトリーダー | 現場のリーダーとして指示を出す |
プロジェクトマネージャーは管理する側面が強いのに対して、プロジェクトリーダーは常に現場で動くため、プロジェクトマネージャーよりもメンバーと深く関わります。
プロダクトマネージャーとの違い
プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーでは、業務内で果たすべき目的が異なります
職種 | 業務内で果たすべき目的 |
プロジェクトマネージャー | 品質やコスト、リリーススケジュールを考慮しながらプロジェクトを円滑に進める |
プロダクトマネージャー | 製品やサービスの価値を引き出す方法や今後の課題を見つけ出す |
プロジェクトマネージャーはリリースまでのスケジュール管理などが主な業務となるのに対して、プロダクトマネージャーは市場ニーズや顧客ニーズも常に考える必要があります。
プロジェクトマネージャーのやりがい
プロジェクトマネージャーのやりがいは、次のとおりです。
- 多くの人と関わりながら仕事ができる
- 開発したシステムが多くの人々の目に触れる
- 大きな権限でチームを動かせる
多くの人と関わりながら仕事ができる
プロジェクトマネージャーは社内外の多くの人と一緒に仕事ができるため、非常にやりがいがあります。メンバー一人ひとりとコミュニケーションを取り、信頼関係を築きながら一つの目標を達成させていく楽しさがあるでしょう。
また過去に一緒に仕事をした人と別の機会で再び関わることも多く、プロジェクトを完遂させたあとも人間関係が続くことがあります。多くの人と関わりながら、自分はもちろん他者の成長も感じられる仕事です。
開発したシステムが多くの人々の目に触れる
開発に関わったシステムがリリース後、実際に世間で利用されるようになるのはプロジェクトマネージャーのやりがいの一つです。
特にクライアントとのつながりが強いプロジェクトマネージャーの場合、プロジェクトが成功すれば名前が知れ渡り、社会からも大きな評価を受けます。システム開発に広く関わるため、社会全体に貢献しているという実感も得やすい仕事です。
大きな権限でチームを動かせる
プロジェクトの責任者として権限が与えられることは、プロジェクトマネージャーの大きなやりがいです。
プロジェクトマネージャーは人員やスケジュールのほか、予算配分やトラブル時の対応も自分で決められます。与えられた権限をどのように使うかで、プロジェクトの進捗や品質へ大きな影響を与えます。
その分責任感も大きいですが、業務を通して自分の出した成果やチームの成長を強く実感できるでしょう。
プロジェクトマネージャーの仕事内容
プロジェクトマネージャーの仕事は、主に次の5つです。
- システム開発計画の策定・プロジェクトの管理
- プロジェクトチームの編成・担当領域の指示
- プロジェクトの推進・管理
- 課題の発見と解決
- プロジェクトの評価とレビュー
①システム開発計画の策定・プロジェクトの管理
1つ目は、システム開発計画の策定とプロジェクトの管理です。クライアントと打ち合わせをして開発の目的や予算、納期を確認しながら調整や交渉を行い、プロジェクトの内容を細かく詰めていきます。
プロジェクトマネージャーはプロジェクトの全体像を把握する必要があるため、プロジェクトの立ち上げ初期から参加するのが特徴です。
②プロジェクトチームの編成・担当領域の指示
2つ目がプロジェクトチームの編成と担当領域の指示です。開発するシステムの構成要素に応じて、工数・人材の選定や人数の算出をして配置していきます。
メンバー選抜の際には、プロジェクト達成に必要なスキルは何か、どのような体制だと業務を進めやすいかなどを考えていかなければなりません。
プロジェクト開始後はチームや個々人のフォローをしつつ、スケジュールやタスク管理をします。状況に応じて、プロジェクトマネージャー自ら他部署と連携を取っていく場合もあるでしょう。
③プロジェクトの推進・管理
3つ目にプロジェクトの推進・管理があります。具体的にはプロジェクトの目的や工程の立案、スケジュールや納期の管理などです。
イレギュラー対応が生じた場合にはその都度メンバーに共有し、進捗状況の管理・調整をしなければなりません。
④課題の発見と解決
4つ目が課題の発見と解決です。
プロジェクト進行中は突発的なトラブルやリスクの発生があり、常に順調に業務が進むとは限りません。現場で解決が難しいと思われる場合は、他の部署との打ち合わせや開発部署への対応依頼などを行います。
⑤プロジェクトの評価とレビュー
最後にプロジェクトの評価とレビューをします。
評価とレビューから導き出されたプロジェクトの問題点や改善方法を見据え、今後の課題などを取りまとめることまでがプロジェクトマネージャーのミッションです。得られた評価とレビューは、今後別のプロジェクト開発をする際にも役立ちます。
プロジェクトマネージャーに必要なスキル
プロジェクトマネージャーに必要なスキルは、主に次の5つです。
- リーダーシップスキル
- マネジメントスキル
- コミュニケーションスキル
- 交渉スキル
- アーキテクトスキル
リーダーシップスキル
プロジェクトマネージャーには、リーダーシップスキルが必要です。
プロジェクトマネージャーを務める上で、チームをまとめる指導力や統率力といった能力は欠かせません。仕事を進める中でメンバー一人ひとりに向き合って信頼関係を構築しながら、個性や強みを引き出す必要があります。
これまでの経験もある程度は必要ですが、何よりもメンバーを惹きつけるための実行力や誠実さが大切です。
マネジメントスキル
マネジメントスキルも、プロジェクトマネージャーに求められるスキルです。
プロジェクトマネージャーは人を管理するだけでなく、製品や運転資金といったモノの管理も行う必要があります。常にプロジェクト全体を見渡し、正しい方向へとマネジメントする力が欠かせません。
コミュニケーションスキル
プロジェクトマネージャーにとって、コミュニケーションスキルは非常に重要です。
コミュニケーションスキルが高いと、企画立案やヒアリングのフェーズにおいてクライアントのニーズを引き出せるようになります。そしてプロジェクトが進行してからは、チームメンバーにクライアントの意図を上手に浸透させられるでしょう。
プロジェクトマネージャーは、上手にコミュニケーションをとれるかどうかで最終的な成果が大きく変わってきます。
交渉スキル
プロジェクトマネージャーには、高い交渉スキルが求められます。仕様変更の依頼や提案、スケジュール変更など、プロジェクト全体を通じてクライアントと交渉する機会が多いからです。
ただクライアントの要望に合わせるだけでなく、プロジェクトメンバーの意見も考慮した上で、両者が納得できるポイントを決めなければいけない難しさもあります。
アーキテクトスキル
プロジェクトマネージャーには、アーキテクトスキルが必要です。
アーキテクト(architect)とは構造や設計などを意味する用語で、Web・ITの現場においては高度な知識とスキルを兼ね備えた人を指します。プロジェクトマネージャーはシステムエンジニアとしての知識やスキルはもちろん、IT全般への幅広い知見を持つことも重要です。
プロジェクトマネージャーの仕事に活かせる資格
プロジェクトマネージャーの仕事に活かせる資格を4つ紹介します。
- プロジェクトマネージャー(PM)試験
- ITストラテジスト試験
- 応用情報技術者試験
- PMP試験
プロジェクトマネージャー(PM)試験
プロジェクトマネージャー試験は、経済産業省所管の独立行政法人である情報処理推進機構(IPA)が認定する情報処理技術者試験です。取得すれば、システム開発プロジェクトのマネジメントスキルを証明できます。
難易度が高く準備が必要な試験ですが、あらゆる企業において就職や転職の際に高く評価されるでしょう。実際に一部の大手メーカーなどでは、資格取得を昇給の条件としています。
参考:情報処理推進機構「プロジェクトマネージャー(PM)試験」
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、プロジェクトマネージャー試験と同じくIPAが実施する情報処理技術者試験です。取得すれば、情報技術を活用した基本戦略の策定や、プロジェクトを推進するための知識・実践力を証明できます。
この資格を有しているだけで、プロジェクトを統括する高い能力があると評価されるでしょう。
参考:情報処理推進機構「ITストラテジスト試験」
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、IPAが実施する情報処理技術者試験です。IT業務に従事するために必要なシステム設計・開発・運用に関する知識があり、実務に活かせるレベルであることを証明できます。
プロジェクトマネージャー試験やITストラテジスト試験に比べると難度が低めであり、初めに取得を目指す人の多い資格です。
参考:情報処理推進機構「応用情報技術者試験」
PMP試験
PMP試験は、アメリカの非営利団体であるPMI(Project Management Institute)主催のプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。多くの国で、プロジェクトマネジメントスキルを評価する基準としてPMP試験は認知されています。
実際にプロジェクト事例をもとに学べるため、取得すればプロジェクトの立案や推進に役立つだけでなく、チームメンバーとの円滑なコミュニケーションにも活用できるでしょう。
参考:Project Management Institute「PMP試験」
プロジェクトマネージャーに向いている人
プロジェクトマネージャーに向いている人は、次のとおりです。
- 客観的・論理的思考を持っている人
- 納期管理ができる人
- コミュニケーションを取るのが好きな人
- ストレス耐性のある人
客観的・論理的思考を持っている人
客観的・論理的思考を持っている人は、プロジェクトマネージャーに向いています。プロジェクトマネージャーは主観的・直感的な判断で進めるのが難しい仕事だからです。
客観的な判断のもとプロジェクトを進められれば、最終的な成果物の評価も高まるでしょう。また論理的な思考ができれば、トラブルが生じた際も冷静かつ正しい判断が下せます。
納期管理ができる人
しっかりと納期管理ができる人は、プロジェクトマネージャーに向いています。プロジェクトマネージャーはさまざまな納期を管理する必要があるからです。
プロジェクトを完遂させるまでの進捗管理はもちろん、問題が発生し進捗が遅れることも予測しながら進めていかなければなりません。イレギュラーな状況も見据えて納期管理をするのが、プロジェクトマネージャーの腕の見せどころと言えるでしょう。
コミュニケーションを取るのが好きな人
コミュニケーションを取るのが好きな人は、プロジェクトマネージャーに向いています。プロジェクトマネージャーはプロジェクトのメンバーだけでなく、クライアントや自社の経営層、協力会社などさまざまな人とコミュニケーションを取るからです。
時にはコミュニケーションで大変さを感じることもあるかもしれませんが、コミュニケーションを取るのが好きなら楽しく仕事をこなせるでしょう。
ストレス耐性のある人
ストレス耐性のある人は、プロジェクトマネージャーに向いています。プロジェクトマネージャーは、常に大きな責任を負うからです。
また時には、経営層やクライアントからの難しい要望に頭を悩まされることもあるでしょう。そこに納期や予算といった制約が加わると、考えるべきことはさらに増えます。
ストレスと上手く付き合える人の方が、プロジェクトマネージャーとして長く活躍できるでしょう。
プロジェクトマネージャーに向いていない人
プロジェクトマネージャーに向いていない人は、次のとおりです。
- 人前で話すのが苦手な人
- 自分で黙々と仕事を進めたい人
- 逆境に弱い人
人前で話すのが苦手な人
人前で話すのが苦手な人は、プロジェクトマネージャーになってから苦労するかもしれません。
プロジェクトマネージャーは、プレゼンや報告といった場面でクライアントに対して説明を行う機会が多いです。社内においても、経営層を前にして説明する機会があります。
慣れによって克服できる部分はあるものの、人前で話すことが苦手な人には向いていない可能性があります。
自分で黙々と仕事を進めたい人
何事も自分で黙々と進めたい人は、プロジェクトマネージャーには向いていません。プロジェクトはあくまでもチーム作業であり、全員の力を合わせなければ目標は達成できないからです。
「人に教えるのは面倒なので自分でやってしまう」と考える人もいるかもしれませんが、プロジェクトマネージャーの立場においてそれは正しい行動とは言えません。プロジェクトマネージャーが直接業務に携わる時間が増えてしまうと、本来の役割であるプロジェクトの進捗管理が疎かになってしまうおそれがあります。
逆境に弱い人
逆境に弱い人は、プロジェクトマネージャーに向いていません。プロジェクトを進める中で起こるトラブルに対して、プロジェクトマネージャーは率先して立ち向かう必要があるからです。
プロジェクトの中でトラブルは付きものであり、一つひとつに怯んでしまうとメンバーからの信頼を損ねてしまい、チームを上手く引っ張っていけなくなります。
プロジェクトマネージャーの年収や給料事情
プロジェクトマネージャーとして働く正社員と派遣社員の給与は次のとおりです。
勤務形態 | 年収・時給 |
正社員 | 年収645万円 |
派遣社員 | 時給2,584円 |
出典:求人ボックス給料ナビ「プロジェクトマネージャーの仕事の年収・時給・給料」
総務省統計局の「家計調査」によると、国内全体の平均年収は433万円です。一方で、正社員で働くプロジェクトマネージャーの平均年収は645万円と、全体平均の200万円以上です。
また、プロジェクトマネージャーとしての業務の他、専門分野の知見を提供するITコンサルタントとしての業務もできるようになれば、仕事の幅が広がってさらなる年収増も見込めます。