ものづくりエンジニア

ものづくりエンジニアとは?仕事内容や必要なスキル、年収事情を解説

ものづくりエンジニアとは?

ものづくりエンジニアとは、製造業の技術者のことです。

エンジニアと聞くと、「Webエンジニア」などのIT系の仕事を想像する人が多いかもしれません。しかし、エンジニアは「工学(エンジニアリング)」が由来の言葉であり、ITに関わらず「技術者」をエンジニアと呼びます。

なかでも、ものづくりエンジニアは日本の基幹産業である「ものづくり産業」を支える重要な職種です。「もの」といってもその種類はさまざまあり、ものづくりエンジニアは自動車や電子機器、半導体など多くの分野で活躍しています。

ものづくりエンジニアの仕事内容

一口にものづくりエンジニアといっても、その仕事内容は多岐にわたります。その中でも代表的な下記8つの仕事について、詳しく解説します。

  • 研究
  • 企画
  • 設計
  • 組み込み
  • 試作評価
  • 生産技術
  • 品質管理
  • サービス

研究

研究とは、ものづくりの基礎となる技術などを研究する仕事です。研究には、主に下記3つの種類があります。

  • 基礎研究
  • 応用研究
  • 開発研究

基礎研究

基礎研究とは、新しい製品開発の基礎となる、未知の素材や技術などを研究する仕事です。基礎研究では具体的な用途などは考慮せず、10〜20年後の製品やサービスを見据えて広い分野で実験的な研究を行います。

一般的に、基礎研究は大学などの研究室などで行われることが多いですが、企業によっては独立した研究所を開設して基礎研究を行うこともあります。

基礎研究に興味がある方は、「基礎研究とは?仕事内容や年収事情をわかりやすく解説」も読んでみてください。

応用研究

応用研究とは、基礎研究で発見された技術や素材などを利用して、より具体的な技術や製品へと結びつけるための研究です。基礎研究で得た結果を実用化できるか、実用化するためにはどのようにすれば良いかを研究します。

また、基礎研究では特定の目標を定めていないのに対し、応用研究では特定の目標を定めて研究を行うのが特徴です。また、すでに実用化されているものに関しても、新たな応用方法がないかを研究することがあります。

応用研究に興味がある方は、「応用研究とは?基礎研究との違いや仕事内容、年収事情などを解説」も読んでみてください。

開発研究

開発研究とは、基礎研究や応用研究の結果、または過去の知見を利用して、新たな製品やシステムの開発・改良を行う研究です。基礎研究で新たな技術を得て、応用研究でその技術が実用化できるかを確認し、開発研究で具体的に実用化します。

開発研究は、一連の研究成果を直接製品につなげる重要な仕事です。

企画

企画とは、どのような製品を作るか、ものづくりの計画を立てる仕事です。企画の仕事には、大きく分けて下記2つの種類があります。

  • 経営企画
  • 製品企画

経営企画

経営企画とは、将来どのような企業を目指すか、売り上げ目標などを決めて経営戦略や新規事業の検討を行う仕事です。経営の上流工程に関わる仕事が多く、企業が今後どのようになりたいか、そのためには何をすべきかを考えてものづくりの事業に落とし込みます。

企業において、各事業は経営企画が立案した計画をもとに行動するため、経営企画は経営に関わる重要な仕事です。経営企画は実際のものづくりに直接関わる仕事ではありませんが、新規事業の検討を行って企業がどのような製品を作るか、その方向性を決めます。

製品企画

製品企画とは、経営企画で決まった戦略をもとに、新たな製品や既存製品の改良を企画する仕事です。製品企画では、数年後の製品化を目指して市場調査などを行い、ニーズを分析してどのような製品を開発するかを決めます。

また製品企画では、早い段階からエンジニアが参画して意見を出し合い、製品化が可能か・製造工程に問題はないかなどを検討します。将来起こりえる問題を事前に洗い出しスムーズに生産できるようにするには、ものづくりエンジニアが欠かせません。

設計

設計とは、製品の仕組みを図面化したり強度や機能を机上で立証したりする仕事です。製品の種類によって、下記のような設計の仕事があります。

  • 機械設計
  • 金型設計
  • 光学設計
  • 回路設計

機械設計

機械設計とは、機械が動くメカニズムを設計する仕事です。機械は、さまざまな部品が集まって1つの機能を実現します。機械設計では、製品企画で決まったアイデアを具体的な形に落とし込む必要があります。

機械設計は、大きく下記4つのステップに分けられます。

  1. 概念設計
  2. 基本設計
  3. 詳細設計
  4. 生産設計

概念設計では、機械の機能をどのように実現するかアイデアを出してコンセプトを決めます。基本設計では、概念設計の内容を具体化させるためにCADなどのソフトを用いて設計を進めます。想定通りの動きをするかなどの検証も、基本設計の役割です。

そして基本設計で機械の構造が完成すると、詳細設計で細部を作り上げていきます。詳細設計まで終わると生産設計に移行し、工場で生産できるようにサイズや材質、組み立て、加工方法などを設計図として仕上げます。

金型設計

金型設計とは、大量生産に必要な金型を設計する仕事です。製品の大量生産には、決められた形に部品を型取る金型が必要です。金型には下記3つの種類があり、製造方法によって利用される金型が違います。

金型の種類

成型方法

プレス金型

材料を金型が取り付けられた加工機でプレスして成型する方法

鋳造金型

溶かした金属を金型に流し込んで成型する方法

プラスチック金型

溶かしたプラスチックを金型に流し込んで成型する方法

金型は多くの製品の製造で利用されており、金型の品質は製品の品質に大きな影響を与えます。ものづくりにおいて欠かせない金型設計は、さまざまな製品の製造に携われる仕事です。

光学設計

光学設計とは、デジタルカメラや電子顕微鏡などに利用されるレンズを設計する仕事です。光学技術を利用した製品には、レンズが欠かせません。光の反射や屈折など、光の性質や他の物質との相互作用を考慮し、設計を進めます。

工学設計は、コピー機や医療機器などの従来の製品に加え、スマートフォンの普及によりさらに需要が高まっています。製品ごとにレンズのサイズや枚数、形状が異なり、工学設計ができるものづくりエンジニアはさまざまなものづくりの分野で活躍できるでしょう。

回路設計

回路設計とは、電子機器に組み込まれる電子回路を設計する仕事です。回路設計には下記2つの種類があり、回路設計を行う場合には最低でもどちらか一方を身につけておくことが大切です。

  • デジタル回路設計
  • アナログ回路設計

製造する製品によって必要なスキルは異なります。回路設計を目指す場合、興味のある電子機器や企業に合わせて取得するスキルを選択するのも良いでしょう。

組み込み

組み込みとは、設計で決まった構造や仕組みに基づいて、製品を実際に動かすために組み込むソフトウェアを開発する仕事です。ものづくりエンジニアの中でも、ソフトウェアエンジニアに近いと言えます。

プロジェクトによっては、ソフトウェアとハードウェアを総合的に開発する場合もあるため、ソフトウェアだけではなく組み込むハードウェアの知識も必要です。

試作評価

試作評価とは、製品を試作して設計通りに機能するか、問題点などがないかを評価する仕事です。製品を設計した後、量産する前に試作品を製作してさまざまな評価を行います。

試作は量産品と同じ状況で製作し、評価で問題があれば設計者と協議して対策を考えます。製品の試作評価は、安全性や耐久性の確認をするための重要な仕事です。

生産技術

生産技術とは、製品を大量生産するにあたって工場の生産ラインの設計や管理を行う仕事です。ただ製品を製作するためのラインを造るのではなく、安全・効率・低コストなどのさまざまな課題をクリアするために、生産設備や工程を設計します。

近年では、工程の自動化やIoTの導入などが進んでおり、ハードウェアだけではなくソフトウェアの知識も必要になってきています。

品質管理

品質管理とは、生産した製品がさまざまな規格や基準を満たしているか、安全性や耐久性に問題がないかを確認する仕事です。生産する製品によって準拠する企画や基準は違うため、品質に関するさまざまな知識が求められます。

不具合のある製品を出荷してしまうと、ブランド力の低下や不具合対応による経営の圧迫など、さまざまな問題が発生します。ユーザーに直接影響する仕事であるため、ものづくりエンジニアの中でも特に重要な仕事です。

サービス

サービスとは、販売後の製品のメンテナンスや修理などのアフターサービスを行う仕事です。定期的なメンテナンスのほか、故障やトラブルなどにも迅速に対応しなければなりません。

ユーザーと直接関わる仕事であり、サービスの質は今後も製品を利用してもらえるかに影響します。

ものづくりエンジニアの魅力ややりがい

ものづくりエンジニアのもっとも大きな魅力ややりがいは、自分の仕事が形として残ることです。

ものづくりでは、自分が関わった製品が世の中で利用されているのを見ることができるため、社会に貢献していると感じることができます。製品によってはユーザーから直接意見を聞くこともできるため、やりがいを感じるでしょう。

ものづくりエンジニアに必要なスキル

ものづくりエンジニアには、下記のようなスキルが必要です。それぞれのスキルについて、詳しく見ていきましょう。

  • 高度な専門知識・技術
  • コミュニケーション能力
  • 論理的思考力
  • 語学力

高度な専門知識・技術

ものづくりエンジニアは、製品に関する分野の専門的な知識や技術が必要です。機械系であれば機械力学や材料力学などの4大力学、設計ではCADの知識など、製品に対応する知識や技術がなければ仕事ができないこともあります。

これらの知識や技術を独学で勉強することは難しいですが、メーカーによっては新人研修などで詳しく勉強することも多いので、新卒の時点では必ずしも専門知識・技術が必要とは限りません。

コミュニケーション能力

ものづくりでは、1つの製品を作るにあたってはさまざまな部署が連携します。例えば、試作をするためには設計の考えを理解しておく必要があるため、設計者とコミュニケーションを密にとる必要があります。

また、企画やサービスなど、直接ユーザーから意見を聞く仕事もあるため、ものづくりエンジニアにはコミュニケーション能力が欠かせません。

論理的思考力

ものづくりエンジニアには、論理的思考力が必要です。設計をするうえで「これくらい頑丈にしておけば安全だろう」などのような漠然とした考えでは、ものづくりはできません。

数値やデータなどの客観的な事実をもとに、誰が見ても問題ないことがわかるように論理的に考えることが重要です。

語学力

ものづくりではさまざまな知識が必要ですが、最新技術は海外の論文などで発表されることも多いです。そのため、海外の論文などを読んで理解できる語学力が求められます。

また、海外にも工場を持つ企業の場合、海外のものづくりエンジニアと一緒に仕事をする機会も多いため、コミュニケーションを取るためにも語学力が必要です。

ものづくりエンジニアに向いている人

ものづくりエンジニアは、下記のような特徴がある人に向いている仕事です。ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説します。

  • 好奇心が強い人
  • 粘り強い人
  • 新しいものへの関心が強い人

好奇心が強い人

ものづくりエンジニアは、機械などに対して「どのように動いているんだろう」といった好奇心がある人に向いています。機械にはさまざまな仕組みがあり、その仕組みが採用されているのには理由があります。

身近な機械の仕組みを知ることで、ものづくりの際にどのような仕組みを採用すればいいか、改善方法などのアイデアが思い描けるようになります。

粘り強い人

ものづくりには失敗がつきものです。スムーズに開発が進むこともあれば、設計や評価などの段階でトラブルが発生することもあるでしょう。

トラブルが発生した場合も、諦めずに粘り強く問題を解決しなければなりません。そのため、ものづくりエンジニアは粘り強く仕事できる人に向いています。

新しいものへの関心が強い人

ものづくりでは、常に新しい技術などの情報を取り入れて、自社製品に応用できないかを考えることが重要です。そのため、常にアンテナを張って新しい技術などを取り込む必要があります。

新しい技術は自分から能動的に調査しなければ得られないこともあり、ものづくりエンジニアは新しいものへの関心が強い人に向いています。

ものづくりエンジニアに向いていない人

下記のような特徴がある人は、ものづくりエンジニアには向いていない可能性があります。ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説します。

  • 1人作業が好きな人
  • 効率を重視できない人
  • 1つの仕事だけに取り組み続けたい人
  • 大雑把な人

1人作業が好きな人

ものづくりエンジニアは、基本的にチームで仕事をするため1人作業の仕事は多くありません。また、多くの部署と連携して製品を開発するため、プロジェクトによっては数十人規模で仕事をすることもあるでしょう。

そのため、1人で作業をしたい人にはものづくりエンジニアは向いていないかもしれません。

効率を重視できない人

ものづくりの仕事は、納期に厳しい傾向にあります。特に、生産技術やサービスなどの製造やトラブルに関わる仕事は迅速な対応が求められます。

そのため、常に効率を重視しながら仕事をすることが重要です。効率を重視できない人には、ものづくりエンジニアは向いていない可能性があります。

1つの仕事だけに取り組み続けたい人

ものづくりエンジニアの仕事の範囲は多岐にわたります。そのため、会社に入ってからずっと1つの仕事だけに取り組むことは難しいでしょう。

特に、メーカーの場合は企画から製造まで一貫しているため、部署異動などで仕事が変わることは珍しくありません。ものづくりエンジニアのなかでもさまざま仕事を行わなければならず、1つの仕事だけに取り組み続けたい人には向いていないかもしれません。

大雑把な人

ものづくりエンジニアが作る製品は、人が直接操作して利用するものです。製品によってはユーザーの命を預かるようなものもあるため、正確に設計・開発しなければなりません。

そのため、「これくらい大丈夫だろう」といった大雑把な考えの人にはあまり向いていません。

ものづくりエンジニアの年収や給料事情

ものづくりエンジニアの年収

ものづくりエンジニアの年収や給料事情について確認していきましょう。

業界

平均年収

全体平均

年収548万円

科学・材料・エネルギー

年収605万円

機械・プラント設備

年収483万円

電気・電子

年収592万円

出典:パソナキャリア「製造業界のエンジニア系職種の平均年収

国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、全国における正社員の平均年収は496万円であり、ものづくりエンジニアの平均年収は全国の平均年収よりも60万円ほど高いです。

分野によって年収に差はありますが、ものづくりエンジニアは専門的なスキルを求められる仕事が多いため、年収は高い傾向にあります。

実は就職する業界・会社選びよりも、重要なのは職業選び 自分の強み・特徴を活かした職業に就職をしない人は、早い段階で退職しているケースが多いです。単純にこの業界、この会社が好きとかではなく、自分の強み・特徴を活かした職業選択をするために適職診断をぜひご活用ください。

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