ライターとは?
ライターとは、企業やクライアントから依頼された企画内容に合わせて文章を書く仕事です。
かつては紙媒体が中心の業界でしたが、今ではインターネットの普及やSNS等の浸透により、Webを媒体に活動するライターも増えてきました。Web媒体にはアフィリエイト型のブログや購読につなげるニュースサイトなど、さまざまなタイプの記事があります。
活躍のフィールドは非常に幅広いですが、文章を書く仕事をする人全般をライターと呼びます。
ライターが活躍する業界
現在、ライターが活躍する業界は大きく分けて3つあります。
- 出版業界
- Web業界
- 広告業界
それぞれ詳しく解説していきます。
出版業界
ライターの活躍する場として、昔からポピュラーなのが出版業界です。
出版業界のライターは、主に次のような紙媒体で記事を執筆します。
- 書籍
- 雑誌
- 新聞
- フリーペーパー
- フリーマガジン
- 企業パンフレット
- 業務マニュアル
出版業界のライターは主に編集者から依頼を受けて、そのコンセプトに合わせた文章を書くのが基本です。なお企業の業務マニュアルや製品の説明書などの文章を執筆するライターは「テクニカルライター」と呼ばれ、この出版業界の中に含まれます。
出版業界では執筆分野に対する知識と理解力、そして誰にでもわかりやすい文章を書く技術が必要です。
Web業界
近年ライターの活躍の場として主流になりつつあるのが、Web業界です。Web業界で活動するライターは、Webライターとも呼ばれます。
Webライターは、主に次のような記事を執筆します。
- ブログ
- 企業のホームページ
- メールマガジン
- ネット広告
- ネットニュース
- コラム記事
- アフィリエイトサイトの記事
- ランディングページの文章
- ECサイトにおける商品の紹介文
出版業界のライターと同様、執筆分野に対する知識と理解力、およびわかりやすい文章を書く技術は必須です。
またWeb業界の場合、自社コンテンツの記事を自社の専属ライターに任せるのではなく、外注で記事を作成するケースも多いです。そのため、近年はフリーランスのWebライターも増えています。
広告業界
出版業界やWeb業界だけでなく、広告業界で活躍するライターもいます。
広告業界のライターは、主に次のような記事を執筆します。
- 広告
- 新聞
- 雑誌
- ポスター
- テレビCM
- カタログ
- Webサイト
広告業界のライターは、他の業界よりもクリエイティブな発想が重視されているのが特徴です。キャッチコピーで読者を引き込むテクニックや、読者の行動を促すような文章力が求められます。
ライターの仕事内容
Webライターには、主に次のような種類があります。
- ルポライター
- シナリオライター
- Webライター
- コピーライター
それぞれの仕事内容について見ていきましょう。
ルポライターの場合
ルポライターは社会問題や時事問題、事件などについて現地で取材を行い、それを記事として執筆するライターです。
ルポライターは出版社や編集プロダクションに所属するほか、フリーランスとして働く方法もあります。特別な資格は必要ありませんが、社会に対する好奇心や読者の心を引き込む文章力が必要です。
またルポライターと似た仕事にジャーナリストがありますが、厳密には異なります。個人の主張を文章に入れるのがジャーナリストである一方、あくまでも取材内容にもとづき客観的事実を伝えるのがルポライターです。
シナリオライターの場合
小説やゲームなどのストーリーを手がけるのがシナリオライターです。プロデューサーや監督から依頼を受け、資料集めや取材を経て作品にとって欠かせない物語を執筆していきます。
シナリオライターは脚本事務所などに在籍するだけでなく、フリーランスとして働くこともできます。
これまでは主にテレビやアニメなどの脚本が中心でしたが、インターネットの普及によりYouTube動画やオリジナル映像でも脚本が求められるようになり、シナリオライターが活躍するフィールドは広がっています。
Webライターの場合
Webライターは、Webサイトに掲載するニュースやコラムなどを執筆するライターです。Webサイトへのアクセスを増やすこと、コンテンツを通じて商品やサービスの販売を促すことなどが求められます。
Webライターの働き方は多様であり、企業に属する働き方もあれば、副業やフリーランスとしての働き方もあります。働き方を自由に選択しやすい点は、Webライターの魅力と言えるでしょう。
コピーライターの場合
コピーライターは、消費者に対して商品の購買意欲を促すような文章を作成します。クライアントである広告主からの依頼を受け、企業や商品、サービスなどを世間に発信するための文章を考えるのが仕事です。
文章の掲載先は、新聞・雑誌・ポスターなどさまざまです。クリエイティブディレクターやアートディレクターとチームを組んで仕事をすることが多く、他の業種に比べクリエイター目線が必要なライターだと言えるでしょう。
またコピーライターはセンスや感覚だけではなく、広告のターゲットや目的、消費者の志向などを細かく分析するマーケティングスキルも必須です。
ライターの仕事のやりがい
自分が書いた文章が目に見える形で残るのは、ライターとしてやりがいがある部分と言えるでしょう。文章の形は印刷物やWeb媒体などさまざまですが、いずれの場合でも目に見える成果として残ります。
またクライアントから依頼されて記事を書く場合、良い記事を納品できればクライアントからは高い評価を得られます。自分の文章が他人から評価されているという実感を得られれば、仕事のモチベーションアップにもつながるでしょう。
ライターに求められるスキルや能力
ライターに求められるスキルや能力は次のとおりです。
- 文章スキル
- SEOに関する知識
- ニーズを汲み取る力
- パソコンスキル
- コミュニケーション力
- 法律の知識
それぞれ詳しく解説していきます。
文章スキル
ライターには、何よりも文章スキルが求められます。正しい言葉で読みやすい文章を作成することにより、読者が疲れることなく最後まで記事を読んでくれやすいからです。
そして読んでいて飽きの来ないよう、独特かつ魅力的な言い回しで人をひきつけることも忘れてはなりません。また誤字脱字のない文章は、徐々にクライアントからの信頼も上がり次の仕事につながっていくかもしれません。
なお、文章スキルは書籍で学ぶこともできますが、日ごろから多くの読者に読まれている小説やコラム、Web記事などに目を通すだけでも勉強になるでしょう。
さらに文章スキルをつけていきたいという方は、実際に記事を書いてみることで鍛えることが可能です。
SEOに関する知識
Webライターとして働く場合は、SEOに関する知識は持っておいた方が良いでしょう。
SEOとは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略であり、検索画面上で記事を上位に表示させるための施策です。例えば上位表示させたい検索語を適切な位置に配置する、AIが正しく認識しやすい文章を書くなどが挙げられます。
SEOに関する知識は書籍やネットなどさまざまな場所で解説されていますが、そもそもGoogleの検索エンジンのアルゴリズムが公開されていないため、絶対に正しい施策はないと言われています。
そのため自身でもトライ&エラーを繰り返し、有効なSEO対策を模索する必要があるでしょう。
ニーズを汲み取る力
ライターには読者のニーズを汲み取る力が求められます。自分の書きたいことを書くのではなく、読者が読んで「ためになった」「面白かった」「悩みが解決した」と思えるような記事を書く必要があるからです。
「どのような文章を書けば読者が興味を持ってくれるだろうか」と常に考え続けることが、結果として読者のニーズを汲み取ることにつながるでしょう。
パソコンスキル
ライターになるなら、ある程度のパソコンスキルは必要でしょう。ライターは基本的にパソコンを使って文章を書くからです。
代表的な文章作成ツールである「Microsoft Word」や「Googleドキュメント」などは、ライターとして最低限使いこなす必要があります。その他にも、文章チェックに用いる校正ツールや、連絡手段としてチャットツールを用いる機会も多いです。
Web制作に携わるエンジニアほどのパソコンスキルは不要ですが、最低限のパソコンスキルは必須と考えておきましょう。
コミュニケーション力
ライターにはコミュニケーション力も求められます。記事の内容に関して、社内の企画担当者や編集者と連携を取りながら進めていかなければならない場面が多々あるからです。
またフリーでライターをする場合は直接クライアントと連絡を取り、仕様に関して入念に打ち合わせをする必要があります。
業界に関わらず常に必要な情報を共有することで、より精度の高い記事を執筆できます。
法律知識
ライターであれば、執筆に関する法律は知っておいた方が良いでしょう。
特に大切なのが著作権法です。著作権法で守られる対象となる「著作物」は、以下4つの条件をすべて満たすものを指します。
(1)「思想又は感情」を表現したものであること → 単なるデータが除かれます。 (2)思想又は感情を「表現したもの」であること → アイデア等が除かれます。 (3)思想又は感情を「創作的」に表現したものであること → 他人の作品の単なる模倣が除かれます。 (4)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること → 工業製品等が除かれます。 |
引用:文化庁「著作物について」
著作権侵害は犯罪であり、著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができます。ちょっとした意識の欠落が大きな問題に発展する恐れもあるため、著作権法はライターとして最低限理解しておくべき法律です。
また著作権法以外にも、医療分野の記事を書くのであれば医療法、商品やサービスの販売を促す記事を書くのであれば景品表示法なども厳守する必要があります。
法律知識を正しくインプットできれば、より市場価値の高いライターを目指せるでしょう。
ライターになるには
ライターになるには、次のような方法があります。
- ライターを募集している企業に就職する
- ライターのアルバイトに応募する
- フリーランスや副業としてライターの仕事を請け負う
いずれの場合も、求人サービスを使って仕事を探すのが一般的です。
なおライターとして働くにあたって、経験や資格は必須ではありません。未経験の場合でも、仕事をこなしながら文章力や表現力を磨くことが可能です。
ライターに向いている人
ライターは次のような人が向いていると言えるでしょう。
- 文章を書くのが好きな人
- 情報収集が得意な人
- 地道な作業が得意な人
それぞれ詳しく解説していきます。
文章を書くのが好きな人
文章を書くのが好きな人はライターに向いています。ライターの仕事は文章を書くことであり、好きなことがそのまま仕事になるからです。
日ごろから書籍や新聞などに目を通して文字に慣れ親しんでいる人であれば、スムーズに執筆を進められるでしょう。
情報収集が得意な人
情報収集が得意な人は、ライターに向いています。執筆するときは事前にしっかりと情報を集めて、正しい情報を記載していく必要があるからです。
たとえ自分が理解していると思っていた内容でも、誤った情報がインプットされていることもあります。そのため的確に正しい情報を集められる人は、ライターに向いていると言えるでしょう。
地道な作業が得意な人
地道な作業が得意な人は、ライターに向いています。ライターの仕事は常に活字と向き合う必要があるからです。
また、ライターの仕事は原稿を納品して終わりではなく、その後何度も修正や書き直しを求められることもあります。記事を1本書き上げるだけでも相当なエネルギーが必要であり、コツコツ地道な作業が求められます。
ライターに向いていない人
一方、ライターに向いていない人は次のとおりです。
- スケジュールを守れない人
- 大雑把な人
それぞれ詳しく解説していきます。
スケジュールを守れない人
スケジュール管理が苦手な人は、ライターに向いていません。納期を守れないと、社内での評価やクライアントからの信頼を大きく損ねてしまうからです。
また、ライターは同時にいくつも案件を抱えることが多く、それぞれの納期を把握して個別に管理する必要があります。自分のキャパシティを把握しつつ、スケジュールを上手く調整する力も求められるでしょう。
大雑把な人
大雑把に仕事をする人は、ライターに向いていないでしょう。ライターは文章を取り扱う仕事であるため、誤字脱字や表記揺れなどには細心の注意を払わなければならないからです。
また記事に盛り込む情報も、常に正確性を担保する必要があります。そのためには、入念な調査が必須です。
「多少のミスは気にしない」「納期さえ守れば大丈夫」といった考えを持つ人は、ライターとして活躍するのは難しいでしょう。
ライターに資格は必要?
資格がなくてもライターとして働くことは可能です。
ただし以下のような資格は、活動するフィールドによっては役立つ場合があります。
資格 | 概要 |
特定非営利活動法人「日本語検定委員会」が実施する、正しい日本語を使える能力を測るための検定資格。 | |
公益財団法人「日本漢字能力検定協会」が実施する漢字能力に関する検定。 難読漢字を使用することがあるルポライターやシナリオライターにおすすめ。 | |
2004年から実施の著作権に関する知識を問う検定試験。 ライターとして気をつけるべき著作権について深く学ぶことができる。 | |
一般社団法人日本クラウドソーシング検定協会主催の資格。 IT企業の教材で用いられることもあり、Webライターなどが多く受検している。 |
必要に応じて、資格取得も検討しましょう。
ライターの年収や給料事情
勤務形態別に見たライターの給与は次のとおりです。
勤務形態 | 平均年収・平均時給 |
正社員 | 年収442万円 |
アルバイト・パート | 時給1,048円 |
派遣社員 | 時給1,698円 |
出典:求人ボックス給料ナビ「ライターの仕事の年収・時給・給料」
総務省統計局の「家計調査」によると、日本国内の平均年収は433万円です。正社員のライターとして働く場合、平均年収はおよそ442万円なので、国内平均と大差ありません。
なお企業に属さないライターは、原稿単位で報酬が支払われるのが一般的です。この場合の報酬は、寄稿先や文章の内容、およびライター自身のスキルによって額が変わってきます。