タクシーの運行管理者とは?仕事内容や適性、資格取得について解説
2020年08月08日
タクシー業界の求人には、タクシードライバーのほかに「タクシー運行管理者」という職種があります。しかし、タクシー運行管理がどういう業務なのかが想像しにくいことでしょう。
そこで今回は、タクシー運行管理者の仕事内容や求められる資質、資格のとり方について解説します。
目次
タクシー運行管理者とは?
タクシー運行管理者とは、タクシーの安全な運行のためにさまざまな業務を行う人のことです。タクシードライバーの乗務に関する業務がメインです。
タクシー運行管理者は国家資格であり、5台以上のタクシーを保有するタクシー営業所は、法律上必ず配置しなければなりません。
さらにタクシーの保有台数が40台以上のタクシー会社になると、保有タクシー数を40で割った数に1を加えた人数(小数点以下切り捨て)の運行管理者を配置する義務があります。
タクシー運行管理者の仕事内容
タクシー運行管理者の仕事には「ドライバーの健康状態の把握」「ドライバーの勤務時間の管理」「ドライバーへの指導」「事故やクレームへの対応」などがあります。
ほかにも、売上や給与の管理、ドライバーの募集や採用なども行うことがあります。
ドライバーの健康状態の把握
タクシーを安全かつ円滑に運行するためには、ドライバーの心身が健康であるというのが不可欠です。
健康状態の管理をドライバー本人の感覚だけに任せていては、安全かつ円滑な運行はままならないでしょう。そこで、運行管理者がドライバーの健康状態をチェックするのです。
ドライバーの心身の状況は、「点呼」によって把握します。
点呼は乗務前と乗務後に行います。ドライバーの顔色などから睡眠不足や体調不良になっていないかをチェックしたり、アルコール検知器を使って酒気帯びがないかどうかをチェックしたりします。
ドライバーの勤務時間の管理
国土交通大臣によって定められた乗務時間の範囲内でドライバーの乗務割を作成します。ドライバーはこの乗務割に従って乗務を行わなければなりません。
ドライバーの乗務は運転記録計を用いて記録し、休憩を過不足なく取っているか、所定の労働時間を守っているかどうかをチェックします。
走行した距離や時間だけでなく、場所まで細かく記録します。また、休憩や仮眠についても細かくチェックします。
ドライバーへの指導
タクシードライバーの運転や接客に対して指導を行います。特に、ドライバーへの指導は細かい指針に基づいて行われます。
指導には「一般的な指導」と「特定のドライバーに対する指導」の2つがあります。
一般的な指導
一般的な指導の内容は、タクシーを運転するための知識や心構えに関することがメインです。
特定のドライバーに対する指導
特定のドライバーに対する指導は、「初任運転者」「事故惹起(じゃっき)運転者」「高齢運転者」の3つのカテゴリーに属するドライバーに向けて行われます。
初任運転者に対する指導は、安全運転の技術を身に着けることが主な内容です。
事故惹起運転者は交通事故を起こしてしまったドライバーのことで、そのような人たちに対しては再発防止のための指導が行われます。
また、高齢運転者に対しては、判断力などの身体機能が低下する中で安全な運転を行っていくにはどうするべきかを自分なりに考えるよう指導します。
事故やクレームへの対応
ドライバーが事故やトラブルを起こしたときに、解決のためのアドバイスをしたり、当事者間に立ち入って対応したりします。
状況を把握し、責任の所在を適切に判断することで、なるべく会社に不利益を与えないように対応します。
タクシー運行管理者に求められる資質
タクシー運行管理者に求められる資質として「責任感がある」「気配りができる」「礼儀やマナーがしっかりしている」が挙げられます。
責任感がある
タクシーの運行が安全に行われるためには、安全に関わる重大なミスがあってはいけません。常に責任感を持って業務に当たれる人が望ましいです。
責任感を持つことは、自己管理を徹底することにもつながります。自己管理によって、感情的にならないように努めることができ、いざというときでも平常心で真摯な対応ができるのです。
また、責任感の強い人だとドライバーから認められると信頼されやすくなります。指示や指導に説得力が出て、反発されたり無視されたりといったこともなくなることでしょう。
気配りができる
タクシー運行管理者は他人と接することの多い仕事なので、気配りの良さも重要です。そして、気配りには観察力が必要です。
その観察力で、点呼などの際にドライバーの健康状態を見極め、配慮することができます。
健康状態だけでなく、ドライバー一人一人の個性や考え方に合わせた対応ができるため、信頼関係を築きやすいです。
礼儀やマナーがしっかりしている
礼儀やマナーがしっかりしていることも必要です。礼儀正しくドライバーと接することで、気配りが伝わりやすくなり、関係を良好に保てます。
また、事故やクレームへの対応で乗客と接するときも真摯に行うことができ、状況の悪化を防ぐことが期待できることでしょう。
タクシー運行管理者の国家資格を取得する方法
タクシーの運行管理業務は、資格がなくても行えます。しかし、キャリアアップを目指すのであれば国家資格を取得しておく必要があります。
国家試験に合格する
1つ目の方法は、毎年3月と8月に開催される国家試験に合格することです。「旅客」と「貨物」の2種類がありますが、タクシーの場合は「旅客」を選択します。
試験では道路交通法や道路運送車両法などといった自動車に関連することに加え、労働基準法に関する内容も問われます。運行管理業務に必要な知識と能力が試されます。
受験資格があり、運行管理に関する実務経験が1年以上あるか、国土交通大臣によって認定された講習実施機関で行われる基礎講習を修了していることが必須です。
実務経験を積みながら講習を受ける
もう1つの方法は、運行管理の実務経験を積みながら講習を受けることです。この場合、5年以上の実務経験が必要です。これに加えて、5回以上の講習が必要です。
さらに5回以上の講習のうち1回以上は、自動車事故対策機構による基礎講習と一般講習を受講している必要があります。
タクシー運行管理者の求人情報の探し方
タクシードライバーとは違い、運行管理者は直接利益を生み出すわけではないので、法律上必要な最低限の人数だけを配置するというタクシー会社が多いです。
それゆえ、求人の数はドライバーに比べると多くありません。
また、総合的な求人サイトで探す場合、タクシー業界などの「旅客」だけでなくトラック運送業界の「貨物」の求人がヒットする可能性もあり、タクシー運転管理者の求人をピンポイントでは探しにくいです。
そこでタクシー運行管理者の求人は、タクシー専門の求人サイトで探すのがおすすめです。
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木村
株式会社ピーアール・デイリー(厚生労働省認可 有料職業紹介事業許可番号13-ユ-305520)所属。入社17年目。P-CHAN TAXIのキャリアアドバイザーとして、多くのタクシー求職者を転職に導く、タクシー転職のプロ。日本全国のタクシー会社の営業も担当。
車の運転好きで、次の転職先はタクシー会社と決めている程、タクシーの仕事をこよなく愛しています!