法人営業

法人営業とは何か解説!種類や仕事内容、年収・給料などを紹介

法人営業とは?

法人営業とは営業職の一種であり、法人を相手に営業的アプローチを行う職種を指します。

ここで言う法人とは団体や組織を意味し、大まかには公法人と私法人(営利法人・非営利法人)に分けられます。

種類

具体例

公法人

  • 地方公共団体
  • 独立行政法人
  • 特殊法人

私法人

営利法人

  • 株式会社
  • 合同会社

非営利法人

  • 社団法人
  • 財団法人
  • NPO法人

法人営業に求められる役割は、相手との対話を通じてニーズや課題を引き出し、それらを満たす自社商品・サービスを提案して購入につなげることです。また、個人営業よりも関わる商談の規模が大きいことも特徴です。

法人営業の商材・業界別の種類と例

法人営業は法人を相手にビジネスをするため、提案する商品やサービスは主に経営活動や組織運営に必要となるものが対象です。

具体的には、営利法人であれば、より売上高や利益の拡大が期待できるサービスや商品、非営利法人・公法人であれば、よりコスト削減や業務効率改善につながる商品・サービスの導入が挙げられます。

さらに、提供する商品やサービスの種類は、直接目で見て手で触れられる有形商材と形には現れない無形商材に分かれます。

法人営業による有形商材と無形商材の具体例は以下の通りです。

種類

具体例

商材

営業方法

有形商材

自動車

ディーラー(自社と契約した正規販売店)に対して販売支援を行い、売上高拡大を目指す

パソコン

業務で使用するパソコンを検討中の法人に、より費用対効果に優れた自社製品を購入してもらう

オフィス家具

新規店舗を検討中の法人に自社のオフィス家具を購入してもらい、速やかな店舗展開を促す

不動産

新たに営業所や社宅を検討中の法人に、自社が仲介する不動産を提案する

素材

より優れた素材を検討中のメーカーにアプローチし、自社が開発した素材で製品を作ってもらうよう働きかける

無形商材

融資

お金を借りたい法人に対して審査を行い、資金提供を通じて成長を助ける

証券

資金調達や資産運用を検討中の法人に対し、株式や社債など証券を購入してもらうことで事業の成長を支える

保険

福利厚生を検討中の法人に対し、自社の団体保険や退職年金に関する保険商品を提案する

人材

求人を募集する法人と人材紹介契約を結び、求職者を紹介する

ITシステム

ITによる業務改善を検討中の法人に対し、システム開発やソフトウェア導入などのサポートを行う

法人営業の仕事内容

法人営業の仕事は、新規顧客と既存顧客どちらを相手にするかによって大まかに2種類に分けられます。

そこでここからは、法人営業の仕事内容を以下の2種類に分けて解説していきます。

  • 新規開拓営業
  • 既存(ルート)営業

新規開拓営業

法人営業における新規開拓営業の役割は、自社が提供するサービス・商品にマッチする新たな顧客を発掘し、商談を成功させて企業に売上をもたらすことです。

それを実現するため、新規開拓営業には以下の仕事があります。

  1. 見込み客の絞り込み
  2. 見込み客へのアポイント獲得
  3. 提案資料の作成
  4. 見込み客を訪問して商談を実施
  5. 商品・サービスの手配

①見込み客の絞り込み

新規開拓営業が最初にする仕事は、自社のサービスや商品とマッチする可能性の高い見込み客を絞り込むことです。

新規開拓営業と言えば、いきなり相手を訪問する飛び込み営業を思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし、飛び込み営業をしても、相手が商談に応じる準備ができていなければ商談の成功率は低いでしょう。

そのため、まずは社内データや調査会社の情報を精査し、自社のサービスや商品と相性の良い顧客を見つけることが大切です。

②見込み客へのアポイント獲得

見込み客が絞り込めたら、次に行うのは見込み客へのアポイント獲得です。アポイントとは、電話やメールなどを通じて商談に伺う日時の約束を取り付けることを意味します。

アポイントで大切なのは、相手の警戒心を解き、「会って詳しく話が聞きたい」と思わせることです。そのためには、なぜ電話や電話をしたのかを端的に伝え、その時点で相手に話を聞くメリットを感じさせなければなりません。

このとき相手のニーズを満たす説明ができれば、アポイントを獲得できる確率が高まります。良い反応が得られたら、都合の良い日時やさらに詳しい要望を聞き出し、後日の商談につなげます。

③提案資料の作成

商談の日時が決まったら、次に行うのが提案資料の作成です。顧客によって要望や抱える課題は異なるため、それぞれの顧客に合った提案資料を作成する必要があります。

提案資料が顧客にマッチしていればいるほど、自社商品やサービスの魅力が伝わりやすくなり、商談もスムーズに進みます。

④見込み客を訪問して商談を実施

準備が整ったら、アポイント日時に見込み客を訪問し、商談を実施します。商談では対話を通じて顧客の要望を丁寧に聞き取り、それを十分に満たす提案をすることが大切です。

なお法人営業では、一度の商談で商品やサービスの導入が決まることは稀です。担当者からその上司、関連部署、場合によっては社長まで、さまざまな立場の人の意見をもとに総合的に判断されるため、複数回行われることが一般的です。

そのため、法人営業はさまざまな立場の人に自社商品をアピールする必要があります。

⑤商品・サービスの手配

商談で商品・サービスの導入が決まったら、次に行うのは商品・サービスの手配です。手配は顧客の希望日時に合わせて進め、その後に請求書を発行して代金を請求します。商品の手配の過程で何らかのトラブルが起きたら、速やかに対処して信頼回復に努めます。

既存(ルート)営業

法人営業における既存(ルート)営業の役割は、一度取引をした既存顧客に対し、きめ細やかなアフターフォローをすることです。顧客との信頼関係を築いて顧客がライバル他社に流れるのを防ぎ、自社商品やサービスを継続して使用してもらう目的があります。

そのために必要となる仕事は以下の通りです。

  1. 既存客を訪問してヒアリングを実施
  2. 新商品や関連商品などの提案
  3. 商品・サービスの手配

①既存客を訪問してヒアリングを実施

既存(ルート)営業の最初の仕事は、既存客を訪問して要望や課題をヒアリングすることです。

ルート営業が対象とするのは一度取引をした既存顧客であり、ルート営業が新規開拓をすることは原則としてありません。新規開拓を「攻めの営業」ととらえるなら、ルート営業は「守りの営業」と言い換えることもできます。

ルート営業では、ヒアリングによって商品に対する不満や解決したい課題を把握したうえで、商談につなげたり、今後の商品開発に活かしたりします。

②新商品や関連商品などの提案

既存客へのヒアリングで新たな要望や解決したい課題があった場合は、それらを満たす新商品や関連商品を提案します。新たな商品提案には、客単価を増やし売上向上につなげる狙いもあります。

新規顧客と比べると、既存顧客はすでにある程度の信頼関係が構築されており、情報共有ができているのが特徴です。そのため、新規開拓営業より既存(ルート)営業の方が商談を成功させやすいと言えます。

③商品・サービスの手配

新商品や関連商品の購入が決まったら、納品の手配をします。その後も定期的に既存客を訪問し、要望や課題のヒアリングを行います。顧客の要望に柔軟に対応し、速やかに対応できるフォロー体制を築くことが、長期に渡ってサービスを利用してもらう鍵です。

法人営業の魅力・やりがい

自社商品の提供を通じて法人が抱える問題解決を支援する法人営業には、どんな魅力・やりがいがあるのでしょうか?ここでは、法人営業の魅力・やりがいを5つ取り上げて解説します。

  • 大きな金額が動く商談に関わるチャンスがある
  • 経営陣など組織のトップ層との人脈が築ける
  • インセンティブなど成果報酬がもらえる
  • 知名度が高い大企業と取引するチャンスがある
  • 多くの企業でニーズがあり潰しがきく

大きな金額が動く商談に関われる

法人営業の魅力・やりがいの1つ目は、大きな金額が動く商談に関わるチャンスがあることです。

法人営業が取引相手にしているのは法人であり、組織を動かしていくための商談を行います。そのため、個人を相手にする個人営業と比べると、1桁も2桁も金額が違う大きな商談を扱います。

扱う金額が大きいということは、それだけ自社に及ぼすインパクトも大きいことを表します。法人営業に任される責任は大きく、自分の仕事にやりがいを感じられるでしょう。

経営陣など組織のトップ層との人脈が築ける

法人営業の魅力・やりがいの2つ目は、経営陣など組織のトップ層との人脈が築けることです。

法人営業が最初に相手にするのは法人に所属する担当者ですが、実際に商談を決めるのは、その上司や経営者などの決裁者です。決裁者からの信頼を得れば、別の企業を紹介してもらえたり、その業界にて影響力を持つ人に会わせてもらえたりする可能性もあります。

このように法人営業では、仕事を通じて人脈を広げ、さらに仕事を拡大していくことが期待できます。

インセンティブなど成果報酬が付きやすい

法人営業の魅力・やりがいの3つ目は、インセンティブなど成果報酬が付きやすいことです。インセンティブとは成果に応じて上乗せされる給与のことを指し、売上高などによって仕事の成果が見えやすい営業職でよく見られます。

頑張りが給与に反映されるとなれば、仕事のモチベーションも維持しやすいでしょう。

知名度が高い大企業と取引するチャンスがある

法人営業の魅力・やりがいの4つ目は、知名度が高い大企業と取引するチャンスがあることです。

大企業と取引したいライバル他社は多く、その中で自社が選ばれるには周到な準備が必要です。しかし、難易度が高い分、大企業との取引が成功したときの喜びは大きくなります。

多くの企業でニーズがあり潰しがきく

法人営業の魅力・やりがいの5つ目は、法人営業の仕事は多くの企業でニーズがあり、潰しがきくことです。

自社に売上をもたらす職種である法人営業は多くの企業で需要があり、求人の数も多いのが特徴です。また転職後も、過去に培ったスキルやノウハウを活かせます。

法人営業を通じて一生使えるスキルを習得できると考えるなら、就職活動で法人営業を選んでおいて損はないと言えます。

法人営業に向いている人

法人営業に向いている人の特徴として、以下のものが挙げられます。

  • 対話の中で上手く相手のニーズや課題を引き出せる人
  • 物事を論理的に考えて行動する習慣がある人
  • 経営者の目線に立って物事を考えられる人
  • 企業への貢献度を数字で明確に示したい人
  • 目的達成のために根回しや調整ができる人

対話の中で上手く相手のニーズや課題を引き出せる人

法人営業には、対話の中で上手く相手のニーズや課題を引き出せる人に向いています。なぜなら、法人営業の目的はあくまで取引相手の課題や問題を解決することであり、それを引き出せなければ組織を動かす提案をすることは難しいからです。

自社のどこに課題や問題があるのか、顧客がはっきり認識できているとは限りません。そのため、対話の中で仮説を展開し、自社商品を使用することで解決できる課題や問題を浮き彫りにしていく必要があります。

物事を論理的に考えて行動する習慣がある人

法人営業には、物事を論理的に考えて行動する習慣がある人に向いています。その理由は、法人営業は相手側担当者の一存だけで商談が決まることが少なく、その上司や経営者までさまざまな人が納得できるだけの説得力が求められるからです。

そのためには、担当者に好かれる、信頼されるといった感情的な側面に加え、商品を導入することで得られるメリットや費用対効果を論理的に説明する必要があります。普段から物事を論理的に考えて行動する習慣がある人なら、仕事も進めやすくなるでしょう。

経営者の目線に立って物事を考えられる人

法人営業には、経営者の目線に立って物事を考えられる人に向いています。法人営業に一番求められるのは法人が抱える課題や問題解決であり、その前提として経営者目線を知ることが必要だからです。

そのためには、経済や業界の動きに関心を持ち、自社商品やサービスと絡めながらチェックしておく必要があります。普段から経営者の目線に立って物事を考えられる習慣がある人なら、法人営業として働く場面においても説得力のある説明ができるでしょう。

企業への貢献度を数字で明確に実感したい人

法人営業には、企業への貢献度を数字で明確に実感したい人に向いています。営業職全般に言えることですが、仕事の成果が売上高や契約金額ではっきりと数字に表れるからです。

法人営業はノルマとして目標数値が設定されることも多いです。しかし、数字に対するプレッシャーを自分を奮い立たせる原動力に変えられれば、法人営業のトップとして活躍することも夢ではありません。

目的達成のために根回しや調整ができる人

法人営業は、目的達成のために根回しや調整ができる人に向いています。なぜなら、商談の成否は最終的にライバル他社との比較で決まるからです。

ライバルの状況によっては、価格調整をしたり、競合よりも打ち合わせの日程を早い時期に設定するなどの調整が必要になる場面があります。そのため、各担当者の利害関係や上下関係に配慮して協力を取り付けなければなりません。

普段から根回しや調整の必要性を認識して行動できる人は、法人営業においても起こりうるリスクを先読みして準備を進められます。

法人営業に向いている人の特徴について詳しく知りたい方は、「法人営業はどんな人に向いている?向いてない人の特徴や適性について解説」も読んでみてください。

法人営業に向いていない人

逆に、法人営業に向いていない人は、以下の特徴にあてはまる人です。

  • 対人関係が苦手な人
  • 数字のプレッシャーに弱い人
  • 打たれ弱い人

対人関係が苦手な人

対人関係が苦手な人は法人営業に向いていない可能性があります。法人営業は人と会って商談をすることが基本であり、商談を通じて相手から信頼関係を築いていく必要があるからです。

対人関係が苦手であれば、法人営業の仕事そのものがつらく感じるかもしれません。「人と話すのが何よりも好き」とまではいかずとも、少なくとも仕事の場面において良好な人間関係を構築しようとする意気込みは求められます。

数字のプレッシャーに弱い人

数字のプレッシャーに弱い人は法人営業の仕事に向いていない可能性があります。なぜなら法人営業の仕事には、成果が数字で表れやすい特徴があるからです。

営業成績が良い人はインセンティブ報酬などで報われやすい反面、成績が悪い人は社内でも居心地の悪さを感じるかもしれません。

なお数字のプレッシャーを感じたくない人は、仕事の成果がはっきり見える法人営業より、仕事の成果が見えにくい間接部門の仕事(事務職や本社の管理部門)の方が向いている可能性があります。

打たれ弱い人

打たれ弱い人も法人営業には向いていない可能性があります。営業において自社商品やサービスに関心の薄い担当者を相手にすると、露骨に冷たい態度をとられる場合があるからです。

この傾向は、特に新規開拓営業における見込み客へのアポイント獲得時によく見られます。法人営業では、多少冷たい態度をとられても動じないタフさも求められます。

法人営業の年収や給料事情

法人営業職の年収

法人営業における年収や給料事情について確認していきましょう。

勤務形態

年収・時給

正社員

年収429万円

アルバイト・パート

時給1,515円

派遣社員

時給1,093円

出典:求人ボックス給料ナビ「法人営業の仕事の年収・時給・給料

国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、全国における正社員の平均年収は496万円であり、法人営業の平均年収429万円はそれより67万円程度低い金額です。

しかし、法人営業と一口に言っても、所属する企業や役職、営業成績などで年収は大きく変わります。法人営業として働きつつ年収を高めるには、求められる成果をしっかりと出して役職を上げていく必要があります。

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