介護士の仕事内容がきついのは本当？しんどい・つらいと言われる理由を解説

介護士の仕事は、社会貢献度の高いやりがいのある仕事ですが「仕事内容がきつい」というイメージを持つ人も少なくありません。実際に、体力的な負担や精神的なストレスを感じる場面があるのも事実です。

この記事では、介護士の具体的な仕事内容やきついと言われる理由を紹介します。また、後悔しないための職場選びのポイントも詳しく解説します。

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きついと言われる介護士の仕事内容

介護士の仕事内容は、身体介護からメンタルケアまで多岐にわたり、専門的な知識とスキルが求められる社会貢献度の高い仕事です。主な仕事内容は、以下の通りです。

• 身体介護
• 生活援助
• レクリエーション活動の企画・運営
• 介護記録
• メンタルケア

ここでは、介護士の具体的な仕事内容を紹介します。

介護士の仕事内容について、働く施設別にも知りたい人は「介護士の仕事内容は？介護職はどんな仕事か、業務で具体的に何をするのか解説」の記事も読んでみてください。

身体介護：移動や入浴などをサポートする

身体介護とは、利用者の身体に直接触れて行う介助全般を指します。具体的には、食事や入浴、着替えのサポート、ベッドから車椅子への移乗など、日常生活に不可欠な動作の支援です。

身体介護は、利用者の身体的な負担を軽減するだけでなく、QOL（生活の質）を維持・向上させるうえで重要です。利用者の尊厳を守りつつ、一人ひとりの状態に合わせた安全な介助技術が求められる、専門性の高い業務と言えるでしょう。

生活援助：掃除や洗濯などの日常生活をサポートする

生活援助は、利用者が自立した生活を継続できるよう、身体介護以外の日常生活をサポートする仕事を指します。主な業務内容は以下の通りです。

• 居室の掃除
• 洗濯
• 食事の準備や調理
• 日用品の買い物代行

単に日常の家事を代行するのではなく、利用者の心身の状態や意向を考慮し、快適で衛生的な生活環境を整えることを目的としています。

利用者とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、日々の暮らしに寄り添いながら支える、生活に密着した重要な役割を担っています。

レクリエーション活動の企画・運営：脳機能や身体機能の維持をサポートする

レクリエーションを企画・運営することも介護士の大切な仕事です。レクリエーションは、心身機能の維持・向上や、社会的な孤立感の解消を目的に実施されます。

レクリエーションの具体的な内容は、以下の通りです。

• 簡単な体操
• 手作業
• カラオケ
• 季節ごとのイベント

企画を立てる際は、利用者の興味や関心、身体能力を考慮し、誰もが安全に楽しめるプログラムを考える必要があります。レクリエーションは、利用者に笑顔と生きがいをもたらし、他の利用者や職員との交流を深める機会として重要です。

介護記録業務：利用者の状態を的確に把握する

介護記録業務は、利用者の状態を的確に把握するために欠かせません。記録する内容として、以下が挙げられます。

• 利用者の心身の状態
• 提供したケアの内容
• 食事や水分の摂取量
• 利用者の変化

介護記録は、介護職員間での情報共有を円滑にし、一貫性のあるケアを提供するために不可欠です。さらに、医師や看護師、ケアマネジャーといったほかの専門職と連携する際の情報源にもなります。

利用者の小さな変化に気づき、的確に記録・報告することが、質の高いケアの提供につながります。

メンタルケア：利用者の不安や孤独感を緩和する

利用者の心に寄り添い、精神的なサポートを行うことも介護士の重要な役割です。利用者の多くは、加齢や病気によって身体機能が低下したり、生活環境が変化したりすることで、不安や孤独感を抱えています。

日々のコミュニケーションを通じて悩みや不安を丁寧に傾聴し共感することで、利用者に安心感を与えられます。利用者が穏やかな気持ちで過ごせるよう支援するメンタルケアは、深い信頼関係があってこそ成り立つ重要な仕事です。

介護士の仕事内容がきつい・つらいと言われる5つの理由

介護士の仕事内容がきつい・つらいと言われるのには、以下の理由が挙げられます。

• 移乗介助や入浴介助など体力的な負担が大きい
• 利用者とのコミュニケーションが困難な場合がある
• 利用者の死に直面することがある
• 給料が仕事内容に見合わないと感じることがある
• 人手不足により多くの業務をこなす必要がある

これらの理由を理解することは、介護の仕事への理解を深め、ミスマッチを防ぐうえで役立ちます。

移乗介助や入浴介助など体力的な負担が大きいから

介護は、身体的な負担が大きい仕事です。特に、ベッドから車椅子への移乗や、入浴の際の介助は、腰や膝に大きな負担がかかります。

自分よりも体格の大きな利用者を支える場面も多いため、正しい介助方法を習得していないと、腰痛の原因になる可能性もあります。日々の業務で体力を消耗するため、体力的なきつさを感じる介護士は少なくありません。

介護士の仕事を長く続けていくためには、身体的な負担を軽減するための知識や技術の習得が不可欠です。

利用者とのコミュニケーションが困難な場合があるから

介護士として働いていると、利用者とうまくコミュニケーションが取れないケースも少なくありません。利用者の中には、認知症の進行や病気の後遺症により、意思をうまく伝えられなかったり、説明の意図を理解することが難しかったりする人もいます。

円滑なコミュニケーションが取れない状況は、精神的なストレスを感じる一因となります。相手の言動の背景にある思いを汲み取り、根気強く向き合う姿勢が求められるため、精神的な負担を感じる人も多いでしょう。

利用者の死に直面することがあるから

介護士の業務に就いていると、利用者の最期に立ち会うことがあります。人の死に直面することは、心に重くのしかかる出来事です。

深い悲しみや、自分の支援が十分だったかという思いから無力感を抱き「仕事がきつい」と感じることもあるでしょう。利用者との別れを乗り越え、気持ちを整理していくための心の強さが求められます。

給料が仕事内容に見合わないと感じることがあるから

介護士は、仕事内容や責任の大きさに比べて給料が十分ではないと感じる場面があります。日常的な身体介助や生活支援、夜勤対応など、体力的・精神的に負担のかかる業務をこなしても、その努力が給与に十分反映されないことに不満を覚える人は少なくありません。

国や自治体による処遇改善の取り組みも進められていますが、依然として給料と仕事内容のバランスに差を感じるケースは多く、このギャップが「仕事がきつい」と感じる要因の一つになっています。

介護士の給料について詳しく知りたい人は、「介護士の給料はどれくらい？平均月収や平均年収などお金事情を徹底解説」も読んでみてください。

人手不足により多くの業務をこなす必要があるから

介護業界は、慢性的な人手不足の状態が続いているため、一人の職員が担う業務の範囲が広く、負担が大きくなりがちです。

慢性的な人手不足により、本来の介護業務に加えて、煩雑な記録作業や清掃、備品管理などの雑務に追われることもあります。

限られた時間の中で多くの業務をこなす必要があるため、心身の疲労が蓄積し、「仕事がきつい」と感じることも少なくありません。

介護士の仕事がきついと感じたときの対処法

介護士の仕事がきついと感じたときの対処法は以下の3つです。

• 信頼できる上司や同僚に相談する
• 自分なりのストレス解消法を見つける
• 介護技術や知識を深めて働き方の選択肢を増やす

介護士の仕事がきついと感じたときは、一人で抱え込まずに適切に対処することが求められます。以下の内容を参考に前向きに仕事を続けるための方法を探しましょう。

信頼できる上司や同僚に相談する

職場での悩みがある場合は、現場の状況を理解している信頼できる上司や同僚に相談するのが効果的です。一人で抱え込まずに話を聞いてもらうだけで、気持ちが軽くなることもあります。

具体的な業務上の悩みであれば、経験豊富な先輩から的確なアドバイスをもらえたり、一緒に解決策を考えてくれたりする可能性が高いです。

また、単に話を聞いてもらうだけでなく、身体的負担の大きな業務を減らしてもらうための配置転換や、働き方の変更といった具体的な業務内容の相談をすることも検討しましょう。

自分なりのストレス解消法を見つける

仕事がきついと感じるときは、ストレスをプライベートに持ち込まないために、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。

心身の疲れを癒すためには、質の良い睡眠を十分にとることが大切です。休日は仕事のことを忘れ、趣味に没頭したり、友人と会って話したりする時間を作りましょう。

また、ウォーキングやヨガなどの適度な運動は、ストレス軽減に効果的です。意識的に仕事から離れて心身をリフレッシュさせる習慣を持つことが、介護の仕事を長く続けるための秘訣です。

介護技術や知識を深めて働き方の選択肢を増やす

現在の働き方がきついと感じる場合、介護技術や知識を深めて働き方の選択肢を増やすことも検討しましょう。

介護福祉士やケアマネジャー（介護支援専門員）などの資格を取得するとキャリアの幅が広がります。資格の取得で専門性が高まると、仕事の進め方に自信を持てるようになり、業務への不安や負担感が軽減されるため、精神的なきつさも和らぎます。

また、資格手当による給与アップが期待できるほか、より自分に合った働き方や職場を選べるようになり、キャリアの選択肢が広がります。スキルアップは、仕事の負担感を軽減し、モチベーションを高めることにもつながるでしょう。

きついだけではない！介護士の仕事で得られるやりがいと魅力

介護職で得られるやりがいや魅力は以下の通りです。

• 利用者や家族から直接感謝される
• 利用者の生活や自立を間近でサポートできる
• 専門知識やスキルが身につけられる
• チームで目標を達成する喜びと一体感を感じられる
• 社会貢献度が高いため安定して働ける

介護の仕事は大変な側面もありますが、それを上回る多くのやりがいと魅力があります。日々の業務の中で感じられる喜びや達成感は、介護士として働き続ける大きな原動力となるでしょう。

利用者や家族から直接感謝される

介護士として働いていると、利用者やその家族から「ありがとう」という感謝の言葉を直接伝えられる機会が多くあります。

日々のケアを通して、利用者の生活が少しでも快適になったり、笑顔が見られたりしたときに感謝されると、人の役に立っているという実感や仕事のやりがいを得られます。感謝の一言が、仕事の疲れを忘れさせ、明日への活力となるでしょう。

利用者の生活や自立を間近でサポートできる

利用者の生活や自立を間近でサポートできる点も介護士の大きな魅力です。

介護士として働いていると、日々のケアを通じて、利用者が少しずつ元気を取り戻し、これまで行えなかった日常生活の動作を自らできるようになる過程に関わることができます。こうした成長や自立のサポートを実感できることが、仕事の意義や満足感につながります。

例えば、一人では起き上がれなかった利用者が座れるようになったとき、自分の仕事が利用者のQOL向上に直結していると感じられるでしょう。利用者の前向きな変化をともに喜べることは、介護の仕事ならではの大きな喜びです。

専門知識やスキルが身につけられる

介護士は、仕事を通じて幅広い専門知識とスキルを身につけられます。身につけられるスキルは以下の通りです。

• 身体介助の技術
• 認知症ケアの知識
• 医療的ケアの知識
• コミュニケーションスキル

これらのスキルは、自身のキャリアアップに直結するだけでなく、将来、自身の家族の介護が必要になった際にも役立ちます。働きながら学び、成長し続けられる環境は、仕事への満足感を高めてくれるでしょう。

チームで目標を達成する喜びと一体感を感じられる

介護士として働くと、チームで目標を達成する喜びと一体感を感じられるでしょう。介護の現場では、介護士だけでなく、看護師、理学療法士など、さまざまな職種のスタッフが連携して一人の利用者をサポートします。

例えば、チームで「利用者が安全に歩けるようになる」といった共通の目標を設定し、それぞれの専門性を活かして目標達成を目指します。

目標を達成できた際は、個人の成果だけでは味わえない、大きな喜びとチームとしての一体感を感じられるはずです。仲間と支え合いながら目標に向かう経験は、仕事のやりがいと充実感を深めてくれます。

社会貢献度が高く景気に左右されず安定して働ける

介護士の仕事は、景気に左右されず安定して働ける点も魅力です。超高齢社会である日本において、介護職は社会にとって不可欠な存在であり、需要は今後ますます高まっていくでしょう。

人々の生活を支える社会貢献度の高い仕事に従事しているという実感は、大きな誇りとなります。

また、景気の動向に左右されにくく、全国どこでも働く場所を見つけやすいため、安定して長くキャリアを築いていける点も大きなメリットです。安心して働き続けられる基盤があることは、将来設計を立てる上でも役立ちます。

「きつい職場」は避けられる！後悔しないための職場選び5つのポイント

「きつい職場」を避けるためには、以下のポイントを押さえて職場を選ぶ必要があります。

• 施設の種類ごとの働き方と特徴を理解する
• 求人票で給料・休日・福利厚生を比較検討する
• 施設見学で職員や利用者の雰囲気を見極める
• 面接で教育体制や職場環境について確認する
• 転職エージェントを活用して職場のリアルな情報を得る

介護士の仕事がきついと感じる原因は、仕事内容そのものだけでなく、職場環境に起因することも少なくありません。自分に合った職場を見つけることは、「きつい」と感じずに長く働き続けるために重要です。

施設の種類ごとの働き方と特徴を理解する

介護施設は、提供するサービスによって以下の種類に分類されます。

• 特別養護老人ホーム
• 老人保健施設
• 介護医療院
• 養護老人ホーム
• ケアハウス

介護施設にはさまざまな種類があり、役割や利用者の支援の必要度、働き方が大きく異なります。例えば、比較的自立度の高い利用者が多い施設なのか、医療的ケアが必要な利用者が多いのかによって、求められるスキルや業務内容は変化するでしょう。

夜勤を避けたい場合は日勤のみのデイサービス、医療との連携を学びたい場合は介護老人保健施設など、求める働き方や希望するキャリアプランに合った施設形態を選ぶことがミスマッチを防ぐ上で重要です。

求人票で給料・休日・福利厚生を比較検討する

転職先を選ぶ際は、介護職として働く立場から、以下の労働条件を複数の求人で比較検討しましょう。

• 給与・賞与
• 休日
• 勤務時間
• 各種手当（夜勤手当、資格手当など）
• 研修制度
• 資格取得支援制度

介護職は身体的負担や夜勤なども多いため、基本的な給与や勤務条件だけでなく、福利厚生や休暇制度が充実しているかどうかも大切なポイントです。希望する働き方やライフプランが実現できるかを長期的な視点で見極めましょう。

施設見学で職員や利用者の雰囲気を見極める

職場を選ぶ際は実際に施設を訪れて、職員同士のコミュニケーションや、利用者とのやりとりの様子などの雰囲気を自分の目で確認しましょう。

また、施設内が清潔に保たれているか、整理整頓されているかといった点も働きやすい環境かどうかを判断するポイントです。自分が施設の一員として働いている姿を具体的にイメージできるかどうかが判断基準と言えるでしょう。

面接で教育体制や職場環境について確認する

面接で、以下の教育体制や職場環境について確認すると後悔のない職場を選択しやすくなります。

• 給与や待遇
• 教育体制
• 研修制度
• 人員配置
• 仕事の進め方

これらの質問を行うことで、入職後のギャップを減らせるだけでなく、自分に合った働き方や成長機会があるかを事前に把握できます。疑問や不安を解消しておくことが、安心して新しいキャリアをスタートさせるためには不可欠です。

転職エージェントを活用して職場のリアルな情報を得る

自分一人での職場探しに不安がある場合は、転職エージェントの活用も効果的です。介護業界に特化した転職エージェントは、一般には公開されていない求人情報や内部情報に精通している場合があります。

また、キャリアアドバイザーは、希望やスキルに合った施設を提案してくれるだけでなく、応募先との給与や待遇の交渉も代理で行ってくれます。

施設の雰囲気や働き方、教育体制などのリアルな情報を事前に把握できることで、効率的かつ有利に転職活動を進められるでしょう。

介護士の仕事内容がきつい理由を理解して自分に合った働き方を見つけよう

介護の仕事は、体力的・精神的な負担が大きい側面もありますが、それを上回るやりがいや、社会に貢献しているという実感を得られる素晴らしい仕事です。

きついと感じる原因は、仕事内容だけでなく、人手不足や人間関係といった職場環境による場合も少なくありません。後悔しないためには、施設ごとの特徴を理解し、自分に合った職場を慎重に選ぶことが何よりも大切です。

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