介護士ができる医療行為とは?できないことや判断に迷ったときの対応も解説

介護施設には医療行為が必要な利用者も多くいます。介護士として働くうえで、「医療行為をしても良いの?」「もし判断や処置を間違えたら訴えられる可能性もある?」と不安を感じている人もいるでしょう。

介護士が行える医療行為には明確なルールがあり、適切な知識がないと法律違反になってしまう可能性もあります。この記事では、介護士が対応できる医療行為の範囲や絶対にやってはならない行為まで、現場で働くときに役立つ情報を解説します。

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介護士が行える医療行為は一部に限られる

介護士が行える医療行為は一部に限られる

介護士は原則として医療行為は行えません。医師法第17条により、医療行為は医師・看護師等の有資格者のみに限定されているためです。

なお、医療行為について厚生労働省は以下のように定義しています。

医師法第17条に規定する「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行為」)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。

引用:厚生労働省「「医行為」について

例えば、通常の爪切りは医療行為ではないものの、巻き爪の処置や糖尿病患者の爪切りは医療行為に該当するため、介護士が対応してはなりません。同じケアであっても利用者の状態によっては医療行為に該当する可能性があるため、対応時には注意しましょう。

ただし、医療行為に該当しない医療ケア、および条件付きで認められた特定の医療行為に限っては、介護士でも対応が可能です。

条件付きで認められた特定の医療行為とは、喀痰吸引と経管栄養の2種類です。どちらも2012年の法改正により、研修を受けた介護士のみ実施できるようになりました。

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介護士ができる医療的業務の種類

介護士ができる医療的業務の種類

医療に関わる業務のうち、介護士が実施できる業務には大きく分けて3つの種類があります。

  • 医療行為に該当しない医療ケア
  • 規制対象外の医療行為
  • 研修を修了すれば実施できる医療行為

医療行為に該当しない医療ケア

介護士が行える医療的業務の一つに「医療行為に該当しない医療ケア」があります。ただし基本は医療ケアでも、状況によっては医療行為に該当し、医療従事者の対応が必要となるため注意しましょう。

医療ケアの種類と、医療行為に該当するケースの例を以下の表にまとめました。

医療ケアの種類

医療行為に該当するケース

体温測定

・水銀体温計などで測定が困難な場合や、測定結果に基づき特定の医学的判断を要する場合

自動血圧測定器での血圧測定

・測定値に異常があり、医師の指示なしに昇圧剤や降圧剤の調整などを判断する場合

パルスオキシメーターでの酸素飽和度測定

・測定結果をもとに、酸素吸入量の設定変更や中止を独断で行う場合

軽微な切り傷、擦り傷、やけどの処置

・傷口が深く出血が止まらない場合
・広範囲のやけど、化膿している場合
・汚染がひどい場合

湿布の貼付

・皮膚に発疹、炎症、ただれがある場合
・剥離骨折などの専門的な固定を要する場合

軟膏の塗布(床ずれ処置を除く)

・すでに褥瘡(床ずれ)化している場合
・広範囲の炎症や感染が疑われる場合

目薬の点眼

・眼球に直接触れる必要がある場合
・手術直後など高度な清潔操作を要する場合

服薬介助(一包化されたもの)

・嚥下困難があり誤嚥のリスクが高い場合
・本人に意識がなく服用が危険な場合

坐薬の挿入

・直腸に腫瘍や疾患があり、挿入時に出血の危険がある場合
・排便介助としての摘便(指での掻き出し)が必要な場合

鼻腔粘膜への薬剤噴霧の介助

・鼻血が止まらない状態や、鼻腔内に著しい外傷・炎症がある場合

※出典:厚生労働省「原則として医行為ではない行為に関するガイドライン

医療ケアの場合は、特別な資格や研修を受けていない介護士でも対応が可能です。ただし、体調変化により医療行為に該当する場合は介護士では対応ができないため、必ず医療従事者に連絡しましょう。

安全性を確保しながらケアを提供するためには、状況を正しく見極めることが大切です。

規制対象外の医療行為

医師法や保健師助産師看護師法で医療行為に分類される業務であっても、条件を満たせば介護士が実施できる「規制対象外の医療行為」が存在します。

以下は規制対象外の医療行為の例と、実施条件をまとめた表です。

規制対象外の医療行為

介護士が行える条件

爪切り・爪やすり

爪や周囲の皮膚に異常がなく、糖尿病等の専門的管理が不要な場合

歯磨き・口腔ケア

重度の歯周病等がない場合

耳垢の除去

耳の異常がなく、耳垢で穴が完全に塞がっていない場合

ストーマ装具のパウチの排泄物処理

ストーマそのものや、周囲の皮膚にトラブルがない場合

自己導尿の補助

利用者本人がカテーテルを自分で挿入でき、利用者の容体が安定している場合

介護士が上記の医療行為を行えるのは、利用者に異常がなく、医療に関する専門的な管理が不要である場合に限ります。

規制対象外として扱われる行為であっても、最終的には担当医師が「治療の必要がある」と判断した場合には医療行為に該当します。利用者の状態に変化がある場合や判断に迷う場合には、必ず医師や看護師に確認を取ることが大切です。

研修を修了すれば実施できる医療行為

2012年の法改正により、一定の研修を修了した介護士は、喀痰吸引と経管栄養という2つの医療行為が実施できるようになりました。

医療行為

具体的な内容

対象者

喀痰吸引

口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部にたまった痰や唾液を吸引器具で除去する

・自発呼吸が難しい人

経管栄養

チューブを通じて胃腸に直接栄養や水分を届ける

・口から食事を取れない人
・誤嚥リスクが高い人

どちらも生命に関わる重要な医療行為であることから、実施の際には正しい手順と衛生管理が求められます。

また、喀痰吸引・経管栄養を実施するには以下の条件を満たす必要があります。

項目

内容

研修の修了

「喀痰吸引等研修」を修了していること

個人の認定

「認定特定行為業務従事者」として認定されていること

事業所の登録

所属事業所が「登録喀痰吸引等事業者」または「登録特定行為事業者」として登録済みであること

実施環境の整備

必要な体制が整った環境下であること(無資格者の単独実施は不可)

さらに実施前には必ず医師の指示を受けることと、利用者本人または家族の同意が必要です。介護士には研修で得た知識と技術を活かし、安全かつ適切に実施する姿勢が求められるでしょう。

介護士ができない医療行為

介護士ができない医療行為

介護士が対応できない主な医療行為と、その理由は以下の通りです。

介護士が実施できない業務内容

理由

摘便

直腸に指を入れて便を排出させる行為で、腸壁を傷つけるリスクがあるため

床ずれ(褥瘡)の処置

皮膚表層だけでなく深層部が傷ついている可能性があり、医学的判断が必要なため

インスリン注射

糖尿病治療のための注射で、皮膚を刺す医療行為のため

血糖値の測定

専用の医療器具で皮膚を刺すため

上記の行為は人体に危害を及ぼす恐れがあることから、医師法保助看法により実施条件が厳格に制限されています。利用者から対応を頼まれた場合には、看護師に対応をお願いしましょう。

なお、医療行為に直接関わることはできませんが、サポートを行うことは問題ありません。例えばインスリン注射が必要な利用者がいる場合、器具の準備や本人への声かけ、服薬のタイミングの見守りといった周辺業務への対応は可能です。

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医療行為が必要なときの介護士の対応

医療行為が必要なときの介護士の対応

医療行為が必要な場面では、自己判断を避け、必ず医師や看護師に相談することが重要です。特に高齢者は急変することも多いため、心身の不調や変化の訴えがあれば、最優先で相談しましょう。

もしも利用者や家族から介護士では対応できない医療行為を求められた場合には、丁寧に説明したうえで断り、医師や看護師と連携することが重要です。

また、基本的には介護士が対応できる医療的ケアであっても、利用者の状態によっては医療行為に該当するケースもあります。

例えば、利用者から「爪切りをしてほしい」と依頼された際に状況を確認せず切ってしまうと、深爪や出血などのリスクが高まります。利用者の爪を切る際には、必ず爪と周囲の皮膚の状態を確認しましょう。巻き爪や皮膚の炎症など異常がある場合には看護師へ依頼する必要があります。

また、「インスリン注射を打ってほしい」と依頼された場合には、介護士では対応できない行為であることを本人に説明し、依頼があった旨を看護師に連絡しましょう。必要に応じて、声かけや見守りなどのサポートに徹します。

介護士としてできる業務範囲を正しく理解することで、医療行為が必要な場面でもスムーズに判断や対応できるでしょう。

介護士が禁じられた医療行為をした場合のリスク

介護士が禁じられた医療行為をした場合のリスク

介護士が法律で禁じられている医療行為を行った場合、介護士個人と施設の双方に法的責任が生じる可能性があります。介護士の業務範囲を逸脱した行為は医師法違反として扱われ、刑事責任に発展することもあるため、十分な注意が必要です。

医師法違反が認められた場合、刑事罰として懲役または罰金が科される可能性があります。無資格で医療行為を行うことは重大な法律違反であり、「知らなかった」「頼まれたから行った」という理由では免責されません。

また、違法行為が施設内で発生した場合、管理責任の問題から施設にも行政処分や損害賠償などのリスクが及びます。

以下は、主な違反行為に対する罰則の一例です。

状況

罰則

無資格で医療行為を行った場合

3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれを併科
医師法第31条

医師ではないのに医師を名乗った場合・紛らわしい名称を使用した場合

50万円以下の罰金

医師法第18条

万が一、介護士が禁止された医療行為を行ってしまった場合は、以下のような手順で速やかに対応することが求められます。

  1. 速やかに上司、医師、看護師に報告する
  2. 利用者の状態を確認し、異常がないかしばらく観察をする
  3. 必要に応じて医療機関に連絡し、適切な処置を受ける
  4. 事故報告書を作成し、経緯と対応を記録する
  5. 再発防止策を検討し、施設全体で情報共有する

禁止されている医療行為を介護士が行うことは、利用者の命に関わる重大な事故につながる危険性があります。利用者の安全を守るためにも、介護士は自身の業務範囲を正しく理解し、法令を遵守しながら支援することが欠かせません。

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介護士ができる医療行為・医療ケアを安全に行うためのポイント

介護士ができる医療行為・医療ケアを安全に行うためのポイント

介護士が実施できる医療行為・医療ケアを、安全に行うためのポイントを紹介します。

  • 行える医療行為・医療ケアの範囲を確認しておく
  • 医療行為が必要な際の対応を把握しておく

行える医療行為・医療ケアの範囲を確認しておく

安全に介護業務を行うためには、介護士が行える医療行為や医療ケアの範囲を正確に理解しておくことが重要です。そのためには厚生労働省や自治体が公表している医師法や介護職員向けのガイドライン、各施設の業務マニュアルなどを確認し、内容を把握しておく必要があります。

ただし医療行為に関する法律やガイドラインは改訂される可能性があるため、最新の情報を定期的に確認しましょう。また、利用者の状態によって実施できるかどうかが変化するため、医師や看護師への報連相を徹底し、業務前には申し送り事項を必ず確認することが求められます。

すでに介護施設で働いている人は、事業所で実施される研修や講座に積極的に参加し、医療的知識を継続的に学ぶことが大切です。研修を受けることで、業務範囲の正しい理解に加えて、判断に迷う場面で適切な行動が取れるよう準備できます。

医療行為が必要な際の対応を把握しておく

医療行為が必要な場面に備えて、介護士がどのように対応すべきかをあらかじめ把握しておくことも重要です。

介護士が行えない医療行為が必要な状況に遭遇した場合には、速やかに医師や看護師と連携を取り、適切な専門職につなぐことが求められます。また、迅速に医療機関や医療職へ連絡できるよう、緊急連絡先や連絡方法を把握しておくことも大切です。

特に夜間帯は看護師がいないオンコール体制をとっている施設もあるため、介護士が迅速に判断・対応する必要があります。万が一に備えて、当日のオンコール担当者や救急搬送を行う病院の連絡先を控えておくと安心です。

迅速に対応するためには、医療職との日常的なコミュニケーションを大切にし、相談しやすい関係性を築いておくことも重要です。平時から情報共有を密にしておくことで、緊急時にスムーズな連携が可能になります。さらに、利用者の状態に異常があればすぐに報告できるよう準備しておくことも大切です。

休日の場合はかかりつけ医に連絡がつかない場合もあるため、医療行為が必要になりそうな場合には早めに看護師へ報告しましょう。

介護士ができる医療行為を把握して現場で適切な対応ができるようになろう

介護士ができる医療行為を把握して現場で適切な対応ができるようになろう

介護現場では医療行為が必要な場面も多々見られますが、介護士が行える業務範囲は限られています。医療行為の範囲を把握しないまま業務にあたると思わぬトラブルに発展するリスクもあるため、介護士として働く人は必ず施設のガイドラインやマニュアルに目を通しておきましょう。

なお、介護施設によっては喀痰吸引や経管栄養の研修を受けられる場合があります。業務の幅の拡大やキャリアアップを目指して医療行為・医療ケアのスキルを身につけたい人は、研修制度が充実した施設を選ぶのもおすすめです。

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この記事の著者

ピーチャン(P-CHAN)介護転職編集部

株式会社ピーアール・デイリー(厚生労働省認可 有料職業紹介事業許可番号13-ユ-305520)の介護求人に関するコラムを管轄する編集部。
創業60年、一貫して人材サービスに携わり、累計2万社を超える企業の採用を支援した実績をもとに、介護の転職に役立つコラムを提供。

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