新卒で公務員になるのはもったいない?理由とともに解説
就職について考え始めている学生の中には、「公務員を目指すか」「民間企業を目指すか」で悩んでいる人もいるでしょう。特に公務員を志望しているなら、「公務員になるのはもったいない」と言われたり聞いたりした人も少なくないはずです。
それでは、「新卒で公務員になるのはもったいない」と言われるのはなぜなのでしょうか。
この記事では、新卒で公務員になるのがもったいないと言われる理由や、新卒で公務員になるのがもったいない人の特徴を紹介します。公務員になるか民間企業に就職するかで悩んでいるのであれば、ぜひ参考にしてみてください。
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新卒で公務員になるのはもったいないと言われる理由
ここでは、新卒で公務員になるのがもったいないと言われる理由を紹介していきます。
1.公務員は新卒でなくてもなれるから
公務員になるには公務員試験を受験しなくてはなりませんが、公務員試験の受験資格は新卒に限られていません。
公務員には、国家公務員や地方公務員、各省庁の専門職などさまざまな職種があります。大半は30歳未満であれば受験可能であり、中には年齢制限がない職種もあります。そのため、公務員への就職は「新卒で若いほど有利」ということはありません。
それと比べると、民間企業ではいまだに新卒至上主義の傾向があり、特に大手企業への就職は「新卒カード」が必須であるケースも少なくありません。
そのため、民間での就活において重要な「新卒」という肩書きを、公務員試験で使ってしまうのはもったいないという意見があります。
2.民間企業に比べて給与が低いから
新卒で公務員がもったいないと言われる理由の一つに、民間企業と比べて給与が低いことも挙げられます。国家公務員と民間企業、それぞれの学歴別初任給は以下の通りです。
国家公務員
学歴 | 初任給 |
大卒(総合職) | 189,700円 |
大卒(一般職) | 185,200円 |
高卒(一般職) | 154,600円 |
民間企業
学歴 | 初任給 |
大卒 | 210,000円 |
短大卒 | 200,000円 |
高卒 | 180,100円 |
出典:人事院「国家公務員の初任給の変遷(行政職俸給表(一))」、東京労働局「令和4年3月新規学校卒業者の 求人初任給調査結果 」
公務員は比較的年収が高く、安定しているイメージを持っている人は多いと思います。しかし新卒の場合、民間企業より収入は低めです。
さらに、民間企業の方が昇進が早い傾向にあります。そのため、学歴や能力が高い人であれば、民間企業で働く方が生涯年収も高くなる可能性が高いでしょう。
3.スキルを身につけにくいから
一部の公務員の仕事では、転職市場で評価されるようなスキルが身につきにくいと言われています。配属先によっては、PCスキルさえあればこなせる仕事を多く任せられるケースもあるためです。
また、公務員は異動が多く、一つの仕事について専門性を高めるのが難しい環境でもあります。
民間企業であれば、一つの仕事を通してスキル・経験を磨き、市場価値を上げられます。公務員であれば、このような働き方は難しいでしょう。
4.試験勉強に多くの時間を費やしてしまうから
公務員試験に合格するためには1,000時間以上の学習が必要と言われています。そのため、新卒で公務員試験を受験する場合、学生生活のうちの多くの時間を勉強に費やすことになってしまうでしょう。
学生時代の自分の好きなことができる自由な時間を使って、新卒でなくてもなれる公務員を目指すのはもったいないという意見もあります。
5.民間企業にはない働き方や組織風土に染まってしまうから
公務員には、民間企業にはない独特の働き方や組織の仕組みがあります。そのため、公務員として長く勤めた人ほど民間企業に転職したときにギャップを感じやすいです。
公務員としての働き方しか知らないと、公務員独特の働き方や組織の仕組みが普通であると思い込んでしまいます。転職活動の際や転職後、民間企業とのギャップに苦労する可能性があるかもしれません。
6.転職しづらくなるから
公務員になった後に民間企業へ転職したいと考えても、転職の難易度が上がってしまう可能性があります。もちろん転職が不可能なわけではありませんが、配属先によってはスキルや専門性を磨きにくいためです。
また、民間企業とは異なる組織で働いてきた経歴からも、独特の仕事の進め方や考え方、組織風土が刷り込まれてしまい、民間企業への転職難易度は高くなるでしょう。
転職を検討しているのであれば、民間企業→民間企業、民間企業→公務員の方が転職はしやすいため、新卒で公務員になることはあまりおすすめできません。
7.想像以上に過酷な仕事だから
「公務員は定時で仕事が終わる」「ワークライフバランスがしっかりしている」というイメージを持っている人は多いかもしれません。しかし、実際にはそうしたホワイトな職場だけではないです。
部署によっては、人手不足で毎日残業があったり休日出勤をしなければならなかったりと、民間企業以上に厳しい働き方をしている人は多くいます。
また、コロナや災害などが発生し非常時となったときの忙しさは尋常ではなく、その日のうちには帰れないというほどの繁忙を極めた部署もあります。
「ホワイトな職場が良い」「ワークライフバランスを重視したい」という理由で公務員就職を考えている場合、思った通りの働き方ができない可能性があることを留意しておきましょう。
8.研修制度や教育体制がしっかりしていないから
通常、民間企業であれば入社してすぐに数週間〜数か月の研修があり、その後現場に配属されて仕事に慣れていくのが一般的です。しかし、公務員は長い場合でも1週間ほどの研修を終えると、すぐ現場に配属されてしまいます。
配属後は直ぐに、他の職員と同じように担当を与えられ、ときには一人で慣れない業務を回す場面も多々あります。不安やプレッシャーが大きく、この働き方に辛さを感じる人も多いようです。
9.やりがいを感じられない可能性があるから
公務員の仕事は民間企業と比べてもかなり特殊です。組織や仕事内容の特徴を挙げると、下記のようなものがあります。
- 前例の踏襲
- 年功序列
- 残業が多い
- 仕事が効率化されていない
公務員の職場では、前例のないことは受け入れられないという組織風土が残っているケースもあり、新しいアイデアや独自のアイデアは通りにくい傾向があります。
民間には仕事で成果を上げれば年齢に関係なくどんどん昇進していける企業もありますが、公務員はそうではありません。何年〜何十年とコツコツ時間をかけて昇進していきます。
また、民間ほど仕事が効率化されていない職場もあり、働く上で不便に感じたり、残業が多くなったりする場面もあるでしょう。
「新しいことにどんどん挑戦したい」「若いうちにバリバリ活躍したい」「効率的に仕事をこなしたい」という人は公務員の仕事にやりがいを感じられない恐れがあります。
10.人間関係に悩む可能性があるから
公務員の離職率は民間企業に比べて圧倒的に低いです。よほどの不祥事を起こさない限りは、多くの人が定年まで勤め上げます。
そのため人員の流動性が低く、苦手な人や相性の悪い人、ハラスメント気質の人がいても、ある程度は付き合い続けるスキルも求められます。
もし、配属先にそういった苦手な人がいる場合、避けるのは難しいでしょう。その人か自分のどちらかが自発的に辞めるか、異動になるまで耐え続けることになります。
新卒で公務員になるのがもったいない人の特徴
新卒で公務員になるのがもったいないと言われる人の特徴は以下の通りです。
- 将来的に転職を考えている人
- 将来的に独立を考えている人
- 専門的なスキルを身につけたい人
- 高収入を得たい人
- 日本以外でも働きたい人
将来的に転職を考えている人
もし、将来的に転職を考えているのであれば、公務員を目指すことはおすすめできません。なぜなら公務員の仕事は民間企業とは異なり、かなり特殊で汎用性が低く、仕事のスキルも伸びにくい場合があるためです。
即戦力採用が基本となる転職市場では、他の民間企業でスキルや経験を積んできた人に比べて、公務員からの転職者はほぼ未経験者として苦戦を強いられる恐れがあります。
特に大手企業や有名企業の中途採用ともなれば、新卒採用のときとは難易度が違うため、転職は厳しいと考えた方が良いかもしれません。転職を視野に入れているのであれば、新卒では民間企業に勤めることをおすすめします。
将来的に独立を考えている人
公務員は、民間企業の会社員と比べて働き方が特殊です。営利を目的とする民間企業と異なり、市民が安全に生活できる社会作りのために働きます。そのため公務員として働いても、稼ぐためのノウハウやスキルを身につけられる可能性は低いでしょう。
将来的に独立を考えている場合、民間企業出身であれば稼ぐためのスキルを働く中で身につけていくことは可能です。対して、公務員は業務でスキルを身につけるのが難しいため、業務外で稼ぐためのスキルを身につけなければはなりません。
専門的なスキルを身につけたい人
仕事に関する専門的なスキルを身につけたいと考えている人は、公務員として働くのには向いていない可能性があります。
特に一般行政職は、異動や転勤は2〜3年に1回というハイペースで行われたり、これまでの実績や経験に関係なく、新しい部署に配属されたりすることもあるでしょう。そのため、公務員にはじっくりと腰を据えて働き、専門的スキルを身につける間もない人も多くいます。
「専門性を極めたい」「ある分野のスペシャリストを目指したい」と考えている人には、公務員はあまりおすすめできません。
高収入を得たい人
公務員は安定した収入を得られる一方、民間企業のように給与が大幅に上がるということはありません。年次や仕事内容、等級などによって数年〜数十年かけて少しずつ昇給が進むのが一般的です。
もし民間企業に勤める会社員なら、仕事の成果や事業の成長によって昇給や多額の賞与を期待できますが、公務員にはそれがありません。
高収入にこだわる人や、自分の頑張りでどんどん給与を増やしていきたいという人には公務員はおすすめできないでしょう。
日本以外でも働きたい人
一部の公務員は海外で働くチャンスもありますが、公務員の多くはその仕事の性質上、海外で働くことは難しいでしょう。
たとえ民間企業に勤めても海外で働くのはそう簡単なことではありませんが、勤め先によっては公務員よりも海外で活躍できる可能性は高いと言えます。
留学経験などを活かして日本以外で働きたいと考えている就活生には、公務員はあまりおすすめできない仕事かもしれません。
公務員になるか民間企業に行くかで迷ったら考えたい3つのこと
ここまでを読んで、それでも公務員になるか民間企業に行くかで迷っている人に伝えたい3つのことを紹介します。
「安定」「公益性の高い仕事」を求めるなら公務員
公務員の仕事はデメリットが多いと伝えてきましたが、それでも公務員を目指したいという人もいると思います。
特に、「それほど多くなくても安定した給料を得たい」「公務員にしかできない公益性の高い仕事をしたい」という理由であれば、公務員を選ぶのも選択肢の一つです。
新卒カードを使えるのは一度きり
先述のように、「新卒カード」を使えるのは新卒の期間だけであり、民間企業ではこの「新卒カード」は強力な力を発揮します。
しかし、年齢制限がおおむね30歳未満(もしくは年齢制限なし)と決まっている公務員試験においては、新卒カードはそれほど有効な武器ではありません。また、学歴・職歴に関係なく、試験勉強をして公務員試験にさえ受かればいつでも公務員として働けます。
貴重な新卒カードを活かせる民間というフィールドで戦うべきか、それでも新卒で公務員を目指すべきかどうかはよく検討する必要があるでしょう。
公務員に民間経験者が求められる傾向がある
昨今では、積極的に民間経験者を採用するなど公務員にも民間経験者が求められる傾向があります。民間経験者を公務員として採用する理由は以下の2つです。
- 外部から人を採用することで新しい風を吹き込みたい
- 民間で培ったスキルや経験を活かしてほしい
職場によっては、長年にわたり良くない組織風土や意識に染められてしまっている場合があります。業務を効率化できていなかったり、柔軟な対応ができなかったりと気づかぬ内に弊害が生まれていることも多いでしょう。
そのため、民間から人を採用することで、こうした問題や課題を指摘してもらい、公務員の仕事のあり方を刷新する風潮があります。
このような風潮により、新卒で民間企業を経験してから、公務員に転職する選択肢も増えました。公務員になりたいが、新卒でなることに不安がある場合、一度民間企業を経験してから転職するのも一つの方法です。
新卒で公務員になるかどうか迷っている人は?
新卒で公務員を目指すのがもったいないと言われる理由はさまざまです。
転職する際に有利になるスキルが身につきにくかったり、やりがいを感じにくかったりすることが挙げられます。そのため、スキルを身につけてキャリアアップや転職、独立まで視野に入れている人には、公務員が向いていない可能性があります。
この記事を読んで、「やっぱり公務員を目指したい」と強い意志を持った人もいるかもしれませんが、迷いが生じて民間企業への就職を検討し始めた人もいるでしょう。もし、民間企業への就職を考えているのであれば、P-CHAN就活エージェントの利用がおすすめです。