コンサルタントとは?わかりやすく簡単に言うと何をする仕事?
コンサルタントとは、わかりやすく簡単に言うと「依頼者から相談を受け、依頼者が抱える問題点や課題を発見して解決に導く職種」のことです。
コンサルタントの仕事範囲は依頼者の要望によって異なります。解決策の提案だけ担当する場合もあれば、提案後の実行支援、さらにその後の保守・メンテナンスにまで関わる場合もあります。
なお、コンサルタントが所属する企業や法人は「コンサルティングファーム」または「コンサルティング会社」と呼ぶのが一般的です。
コンサルタントの種類
ここからは、コンサルタントが関わる業務内容と業界、2つの視点から代表的なコンサルタントの種類を紹介していきます。
業務内容別
業務内容から見た代表的なコンサルタントの種類は、以下の通りです。
- 財務・会計コンサルタント
- 戦略コンサルタント
- ITコンサルタント
- 人事コンサルタント
- サプライチェーン(SCM)コンサルタント
- 顧客管理(CRM)コンサルタント
- シンクタンク系コンサルタント
- 総合コンサルタント
1つずつ順番に確認していきましょう。
財務・会計コンサルタント
財務・会計コンサルタントとは、企業経営の中でも財務・会計領域に関わっていくコンサルタントを指します。
具体的には、M&Aや事業再生等を通じてスムーズな資金調達を実現し、企業経営を支えます。
戦略コンサルタント
戦略コンサルタントとは、企業経営の中でも戦略的な領域に関わっていくコンサルタントです。
戦略には以下のようなアプローチがあります。
- 企業戦略
- 事業戦略
- 組織改革
- 業務改革
例えば企業戦略では、どの事業に資源を集中させるか、またはどのような成長を目指すのかといった企業全体に関わる戦略を、依頼者と一緒に考えるのが仕事です。
事業戦略では、企業戦略を各事業部レベルまで落とし込む必要があります。その事業部が関わる商品のターゲット層を決めたり、資源をどの事業部に配分するかを決めたりします。
ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、企業経営の中でIT領域に関わっていくコンサルタントです。
IT技術が普及した現代では、次のようにあらゆる企業活動にIT技術が活用されています。
- 財務会計
- 人事管理
- 顧客管理
- 生産管理
ITコンサルタントは、ITシステムの構築・開発から導入・保守メンテナンスまで関わる職種です。生産効率の向上、コスト削減・売上アップなどさまざまな企業の課題を解決します。
人事コンサルタント
人事コンサルタントとは、その名の通り、企業経営の中でも人事的な領域に関わっていくコンサルタントを指します。
会社の経営を成功に導くには、優秀な人材の確保と育成が不可欠です。人材コンサルタントは、人事評価制度の改革による従業員のモチベーションアップ、研修によるスキルアップなどを通じ、依頼者の人材確保と育成に貢献します。
サプライチェーン(SCM)コンサルタント
SCMコンサルタントとは、原料の調達から消費者への商品販売まで、調達全体の領域に関わっていくコンサルタントを指します。
SCMコンサルタントは、調達プロセスの無駄を省いて効率化することで、運用コストを削減し、収益アップにつなげます。
顧客管理(CRM)コンサルタント
顧客管理(CRM)とは、顧客管理の領域に関わっていくコンサルタントを指します。
企業がビジネスを展開する上で、顧客満足度を高めることは欠かせません。顧客管理コンサルタントは、依頼者の顧客情報を通じた販売戦略を提案したり、顧客との接点となるチャネルを構築したりして、依頼者の収益アップに貢献します。
シンクタンク系コンサルタント
シンクタンク系コンサルタントとは、調査や分析から得た情報をもとに経営アドバイスを行うコンサルタントを指します。主に金融機関や、商社が設立した研究機関に所属しているケースが多いです。
研究・調査だけを行っているイメージがありますが、実際には業務改善からシステム構築まで、幅広い業務範囲で依頼者を支援します。
総合コンサルタント
総合コンサルタントとは、その名の通り、戦略からIT・人事・財務まで幅広い問題にアプローチするコンサルタントのことを指します。
総合コンサルタントは総合コンサルティングファームに所属し、それぞれの領域に特化したコンサルタントがチームを組んで問題解決にあたります。解決策の提示に加え、解決策の実行・その後の保守メンテナンスまで一貫して支援していくことが特徴です。
業界別
コンサルタントは、依頼者の属する業界から分類することもできます。さまざまな業界のコンサルタントが存在しますが、特に多いのは次の3つです。
- 建設コンサルタント
- 美容コンサルタント
- 医療コンサルタント
1つずつ順番に確認していきましょう。
建設コンサルタント
建設コンサルタントは国や地方自治体等から依頼を受け、ダムや河川・道路などの公共工事の建設に関わるのが仕事です。
建設コンサルタントの役割は広く、次のような業務に関わっています。
- 都市整備計画の立案
- 地盤・地質調査
- 設計・施工管理
実際の工事を担当するのはゼネコンや建設会社であり、建設コンサルタントはその工事を監督する役割を担います。
美容コンサルタント
美容コンサルタントは、サロンや美容室等の経営者から依頼を受け、美容業界に特化した経営アドバイスを提供するのが仕事です。
具体的には、集客アップからスタッフ教育、ブランディングまで幅広いアプローチで依頼者の経営をサポートします。
医療コンサルタント
医療コンサルタントは、病院やクリニックなどの医療機関、または製薬会社や医療機器メーカーから依頼を受け、医療業界に特化した支援を行うのが仕事です。
医療コンサルタントが手がける業務範囲は広く、中長期を見据えた経営戦略の立案や新規事業開拓、業務改善まで、依頼者が抱えるあらゆる問題に対応します。
最近は解決策を提示するだけでなく、実際に現場で実行支援まで担当するコンサルタントも増えています。
コンサルタントの仕事内容
コンサルタントの仕事内容は役職によって大きく異なります。
コンサルタントの仕事は、依頼者から仕事を受注したタイミングで始まります。依頼者から仕事を受注すると、社内でプロジェクトチームが組まれ、プロジェクトに参加するメンバーが選別されるのが一般的です。
メンバーはコンサルタントの役職に応じて選ばれ、仕事内容も役職によって異なります。
コンサルタントの主な役職は次の通りです。
- アナリスト:新卒入社におけるスタート地点
- コンサルタント:プロジェクトの実行担当者
- マネージャー:プロジェクトの進行責任者
- パートナー:プロジェクトの最終責任者
ここからは、それぞれの役職における仕事内容について紹介していきます。
アナリストの場合
アナリストの仕事内容は、プロジェクトのうち問題解決に必要な情報収集や分析を行い、資料を作成することです。
加えて、先輩コンサルタントと依頼者の現場に同行し、担当者に聞き取り調査を行うこともあります。コンサルタントの中で立場が最も現場に近く、地道な作業が求められるのが特徴です。
コンサルタントの場合
コンサルタントの主な仕事内容は、プロジェクトの実行です。
アナリストとしての功績が認められると、コンサルタントに昇進し、具体的なプロジェクトの実行を任されます。自分の判断で仮説と検証を繰り返し、解決策を提案できるようになるのがこの役職の特徴です。
仮説は上司であるマネージャーやチームミーティングを通じて、その都度修正が行われます。
マネージャーの場合
マネージャーの主な仕事内容は、プロジェクトの責任者として活動することです。
コンサルタントとしての功績が認められるとマネージャーに昇進し、プロジェクトの責任者になります。マネージャーにはプロジェクト全体を見通して仕事を進めることが求められ、プロジェクトの管理から依頼者との交渉、予算の管理まで全てを担当します。
メンバーへの役割の割り振りや、報告書を通じた依頼者との意見交換、または予算の黒字を確保することもマネージャーの大切な役割です。
パートナーの場合
パートナーの仕事内容は、プロジェクトの最終的な責任者としての役割を果たすことです。
そもそも依頼者からプロジェクトを受注してくるのもパートナー本人です。プロジェクトを受注するには、高い専門性と信頼性が求められます。
他にも、コンサルティングファームの経営やメンバーの指導・育成を行う役割もあります。
コンサルタントに向いている人
コンサルタントに向いているのは以下の特徴がある人です。
論理的な思考が得意な人
コンサルタントは論理的な思考が得意な人に向いています。
その理由は、依頼者による相談内容から問題点や課題を発見し、解決策を提案できなければならないからです。従って、物事を論理的にとらえ、筋道を立てて考える必要があります。
また、コンサルタントが主に相手にするのは、企業の中でも意思決定権のあるトップ層の人たちです。これらの人たちが納得できるだけの説得力のある提案をするためにも、論理的な思考が得意な人が向いています。
体力・精神ともにタフな人
コンサルタントは、体力・精神ともにタフな人に向いています。コンサルタントは目に見える成果を求められるため、自然と長時間労働になりやすいからです。
また、作成した報告書や資料について上司から厳しい指摘を受けることも多く、その度に落ち込んでいたら仕事が務まりません。
長時間労働や成果に対するプレッシャーにくじけず、成長のチャンスと捉えて乗り切るタフさも、コンサルタントに求められるスキルの一つです。
コミュニケーション能力が高い人
コンサルタントは、コミュニケーション能力が高い人に向いています。依頼者の問題解決を手がけるには、会話を通じて依頼者の意図や要望を正確に理解する必要があるからです。
依頼者は必ずしも自身の悩み事や課題を把握しているとは限りません。むしろ、自社の強み・弱みや事業課題等を把握できていなかったり、あるいは把握していても上手く表現できなかったりする場合もあります。
そんな場合でも、コンサルタントは依頼者の潜在的な課題やニーズを察知して対処することが求められます。
貪欲に知識を吸収できる人
コンサルタントは、貪欲に知識を吸収できる人に向いています。
その理由は、コンサルタントの仕事は3か月〜1年程度の期間で、依頼者が変わることが多いからです。依頼者によって求められる知識が変わるため、常に新しい業界やテーマについて貪欲に知識を吸収しなければなりません。
「知らないからできない」では済まされないため、貪欲に知識を吸収することが求められます。
プロ意識が高い人
コンサルタントは、プロ意識が高い人に向いています。コンサルタントが相手にする依頼者は、企業の中でも経営に関わる層が多く、今後の経営を左右する重大事項について仕事を任されることもあるからです。
依頼者からの期待を超える付加価値を提供し続けるには、常に依頼者のことを一番に考えて行動する必要があります。
高年収を目指したい人
コンサルタントは、高年収を目指したい人に向いています。コンサルタントは成果が求められる厳しい仕事ですが、その反面報酬面では恵まれているからです。
また、社員の給与に歩合制を採用している企業も多く存在します。頑張りが給与に反映されやすいため、年収をモチベーションにしている人にもおすすめです。
コンサルタントに向いていない人
コンサルタントに向いていないのは、以下の特徴がある人です。
論理より感情を優先する人
論理より感情を優先する人はコンサルタントにあまり向いていません。
コンサルタントは、常に数字として結果を出し続けることが求められます。そのため感情的なアプローチをするのではなく、理論に基づいた事業戦略を立てて推進していく能力が求められます。このようにコンサルタントには、自身の感情よりも論理的に考えて行動することが求められます。
安定志向の人
安定志向の人も、コンサルタントには向きません。コンサルタントの仕事は成果主義の側面が大きく、成果を上げられなければ組織に残ることは難しいでしょう。
また定年まで勤め続ける人は少数派であり、将来の独立・開業、または事業会社の経営幹部・経営幹部候補を目指すなど、次のキャリアを見据えてスキルアップする必要があります。
コミュニケーションが苦手な人
コミュニケーションが苦手な人もコンサルタントには向いていません。コンサルタントは一人で成り立つ仕事ではなく、依頼者やチームのメンバーと協力して作業を進める必要があるからです。
立場の異なる人と一緒に仕事を成功させるには、積極的にコミュニケーションをとることが欠かせません。依頼者の要望を正しく理解し、解決策をわかりやすく提案するためにも、コミュニケーション能力が必要です。
繊細で打たれ弱い人
コンサルタントは常に成果に対するプレッシャーにさらされるため、繊細で打たれ弱い人は仕事を続けることが難しいでしょう。
どんなに時間をかけて課題を分析して施策を実行しても、必ずしも成果となって現れるとは限りませんそのようなときも気を落とさず、課題を再度分析して次回に活かす前向きさが必要です。
マルチタスクが苦手な人
マルチタスクが苦手な人も、コンサルタントには向いていません。作業量が多いコンサルタントは複数の作業を同時にこなす必要があり、1つの作業に没頭できることは稀だからです。
マルチタスクがこなせないと時間が足らなくなり、残業が増える可能性もあるでしょう。長時間労働を避けるには上手くマルチタスクをこなし、作業を進める必要があります。
コンサルタントの年収や給料事情
コンサルタントの年収や給料事情について紹介します。
勤務形態 | 年収・時給 |
正社員 | 年収484万円 |
アルバイト・パート | 時給1,378円 |
派遣社員 | 時給1,042円 |
出典:求人ボックス給料ナビ「コンサルトの仕事の年収・時給・給料」
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、全国における正社員の平均年収は496万円であり、コンサルタントの平均年収はこれより12万円ほど低いです。
しかし、コンサルタントの給料は成果報酬で支払われるケースが多く、プロジェクトが成功すれば報酬アップが期待できます。実績を積んでプロジェクトを実行、または統括できる立場になれば、より高収入を手にすることも可能です。
コンサルタントに関するよくある質問
ここからは、コンサルタント志望者が抱きがちな疑問や質問に回答していきます。
コンサルタントになるには英語は必要ですか?
英語は必須ではありません。
ただし、外資系グローバルファームに就職する場合、海外の人とやり取りする場面が出てくるため、英語を習得しておくことが求められます。また、国内コンサルティングファームでも、依頼者が海外進出を検討する場合や海外拠点で仕事する場合には、英語が必要です。
コンサルタントになるには資格は必要ですか?
一部の業界領域を除き、資格は特に求められません。
ただし財務・会計などの領域に携わる場合は、公認会計士や税理士などの資格があると有利になるでしょう。
コンサルタントとソリューション営業の違いは何ですか?
コンサルタントとソリューション営業の最大の違いは、提供する助言や提案に対して報酬を受け取るか否かです。
コンサルタントは、依頼者へ提供したコンサルティングそのものに対して手数料を受け取ります。一方ソリューション営業は、販売した商品やサービスに対して商品代金を受け取ります。
ソリューション営業が受け取る報酬はあくまで商品やサービスに対してであり、提案そのものは無償で提供される点が違いです。
コンサルタントの仕事はきついと聞きましたが本当ですか?
コンサルタントの仕事がきついというイメージは、一部の会社によっては正しいと言えます。コンサルタントは労働集約型の職種であり、成果がコンサルタントの労力に依存しやすいからです。
また職種の参入障壁が低く、人材さえ確保できれば容易にビジネスを開始できてしまいます。そのため競合となる会社が多く、なかなか成果を出せないとすぐに他の競合に切り替えられてしまうリスクがあることも、コンサルタントの精神的な負担を増やす要因になっています。
しかし、その一方で短期間でスキルを習得しやすく、成長を求める人や実績を積みたい人に向いています。