個人営業

個人営業とは?法人営業との違いや種類、年収情報などを解説

個人営業とは?

個人営業とは営業職の一種であり、個人を相手に営業活動を行う職種です。ここで言う個人とは、一般消費者に加え、個人事業主やフリーランスなど事業を営む人も含まれます。

個人営業において購入の意思決定に関わるのは、商談に参加する本人の他、夫婦や兄弟、家族なども挙げられます。そのため、商談の規模は1名から最大でも10名程度の小規模なものが多く、取引金額は高額でも数百万〜数千万程度がほとんどです。

個人営業に求められる役割は、相手との対話を通じてニーズや悩み事を聞き出し、それを解決できる自社商品・サービスを提案して購入につなげることです。

雇い主にとって個人営業は売り上げや利益を運んでくる大切な存在ですが、消費者にとっても自分の悩みを解決してくれる頼もしい存在と言えます。

個人営業と法人営業の違い

個人営業と対比してよく語られるのが、法人営業です。

法人営業は、団体や組織など法人を相手に営業活動を行う職種です。法人営業も営業職の一種ですが、営業活動を行う対象が異なります。ここで言う法人とは団体や組織を意味し、具体例には、地方公共団体や独立行政法人、株式会社、NPO法人などが挙げられます。

法人営業において購入の意思決定に関わるのは、商談に参加する担当者の他、担当者の上司、関係部署、経営陣などです。そのため、商談の規模は数十人〜数千人程度と大きく、億単位の商談になることもあります。

法人営業に興味がある方は、「法人営業とは何か解説!種類や仕事内容、年収・給料などを紹介」も読んでみてください。

個人営業と販売の違い

個人を相手に営業的アプローチを行うのが個人営業ですが、実は販売職も広い意味において個人営業に含まれます。そのため、アパレルショップや携帯電話ショップの販売職も、広い意味では個人営業と言えるでしょう。

さらに、後述する反響営業のように、個人営業の中には問い合わせをしてきた顧客に店舗で応対する業務もあります。個人営業と言えば「自宅を訪問する職種」といったイメージがあるかもしれませんが、必ずしも当てはまらないことに注意が必要です。

個人営業で扱う商材の種類や特徴

個人営業は個人を相手にビジネスをするため、提案する商品やサービスは生活に密着したものが多いです。

ただし、顧客と1対1で商談をする特性から、個人営業による活動は人件費をはじめとするコストがかかります。そのため、個人営業がコンビニやスーパーなどで手軽に入手できる低単価の売り切り商品を販売しても、採算が合いません。

このような背景から、個人営業が取り扱う商材は、以下の条件を満たす商材が多い傾向にあります。

  • 1対1で商談しても採算が合う高額商品
  • 低額でも長期契約が期待できるサブスクリプション・定期購入商品
  • 専門性が高く一人では判断が難しい商品・サービス

以下は、個人営業が取り扱う商材の具体例です。

保険

病気や事故など、将来への金銭的不安を抱える人に保険商品を提案し、いざというとき受け取れる保険料によって安心を提供する

資産運用

将来への金銭的不安を抱える人に、投資信託やつみたてNISAなどの金融商品を提案し、手元資金を増やす手助けをする

自動車

自動車の購入を検討中の人に、デザインや燃費効率など希望に合う自動車を提案し、自動車選びの手助けをする

マイホーム

マイホーム建築を検討中の人に、予算や理想の住まいについてヒアリングを行い、マイホームを建てる手助けをする

教育関連

子どもの成績について悩む人に、家庭教師サービスの紹介や教材の提案を行い、学力強化を支援する

ウォーターサーバー

ウォーターサーバーのレンタルや販売を提案し、安全でおいしい水を提供する

WiFi契約

通信費削減を検討中の人にお得なWiFiプランを提案し、快適でコストパフォーマンスの高いインターネット環境を提供する

個人営業の目的別の仕事内容

個人を対象に営業活動を行う個人営業の仕事は、その目的に応じて主に以下の3種類に分けられます。

  • 新規開拓営業
  • 反響営業
  • 既存営業

新規開拓営業

個人営業における新規開拓の役割は、自社が提供する商品やサービスにぴったり合う顧客を発掘し、商談を成功させて会社に売り上げや利益をもたらすことです。

それを実現するため、新規開拓営業には、以下の仕事内容があります。

  • 見込み客の絞り込み
  • 見込み客へのアプローチ
  • 見込み客訪問による商談の実施
  • 商品・サービスの手配

見込み客の絞り込み

商談を成功させるために新規開拓営業がまず行うのが、見込み客の絞り込みです。

個人営業は手当たり次第に営業活動をかけても、必ず成功するとは限りません。自社商品に興味・関心を持ってくれる顧客層を見極めることが、商談の成功率を高める鍵です。

同じ商品でも顧客によってニーズや抱える悩みは異なります。そのため、さまざまな角度から仮説を立てながら、見込み客を絞り込んでいきます。

見込み客へのアプローチ

見込み客がはっきり定まったら、次に行うのが見込み客へのアプローチです。メールや電話・SNSなどを通じて見込み客と連絡をとり、商談の日時を取り付けます。

見込み客へのアプローチは初めての接触のため、まだ信頼関係を築けていません。そのため「結構です」「間に合っています」と断られることも多いのが現状です。

しかし、ここを突破しない限り、商談につなげることはできません。一度断られても諦めることなく、粘り強くアプローチをかけていく必要があります。

見込み客訪問による商談の実施

無事に商談の日時を取り付けることができたら、それは顧客が自分に興味を持ってくれた証拠です。限られたチャンスを最大限に活かすべく、入念に準備をして見込み客のもとまで商談に向かいます。

ここで大切なのは、相手との対話の中でしっかりとニーズや悩み事を聞き出し、それに合った提案をすることです。いくら巧みに自社商品の素晴らしさを語っても、顧客のニーズとずれていれば心に響くことはありません。

個人営業の特徴は、商談に参加する当事者のほとんどが購入決定権を握っていることです。商品の支払いをするのも、商談に参加する本人であることが多いです。

そのため、今商談を行っている相手を納得させて信頼を勝ち得れば、商談の成功率は格段に高まります。

商品・サービスの手配

商談が無事成立したら、顧客の希望に合わせて商品やサービスを手配します。合わせて請求書も作成して、代金も支払ってもらいます。

この一連の作業が個人営業の新規開拓の流れです。顧客へのアプローチから商品手配まで滞りなく行うことで、顧客と信頼関係が生まれ、今後の商談もスムーズに進みます。

反響営業

個人営業における反響営業の役割は、テレビやインターネットなどのメディアを活用して広告宣伝を行い、問い合わせしてきた人に自社商品やサービスを提案して購入につなげることです。

一般消費者に対して幅広く広告宣伝をする反響営業の手法は、他の営業方法より高額な広告宣伝費がかかります。そのため、反響営業を採用しているのは、不動産や自動車など高額商品を販売する会社が多いです。

反響営業には、以下の仕事内容があります。

  • メディアを活用した広告企画
  • 問い合わせしてきた人への店舗対応

メディアを活用した広告を企画

反響営業の仕事の1つ目は、メディアを活用した広告企画を考えることです。この仕事は、会社によってはマーケティング部など他部門が担当する場合もあります。

広告企画を打つにあたって大切なのは、いかに一般消費者の心に響く広告を打てるかです。広告への反響が大きいほど問い合わせの数が増え、売上拡大が期待できます。

広告宣伝には多額の費用がかかるだけに、失敗すると会社の売上や利益に響いてしまいます。「誰にどんなメッセージを伝えたいのか?」「最も効果的な広告手段は?」等を慎重に検討し、消費者ニーズにぴったり当てはまる広告企画に仕上げる必要があります。

問い合わせしてきた人への店舗対応

反響営業の仕事の2つ目は、広告宣伝を見て問い合わせしてきた人への店舗対応です。

店舗にやって来るのは、商品やサービスに対してすでに興味や関心がある人です。そのため、新規開拓営業と比べると、商談を進めやすいと言えます。

一方、顧客が来店するまでには多額の広告宣伝費がかかっています。そのため、商談チャンス最大限に活かし、高確率で購入に結びつける店舗対応が必要です。

既存(ルート)営業

個人営業における既存営業の役割は、一度取引があった既存顧客に対してきめ細やかなアフターフォローを行い、自社商品やサービスを長期にわたって継続的に使用してもらうことです。

そのために既存営業が行う仕事内容は、次の通りです。

  • 既存顧客への定期訪問でニーズを確認
  • 新商品・サービスなどの提案
  • 商品・サービスの手配

既存顧客への定期訪問でニーズを確認

既存営業がまず行う仕事は、一度取引が合った既存顧客を訪れて「現状に不満はないか」「現在どのようなニーズがあるのか」を確認することです。

一度商談が成功した顧客でも、商品やサービスに不満が見つかれば、他社への乗り換えを検討する可能性があります。その前にしっかりと顧客ニーズを把握し、自社の商品やサービスで対応できないかを検討します。

新商品・サービスなどの提案

定期訪問で顧客の不満や課題が見つかったら、それを解消できる商品やサービスを提案します。新商品やサービスのリリースにより、当時の商談では対応できなかったニーズを満たせる場合もあります。

既存営業は新規開拓営業とは異なり、既にある程度顧客との間に信頼関係が築かれているのが特徴です。そのため、新規開拓営業と比べると商談を進めやすい傾向にあります。

商品・サービスの手配

商談の中で新たに購入が決まれば、商品やサービスの手配を行なって代金を請求します。

新商品導入後も定期的に訪問を繰り返し、長期的な取引継続を目的にアフターフォローを行っていきます。

個人営業の魅力ややりがい

ここでは、個人営業の魅力ややりがいを3つ取り上げて解説します。

  • お客様から直接感謝の言葉をかけてもらえる
  • インセンティブとして仕事の頑張りが評価されやすい
  • 多くの会社で需要がありつぶしが利く

お客様から直接感謝の言葉をかけてもらえる

個人営業の魅力ややりがいの1つ目は、お客様から直接感謝の言葉をかけてもらえることです。それはお客様の抱える悩みに真剣に寄り添い、解決するために提案してきた努力が報われた瞬間でもあります。

また、一度お客様から感謝されると、信頼関係が構築されて関連商品やサービスの提案もしやすくなります。個人営業は頑張ったら頑張った分だけ報われる仕事と言えるでしょう。

インセンティブとして仕事の頑張りが評価されやすい

個人営業の魅力ややりがいの2つ目は、インセンティブとして仕事の頑張りが評価されやすいことです。

個人営業に限らず営業職全般に言えることですが、営業職は仕事の成果が営業成績として見えやすいです。そのため、個人営業の中でも契約獲得の難易度が高い新規開拓では、営業成績に応じてインセンティブ報酬がプラスされる会社が多い傾向にあります。

個人営業の仕事は、報酬面においても仕事の頑張りが評価されやすい点が魅力と言えます。

多くの会社で需要がある

個人営業の魅力ややりがいの3つ目は、多くの会社で需要があることです。

会社にとって売上を安定的に確保するには営業活動が大切であり、多くの会社が個人営業の求人を出しています。そのため、個人営業としてスキルや経験を磨いておけば、仮に将来転職する場面に遭遇しても、役に立つ可能性が高いでしょう。

個人営業に向いている人

個人営業に向いている人の特徴として、以下に当てはまる人が挙げられます。

  • 人当たりが良く細やかな気配りができる人
  • 仕事への頑張りを数字で明確に評価されたい人
  • 対話を通じて相手の本音を上手く引き出せる人
  • 目標に向けて計画的に行動できる人

人当たりが良く細やかな気配りができる人

個人営業には、人当たりが良く細やかな気配りができる人が向いています。その理由は、個人営業が商談を成功させるには、商品そのものの魅力に加え、顧客と信頼関係を築くことが大切だからです。

購入決定権を持つ本人から嫌われてしまえば、いかに優れた商品を取り扱っていても商談は成功しません。逆に、対話を通じて好感度を高めることできれば、「この人からなら買っても良い」と思わせることができます。

個人営業には、顧客に気に入られるための人間的魅力が求められると言えます。

仕事への頑張りを数字で明確に評価されたい人

個人営業には、仕事への頑張りを数字で明確に評価されたい人が向いています。

個人営業は良くも悪くも、仕事の成果が営業成績として顕著に数字にあらわれる仕事です。そのため、自分がどの程度頑張ったのかは、営業成績を見れば客観的に把握できます。

仕事への頑張りを上司からの評価以外の数字で示せるのは、個人営業の仕事の特徴と言えるでしょう。

対話を通じて相手の本音を上手く引き出せる人

個人営業には、対話を通じて相手の本音を上手く引き出せる人が向いています。なぜなら、個人営業の仕事は、自分から饒舌に話すより顧客のニーズを的確につかむことが求められるからです。

特に難易度が高い新規開拓営業では、信頼関係を構築する過程で相手の警戒心を解き、本音を引き出すことが不可欠です。

顧客自身も上手く表現できない悩みを引き出すことで、顧客のニーズにマッチした商品やサービスの提案につながります。

目標に向けて計画的に行動できる人

個人営業には、目標に向けて計画的に行動できる人が向いています。個人営業の仕事は、たいていノルマや目標数字が設定されていて、決められた期間内に営業成果を上げなければならないからです。

期待される営業成績を達成するには、目標数字を逆算して計画的に仕事を進めることが求められます。「いつまでにどれだけ成果を上げなければいけないのか」「そのためには具体的にどんな活動が必要か」を考えながら行動する必要があります。

個人営業に向いていない人

逆に、個人営業に向いていない人は、以下の特徴に当てはまる人です。

  • 週末や祝日は休みたい人
  • アフターファイブを大切にしたい人
  • 打たれ弱い人

週末や祝日は休みたい人

週末や祝日は休みたい人は、個人営業に向いていないかもしれません。その理由は、個人を相手に営業活動を行う個人営業は、商談の時間帯を個人の都合に合わせる必要があるからです。

世の中にはさまざまな職種がありますが、平日働いて週末休む人が多いです。これらの人に合わせて商談を行うには、週末や祝日に商談日時を設定しなければなりません。

つまり、個人営業を職業として選択すると、平日に休みを入れながら週末働くことになる可能性が高まります。

アフターファイブを大切にしたい人

アフターファイブを大切にしたい人も、同様の理由で個人営業に向いていない可能性があります。なぜなら、多くの人は夕方5時まで勤務しているため、5時以降の時間帯に商談を設定しなければならないからです。

個人営業として働くことは、他人の都合に合わせて働くことを意味します。アフターファイブを大切にしたいなら、商談の時間が就業時間と重なる法人営業の方が向いています。

打たれ弱い人

打たれ弱い人も個人営業に向いていない可能性があります。個人営業は新規開拓の仕事も多く、冷たく断られる場面も多いからです。

一方、それを乗り越えて活動を続けない限り、商談に応じてくれる顧客を発掘するのは困難です。そのため、個人営業には顧客の態度に振り回されることなく、地道に活動を続けるタフさが求められます。

個人営業の年収や給料事情

個人営業の年収や給料事情

個人営業の年収や給料事情についても確認しておきましょう。

職種

平均年収

個人営業

424万円(※1)

全職種

443万円(※2)

※1 出典:マイナビAGENT「業種別平均年収ランキング 個人営業
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査

個人営業の平均年収424万円は、全職種平均の443万円と比較すると、19万円程度低い金額です。

しかし上記は、あくまで個人営業全体における平均金額に過ぎません。実際に受け取る年収は、勤める会社や取り扱う商材、営業成績や役職などで大きく異なります。

個人営業として働きながら年収を高めていくには、しっかりと営業成績を出して役職を高めていく必要があると言えるでしょう。

実は就職する業界・会社選びよりも、重要なのは職業選び 自分の強み・特徴を活かした職業に就職をしない人は、早い段階で退職しているケースが多いです。単純にこの業界、この会社が好きとかではなく、自分の強み・特徴を活かした職業選択をするために適職診断をぜひご活用ください。

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