新卒で契約社員はやめておくべき?メリット・デメリットとともに解説
目次
就活は、基本的には正社員を前提としたものです。しかし中には、契約社員を検討している、あるいは事情があって契約社員にならざるを得ない人もいるでしょう。「新卒で契約社員になるのはやめておくべき?」と迷っている人もいるかもしれません。
この記事では、新卒で契約社員を選ぶメリットやデメリットを紹介しています。新卒で契約社員になることを視野に入れている人は、ぜひ参考にしてください。
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新卒で契約社員を選ぶ場合に考えられる理由
新卒で契約社員を選ぶ理由はさまざまです。やむを得ず契約社員になる方もいれば、自ら希望して契約社員になる方もいるでしょう。ここでは新卒で契約社員を選んだ理由について解説します。
就活に失敗したから
就活に失敗して、そこから契約社員への道を考える人は少なくありません。何度も就活に失敗した結果、「契約社員なら内定をもらえるかもしれない」と思い立ち、最終的に契約社員を選ぶケースです。
ただし、リクルートワークス研究所の「大卒求人倍率調査(2023年卒)」によると、2023年卒の大卒求人倍率は1.58倍となっています。
この数字は、2022年卒の1.50倍と比べると0.08ポイント高くなっています。企業の新卒採用意欲は、新型コロナウイルス感染症の影響から回復傾向にあるものの、一部の中小企業ではまだ採用に消極的であるのも事実です。
そのため、思うように就活が上手くいかずに契約社員にならざるを得なかったというパターンが存在します。
正社員で働く自信がないから
正社員の責任の重さに耐えられる自信がなく、あえて契約社員を選ぶ就活生もいます。週5日のフルタイムが重荷に感じてしまい、自由な環境で働きたい気持ちの方が勝ってしまうのでしょう。
また、正社員だと契約社員と比べて仕事量が多いことも懸念材料となり、悩んだ結果、契約社員を選ぶこともあります。
希望する会社が契約社員での募集だったから
希望する会社が正社員での募集を行っていなかったパターンもあります。「この会社で絶対に働きたい」という想いのもと、まずは契約社員で働き、その後正社員に昇格するのを目指すケースです。
この場合、実際に働いてみてイメージと違えば、契約満了後に退職することも可能です。ただし、契約社員から正社員への昇格は決して簡単ではないということを理解しておく必要があるでしょう。
長く働けない理由があったから
長く働けない理由を抱えている場合、あえて契約社員に絞って就活をする人もいます。契約社員は雇用期間が決まっているため、転職・退職しやすいのがメリットです。
例えば、数か月後に留学や結婚などの予定がある場合、正社員で働くのは難しいと言わざるを得ません。正社員で採用されても数か月で辞めてしまうと、周りの目が気になってしまうこともあるでしょう。
その点、契約社員であれば最初から決まった期間での雇用となるので、お互いに嫌な思いをせずに働くことができます。
また、さまざまな業界や企業を渡り歩いた上で、自分に合っている仕事を見つけたい人もいます。そんな人は契約社員で働くという選択肢があります。数か月から1年単位で仕事を変えて、「これだ」と思う仕事を見つけ出すことができます。
新卒で契約社員を選ぶメリット
新卒で契約社員になるのはもったいないという意見がある一方、契約社員ならではのメリットもあります。ここでは新卒で契約社員になるメリットを解説します。
正社員よりも自由度が高い
ライフプランに合わせて働けるのが契約社員のメリットです。結婚や留学、引っ越しなど、ライフプランの変更が決まっている人にとっては働きやすいと言えるでしょう。
契約社員は残業が少ない傾向にあり、遠方への出張や転勤を任せられることもほとんどありません。そのため、正社員よりもプライベートの時間を多く確保できます。
自分に合っている仕事を見つけることができる
挑戦したい仕事が複数ある場合、あえて契約社員の道を選ぶのも良いかもしれません。例えば気になる業界が2つある場合、1年ずつ契約社員として働いた上で、そこから本格的に正社員になるための活動を始める方法もあります。
ただし、職を転々とし過ぎると、かえって就活に不利になる場合があるため注意が必要です。面接官に転職回数の多さを指摘されたときに、しっかり説明できるよう軸を固めておきましょう。
社会人マナーを身に付けられる
契約社員でも、仕事上のスキルは正社員同等のことを求められる場合が多いです。そのため、新人研修では正社員と同じような研修を受けられるでしょう。ビジネスマナーはネットや書籍でも学べますが、職場での実践を通す方が早く身に付きます。
場合によっては正社員よりも給与が高くなる
働く地域にもよりますが、契約社員は有期雇用であることから、時給が高めに設定されるケースもあります。さらに残業や夜勤があれば手当てが別途支給されるため、月給制の正社員より給与が高くなることもあります。
ただし、昇給や賞与は正社員より少ない場合が多く、年収ベースで見るとやはり低いと言わざるを得ません。一時的に正社員の給与を超えることもあるかもしれませんが、長い目で見ると収入の差は大きく開いてしまいます。
新卒で契約社員を選ぶデメリット
契約社員だからこそのデメリットもあります。安易に契約社員を選ぶのは危険な場合もあるので注意が必要です。ここでは新卒で契約社員になるデメリットを解説します。
雇用が不安定になりやすい
雇用が不安定になりやすいのが契約社員の大きなデメリットです。
契約社員は契約が満了になると、更新されない場合があります。契約が更新されないと、その後は無職となり収入が途絶えます。
契約社員の契約期間は半年から3年程度がほとんどです。1年ごとに契約更新手続きを行う会社もありますが、本人の能力次第では途中で契約を切られることもあります。
一方で、本人の能力に関係なく、会社の業績悪化を理由に契約が更新されないパターンも存在します。正社員と契約社員では、契約社員の方がリストラの対象にされやすく、雇用は不安定と言えます。
福利厚生が適用されない場合がある
契約社員には、正社員と同等の福利厚生が適用されるとは限りません。福利厚生はそもそも正社員向けに作られた制度のため、退職金や賞与が支給されないこともあります。また、傷病休暇がない場合もあり、怪我や病気をしてからそのことに気付く人もいます。
休日は正社員と同じであることがほとんどですが、手当てや賞与など、お金に関することは正社員と同等でないことが多いので注意が必要です。
スキルアップの機会が少ない
契約社員の業務内容は正社員と同等である場合が多いものの、スキルアップの機会は正社員ほど多くありません。
例えば取引先との商談や最終チェックに関しては、正社員が担当することが多いです。そのため、実績を残したい人には物足りないと思うこともあるでしょう。
長期間働いていても昇進の機会は少なく、同期入社の正社員が先に昇進してしまうと、上昇志向が強い人の場合、気持ちが落ち込んでしまいます。
社会的信用が低い
正社員より社会的信用が低いのも、契約社員のデメリットです。
代表的な例はローン審査です。返済能力が重視される住宅ローンやカーローンなどは、契約社員だと審査で不利になる傾向があります。
もちろん、契約社員だったとしても十分な収入や貯蓄がある場合もあるでしょう。しかし、雇用が不安定という理由から社会的信用が低くなり、お金が絡む審査や契約で不利になるケースもあります。
新卒としての就活機会を失う
一度でも企業へ入社すると「新卒」ではなくなってしまいます。そのため新卒を重視する一部企業では、転職時に不利になりやすく注意が必要です。新卒で就活できるのは一度きりであり、その機会を失うのは契約社員を選ぶ大きなデメリットと言えます。
ただし、近年では第二新卒(新卒での入社後、数年以内に転職活動をする人)を積極的に採用する企業が増えているのも事実です。転職する際は「第二新卒」を歓迎している企業かどうかを調べておくのが良いでしょう。
新卒がいつまでかに興味がある方は、「新卒とはいつまでを指す?年齢制限や第二新卒・既卒との違い、新卒入社のメリットを解説」もチェックしてみてください。
新卒でも契約社員が向いている人の特徴
実際のところ、一昔前のように正社員になったからと言って生涯安心とは限りません。自由な働き方が可能となった今では、あえて契約社員の道を選ぶ人もいます。ここではどんな人が契約社員に合っているのか解説します。
幅広い経験を積みたい
営業や事務、販売など挑戦してみたい仕事が複数ある人は、契約社員を検討してみても良いかもしれません。契約期間が完了したらほかの仕事に移ることが可能です。
なお、契約社員だと専門的な業務を任せてもらえない会社では、物足りなさを感じるでしょう。しかしその分、契約社員としてさまざまな業種を経験できるのは大きなメリットであり、自分にとって財産になります。
「狭く深く」よりも、まずは「広く浅く」経験したいタイプの人に向いています。
プライベートを大切にしたい
プライベートを大切にしたい人は契約社員に向いています。なぜなら、契約社員は企業と話し合って働き方を決められるからです。正社員と比べ、無理に残業を強いられることも少ない傾向にあります。
「仕事よりも自分の時間を優先したい」「基本的には定時で退社し、休日も出勤は避けたい」という人は、正社員ではなく契約社員も視野に入ります。
人間関係に縛られたくない
一部職場の中には、正社員と契約社員の間に一線を置いているところもあります。人間関係に縛られたくない人は、かえってこのような雰囲気の職場の方が快適に働けます。人間関係が嫌になった場合、契約期間が満了になれば更新せずに辞めることができるからです。
上司や同僚と付き合いを深めたくない人、あっさりとした人間関係を好む人は契約社員の方が向いています。
今後のライフプランが決まっている
「叶えたい夢がある」「結婚が決まっている」「新婚で早めの妊娠を望んでいる」など、今後のライフプランが決まっている人には契約社員の方が向いているかもしれません。長期雇用を前提とする正社員とは違い、契約社員は早期退社を選択しやすいからです。
企業側としても、元々の雇用期間が決まっている契約社員なら、早期退職されても迷惑だとは捉えません。今後のライフプランが決まっているなら、正社員よりも契約社員での働き方を希望している旨を伝えるようにしましょう。
新卒で契約社員を選ぶときに考えておくべきこと
生涯、契約社員でいるのは決して簡単なことではありません。契約社員での働き方は一次的なものと考えておき、契約が満了してからのキャリアについて考えておく必要があります。
契約満了後は、次のような選択肢があります。
- 今いる企業で正社員として雇用してもらう
- 無期契約社員を目指す
- 契約期間後、更新せずに別の契約社員として働く
- 契約期間後、転職活動を行う
契約満了後はいずれかを選択することになりますが、どの道を選ぶにしても事前によく考えて準備を進めましょう。
新卒で契約社員から正社員になるのは難しい?
契約社員から正社員になれるかどうかは、企業の雇用方針と本人の努力次第です。
契約社員として勤務した期間が一定期間に達すると、正社員として雇用してくれる企業もあります。契約書や求人票に記載されているので、確認しておきましょう。
ただし、誰でも簡単に正社員になれるわけではありません。企業側から「契約満了後に辞められるのはもったいない」と思わせるのが大切です。
また上司との普段の会話の中で、正社員雇用を目指していることをアピールするのも良いでしょう。実際に契約社員から正社員に登用された先輩の話を聞くなど、自ら働きかけるのもポイントです。
新卒で契約社員になるなら知っておきたい!契約社員から正社員になる方法
理由があって契約社員を続けるのであれば問題ありませんが、何となく楽そうだから契約社員でいるのは、後悔につながります。理由もなく契約社員でいる人は、何かしらの方法で正社員を目指すのがおすすめです。
ここでは契約社員から正社員に昇格・転職する方法を解説します。
正社員登用制度を利用する
正社員登用制度とは、契約社員などの非正規社員を正社員として雇う制度のことを言います。人事などから声がかかるパターンや、自分から立候補するパターンなど、正社員に登用されるタイミングは企業によってさまざまです。
どのような条件を満たせば正社員になれるのか、人事に聞いてみると良いでしょう。他社員の推薦や筆記試験、面接などを条件としている企業が多く、クリアすれば正社員に昇格できます。
転職活動には時間もお金もかかります。あてもなく「正社員になりたいから辞めます」というのはかなり危険なので、正社員登用制度がある場合は積極的に利用しましょう。
第二新卒がターゲットの転職先を探す
第二新卒とは、卒業後3年以内の新卒者のことを指します。契約社員で入社した場合でも、3年以内であれば「第二新卒」として扱われます。
近年の転職市場では、第二新卒を歓迎する企業が急激に増えました。そのため、卒業してすぐ契約社員になったとしても、正社員への転職を諦める必要はありません。求人票でも「第二新卒歓迎」と謳っている企業はあるので、積極的に探してみましょう。
転職エージェントを活用する
転職活動で行き詰ったら、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントは、キャリアアドバイザーから無料でサポートを受けられるのがメリットです。初めての転職でどうして良いか分からない人には心強い味方となってくれるでしょう。
転職エージェントを活用している利用者の大多数は、正社員からの転職組ですが、キャリアアドバイザーはその点も踏まえてサポートをしてくれます。
無期転換ルールが適用される時期を待つ
無期転換ルールとは、有期労働契約が5年を超えて更新された場合に適用されるルールのことです。
簡単に言うと、契約社員やアルバイトとして5年以上同じ企業で働き続けた場合、その後は期間の定めのない労働契約が適用されるルールのことです。労働契約法の改正により2013年4月から施行が始まったもので、企業側に拒否権はありません(※)。
このことから、契約社員として5年以上働き続ければ、「次は更新されないかも」と不安を抱えなくて済むようになりました。とは言え、このルールが適用されても、必ず正社員に昇格するわけではありません。
無期転換ルールの適用タイミングで正社員への登用を検討してくれる企業も存在しますが、基本は同じ労働条件で働き続けることになる点には注意しましょう。
※参考:厚生労働省「無期転換ルールについて」
新卒で契約社員になるのは間違いではない!後悔のない選択をしよう
新卒で契約社員になるのはもったいない、今後のキャリアに影響するという意見は確かに存在します。しかし、今後のライフプランが決まっている人、契約社員の方がメリットが大きいと感じている人は、契約社員を選ぶのも問題ありません。
正社員と契約社員で迷ったら、「P-CHAN就活エージェント」の活用がおすすめです。就活のプロからアドバイスを受けることで、最善の道を選択できるようになるでしょう。