内定取り消しになるケースとは?8つの理由と違法な事例を紹介

内定取り消しになるケースとは?8つの理由と違法な事例を紹介

内定を獲得して無事に就活を終えたものの、企業から内定を取り消しされたらどうしようと不安に思う人もいるでしょう。

また、「内定取り消しされたらどう対処したらいいのだろう…」「そもそもどのような理由で内定取り消しになるの?」このような疑問を持つ就活生も多いのではないでしょうか。

内定は、企業との間で法的に労働契約が締結されたとみなされるため、取り消しになることは滅多にありません。しかし、特定の条件下では内定が取り消される場合があるのも事実です。そのため、内定の取り消しを防ぐためには正しい知識を持っておくことが大切です。

この記事では、内定取り消しになるケースとそれを防ぐための対策から、過去にあった違法な取り消し事例まで詳しく解説します。

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【会社都合】内定取り消しになるケース

【会社都合】内定取り消しになるケース

内定取り消しになる理由は、会社側の問題と学生側の問題に分けられます。会社側の問題である場合は、学生に非がないため不当な内定取り消しに当たる可能性があります。会社側の問題で内定取り消しになる主なケースは、以下の2つです。

  • 企業の経営状況が悪化した
  • 災害により経営困難に陥った

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

企業の経営状況が悪化した

内定後に企業の経営状況が悪化した場合は、人件費削減のために整理解雇として内定取り消しになる可能性があります。整理解雇は会社が存続していくために避けられない判断として、法的に容認されるためです。

ただし、整理解雇は特定の要件を全て満たす場合のみ認められ、解雇が有効かを厳しく判断する必要があります(※)。整理解雇の4つの要件は、次のとおりです。

  • 経営不振などによる経営上の問題で人員削減の必要性が高いこと
  • 配置転換・希望退職の募集など解雇を回避する努力をつくすこと
  • 勤続年数や職務成績など明確な基準にもとづいて解雇対象者を選ぶこと
  • 従業員に対して十分な説明を行い理解を得ること

なお、整理解雇の理由が単なる利益向上であった場合、解雇理由に正当性がないため内定取り消しは認められません。

※出典:厚生労働省「労働契約の終了に関するルール

災害により経営困難に陥った

災害を原因とした経営困難による内定取り消しは、原則として認められていません。ただし、災害の影響で一部事業所の閉鎖や資金繰りの悪化などにより、企業の存続が困難な状態である場合は整理解雇が認められるケースもあります。

災害時の整理解雇についても、定められた4つの要件を全て満たす必要があります。例えば、災害により取引先に影響が生じて売上減少が懸念されるといった不確実な理由では、内定取り消しの根拠としては不十分です。

実際に事業継続が困難となり、取り消しを避けられない明確な事実が発生している場合に限り、内定取り消しが適法と判断されます。

【学生都合】内定取り消しになるケース

【学生都合】内定取り消しになるケース

学生都合による内定取り消しは、内定決定時には企業が把握できなかった事実が後に判明した場合に行われます。学生都合で内定取り消しとなる主なケースは以下の6つです。

  • 経歴詐称があった
  • 卒業できないと確定した
  • 必要な資格を取得できていなかった
  • 病気やケガにより就労が困難になった
  • 犯罪行為が発覚した
  • SNSなどで不適切な発言をしていた

内定取り消しの具体例を把握しておけば、不当な理由による内定取り消しに対して異議申し立てを行う際の判断材料となります。それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

経歴詐称があった

履歴書やES(エントリーシート)、面接で虚偽の申告があった場合は経歴詐称とみなされ、内定が取り消されるケースもあります。企業側は候補者の申告した情報をもとに合否を判断するため、虚偽の内容だと判明すれば内定を取り消す正当な理由になります。

経歴詐称に該当する具体的な例は、次のとおりです。

  • 学歴
  • 資格・免許
  • 留学経験

特に、保有資格や免許に関する嘘は業務に支障をきたす重要な問題であり、内定取り消しになる可能性が高いと言えます。ただし、書類への記載ミスや意図しない発言で詐称を疑われた場合は、事情を詳しく説明することで内定取り消しを撤回してもらえるケースもあります。

卒業できないと確定した

単位不足などで卒業できないと確定した際は、多くの場合で内定取り消しの対象となります。企業は原則として卒業を条件に内定を通知するため、内定取り消しは正当な判断と考えられます。

内定先が年間を通して採用活動を行っていたり深刻な人手不足に悩んでいたりした場合は、卒業まで保留してもらえる可能性もゼロではありません。しかし、自己管理能力に疑問を持たれ、入社後の印象が悪くなる恐れがあるため注意が必要です。

内定取り消しを避けて円滑な社会人生活をスタートさせるためにも、単位不足やレポート・卒論の未提出などがないよう、内定後も学業に真摯に取り組むことが大切です。

必要な資格を取得できていなかった

企業が資格取得を採用条件としている場合は、資格未取得により内定取り消しになる可能性が高いと言えます。資格の有無が業務に大きく影響を及ぼすことから、内定を取り消す正当な理由になるためです。

特に、専門職では無資格での業務が法的リスクを生みます。例えば、医師や弁護士、美容師などは、無資格者の業務により企業側が患者や顧客から訴訟を起こされる可能性があります。

必要な資格については、企業説明会や採用に関する資料などで「取得期限」「対象資格」が具体的に説明されるのが一般的です。卒業までが取得期限であるにもかかわらず取得できなかった場合や、資格に関して虚偽の申告をした場合は内定取り消しの要件に該当します。

病気やケガにより就労が困難になった

病気やケガにより就労が困難な状態になった場合は、内定取り消しの対象となることがあります。企業は選考段階で申告された健康状態をもとに、問題なく働けることを前提に内定を出しているためです。病気やケガにより想定していた労働力が得られなければ、内定取り消しはやむを得ない判断と考えられます。

ただし、病気やケガの程度が軽く、業務に支障が少ない場合は内定取り消しは認められません。また、選考時に持病を申告していて企業の了承を得ていれば、内定取り消しの要件に該当しないため、取り消しの撤回を請求できます。

犯罪行為が発覚した

犯罪行為の発覚も内定取り消しの要件に該当します。犯罪行為は企業にとって社会的評価の低下を招く恐れがあり、売上減少などの経営リスクを生じさせるためです。

雇用すること自体が企業に損失をもたらす可能性があり、犯罪に関与した内定者の内定取り消しは正当な判断と考えられます。ただし、犯罪に巻き込まれるなど本人に責任がない状況では、話し合いにより内定取り消しが撤回されるケースもあります。

万が一、意図せずに事件に巻き込まれたことが原因で内定取り消しを受けた場合は、企業との交渉のために弁護士への相談を検討しましょう。

SNSなどで不適切な言動をしていた

SNSなどでの不適切な言動は、内定取り消しにつながる場合もあります。内定者は既に企業の一員として扱われ、SNSによる言動が企業のイメージに影響を与える可能性があるためです。

例えば、内定者のSNS投稿が炎上した場合、「〇〇会社の内定者が差別発言」などとして報道や拡散されるリスクがあります。入社前であっても企業の社会的信用やブランドイメージが損なわれる恐れがあり、企業にとって重大な問題となります。

企業側が損害をもたらす人物として内定取り消しを実施した際は、妥当な根拠と認められるケースもあるため、SNSは慎重に利用することが大切です。

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内定取り消しと内々定取り消しは法的な性質が異なる

内定取り消しと内々定取り消しは法的な性質が異なる

内定と内々定は法的な性質が異なり、学生が置かれている状況には大きな違いがあります。内定と内々定の違いは、次のとおりです。

  • 内定:企業が候補者に対して雇用の意思を伝えて入社を約束すること
  • 内々定:「後日正式に内定を出す」と約束されている状態のこと

内定は法的に「始期付解約権留保付労働契約」とされ、内定時点で労働契約が成立しています。

「始期付」とは、勤務開始日に条件が設定されていることを指し、新卒採用では4月1日を勤務開始日とするケースが一般的です。「解約権留保付」とは、内定撤回の事由に該当する状況では内定取り消しになる可能性があることを表しています。

しかし、内定取り消しには法的制約が生じることから、企業側は安易に取り消しを実施できません。

一方、内々定の時点では労働契約は成立していないため、法的制約がなく、企業側はいつでも取り消しができる状況にあります。

内々定が取り消しになるケースについて詳しく知りたい人は「内々定取り消しは滅多にない?取り消される理由や対処法も解説」も読んでみてください。

不正な内定取り消しは撤回や損害賠償の請求ができるケースがある

不正な内定取り消しは撤回や損害賠償の請求ができるケースがある

内定取り消しに正当な理由がない場合は、企業と交渉して内定取り消しの撤回や損害賠償の請求が可能です。内定は労働契約が成立しており、取り消しは法的には解雇と同様の扱いになるためです。

従業員の解雇は労働契約法の規定にもとづいた実施が必要となり、正当な理由なく行った場合は解雇権濫用法理(労働契約法16条)により、違法・無効と判断される可能性があります(※)。

万が一内定を取り消された際は、解雇理由として妥当であるのかしっかりと確認し、その後の対応を適切に選択することが重要です。

※出典:e-Gov 法令検索「労働契約法第16条

不当な内定取り消しを受けたときの対処法

不当な内定取り消しを受けたときの対処法

不当な内定取り消しを受けたときは、企業との交渉を慎重に進める必要があります。不当な内定取り消しを受けたときの対処法は以下の4つです。

  • 内定を受けた証明となる書類を準備する
  • 内定取り消しの理由を企業に問い合わせる
  • 法的機関へ相談する
  • 内定取り消しの撤回・損害賠償を請求する

対処法を理解しておけば、万が一の際に交渉を効果的に進められます。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

内定を受けた証明となる書類を準備する

内定取り消しの撤回には、企業との交渉の際に内定を受けた証拠を提示することが重要です。入社日が明記された通知やメール、研修の案内などは内定を受けた証拠になるため、適切に保管しておきましょう。

内定を受けた証拠の具体例は、以下のとおりです。

  • 内定通知書
  • 内定者説明会や研修の案内
  • 内定式・入社式の案内

もしメールで内定を通知された場合は、メールの保存とクラウドストレージでバックアップを作成しておくと良いでしょう。

内定取り消しの理由を企業に問い合わせる

内定取り消しが正当な理由かを判断するためには、まず企業に理由を文書で確認することが重要です。後からやり取りの経緯を確認できるよう、電話だけでなく、メールや書面で問い合わせて回答を記録として残しましょう。

撤回の交渉は慎重に進める必要があるため、大学のキャリアセンターの担当者や信頼できる人に相談しながら企業と話し合いを行うことが大切です。

万が一、企業から回答を得られない場合は、弁護士などの専門家を介した対応を検討しましょう。

法的機関へ相談する

内定取り消しの理由が判明したら、法的機関へ相談しましょう。内定取り消しは法的な事情が関わるため、法律を熟知した専門家のアドバイスを取り入れて、企業との交渉を適切に進めることが大切です。

例えば、厚生労働省が都道府県別に設置する総合労働相談コーナーは、労働に関する悩みを電話で相談できます(※)。また、初回相談が無料になる弁護士事務所もあるため、労働問題に詳しい弁護士に相談するのも有効な方法です。

※出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内

内定取り消しの撤回・損害賠償を請求する

専門家に相談の上、法的な対応が確定したら企業との交渉を進めましょう。内定取り消しの撤回・損害賠償の請求は、弁護士などの専門家を介して企業と話し合いを行うことで、迅速かつ的確に手続きを進められる可能性が高まります。

また、話し合いで解決できない場合は、労働審判や訴訟に踏み切ることも選択肢として挙げられます。裁判は申し立てから終了まで3か月〜2年程の期間を要するのが一般的です(※)。

ただし、裁判を実施しても入社が実現できる保証があるわけではないため、冷静に状況を判断して適切な選択をする必要があります。

※出典:裁判所「労働審判手続
※出典:裁判所「地方裁判所における民事第一訴訟事件の概況及び実情

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違法な内定取り消しによる過去の裁判事例

違法な内定取り消しによる過去の裁判事例

内定取り消しが違法と認められた代表的な裁判例に、昭和54年の「大日本印刷採用内定取り消し事件」があります(※)。本事件では、入社2か月前の内定取り消しが解約権の濫用に当たるとして、内定取り消しが無効と判断されました。

この事例を通じて、始期付解約権留保付労働契約が成立している場合に、企業が適法に内定取り消しを行うための基準が明確化されました。適法な内定取り消しの要件は、次のとおりです。

  1. 内定決定時点では把握不可能であり、かつ把握することが合理的に期待できなかった事実の存在
  2. 客観的に合理性があり、社会通念に照らして相当と認められること

事件の経緯として、企業は陰気な印象を持っている学生に、その後の学生生活や行動によって印象が変わる可能性もあると考え当初内定を出しました。ところが、内定後も印象を覆すような材料が見つからなかったため、企業は「やはり不適格である」と判断し、内定を取り消します。

しかし、学生の性格は当初から明らかであり、企業は内定前に十分な検討や評価を怠ったとして、裁判所は内定取り消しを違法と判断しました。

本事件は、内定取り消しの法的な判断基準を確立した重要な判例であり、現在でも全ての内定取り消しに関する裁判の基礎となっています。

※出典:厚生労働省「採用内定の取り消し

内定取り消しを防ぐための3つの対策

内定取り消しを防ぐための3つの対策

適切な大学生活を送り、真面目に就活を実施していれば内定を取り消されることは滅多にありません。しかし、可能性はゼロではないため、注意不足で内定取り消しにならないように事前に対策しておくことが大切です。

内定取り消しを防ぐための以下の3つの対策を解説します。

  • SNSでは秩序ある発信を心がける
  • 企業からの連絡はこまめに確認する
  • 卒業まで学業に手を抜かない

対策を理解しておけば、内定を取り消されるリスクを軽減できます。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

SNSでは秩序ある発信を心がける

SNSでは他人への誹謗中傷やネガティブな印象を与える内容は避け、秩序ある発信を心がけましょう。意図せずに炎上する場合もあるため、不用意なタグ付けを避けるなどリスク管理についての理解を深めておくことが大切です。

また、過去の投稿が後から問題視されるケースもあります。定期的に過去の投稿内容に誤解を招く表現がないか確認するなど、リスク管理を徹底しましょう。

企業からの連絡はこまめに確認する

内定後は説明会や内定式などの案内があるため、企業からの連絡はこまめに確認しましょう。メールや郵便物の確認が漏れて対応が遅れた場合、企業から入社の意思があるのか不信感を抱かれ、内定取り消しにつながる恐れがあります。

連絡を見逃さないよう、メールフォルダや郵便物は定期的な確認を心がけることが大切です。特に、メールは迷惑メールフォルダに誤って分類される可能性もあるため、迷惑メールフォルダも含めて日頃からチェックしておきましょう。

卒業まで学業に手を抜かない

就活が終わっても卒業まで学業に気を抜いてはなりません。努力して内定を獲得しても、卒業できなければ入社の機会を失ってしまいます。必要な単位はしっかり取得し、レポートや卒論の提出期限を守って確実に卒業できるように努めましょう。

留年の不安がある場合は、単位・出席・成績の状況などを確認し、卒業の見込みがあるのか現状を理解することが大切です。卒業が危うい人は大学のキャリアセンターの職員や担当教授などに相談を持ちかけながら、卒業に向けたスケジュールを改めて検討し直しましょう。

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内定取り消しにならないようにして入社日を迎えよう

内定取り消しにならないようにして入社日を迎えよう

正当な理由がない限り、内定取り消しになることは滅多にありません。しかし、経歴詐称や卒業できないなど、入社条件に満たしていないことが判明した場合は内定取り消しの対象になります。

内定取り消しを防ぐためには、提出書類の適切な対応やSNSの秩序ある利用、学業への誠実な取り組みが重要です。万が一取り消された場合は、まず理由を確認し、大学のキャリアセンターや法的機関に相談しましょう。

内定について不安を感じている人は、P-CHAN就活エージェントへの相談がおすすめです。

専門のアドバイザーが状況に応じて丁寧に対応してくれるため、内定獲得の方法はもちろん、取り消されないための対応策についても具体的にアドバイスをもらえます。ひとりで悩まず、早めに相談することで安心して就活や入社の準備を進められるでしょう。

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